まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ひとりで語る奇譚夜話のようです 『ミセ*゚ー゚)リ』












3名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:30:33 ID:.T0StpNY0









(´・ω・`)


 おやおやどうしたんですかい、随分ひどい顔、じゃねぇや。ひどい顔色じゃあないですか。
 え? なに、かいだんばなし? こっぴどく驚かされてここまで来た?
 はぁはぁ、インターネット。最近はめっぽう便利になったもんで。部屋にひとりでも百物語なんてぇモン出来るようになったんですねぇ。
 それで? ひとりで部屋にいるのが怖くなったって?
 ここまでくる道のが怖いでしょうに、面白いひとですねぇ。え? ああ、はいはい、すみませんすみません。

 しかし百物語。あんまりそういうの、やらないほうがいいと思いますがね。
 言うでしょう? 寄ってくるって。百物語なんて百個目の蝋燭が消えたら何かが起こるなんて言いますけどね、それとインターネットなんてケッタイなものを組み合わせちゃァいけませんぜ。
 ありゃァ分かり易いおびき出しの儀式だ。キチンと蝋燭用意して、キチンと場所を用意してやんなくちゃ、おびき出された方も何処へ行きゃいいのか迷っちまう。
 迷っちまった化生のモンくらい恐ろしいものは無いんですよ、なぁんて、良く言うでしょう? 言わない? そうですかね?

 うん? 随分知った口をきく? はは、こう見えても実家が寺をやってましてね。
 波ァ、なぁンて言ってもなぁんにも出来やしないんですけども。

 ああ、あたしゃ頭を丸める気なんざありませんよ。兄貴が継いで袈裟着てます。
 まぁ言っても修行僧じゃありませんし、酒も肉も大好きのメタボリック予備軍な生臭坊主なんですがね。
 親父の奴は本当ならお前に継がせたかったんだーなんて言ってますが、ありゃ兄貴とどうも馬が合わないらしくてね。そんだけの話なんでしょうよ。


5名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:32:36 ID:.T0StpNY0



(´・ω・`)


 え? あたしの職業? はは、親父と兄貴は馬が合わないなりにあの寺を好いているんですが、あたしぁどうもあのおいえが嫌いでね。
 高校を卒業してから頼まれもしないのに家を飛び出ッちまいまして。
 最初は勉強しようってんで大学なんて大層なところにも通っていたんですが、学費も自分で捻出しようなんてなると、ほらもう、ちょっと予想の付いた顔をなさる。
 アルバイト、アルバイトの毎日で。終いにゃ働く為に大学に通ってんだか、大学に通う為に働いてンだか分からなくなっちまいまして。
 そうなったらもう勉強なんて身に入りませんから、こりゃ駄目だと二年でスパンと退学しました。これでもね、思い切りは良い方でね。


 けれどもねぇ、そうすると不思議とすることがなくなるんですね。
 そりゃそうだ、分からなくなってたとはいえ一応、あたしは真面目で大学でお勉強するために街へ出たんですからね。
 ポカンとしたものの金が無くちゃァおまんまが食えない。何の為に出て来たんだっけなんて思いながら働きました。
 もうあの時はちょっとあたしおかしくなってましてね。預金通帳の額を何とかして増やさなきゃ実家にも帰れないと思ってたんです。

 それで、この街で手早く沢山稼ごうってんで、職業はマァマァ限られてきますわな。
 ほら、あたしそうそう見目は悪くないでしょう。え? しょぼくれてる? はぁ、まぁたしかにそれも否定はしませんが。
 それでもって生来から口はぺらぺら回るほうでして。ね、今身をもって知ってるでしょう?
 見た目が悪くなくて口が回る、となるとね、とある職業が一番いいんですよ。ね、夜の仕事って奴です。


(´-ω-`)


 まぁ言ったって学生上がりの若いモンですから、長年やってきているホンモノさんたちにはかないません。
 それでもね、まぁまぁ可愛がられてそれなりにいい額稼いでいたんですよ。
 あたしさっきも言った通り次男でしょう? それに田舎で育つとね、備わるもんなんですよ、年上に可愛がられる態度って奴が。
 じっさまばっさまに好かれる性質なのが、ここへきたらおにいさまおねえさまに好かれる性質、だなんて、ちょいと笑っちまいましたがね。

 それでね、まぁ夜の仕事なんて半分くらいやくざみたいなもんですよ。
 どこまで行ってもきれいな身ってぇお人もいなくはなかったんですがね。あたしの場合は後ろ盾についてもらった最初のお店がちょいと悪いトコでしてね。お恥ずかしい話ですが。
 まぁあるんですよ、スタッフがそのまま構成員、なぁんてところがね。


