まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 運命の女性のようです


565名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:28:12 ID:rOAjZfD60

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 (i,)
  |_|




568名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:30:49 ID:rOAjZfD60
運命の女性のようです


( ・∀・)「…………」

いつもと同じように目覚めた僕の目に入ったのは、真っ赤な糸。
ベッド、床、居間。
どこまでもどこまでも続いていくそれに見覚えはなかった。

( ・∀・)(なんだこれ?)

手近にあった糸を手繰ろうと左手を伸ばして、

( ・∀・)「あ」

見つけた。
左手の薬指に、赤い糸が結ばれていた。
いや、絡み付いていたというほうが正しかった。
継ぎ目も結び目もないそれは、明らかに異常だった。

(;・∀・)(なんだこれ)

鋏を取り出し、それを切ろうとした。
……手が震える。
息が乱れ、鼓動が早くなる。
怖い。
これを切ってはいけない。
これは自分の体の一部、動脈か心臓のように大事な大事な臓器なのだ。

(; ∀ )(なに馬鹿なことを考えているんだ)

無意識に浮かんだ考えを一蹴しようとする。
だけど拭うことはできなかった。


569名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:31:51 ID:rOAjZfD60
(; ∀ )「……無理だ」

やむなくハサミを引き出しに戻し、恐る恐るもう一度触れてみた。
なんの変鉄もない糸だ。
綿でできているような、しかしいくら触っても毛羽立つことはなかった。
糸を引っ張ってみる。
……かすかに手応え、ピンと糸が張る。
どこかに繋がっていることはたしかだ。

( ・∀・)「…………」

僕は考える。
大学は今夏休みだし、バイトもない。
友人のほとんどは帰省してしまって遊ぶことはできない。
恋人はいた、でも。

( ・∀・)(やめたやめた)

あいつのことを考えるのは。
頭をがしがしとかきむしる。
じっとりとかいた汗が指に絡み付く。

そうだ、暇なのだ。
どうせ、暇なのだから、この糸の行方を探ろう。

( ・∀・)(この先にいるのはかわいい女の子かもしれないし)

今までバカらしいと思っていたけど、まったく信じていなかった訳ではない。
運命の赤い糸。

( ・∀・)「どこに導いてくれるのかな」

一人呟きながら、僕は家の鍵を手に取った。


570名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:33:02 ID:rOAjZfD60
外は晴天、地面と人を焼き付くす灼熱の太陽が燦々と輝いていた。


(;・∀・)「あっついなぁ」

ぼやきながら自転車を走らせる。
いつもならアスファルトに焼き疲れて無心でペダルを漕ぐのに、今日は軽快に進むことが出来た。
赤い糸の先に浮かれているからか、それとも夏休みだからか。

( ・∀・)「…………」

「モララーくん!」

後ろに乗せる人がいないから、かもしれない。

( ・∀・)「…………」

十字路を左折する。
川を越えて、自転車を降りた。
この先にある坂は、とてもじゃないけど自転車なんかでは登れないからだ。
そういえば中学のときに、二人乗りしてこの坂を登ろうとしたっけ。
立ち漕ぎして、踏ん張って、あの子からの気遣いをぶっきらぼうにはねのけて。
だけど、疲れてしまって、自転車は全く進まなくなってしまって。

「もう!無理しすぎなんだから」

荷台が急に軽くなった、と同時に後ろから支えられた。
それがなんだか悔しくて、僕は顔を真っ赤にしながら彼女のことを罵った。
なんで降りてしまったんだと、責めてしまった。
君を乗せて坂の上まで登りたかったのに、って。


572名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:34:26 ID:rOAjZfD60
そうしたら、

「隣で歩きながら坂を登るより、へろへろになりながら立ち漕ぎしてるほうがかっこわるいもん」って。

ごもっともだった。
なんで二人乗りで坂を登ることがかっこいいのだと思っていたのだろう。

( ・∀・)「…………」

坂を登りきる。
糸は坂の下へ、それより先にも続いている。
自転車に跨がり、一気に坂を降りた。
心地よい車輪の音、風のおかげで幾分か暑さが和らいだ。
糸が弛むことはなかった。
かといって、車輪に絡み付くこともなかった。
いつでもほどよく長さが調節されているような、不思議な感覚。

( ・∀・)(やっぱり、この糸は普通じゃない)

