まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ( ´_ゝ`)赤珊瑚、呪術、忘れた言葉のようです


262名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:35:02 ID:LVKCabws0

  .,、
 (i,)
  |_|




263名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:36:42 ID:LVKCabws0

(; ´_ゝ`)「はぁ、はぁ……」

急いで帰宅した。
けれどもう手遅れなのかもしれない。

ドアの鍵も掛けずに玄関で乱暴に靴を脱ぎ、照明のスイッチを押す。
が、何度押しても電気はつかず、部屋は暗いままだ。

室内はかなり蒸し暑く、どこか異様な雰囲気が辺りを覆っていた。
シャツの下のネックレスは汗で皮膚に張りついている。

俺はすぐさま居間のクローゼットへと向かう。
虫がそこらに散らばっているのか、歩くたびに何かがプチプチと潰れてゆく。

まるで熟れた果実を踏んでいるような感触だ。
潰れた物体の体液が靴下に染み込み、気色が悪い。

( ´_ゝ`)(虫嫌いの弟なら、きっと失神してたな)

( ´_ゝ`)(……ははっ)

マンションまで無事に戻れて、少しは余裕が出来たのだろう。
弟にまで被害が及ばなければいいが、と俺は心配になった。


264名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:38:11 ID:LVKCabws0

何故か濡れているクローゼットの戸を開き、俺は手探りで明かりとなるものを探す。
伸ばした俺の腕を、誰かの冷たいざらっとした手が闇の奥で撫でる。

必死でライトを求める俺の指先が、人の肌に触れた。
誰かの顔のすぐ隣に脚がある。どうやら何人かいるようだ。

( ´_ゝ`)「お前らは何だ、おでんの具みたいに集まりやがって……」

( ´_ゝ`)「……いや、いまのたとえは無しだ」

撫でていた冷たい手が、急に俺の腕を強く掴んだ。
腕に痛みが走り、同時に体ごとクローゼットの中へと持っていかれそうになる。

その時俺は、人の隙間から円筒の金属質の物に触れた。おそらく懐中電灯だ。
すかさずスイッチを入れると、クローゼットの中が鮮明に浮かび上がった。

( <●><●>)

从'ー'从

( ゚∋゚)

(; ´_ゝ`)「うっ」

( ´_ゝ`)「……」


265名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:39:28 ID:LVKCabws0

裸体の男女が三人、不自然に関節を曲げて佇んでいる。
しかし顔だけはこちらを向いており、無表情のまま俺を見つめていた。

俺の腕を握っていたのは、一番手前にいる男だった。
ライトを男の顔に向けるが、彼は眼を見開いたまま俺を力強く引っ張る。

( ´_ゝ`)「……中年のむさい男なんか過去に引っ張っても」

(# ´_ゝ`)「何の得もしねえぞ!」

俺は反対の腕で、胸ポケットに入れていた珊瑚の粉末を彼めがけてぶちまけた。
男は憤怒したかのように顔を歪ませ、やっと俺の腕を離した。

考えていたよりも状況は悪いらしい。
周囲を照らしてみると、部屋中に泥と黒い血が滴り、床は虫の死骸で覆われていた。

俺は珊瑚の残りをフローリングに円形に撒き、その中心に座る。
ひとまずはこれで大丈夫だろう。

( ´_ゝ`)「……」

(; ´_ゝ`)「よし、落ち着け俺よ、俺なら出来る、大丈夫だ」

この事態を招いたのは俺自身だったが、何の後悔もしていない。
思えば、ハローさんからある話を聞いたのが始まりだった。


266名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:40:51 ID:LVKCabws0

経費が余ったとか何とかで日本に遊びに来た彼女と会ったのは、数時間前のことだった。
英国にもあるチェーンの喫茶店で、やがて話題は南米での彼女の仕事に移った。

ハハ ロ -ロ)ハ「……英語を読めるはずはないのですガ」

ハハ ロ -ロ)ハ「彼らは私の書いたメモを見て、頷いたりしていました」

( ´_ゝ`)「ふーん」

ハハ ロ -ロ)ハ「文字が、まるで別の意味を持ったような気分でしたネ」

( ´_ゝ`)「そういや、『悲しき熱帯』でも似た話しがあったな」

ハハ ロ -ロ)ハ「オー、読みましたか」

ハローさんは俺が子どもの頃にホームステイした先の娘で、それ以来親交が続いている。
今ではすっかり淑女となった彼女は、アマゾン熱帯雨林に住む部族について研究していた。