6名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:34:35 ID:.T0StpNY0


(´・ω・`)


 ああ、いえいえ、今はもう綺麗に……とはいきませんが足も洗ってね。
 そりゃいつまでもそんなフワフワ生活できませんから。そこそこ落ち着いて生活してますよ。


 それはともかくね。
 ただでさえ深夜の仕事で後ろが暗いってのに、そういう路地裏で生きているとね、まぁまぁ、よくよくみるようになるんですよ。
 あそこぁ人の暗いところの煮凝りみたいなトコですからね。淀みもたまるってなもんですよ。
 あたしは前から割合そういうのを良く見る方だったんですが、大学を辞めて仕事に専念しだしてからはもう、ばんばんばんばん……。





(´・ω・`)


 え? 何をって?
 そりゃああなた、ひとじゃあないものにきまってるじゃありませんか。


7名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:36:36 ID:3tp9M8dY0




(´・ω・`)


 はは、そんなおびえて。いえいえ、本当に怖がらせられたんですねぇ。よっぽどいい語り部が集まってらっしゃったとみられる。
 大丈夫ですよ、今までお聞きの通りあたしはそう話し上手ってェわけじゃないですから。
 口? そりゃあ口は回りますが、こりゃ商売道具なんでね。あなたから駄賃がもらえるってわけじゃないのに本気で回しませんよ。
 いいじゃあないですか。普段思ってもない言葉をぺらぺら話してるこの口です。ちょいとくらい下らないオハナシをさせてくださいな。


 妖怪っているでしょう?
 ええ、そう、そうです。一つ目唐傘だとか、猫又だとか。そうそう、やっぱり百物語なんてするだけあって結構好き者ですね?
 はは、すみませんすみません。
 あたしがみるのは大体そのヨウカイってやつでしてね。幽霊だとか怨霊だとかっていうものは多分ついぞ見たことがないんですよ。
 当たり前ですよねぇ? 死んだ人の魂がふわふわぁっとその辺に漂ってられるなんて知ったら閻魔大王様の休暇がグンと増えちまう。





(´・ω・`)


 妖怪と幽霊は何が違うのかって?
 そんなもん、……ああ、そうですね、普通は似たようなもんだと思うでしょうね。



 妖怪はね、いきものなんですよ。


8名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:38:35 ID:.T0StpNY0



(´・ω・`)


 ええ、生物。いきてますよ。きちんと触れますし殺せば死ぬでしょう。
 殺したこと? あるわけないじゃないですか。あたしは昔から虫も殺せない美少年って村でも有名で……、
はは、冗談ですってば。ええ、蝉の腹が空っぽだってことを知ってるくらいにはやんちゃ坊主でした。



 それで、ええと、何でした? そうそう、妖怪。
 妖怪はね、成るんです。元々は別の生物だったのが、ある日。急に。
 大体はそうですね、人がなることがおおいですかね。そういう人たちは大体が自分でも妖怪に成ッちまってるって気づかなくてね。
 その点動物なんてのは偉いモンですよ。猫や犬なんて、自分が成っちまったって気づいたらもうスグにその振る舞いを心得てるんですからね。
 案外、忘れちゃってるのは人間だけなのかもしれませんね。
 そういうものになった時の振る舞いってな、ぜェんぶこう、DNAってんですか? 遺伝子なんてのに組み込まれてて、人だけがそれをすっかり忘れてる、なんてね。与太話ですよ。



(´-ω-`)


 兎も角そういう後ろ暗いやくざな業界を立ち歩いてるとね、おてんとうさまに顔向けできないからなのか、そういうモンに成っちまう人の多いこと多いこと。
 それでもよォく覚えてるのが何人か……いや、もうひとじゃないから何人ってのもおかしいのかな。まぁ、いましてね。
 そうだなぁ、誰の話がいいかなぁ。


9名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:40:41 ID:.T0StpNY0








『ミセ*゚ー゚)リ』





 ミセリって女がね、居たんです。
 その時は、そうだなぁ、もう何年前の話になりますかね。オリンピックがやってる頃だったかな。
 ミセリは当時の上客でしてね。ええっと、何だったかな。今もまだある高級クラブでホステスをやっている女でした。
 稼ぎはどうだったんでしょう? あたしは随分と彼女に稼がせてもらいましたが、彼女がどれだけ稼いでいたかは知りません。
 まぁ、高級クラブですよ。彼女の話をまるっと鵜呑みにするんならそこそこ中の下くらいのナンバリングがされていたそうですし、ボロアパートに住んでいたあたしなんかよりはずっと稼いでいたんでしょうね。
 ショボンちゃん、ショボンちゃん、って……ああ、これは当時のあたしの源氏名なんですがね。まるであたしを弟か何かみたいに可愛がってくれたひとでした。
 実際実家に弟を残して上京してきたとかで。まぁ、それについては本当だかしれませんがね。



