まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 (´・ω・`)滴るようです


543名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:25:24 ID:qi5H0aiEO

  .,、
 (i,)
  |_|



544名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:26:57 ID:qi5H0aiEO


 ヴィップ川には子供の幽霊がいるんだよ──

 ショボンの通う小学校で、そんな噂が流行った。


(´・ω・`)「幽霊?」

( ・∀・)「おう。20年……30年だったっけ?
      そんぐらい昔に、あの川で死んじゃった子がいるんだって」

(´・ω・`)「溺れたの」

( ・∀・)「そうだろうね。それ以来、その子の霊がヴィップ川に出るとか何とか」

 昼休み。5年生の教室。
 ショボンは友人から、件の噂話を聞かされた。

 5時間目の算数の宿題をすっかり忘れてきてしまったショボンとしては、
 休み時間の内に宿題をでかしてしまいたい。
 だから本当は、友人の話を聞いている暇もないのだけれど。

 身を乗り出させ、友人はにんまり笑った。
 面白いのはここからだ、と言わんばかりに。


545名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:27:54 ID:qi5H0aiEO

( ・∀・)「でさ、でさ、その幽霊な、たまに『ついてくる』んだって」

(´・ω・`)「?」

 ショボンは、鉛筆を走らせる手を止めた。
 嫌いな算数のプリントよりは、やはり、怖い話の方が気になる。

( ・∀・)「えっとな、ほら、ヴィップ川ってすぐそこじゃん。
      だから登下校で川の前を通るやつ多いだろ?」

(´・ω・`)「うん」

( ・∀・)「夕方、1人で下校してる奴の後をな、幽霊がついてくるんだってさ」

(´・ω・`)「……うん?」

( ・∀・)「このとき、振り返っちゃいけないらしい」

(´・ω・`)「なんで?」

( ・∀・)「振り返らずに歩いてれば、家に着くまでの間に幽霊はいなくなる。
      でも途中で振り返れば──」


546名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:28:33 ID:qi5H0aiEO

( ・∀・)「……わーっ!!」

(;´・ω・`)「わあっ!!」

 突然大声で掴みかかられ、ショボンは後ろへ倒れそうになってしまった。
 友人がげらげら笑う。
 睨むショボンに、友人は笑いながら謝った。

 と、そのとき。

( ・∀・)「あ」

(´・ω・`)「あ……」

 予鈴が鳴り響き、午後の授業開始の5分前を告げた。



*****


547名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:29:56 ID:qi5H0aiEO

 5分で宿題は完成させられず。
 しかも他の授業で提出しなければならなかった漢字ドリルも忘れていたため、
 罰として、居残りでプリントをやる羽目になってしまった。

(;´・ω・`)(うう……モララーのせい……じゃないか……。自分が悪い……)

 ショボンはあまり頭が良くない。
 プリント3枚を解くのにもだいぶ時間が掛かってしまい、
 ようやく帰れるようになったのは、生徒のほとんどが下校した後であった。



 夕日が照らす通学路。
 ショボンは1人、とぼとぼと歩いた。

 たまに自転車に乗った大人などとはすれ違うが、
 ショボン以外の子供は見当たらない。

(´・ω・`)(……川)

 ヴィップ川の前に差し掛かる。
 昼休みに聞いた話を思い出し、自然と足が速まった。

 ──噂は噂。信じる必要はない。
 そう自分に言い聞かせても、怖いものは怖い。
 背中のランドセルがずっしり重くなったような心持ちに、溜め息が漏れる。

 早く帰ろう。
 俯きながら歩く。


548名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:31:13 ID:qi5H0aiEO

 さらさら。川の流れる音。
 かたかた。ランドセルが揺れる音。
 ごとごと。線路を踏みつける電車の音。

 ──ひたり。

 水が地面を叩くような音が混じった。
 ショボンの足が止まる。

 ひた、ひた。

 背後から聞こえる。
 ショボンの脳裏に過ぎるのは、やはり怪談。


   ( ・∀・)『夕方、1人で下校してる奴の後をな、幽霊がついてくるんだってさ』


 ショボンはそろそろと歩いてみた。
 それに合わせて背後の音も近付く。

 鼓動が激しくなり、勝手に呼吸が乱れた。
 顔を後ろに傾けかけて、何とか思い留まる。


549名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:32:38 ID:qi5H0aiEO

   ( ・∀・)『振り返らずに歩いてれば、家に着くまでの間に幽霊はいなくなる。
         でも途中で振り返れば──』


 振り返ってはならない。

 ランドセルの肩ベルトを握りしめ、ショボンは歩き続けた。
 音はついてくる。
 徐々に、徐々にではあるが、近付いてきているようにも思えた。

 ひたひた。
 ぺた。ぺた。

 まだ消えない。

 どこまでだ。
 どこまで歩けば消える?