ガコンという衝撃とともに平地にたどり着く。
少し尻が痛い。
それでも構わずペダルを漕いだ。

住宅街を抜けて国道に出る。
帰省ラッシュで混んでいる道路を見ながら、田舎にいる親戚に顔を出さなきゃなぁ、なんて思った。
だけどあんまり会いたくなかった。
僕くらいの年でも、結婚だのなんだのとうるさいからだ。

( ・∀・)「…………」

横断歩道を渡り、それから五分ほどしてから中学校に着いた。
糸は校舎をぐるりと囲むようにして張られているようだった。


573名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:35:18 ID:rOAjZfD60
校門の周辺は賑やかであったが、裏門のあたりには人も車もいなかったので、僕は少しよそ見をして体育館を見た。
改修工事をしているらしく、工事用の目張りがしてあり、屋根しか見えなかった。

そういえば、三年生になる前のバレンタインで彼女から体育館裏に呼び出された覚えがある。
生チョコをもらった。
義理とも本命とも言われず、ドキドキしながらそれを食べて、あまりの嬉しさに身悶えした覚えがあった。
彼女は、とても綺麗で、僕と違って機転が利く子だったから、憧れていたんだ。

( ・∀・)「…………」

結局そのもらったチョコが、本命だと知ったのは一年後であった。
その時もチョコを、ガトーショコラをもらい、僕はお返しにクッキーをあげた。
すると彼女はボロボロと泣き出して。

「わたしじゃ、だめですか?」

と。

どうして泣くのか聞いたら、クッキーは友達でいようという意味なのだと答えた。
全然そんな気はなかったのに、僕はもうずっとずっと前から、中学の入学式のときから好きだったというのに。
トロ臭くていつも失敗ばかりしていた僕を助けてくれた彼女が、大好きだったというのに。


574名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:36:25 ID:rOAjZfD60
( ・∀・)「…………」

裏門を通りすぎて次の角を曲がったら、反対の車線を跨がって逆方向に糸が延びていた。
左右を確認してから車道を渡り、糸を辿る。

こちらのほうは、また住宅街が多くなるはずだな、と僕は思い出す。
彼女の家はこの近くであった。

( ・∀・)(あれ、)

見覚えのある道ばかりを通る。
よく彼女の家に遊びに行くときと同じ道だった。

( ・∀・)「…………」

案の定、そうだったらしい。
しかし彼女の家はとっくになくなっていた。
彼女がいなくなってから、両親は引っ越してしまったからだ。
土地を売り払い、家を潰し、更地となっていた。

( ・∀・)(今は売りに出されているんだ)

暑い風にはためく、やたらと派手な不動産屋ののぼりを見て僕は理解した。


575名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:37:29 ID:rOAjZfD60
……二階建ての、立派な家だった。
僕の実家は団地で自分の部屋がなかったけど、彼女は自分の部屋を持っていた。
初めて部屋に招かれた時のことを思い出す。
彼女の部屋はこざっぱりとしていて、明るくて、清楚な女の子のにおいがした。

そのにおいも、彼女が成長していくうちに薄れていってどんどん華美なものへと変化していってしまったけど。
それでも僕は、好きだった。
どんなに変わってしまっても彼女は彼女であったから。

( ・∀・)「…………」

自転車を漕ぐ。
住宅街を走り抜け、工場地帯へと入る。
ここらへんは昔は栄えていたけれど、今となっては閉鎖している工場も多くそのまま放置されているものが多い。

( ・∀・)(……近付いてきている)

彼女の死に場所に。
もう少し先を行けば廃工場があって、やたらと高く建てられた事務所のビルがある。

( ・∀・)(やっぱりそうだ)

黄色いテープが張られて出入りを禁じられている門の近くに自転車を止める。
テープを掻い潜り、糸を追う。


576名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:39:05 ID:rOAjZfD60
( ・∀・)(ああ、)

糸は、例の事務所のビルに続いていた。
鍵の壊れた扉を開ける前に、ちらりと横を見る。
雨に流されたチョークの線が、うっすらと残っていた。

扉を開け、物が散乱しているそのなかを転けないよう気を付けて歩く。

( ・∀・)(…………)

「あのね、モララーくん。わたし、先輩に襲われちゃったの」

え?