(´-ω-`)


 水商売をしているとよくあるんですよ。家族の話を嘘で突き通して、それを仕事の外まで持ってきちまうなんて。
 あたしだって当時の店で歳の離れた兄貴が一人いるッきりで、その兄貴も女と出て行って行方が知れないなんて天涯孤独ってことになってましたからね。
 あの時の知り合いはみんなまだあたしが兄貴を探して上京してきただなんて思ってるんじゃないかな。
 当の兄貴は山の寺で親父と言い合いしながらおふくろの煮物食って奥さんと子供と念仏唱えてるってのに、笑っちゃいそうですけどね。


10名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:47:22 ID:.T0StpNY0








『ミセ*^ー^)リ』


 まぁ、そのミセリがね、どうも手癖が悪いひとだった。
 手が長いって言うでしょう。確かにスラっと手足が長くて、胸こそ無いんですが小柄の癖に妙にスタイルが良くて……、
え? はぁはぁ、脱線ですか。すみませんすみません。
 普通にお酒とお話で稼いでも困らないだろうのに、何処から持ってくるのか、スッとカバンから男物の財布を出してきて支払をしたりする。


ミセ*゚ー゚)リ「お客さんに買って貰ったの」


 なぁんてかわいらしい顔で笑うんですが、いかにも大事そうな保険証やらが入った貰い物なんて無いでしょう?
 明らかに買って貰ったなんてもんじゃないんですよ。言っちまうとね、彼女、お客さんから財布だの時計だの、ぴょろっとちょろまかしちまうようなひとだったんです。
 このへんは後から聞いたんですがね。小さいときから相当鳴らしてたそうですよ。顔に似合わずえげつない手を持ってるなんてね。
 お客に高ァいお酒を注いだそのお綺麗な手で高ァい時計までちょろまかしちまうってんですから。

 あたし?
 あたしはそんなことしませんよう。技術もなけりゃ腕もない。その時からあたしにあったのはしょぼくれたこの口とちょいとばかし見れる顔ってだけです。
 一時期は雑誌にでもこの顔を載せないかなんて聞かれたこともあったんですが……ああ、はいはい、どうもすみません、過去の自慢なんて言い出すようじゃお里が知れますね。
 まぁあたしの里なんざ親父が説法打ってるようなヒネた田舎なんですがね。


11名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:49:32 ID:.T0StpNY0





(´・ω・`)



 まぁでもね、あたしだって商売ですから。
 お金がもらえるンならそのお金の出どころがどこだろうと、お客を不愉快にさせるなんてわけにはいきません。
 出せるモンを出していただける限りはお客様ですから。サービス業もこれに極まり、ですからね。


(´・ω・`)「姐さんは随分渋い趣味なんだねェ」


 なんつってね。
 それに気を良くしたミセリが肩を竦めて、


ミセ*゚ー゚)リ「実はね、ショボンちゃん、これ、買って貰ったのじゃないのよ」


 なんて笑うもんだから、今度焦るのはあたしの方ですよ。
 もしもどこぞのお偉いさんのカバンからちょろまかしてきたなんて言われた日にはこっちの顔が立たないですから。
 知らぬ存ぜぬじゃないといくらなんでも不味いことになる。
 あたしも機転をきかせてね。ナァんにも分かってません、なんていかにもな顔して


12名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:53:35 ID:.T0StpNY0


(´・ω・`)「えっ、じゃあどうしたんだい? 拾ったのかい?」

ミセ*゚ー゚)リ「どうしたんだと思う?」

(´・ω・`)「分かんないなァ、だって前はそんな財布、使ってなかったろう?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、そう。実を言うとね、これ、あたしの財布じゃないの」

(´・ω・`)「そうかぁ、じゃあそれ、拾ったんだね、姐さん。駄目じゃないかよ、ちゃんと警察に届けなきゃ」

ミセ*゚ー゚)リ「あら、バレちゃった。いいじゃない、はした金はした金。浮世にお金は流すものよ」



 今思えば笑っちまうくらいに間抜けな会話ですよ。わかんないナァですって。わかんないなぁ、じゃねぇよ。
 盗んできたに決まってるよ。
 けれどね、どうにも分からないことにこんなあたしの態度が店では受けてましてねぇ。とぼけ癖がついたのはここでの病気でしょうね。