 そろそろ家が近い。
 このまま家に着いたらどうなる?


550名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:34:40 ID:qi5H0aiEO

(;´・ω・`)(──本当に……)

 本当に、いずれ消えるのだろうか。
 放っておいて、いいのだろうか。

 ひたり。
 ぴちゃん。

 ああ、また近付いた。
 もし、家に到着するまでに、すぐ後ろにまで迫ってきたら。

 呼吸が一層荒くなる。苦しい。
 怖い。
 怖い。

 そうだ。
 勘違いかもしれない。
 幽霊ではないのかもしれない。
 幽霊かもしれない。

 見れば分かる。
 見てはいけない。見なければいけない。
 怖い。どうしよう。振り返ろうか。駄目だ。けれども。

 足を止める。
 一呼吸。

 ショボンは、体ごと後ろを向いた。


551名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:35:42 ID:qi5H0aiEO


 子供が立っている。
 夕日を背にしているため、シルエットしか分からない。ショボンよりは背が低い。
 そのシルエットから、ぽたぽたと水が滴り落ちていく。


〈……おにいちゃん……〉


 声。
 ごぽり、あぶくが立つような音と共に、小さな子供の声がした。
 その瞬間だけ、滴る水の量が増えた。

 すぐさまショボンは駆け出した。
 必死に走っていたため、例の音が後をついてきていたかどうかは覚えていない。
 丁度帰宅したところだった父と玄関先で顔を合わせたとき、安堵で少し涙が出た。



*****


552名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:36:40 ID:qi5H0aiEO

 夜になり、日付が変わってもショボンは眠れなかった。
 夕方に見たものの正体を考えては、全身が恐怖に包まれ、足元と背中が冷える。

(;´・ω・`)(振り返ったら……どうなるんだろう……)

 振り返ってしまった。
 何が起きるのだろう。

 しかし、もしかしたら、逃げたおかげで助かったかもしれない。
 そう。きっと自分は逃げられたのだ。
 大丈夫。怖くない。大丈夫。大丈夫。

 布団の中で丸まり、自身に言い聞かせる。
 それでも胸はどきどきするし、眠気も来ない。

 しばらくして、尿意を覚えた。
 迷う。そうこうする内に我慢出来なくなり、ショボンはベッドから下りた。

 部屋を出て、廊下や階段の明かりを全て灯しながら1階のトイレへ向かう。
 両親は既に眠っているようだった。


553名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:37:46 ID:qi5H0aiEO

(;´・ω・`)(早く戻ろう)

 さっと用を済ませたショボンは、手を軽く洗い、水気を拭いもせずに廊下へ出た。
 1階の廊下の電気を消す。

 階段を上ろうとしたとき、ひたり、音がした。

 体が固まる。
 それは背後──玄関から聞こえた。


〈……おにいちゃん……おうち入れて……〉


 ドアを挟んだ向こうから、か細い声。

 ショボンは階段を駆け上り、明かりを消さないまま部屋に飛び込んだ。
 布団に包まり、がたがた震える体を抱き締める。


〈おにいちゃん、おにいちゃん……〉


 部屋の窓の外から声がしても、窓を叩く音がしても、ショボンは動かなかった。
 窓の外に、人が立てるような足場など無いと分かっていた。



*****


554名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:39:39 ID:qi5H0aiEO

 朝、母が起こしに来るまでショボンは眠らなかった。

 急かされるまま服を着替え、ランドセルに教科書を詰め、1階のリビングで朝食をとった。
 昨夜のことを母に話すかどうか悩み、諦めた。
 夢だと一蹴されて終わるだろう。