( ´_ゝ`)「ああ、アンドレ・ブルトンの船でのエピソードには、思わず笑ったよ」

( ´_ゝ`)「どうにも居場所がないのか、デッキの上をずっと歩いていたって話し」

ハハ ロ -ロ)ハ「感心するべきポイントが違いますヨー」

ハローさんは首をかしげて笑い、それから僅かに残っていたコーヒーに口をつける。
彼女の天然ウェーブの金髪が夕日に映えて眩しい。俺も手元のコーヒーに顔を落とす。

そろそろ帰ろうかという時に彼女がバックから取り出したのは、古びたネックレスだった。


267名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:42:03 ID:LVKCabws0

ハハ ロ -ロ)ハ「そうそう、その村で私はあるネックレスを頂きました」

( ´_ゝ`)「ネックレス?」

ハハ ロ -ロ)ハ「何でも村一番の呪術士が作ったもので」

ハハ ロ -ロ)ハ「着けると、過去の全てを再び手に入れられるらしいのデス」

( ´_ゝ`)「……」

彼女から手渡された、年季の入った首飾りを興味深く眺める。
何かの骨や記号が刻まれた石、見慣れない木の実が連なっていて、いかにも魔術的だ。

ハハ ロ -ロ)ハ「ですが、ネックレスに込められた呪いガ」

ハハ ロ -ロ)ハ「過去を覗こうとするものを、過去へと引きずりこむというのです」

ハハ ロ -ロ)ハ「……そんなもの着けられないネー」

( ´_ゝ`)「過去、か」

ハローさんと再会し、この話しを聞いたことが偶然とは思えない。
俺には思い出さなくてはならない過去があった。


268名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:43:21 ID:LVKCabws0

この歳になると、年々知人の葬式に出向く機会がポツポツと現れる。
大学以来の友人であったドクオが死んだのも、先月のことだった。

通夜で会った彼の奥さんであるクーさんは、明らかに疲弊し困惑していた。

それもそのはずだ。
いくら不慮の事故死とは言え、30歳での死は誰にとっても早すぎる。

祭壇に飾られたドクオの遺影はいかにも不健康そうで、そして変わらなかった。
懐かしい顔を眺めていたそんなとき、俺はあることをふっと思い出した。

それは確か学生時代、飲み会の帰りのことだった。

俺とドクオは終電までの時間を潰そうと、暗闇の街をあてもなく歩いた。
やがて疲れた俺達は、知らないマンションの敷地で勝手に座り込んでいた。

('A`)「……馬鹿みたいに暑いな」

( ´_ゝ`)「ああ。飲みすぎたんだ、俺達は」

('A`)「……」

( ´_ゝ`)「……」


269名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:44:43 ID:LVKCabws0

('A`)「……なあ、兄者」

( ´_ゝ`)「ん、どうしたよ」

('A`)「絶対に忘れるなよ、俺は……」

('A`)「――」

( ´_ゝ`)「……」

あの晩ドクオは絶対に忘れるな、と確かに俺に何か言った。

彼の葬式でそんなことを思い出したのだ、きっと何か大切なことに違いない。
けれど俺はいくら考えても、肝心のその内容を思い出すことが出来ないでいた。

( ´_ゝ`)「……なあ、ハローさん」

( ´_ゝ`)「「帰国するのは二日後だよな」

ハハ*ロ -ロ)ハ「イエス! 明日は、浅草の雷門を観光しますヨー」

( ´_ゝ`)「このネックレス貸してくれ」

ハハ;ロ -ロ)ハ「ノー! 私の話しを聞いていましたか!」

( ´_ゝ`)「ああ、実験台が要るってことだよな」

ハハ;ロ -ロ)ハ「誰もそんなことは……」


270名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:46:12 ID:LVKCabws0

その後、彼女が引き止めるのを無理やり押し切って、俺はネックレスを借りた。
家に帰る途中でネックレスを着けたところから、俺の周囲は歪み始めた。

呪いか何なのか知らないが、俺はまだ過去になどなりたくはない。
ドクオが何を言ったのか、ただ思い出したいだけだった。

( ´_ゝ`)「……」

( ´_ゝ`)「この円の内側には、呪いとやらも近づけないらしいな」

部屋の中は、相変わらず異様な状態だ。
ジャングルに位置しているかのごとく湿度は高く、様々な気配がする。

別れ際にハローさんから渡された、赤珊瑚の粉だけが頼りだった。
無事に終わったら、彼女には後日お礼をしなくてはならない。

気付くと、金属を打ち鳴らす音がフローリングの下から聞こえる。