 そんなやり取りが楽しかったんでしょうねぇ。それからというもの、ミセリはあたしのところに来るたびに『戦利品』をちらつかせるようになりました。
 その時にね、あ、これはちょっとこの女不味いなって思ったんですよ。
 取り出してくる財布がどうもキナ臭くてね。いやいや、ちょっとそういうところに足を突っ込めば匂いには敏感になるんです。
 ミセリの遊び方もちょっとずつですが派手になっていたのもあるんですがね。
 それとなしそれとなしに止めようとも思ったんですよ。本当はそういうのに踏み込むのはルール違反なんですがね。


13名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:58:34 ID:3tp9M8dY0



(´・ω・`)


 なんでって? おかしなことをきくひとだなぁ。相手がお金を落としてくれるならなんだっていいってさっきも言ったでしょう?
 例え相手がサラ金に手を出してこっちの支払いをしていようが、闇金に溺れながらあっちの支払いをしていようが、最後の最後言ってしまえばお金を払って貰えさえすればあたしらはそれでいいんですよ。
 サービス業なんて言ってもね、所詮はそれの真上に成り立ってるわけです。

 阿漕なもんですよ。水商売なんてね、本気になるのがばかなんです。
 ええ、ばかなんですよ。
 まぁあたしも若くてばかでね。


(´・ω・`)「姐さん、いけないよ。また拾い物じゃないか」

ミセ*゚ー゚)リ「あら、わかっちゃった? あたし、運良いの」

(´・ω・`)「今にその運使い切っちゃって、姐さんが来れなくなっちゃったら悲しいじゃないかよ」

ミセ*゚ー゚)リ「やぁだ、あたしが来なくなるのが寂しいんじゃないでしょ。あたしのお財布が来なくなるのが悲しいくせに」

(´・ω・`)「……姐さんは意地悪だなぁ」



 なんてね。
 確かにミセリが来なくなったらその財布が恋しくなるのは本当なんですが、それよりなによりあたしはとばっちりが自分にくるんじゃないかってのが怖くて怖くて。
 お金さえ払って貰えばいいなんてさっきから何回も言ってますがね、世の中には道理のわからない人ってのもいるわけです。
 あの時の金はウチのもんだから耳揃えて返せ、なんて言われたらいやですよ。ミセリを差し出したって売り上げを差し出すわけにはいきません。
 え? 薄情者? なんでですか、あたしはなぁんにも悪いことしてないですよ?
 悪いことをしてるのはミセリだけでした。


14名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 02:06:28 ID:.T0StpNY0



(´・ω・`)


 まぁ暫くはミセリがやってきては毎回『拾った』財布で支払いをして、なんてのが続いたんですがね。ま、そこは繋がりとコネの世界です。
 そんな大っぴらに拾い物をぴらぴらさせてたらね、あたしが知らんふりをしていても知らんふりできない人がでてくる。




『( ゚∋゚)(・(エ)・)』


 ある日いつもみたいにミセリと酒を飲んでいたら、急にすすーっと見知らぬ男二人が現れましてね。
 それがもう、映画やドラマで見るみたいないかにものやくざものですよ。
 あたしが石像みたいになって固まっていると、こっちにペコっと案外行儀よく会釈してから急にミセリの腕をつかみましてね。



『( ゚∋゚)(・(エ)・) (゚*#イルリ』




 そのあとあったなんやかんやの問答なんてもう覚えてませんよ。
 偉いさんの財布を取った取って無いの水かけです。ミセリもあれで気の強いひとでして、自分より倍もありそうなやくざふたりに向かってやめときゃいいのに啖呵切って。
 後後考えたら、もしかしたら彼女、あたしを守ろうとしてたんじゃないかなぁなんて思うんですよ。
 どうもミセリはあたしを共犯者か何かだと思い込んでいた節がありまして。ここで自分が引いたらあたしにまで火の粉がかかると思ったんでしょう。

 店先でそんな言い争いをしている時点でもう火の粉どころか炎上騒ぎで笑っちまいますがね。
 なんでしょう、まぁ、ミセリに弟がいるって話も、もしかしたら本当だったのかもしれませんね。
 よくショボちゃんと似て男前で、なんて話をしてくれたもんですが。え? どうでもいい? はは、すみませんね、どうも、脱線が多くって。


15名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 02:09:35 ID:.T0StpNY0



(´・ω・`)


