まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 棲む家のようです


93棲む家のようです :2013/08/22(木) 00:44:12.45 ID:as6US0960
幼いころ、父の実家のある広島に帰った時のことだ。
山奥の旧家といえば聞こえはいいが、子供にとって過ごしやすいとはいえない田舎家で暇を持て余していた。
テレビのチャンネルも関東とは違う。やっているのはよく分からない歌謡曲番組ばかりでうんざりだった。

(´・ω・`)(あーあ、本でも持ってくればよかった。
     ホントに、なんにもないよなぁここ)

('、`*川「あ、ショボン。私達ちょっと出てくるからお留守番お願いね」

(;´・ω・`)「あ、うん。いってらっしゃい」

色あせた畳敷きの上をごろっと丸太のように転がっていると、
父と母が出かけていった。まだ午前中で祖父母は畑に出ている時間だった。
これで、おしゃべりで時間を潰すわけにもいかなくなってしまった。

(;´・ω・`)「はぁ、暑いなぁもう」

私はしかたがないので、冷蔵庫にある飲み物でも飲んでぼーっとしていることにした。
外では聞き慣れないクマゼミの声が、四方八方の山から時雨のように降り注いでいる。
窓の外を見ると、太陽が夏草をジリジリと責め苛んでいるのが見えた。

むっと草の匂いがして、暑くて、とにかく何もしたくないような夏だった。

(´・ω・`)「……ちょっとだけ、探検しようかな」

でも、ゴロゴロ転がっていてはもっと暑くて何より退屈だ。
無駄に大きな家だったから、踏み入ったことのない部屋や知らない扉がたくさんあった。
小学校に入りたてくらいの頃だったから、「探検」しているのが見つかっても怒られないだろうという計算もあった。




94棲む家のようです :2013/08/22(木) 00:47:59.40 ID:as6US0960
少し薄めに作ってしまったカルピスを一気に飲み干す。
そうと決まれば善は急げ、祖父母や厳しい父がいない内に色んな所を見て回ろう。
そう考えて、私達家族に当てられた仏間の横の客間から出る。

廊下は薄暗く、昼間でも少し不気味だった。

(´・ω・`)「……」

それからどんな風に歩いただろうか。今では全く思い出せない。
しかし、祖父母の部屋の近くではなかっただろうか。
見慣れない襖を見つけた私は、その襖になんとなく手をかけた。

(つ´・ω・`)つ「……」

引き手に手をかけると、ひんやりしたカネの感触があった。
すこしだけ隙間を開けると、どういうわけか涼しい風が顔にあたった。
まるでエアコンの風が吹き付けているようだった。そんなものは、その家にはなかったのに。

そして隙間から部屋の中を見ると、中で誰かがこちらに背を向けて座っているのが分かった。
正直に言うとその人がどんな格好をしていたとか、そういうのはほとんど思い出せない。
ただ、覚えているのは彼女が着物を身につけていたことだけだ。

どんな柄とか、種類とかは思い出そうとすると滲んだようにしかイメージ出来ないのだ。

(´・ω・`) (……女の人?)


95棲む家のようです :2013/08/22(木) 00:48:44.96 ID:as6US0960
 
髪の長い女性が、部屋の中で髪を梳いている。
紙に櫛を通すさらさらと言う音と、畳に毛先が当たる音が小雨のように部屋に響いていた。
部屋は障子を透かして太陽が明るく照らしている。今思えばおかしな事だが調度の類は一切なかったように思う。

時折、髪を梳る時に横顔が見えた。

(´・ω・`)(誰だろう……?)

川 ゚ -゚)

親戚の女性かとも思ったが、皆一様に逞しく日に焼けた私達一族とは似ても似つかない。
彼女は儚げで、なにか近寄りがたいような美しさを湛えているようだった。
それに、なんだか古風なような印象を受けた。