床の下など見えるはずはないのだが何気なく床を照らし、あることに気付いた。

(; ´_ゝ`)「まずいぞ、これは……」

砂だ。

どこからか溢れ出している砂が、部屋を埋めようとしている。
赤珊瑚の粉で描いた円の外側では、砂が掴めるぐらいまで堆積していた。

(; ´_ゝ`)「さっさと始めよう」

( ´_ゝ`)「彼女に言われた通りに……」


271名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:47:49 ID:LVKCabws0

俺は眼を閉じ、俺の求める過去に意識を集中する。
金属音と砂のこぼれる音が絶えず流れている。音楽が聞こえる。

瞼の裏にサイケデリックな幾何学模様が広がる。
やがてそれは脈絡のない映像となり、しだいに知覚を取り込んでゆく。

可逆、時差、知識的身体
硬膜円盤、正当なる指先、果敢に損傷した歯茎

葉酸、赤土、晴天の結露
崇高な魚、山積みの火炎、公表されない工場廃液

意識がだんだんと揺らいでいくのを感じる。
知覚から受ける全てが俺の一部となり、また俺はあらゆる事物そのものだった。

愚直、生卵、深海、土石流、革鞄の染み、お腹の中に誰かいる
壮麗、消毒、心臓、埃氷河、乾いた雑草、俺の意識はいま

馬車、銅鍋、樹皮、外来種、飛躍する灰、紫の昆虫食、擦過傷による盲乱
日光、蜂蜜、崩壊、唸り声、木製の時間、反復した繁栄、最上階の窒素

暗闇、街灯、舗装道、自動販売機、火照る全身
裏道、信号、賃貸住宅、家へと向かう通行人、……誰かが何か呼びかけている。

「……」

「……なあ」

ああ、ずいぶんと懐かしい声だ。


272名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:49:25 ID:LVKCabws0

('A`)「おい、聞いてんのか」

( ´_ゝ`)「……あ、ああ。すまん」

('A`)「さっきは悪かったよ」

( ´_ゝ`)「いや、俺のほうこそ……」

痩せぎすで猫背でいつもどこか不満気な顔をして、……ひげはまだ薄い。
まだ若さの残るドクオが、死んだはずの男が、俺の横に座っていた。

これは本当に単なる過去の記憶なのだろうか。
夏の街が放つ匂いや物音、薄暗いなか佇む彼の姿をも、俺は今完全に体験している。

まるで、夢だと気付けない夢のようだった。

('A`)「最後にウィスキーなんて頼むんじゃなかったわ……」

( ´_ゝ`)「俺はこれから永遠に酒は飲まん」

('A`)「そうか」

( ´_ゝ`)「……おう」

そうだった。
俺とドクオは飲みすぎて、些細なことで喧嘩をした。


273名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:50:39 ID:LVKCabws0

居心地は悪かったが帰るに帰れず、ドクオの方から謝ってきたのだった。
もう生きているドクオに会えないことを思い出し、俺は少し泣きたくなる。

このあとに彼は言うはずだ、俺に忘れるなと言った何かを。

('A`)「……馬鹿みたいに暑いな」

( ´_ゝ`)「ああ。飲みすぎたんだ、俺達は」

('A`)「……」

( ´_ゝ`)「……」

('A`)「……なあ、兄者」

( ´_ゝ`)「ん、どうしたよ」

('A`)「絶対に忘れるなよ、俺は……」

('∀`)「俺は、必ずクーさんと結婚するからな!」

言葉が出ない。
なんて馬鹿らしいことを、ドクオは覚えておけと言ったのだろう。

あいつはこの数ヶ月後、あっさりクーさんと婚約した。
それから会うたびにノロケ話しを披露するくらい、彼は結婚生活を謳歌していた。

結婚するかどうかの決意なんて、いまさら俺が覚えているはずがなかった。


274名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:53:35 ID:LVKCabws0

ドクオはマンションの石垣から立ち上がり、照れくさそうに俺を見る。
どこか感傷に浸っていた気持ちは消え、それでも何故だか、俺は涙がこぼれそうだった。

( ´_ゝ`)「……」

(;'A`)「おい、なんか言えよ……」

( ;_ゝ ;)「……ああ、楽しみにしてるわ」

('A`)「今そんな話しはしてないだろ?」

噛み合わない応えが返ってきた。
今現在の俺の言葉は、彼には通じていない。

やはりこれは、過去の出来事を追体験しているだけに過ぎないのだろう。
いくらか寂しさと孤独感が募り、俺はそろそろ現実に戻るべきだと感じた。

最後に俺は、何か伝えようと石垣から立ち上がった。
たとえ記憶のなかのドクオだとしても、目の前にいるのは確かにドクオだ。