「お酒飲みすぎちゃって、新歓コンパで……。本当にごめんなさい、ごめんなさい。なんでもするから許して、もうお酒も飲まないから」

……大丈夫だよ、嫌いにならない。
きみは悪くない。

「悪いよ、だってわたし、恋人がいるのに、こんな」

怒ってないから、大丈夫だって。

「……なんで怒ってくれないの?怒ってくれたら、わたし、許されたって……ちがう、勝手すぎる、モララー、ねえ」

落ち着いて、落ち着いてよ。
僕は、本当に怒ってないし、許しているから。

「ごめんなさい、モララー、ごめんなさい」

( ・∀・)「…………」

僕の感覚は、いつでも彼女とずれていた。
彼女が望むものを差し出せたことがあっただろうか?

僕は、彼女のためになにができたんだろうか。

( ・∀・)(屋上に来てしまった)

糸は、まだまだ続いている。
屋上の扉から柵まで一直線に。


577名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:40:08 ID:rOAjZfD60
そして、柵を通り越して垂れ下がっている。

ああ、いる。
この先に、あの娘がいる。

ゆっくりと、歩く。
焦れったい。だけど、こんな自分が、彼女に会っていいものかと思うと、歩みが遅くなる。

(  ∀ )(僕のせいだ)

彼女が死んだのは、僕のせいだ。
ただ優しく接していればいいってものではなかった。
彼女が望むなら、それを責めるべきだったのだ。

僕は、僕は。

(  ∀ )「…………」

すぅ、と息を吸う。
柵に手をかけ、体を乗り上げて、下を覗いた。

















ミセ,"、。)リ

(  ∀ )「あ……」

仰向けの体。
投げ出された四肢の、左手に、赤い糸。
潰れた顔が、片目が、僕の両の目とかち合う。


579名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:41:48 ID:rOAjZfD60
(; ∀ )「ミセリ、」

僕の、大好きな女の子。
たくさん傷つけてしまった恋人。

あんなに綺麗だったのに、こんなに顔を歪ませて。

ごめん。ごめんなさい。
殺してごめんなさい。
きみのしたことは、他人からしたら顔をしかめられるようなことかもしれないけど、でも僕にとってはそれより、きみが素直に謝ってくれたことが嬉しくて。
裏切らずに僕のもとに帰ってきたことが嬉しくて、それだけで許してしまえたから。

(  ∀ )「ミセリ、」

きみを責めたくなかった。責めるくらいならそんな事実を忘れるくらい幸せに、満ち足りた幸せを共有できたら、って。
だけど、それできみがいなくなったら、意味がないじゃないか。

(  ∀ )「ミセリ、」

大好きだ。
今でもずっときみを好いていた。
会いたいと願っていた。
君は不本意かもしれないけど、でも。
君に会えて嬉しい。
ああ、ミセリ。


580名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:43:45 ID:rOAjZfD60
(  ∀ )「愛してるんだ」

糸が、揺れる。
どうして、なんて考えない。
僕はミセリに会えたことが嬉しかったから、この目にすべてを焼き付けようとしていた。

(  ∀ )「ミセリ」

呼んだ刹那。




ミセ,"、。)リ「    」




ミセ,"ー。)リ「 」




ミセ,"о。)リ「 」

微かに、しかしはっきりと聞こえた。


( ・∀・)「ミセリ……!」

次の瞬間、僕の体は宙に投げ出されていた。
いつ柵を越えたのか、そんなのはどうでもいいや。

ミセリ、ミセリ。
ずっとそばにいよう。
ずっと、ずっと、…………。


581名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:44:51 ID:rOAjZfD60
ミセ*゚ー゚)リ「ねえねえ、モララーくん」

( ・∀・)「うん?」

ミセ*゚ー゚)リ「昔はね、心臓と左の薬指は太い血管があると思われてたんだって」

( ・∀・)「へえー?」

ミセ*゚ー゚)リ「それで愛は心臓に宿るから、その愛を指輪で繋ぎ止めようって意味なんだってさ」

( ・∀・)「じゃあ、糸だと絡めとられちゃいそうだね」

ミセ*゚ー゚)リ「ねー」






























          ぐしゃり


582名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:45:51 ID:rOAjZfD60
ファム・ファタールのようです






 
  (
   )
  i  フッ
  |_|
 


('A`)百物語のようです2013( )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666266/

[ 2013/08/20 21:16 ] 百物語のようです2013 | CM(0)
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