川 ゚ -゚)「む」

(;´・ω・`)「あっ」

川 ゚ -゚)「……ああ、君か」

(;´・ω・`)「あ、はい」

川 ゚ -゚)「……」

覗き見しているのがバレた。だがそれだけだった。
女性はそのまま髪を梳かし続けた。
しかも、私のことを知っているような素振りだった。


99棲む家のようです :2013/08/22(木) 00:52:24.09 ID:as6US0960
 
だが、当然ながら私は彼女のことを全く知らない。
やはり親戚なのだろうか、と思っていると女性が声をかけてきた。

川 ゚ -゚)「そんなところにいてもつまらないぞ?
     ……こっちに来なさい」

(;´・ω・`)「あ、じゃあ……」

そう言われて、おずおずと中に入る。
畳は瑞々しささえ感じられるほど鮮やかな緑だ。
ふわっと葦草の香りが鼻をついた。

私が部屋に入ると女性は、袂から短い紐のようなものを出すと軽くそれで髪をまとめた。
それから私の方に向き直ってじっと顔を見てくる。
やはり、緊張してしまいそうな美人だ。

川 ゚ -゚)「ふむ、頭も良い。それに善い人間だ。
     この家をより栄えさせる家長の相もある……」

(;´・ω・`)「え?」

川 ゚ -゚)「だが、なんとも惜しいな。
     そのためには時間が足りない……無念なものよ」

(´・ω・`)「時間が足りない?」

川 ゚ -゚)「いや、それはこちらの話だ。
     坊、それより私と遊ぼう」


101棲む家のようです :2013/08/22(木) 00:56:07.42 ID:as6US0960
 
(;´・ω・`)「えっ、でもいいの?」

川 ゚ -゚)「大丈夫、私はこの家のものだからさ。
     さあて、何をして遊ぼうか?
     お手玉は出来るか?」

(´・ω・`)「おばあちゃんにちょっとだけ教えてもらったことがあるけど。
      でも、ちょっとむずかしかったかな」

川*゚ -゚)「まあ、男子はせん遊びだからなあ。
      では昔話でも聞かせようか?にらめっこも良いな」

(;´・ω・`)「う、うん」

近寄りがたい感じだった女性だったが、遊ぶということになって急に目を輝かせ始めた。
なんだか、急に子供になってしまったような感じだった。
でも、最初に見た冷たい感じより全然良かった。

(´・ω・`)(それにしても、チョイスがおばあちゃんくさいなぁ)

川 ゚ -゚)「よし!ではにらめっこからやろうじゃないか。
      ……準備に時間がかからんのがこれの利点だな」

(´・ω・`)「うん」

そうしてまずはにらめっこから始まった。
その時に自分はクーだ。と名乗った女性だったが、
最初から全く容赦がなかった。


103棲む家のようです :2013/08/22(木) 00:59:12.59 ID:as6US0960
(´゙゚'ω゚'`)


川(゜)Q(゜))


(*´゙゚'ω゚'`)「ぐ……」


川(゜)Q(゜))


(*´;ω;`)「ぶふっ!あはははは!!」

川*゚ -゚)「はっ!これで私の五連勝だぞショボン!」

(*´;ω;`)「それ反則だよ!なんでそんな顔するの!?」

川*゚ -゚)「勝負に手加減はいらない!相手が稚児でも赤子でも全力で手を捻るのみだ!」

(*´・ω・`)「鬼だなぁ」

川*゚ -゚)「そうとも、じゃあそろそろ昔話でもしようか」

(*´・ω・`)「うん、どんな話なの?」

川*゚ -゚)「おう、いろいろあるぞ。
      じゃあ、折角だから鬼の話でもするか」


105棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:02:43.98 ID:as6US0960
それから、クーは色々と昔話を語って聞かせてくれた。
昔、山にはたくさん鬼がいて毎日どんちゃん騒ぎをして遊んで暮らしていた。
そこに人間がやってきてお宝を盗んで鬼が追いかけた話とか。

その他、河童やら天狗や神様やらいろんなものが出てくる話だ。
全然聞いたことのない話ばかりで、私は妙に楽しかった。
ねえ次は?と言って何度もねだったが、クーは嫌な顔ひとつしなかった。

かえって喜んでいるようにさえ思えた。

川 ゚ -゚)「……そういうわけで、この村の人間の長との知恵比べと飲み比べに負けた鬼は、
     しょーがないのでその人間の長の一族を見守ることになったわけだ。
     その一族がその住む家を守り、そこに住み続ける限りな」