 後から聞いた話なんですが、彼女どうもちょっと不味いところから財布をちょろまかしちゃった。
 そのころにはすっかり調子づいちゃって、店の客どころかそのあたりの道端でもちょっと腕を伸ばしてたらしいんです。
 本当のところなら店で腕を伸ばす方が危ないはずなのに、そこは熟練のお水の女性ってところなんでしょうかね。まぁ、あたしの知ったことじゃありません。


 話を戻しまして、ミセリが手を伸ばしたのは、どうやらとあるやくざもんの大事な虎の子だったそうです。
 人通りの多い路上。どこからどうやってか彼女がその白魚みたいな腕を出したのが見られてた。
 巡りに巡ってうちの店の人に話がいって、一番ミセリが気をゆるませてるあたしとの時間に立ち入ることになったんだとか。




(´-ω-`)


 そうですね、全部のやりとりが終わった後に迷惑かけたろうと握らされた金は中々良い臨時収入にはなりましたかね。
 ま、友人と一緒にちょっとバカ騒ぎして一晩で使い切っちまいましたから、そんなもんです。
 いいんですよ、浮世に金は流すものです。


16名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 02:15:28 ID:.T0StpNY0




(´・ω・`)


 結局ミセリは腕を引っ張られて店から連れられて行って、それっきりです。
 ああ、そういえば最後の最後、ブースを出ていく瞬間に一声、


ミセ*゚ー゚)リ「ショボンちゃん」


 って呼ばれたのだけがひどく印象に残ってますねぇ。
 後味の悪い話です。
 助けてくれと言うでもなく、むしろ誇らしいみたいな顔しててね。何が誇らしいってんだか。
 後で何が待ってるかなんて、あたしより長いことあの街に居たミセリさんのほうがよっぽど良く知ってただろうのに。
 笑っちゃいますよね。もうあたしあの人に呼ばれた瞬間にたらたら涙が出てきちゃって。

 悲しく何てなかったんですよ。悪いことをしていたのはあの人だけだったんですから。
 本当に、後味の悪い。




『ミセ*^ー^)リ』






 ほんとうにそれっきりなのかって? そりゃあもう、ドラマみたいに彼女を助け出そうなんてあたしがするわけないでしょう。
 ええ、高級クラブから落ちた女がいる風俗なんて、本当に探せばいくらでもあるってなもんです。
 そこに性質の悪い客が引っかかって爆発騒ぎなんて、そりゃ良くあるはなしではありませんが、探せば幾らでも出てきますよ。

 探さなくたって同じ業界に居れば嫌でも話は耳に入りますからね。


17名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 02:18:32 ID:.T0StpNY0






(´・ω・`)




 え、それの何処が妖怪話か? はは、そうですね、これだけ話したんじゃあわかりませんよねぇ。
 まぁ、でもここから先は本当につまらないはなしです。

 やくざに引っ張られていったミセリの腕にね、みっしりと目がついてたんですよ。
 ええ、見間違いなんかじゃありません。これでも寺の子ですから。へんなものはね、見ればわかるんです。

 ミセリはホステスなんかでは珍しい、いつでも長袖を着ている女でして。真夏でもですよ?
 確かに店は冷房がついてるでしょうが、暑くないのかっていっつも不思議に思ったもんです。
 だからあたしも中々気付けなかった。


 本人はね、多分気づいてないんですよ。
 自分の腕にぎょろっと黒目勝ちの鳥目が幾十、いえ、あれはきっと幾百なんでしょうね。ぞろぞろ並んで瞬きしてるなんて。



『ミセ*^ー^)リ』


18名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 02:20:43 ID:3tp9M8dY0

 百目鬼って、詳しいあなたなら知ってますよね。
 ええ、盗人女の腕に目がぎょろっと並んでるってあれです。
 ミセリはいつからか、もしかしたらあたしと知り合う前からかもしれない。ずっとずーっと前から、





(´-ω-`)


 ひとなんかじゃ、なかったんでしょうね。





(´・ω・`)


 あたしが怖いと思うのはね、そんな彼女も死んでしまったってことなんです。
 だってあなた、妖怪ですよ?
 妖怪ってなこう、人をだまして、脅して、下手したら死なせてしまうような存在のはずなんです。
 それがあんなにも簡単に、黒こげになって。

 天罰、なんて言っちゃえば簡単ですよ。
 でもね、まぁ……





(´・ω・`)







 人の世は恐ろしい恐ろしい。特に爆弾なんてとっても恐ろしい。
 ああ、でもそうですね。まぁ今一番あたしがこわいのは、冷たァくした甘酒が一番怖いですかねェ。


19名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 02:21:25 ID:.T0StpNY0
ミセ*゚ー゚)リ←百目鬼


終わり



ひとりで語る奇譚夜話のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376324876/



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