( ´_ゝ`)「なあ、ドクオ……」

ドクオに近づこうと足を運んだその瞬間、急に視界が白い波で覆われた。
俺の鼻や口に大量の水が押し寄せ、息が出来ない。

水の中だ。
まるで荒れた深い海に、船の上から投げ出されたようだ。


275名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:54:41 ID:LVKCabws0

足が底につかない、火照っていた体が急激に冷たくなる。
水面に顔を出そうと必死にもがくも、どこが水面なのかすら分からない。

(; ´_ゝ`)(違う! これは現実じゃない!)

( ´_ゝ`)(俺のトラウマの記憶だ……)

子どもの頃、プールで溺れそうになりパニックになったことがある。
俺は今、その過去にいるらしい。

(; ´_ゝ`)「……ゴホッ! ゲフッ、ガッ……」

(; ´_ゝ`)(冷静になれ、ガキの俺よ……)

さっきまでとは違い、水の中でもがく自分を俺はどうすることもできなかった。
もがけばもがくほど息が苦しくなり、脳が締めつけられる感覚に陥る。

こうなった元凶のあの首飾りを外せば、全てが終わると俺は思っていた。
だが過去の中の俺は、そんなものなど着けていなかった。

( ´_ゝ`)(……)

( ´_ゝ`)(……)

だんだん意識が朦朧とし始める。
俺をどこかに誘う甘い幻聴が聞こえる。

こっちですよ、と誰かが呼びかけている。
薄まる意識のなかで、眩しい光りが満ち溢れた。


276名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:55:47 ID:LVKCabws0

(; ´_ゝ`)「……うっ、ああっ!」

(; ´_ゝ`)「はぁ、はぁ……」

空のペットボトル、いつもの鞄、テレビのリモコンがすぐ先に見える。
顔を上げると見慣れたテーブルがあり、その向こうには本棚が並んでいた。

どうやら俺は、床に横たわっているらしい。
辺りから異様な気配はなくなり、部屋の電気もついていた。

ハハ ロ -ロ)ハ「日本は住所の書き方がおかしいですネ」

( ´_ゝ`)「は、ハローさん……」

ハハ ロ -ロ)ハ「おかげで遅くなりましたが、間に合ったみたいデス」

そう言うとハローさんは、南米にいた彼女に宛てて俺が送った手紙を見せた。
彼女はそれを頼りに、俺の部屋まで来てくれたらしい。


277名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:57:54 ID:LVKCabws0

ハハ#ロ -ロ)ハ「なぜですか!」

( ´_ゝ`)「えっ?」

ハハ#ロ -ロ)ハ「赤珊瑚で描いた円から出てはいけないと、私は言いマシタ!」

床を見ると、俺の体は円の外から相当はみ出ていた。
何かに引きずられたかのように、右足がクローゼットのそばまで移動している。

思い当たることがあった。
過去のドクオに近づいたときに、珊瑚の線から踏み出てしまったのだろう。

( ´_ゝ`)「……ああ、すまん」

ハハ ロ -ロ)ハ「信じられません」

( ´_ゝ`)「よく言われるよ……」

ハハ;ロ -ロ)ハ「……」

( ´_ゝ`)「……」

ハハ ロ -ロ)ハ「……このネックレス、どうも本物らしいですネ」


278名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:58:53 ID:LVKCabws0

( ´_ゝ`)「そうか、ハローさんが外してくれたのか」

ハハ ロ -ロ)ハ「落ち着いたら、何があったのか詳しく話してください」

( ´_ゝ`)「ああ……」

何事もなかったかのように、俺の部屋はいつもと変わらない。

過去の出来事は、全てどこかに消えてしまった。
けれどそれは見えないだけで、きっとそばにあるのだろう。

思い出せたドクオとの馬鹿話しを、いずれ彼の奥さんに話そうと俺は思った。


終わり


279名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:59:37 ID:LVKCabws0

 (
   )
  i  フッ
  |_|



('A`)百物語のようです2013( )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666266/

[ 2013/08/18 19:51 ] 百物語のようです2013 | CM(0)
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