(´・ω・`)「へえ、それからどうなったの?」

川 ゚ -゚)「まあ、この話にはあんまりオチらしいものはない。
      子々孫々、鬼はその一族を見守っているそうな」

(´・ω・`)「じゃあ、今もその鬼さんはその家を守ってるんだ」

川 ゚ -゚)「そうらしいなあ」

(´・ω・`)「なんか、ロマンだなー。
       今の世の中になっても鬼がいるかもっていうの」

川 ゚ -゚)「浪漫か、そうか。そう思うか。
     それもまた、ひとつの見方だな……うむ」


107棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:06:09.50 ID:as6US0960
  
私のロマン、という言葉に感慨深げにため息を吐いたクーは、
その後何やら満足気な表情を浮かべ、ぽんと膝を叩いて言った。

川 ゚ -゚)「坊、じゃあお前に面白いものをやろう」

(*´・ω・`)「えっ何くれるの?」

川 ゚ -゚)「いや、今やるんじゃないぞ。坊が大人になったらやろう。
     世にも珍しいものだろうから期待していろ」

(´・ω・`)「えー、それじゃあ長すぎない?」

川 ゚ -゚)「その時が来れば分かる……じゃあ、そろそろ帰れ。
     もうそろそろ日が暮れる」

(;´・ω・`)「あ、ホントだ」

いつの間にか障子が暗くなっている。だが、部屋は比較的明るかった。
そのときは私は何も考えずに、帰りが遅くなると両親が心配するとだけ思った。
ここが家の中であるということは、もうすでに頭から吹き飛んでいた。

子供だったのだ。私は。

(´・ω・`)「じゃあ、いろいろ楽しかったよ!じゃあまたね!」

川 ゚ー゚)ノシ「うむ、また会おうな!坊!達者でいろよ!」

(´・ω・`)「クーもねー!」


109棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:07:53.53 ID:as6US0960
  
手を振って見送るクーに、私も手を振り返しつつ、襖を開けて廊下に出る。
するともう、廊下はは真の闇だった。
びっくりしてクーがいた部屋の方を振り返ると、そこにすでに襖はなかった。

そこにはただのっぺりと壁があり、その上の方に神棚があるだけだった。

(;´・ω・`)「え……」

私は、ただしばらく唖然としていた。


110棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:09:24.61 ID:as6US0960
 
*――――――――*

(´・ω・`)「……」

私はそれから約30年ほど経った盆に、再び広島に帰ってきた。
あの出来事から初めてのことだ。
クーの部屋から廊下に出た後、両親に顔を見せるとビックリされた。

というより、もはや母は半狂乱だった。
私は、その時3日ほど行方不明という状態だったのだ。
それからクーの事を家族に話すと、急に実家から帰ることになってしまった。

祖父母と父は吉兆だのこれで家は安泰だのと言っていたが、母はそんなことはどうでも良かったらしい。
母は父に、とにかく私を実家から遠ざけるように言った。
その要求が通ったために、私はあの家に立ち入ることさえ出来ないまま今に至った。

(´・ω・`)「懐かしいな」

(`・ω・´)「これ何?」

(゚、゚トソン「ん?ああ、もみじ饅頭ね。いろいろ味があるのねえ」

(´・ω・`)「俺が子供の頃には、こしあんしか無かったんだがなあ」

(゚、゚トソン「へえ」

広島駅の構内では、もみじまんじゅうのお土産が雑に陳列されている。
私はそれをひとつ買って、父の実家を訪ねることにした。
母が亡くなってからしばらくが経つ。もう、実家に行くと言っても必死に引き止められることもない。


111棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:12:26.63 ID:as6US0960
 
(`・ω・´)「ねえ、お父さん。そこってどんなとこなの?
        山とかで遊べるのかな?」

(´・ω・`)「いや、今回はそんなに長いこといないよ。
      墓参りだけして、おじさんのところに挨拶するだけだ」

(゚、゚トソン「その後、ちょっと街で遊んでから帰るのよ」

(`・ω・´)「……ふうん」

レンタカーを駅前で借り、山の方にしばらく車を走らせる。
子供の時分には遠く感じたものだが、そんなに駅から距離があるわけでもない。
せいぜい、30キロ圏内だ。それからカーナビに従って30分ほどで集落にたどり着く。

あの家は、その中でも奥まった場所にあった。

(´・ω・`)「……実際見ると、嫌なもんだな」

(゚、゚トソン「やっぱり、思い入れがあったの?」

(´・ω・`)「……ああ」

大きかった家は、もうそこにはない。
半年ほど前に火事が起き、何もかも焼けてしまった。
その火事では人死こそ出なかったものの、立て続けに祖父が亡くなった為にいろいろ大変だった。


113棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:14:43.24 ID:as6US0960
 
その後、土地を相続したのは長男だった父だった。
だが叔父が、あの土地を売れ売れとしつこかったらしい。
そんなこともあって父は真顔で「火を付けたのはアイツじゃないかと思う」

と、全てが片付いた後で誰とも無しに呟いていた。

(´・ω・`)(実際どうだったのやら、叔父も死んだ今では闇の中か……)

結局、父は焼け跡を業者を入れてきれいにしてそのままにしておいた。
なにか、父も思うところがあったのだろう。

(´・ω・`)「……」

(`・ω・´)「あの、塊は何なの?」

(´・ω・`)「ん、ああ。ここにあった家の残骸だな」

(゚、゚トソン「……ずいぶん大きなお家だったのね」

(´・ω・`)「ああ、でかかったな。
       いろいろ、俺もまだ見てないところがあったくらいだ」

(`・ω・´)「あーあ、僕もいろいろ中で探検したかったなぁ」

(´・ω・`)「確かにまあ、探検しがいのあるところだったよ」


114棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:16:46.92 ID:as6US0960
  
家族と話しながら、周りに目をやる。
草むらの中で、ポツポツと鬼百合が咲いている。
白いものが多かったが、中には赤いものも混じっている。

よく見ようとして、私はそちらに歩いた。
ちょうど、集めてそのまま放置されている瓦礫の陰になっているところに、鈴なりに咲いているようだった。

(´・ω・`)「……あ」

(゚、゚トソン「どうしたの?」

(´・ω・`)「いや、なんでもない。
      ……なんでもないよ」

白い鬼百合の中にぽつんと一輪だけ咲いていた赤い鬼百合の花は、
よく見ると、ぽっきりと首が折れていた。
私には、この家の生命が尽きたことをその花が無言の内に主張しているように感じられた。

その時だった。

(´・ω・`)「おや?」

瓦礫の隙間に、なにかが挟まっているのが見えた。
人の親指の太さほどの、棒状のものだった。
好奇心にかられて、私は手を伸ばしそこから引き抜く。


116棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:18:04.57 ID:as6US0960
  
(´・ω・`)つ「これは……」

それは、象牙のような艶のある奇妙な棒だった。
折れたようになっている根元の部分から先端にかけて、細く鋭い形状をしている。
私にはそれが何かがなんとなく、察しがついた。

(´-ω-`)「角、か」

その時、山全体を揺らすようなざあっという風が吹き抜けた。
鳶が甲高く叫びつつ、吹き流されていく。
蝉しぐれがその一瞬だけ止んだ。

(´・ω・`)「こんなもの、受け取れないよクー……」

(゚、゚トソン「あなた、どうしたの?」

(´・ω・`)「いや、昔の約束を思い出したんだ。
      ……もう帰ろう。おじさんを待たせてもいけない」

(゚、゚トソン「え?うん……」

もっと長くいるのかと思っていたのだろう。
妻は怪訝そうに私を見ていたが、やがて車の方に歩いて行った。
私は、角をそっとポケットに入れるとその後を追った。


117棲む家のようです :2013/08/22(木) 01:21:31.35 ID:as6US0960
   
車に乗り込むと、私は広島市内に向けて走りだした。
そして後部座席の息子が寝たところを見届けると、私は妻にそっと言った。

(´・ω・`)「なあ、いつかあそこに家を立てて住まないか?」

(゚、゚;トソン「うーん?いきなりねえ」

(´・ω・`)「いやまあ、老後とかの話だけどさ。
      いいところだし、水もうまいぞ」

(゚、゚トソン「ああ、『いつか』ってそんなに先の?
     まっ、私は貴方の行くところに引っ付いていくだけよ」

(´・ω・`)「いいんだな?」

(゚、゚トソン「ええ」

(゚ー゚トソン「あなたに家を建てられるだけのお金が、その時あればね」

(;´・ω・`)「これは手厳しいな……努力はするさ」

(´・ω・`)「でもいいとこだよ、あそこはね……」

(゚、゚トソン「?」

なんといっても、鬼が棲んでたくらいなんだ。
そう言った私の顔を、妻はきょとんとした顔で見ていた。



 ※ 使用お題  「もみじまんじゅう」 「首の折れた花」 「広島駅」 「 (つ´・ω・`)つ」

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[ 2013/08/29 22:26 ] 総合短編 | CM(0)


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