 トーストを齧りながら、ショボンは何気なく庭へ続く掃き出し窓を見た。
 口からトーストが落ちる。

 庭の片隅に少年がいた。
 全身ずぶ濡れで、水気をたっぷり含んだ青白い体は一部が崩れている。
 膨れた瞼で半分隠れた目が、ショボンを見つめていた。

 悲鳴をあげ、ショボンは台所の母のもとへ駆け寄った。

('、`*川「どうしたの」

 問い掛ける母に答える余裕もない。
 窓の方を指差しても、母は「外に何かあった?」と訊ねるだけ。
 恐る恐るショボンも見てみたが、あの少年はいなくなっていた。


 ごみを出しに行くという母と共に家を出て、ごみ捨て場で母と別れたショボンは
 近所に住むクラスメートと登校した。
 びくびくしながら何度も振り返ったが、少年はついてきていなかった。


555名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:40:55 ID:qi5H0aiEO


(´・ω・`)「──モララー」

( ・∀・)「おはようショボン。どうした?」

 学校に着き、ショボンはいの一番に友人へ声をかけた。
 逡巡し、自分の身に起きたことは隠して「噂」の話題を振る。

(´・ω・`)「昨日の……ヴィップ川の幽霊の話。
      あれって、振り返っちゃったらどうなるの?」

( ・∀・)「あれか? ううん……ごめん、分かんない。
      俺は、振り返っちゃいけないとしか聞いてないや。──貞子!」

 友人が、少し離れた席に座る女子生徒の名を呼んだ。
 女子生徒は立ち上がり、ショボン達の方へやって来る。

川д川「なあに?」

( ・∀・)「おまえ怖い話好きだろ?
      あのヴィップ川のやつってさあ、何で振り返っちゃ駄目なの?」

 顎に手をやり、女子生徒が唸る。
 「たしか」、と前置きをして、口を開いた。

川д川「振り向けば、家にまでついてきちゃうんだったかな……」

( ・∀・)「そんだけ?」


556名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:42:41 ID:qi5H0aiEO

川д川「幽霊を連れ帰っちゃった子は、自分で家の窓や玄関を開けちゃいけないんだって。
    幽霊を招き入れちゃうから。
    家族が開けてくれるなら大丈夫らしいよ」

( ・∀・)「幽霊が家に入ったらどうなるんだ? そのあと殺されちゃったり?」

川д川「さあ。でも良くないことは起きるんじゃない?」

 はっきりしねえなあ。友人が口を尖らせる。
 女子生徒は僅かに楽しそうな顔をして、「そもそも」と話を続けた。

川д川「昔ね、この学校に通う兄弟が
    大雨の日、下校のときに喧嘩しちゃったんだって」

川д川「それでお兄さんが弟を河川敷に置いて『絶対ついてくるな』って言って、
    お兄さんだけ1人で帰ろうとしたんだけど……」

川д川「何度も弟がついてくるから、その度にお兄さんが弟を河原に戻して、
    またついてきたら怒って河原に戻すっていうのを繰り返して──」

川д川「ついにお兄さんが弟を川に突き飛ばして、走って家に帰っちゃったの」

( ・∀・)「ひでえなあ。俺は弟にそこまで出来ないや」


557名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:44:13 ID:qi5H0aiEO

川д川「それから夜になっても弟が帰ってこなくて……
    結局、川をずっと下ったところで弟の死体が見付かったんだって」

川д川「大雨だったから、川の水が増えて流れも速くなってたみたい」

( ・∀・)「それから幽霊が出るようになったのか?」

川д川「って聞いた。
    だから幽霊は、お兄さんを追ってるつもりでついてくるんじゃないかなあ」

( ・∀・)「ふうん……。でも何で振り返ったときだけ、家までついてくるんだろ」

川д川「私はお姉ちゃんからこの話を聞いたんだけど、お姉ちゃんが言うには──
    弟がついてくる度にお兄さんは怒って河原に戻してたってことだから、
    『ついていく→振り返る』っていうのが、幽霊にとっては『お兄さん』の行動にあたるんじゃないかって」

( ・∀・)「あ、じゃあ、振り返らずに無視し続けてりゃ、幽霊は
      これは兄ちゃんじゃないなって思って諦めるわけだ! なるほどな」


558名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:44:45 ID:qi5H0aiEO

川д川「本当だか分かんないけどね……。
    ……ショボン君、顔色悪いよ? 具合悪い?」

(;´・ω・`)「え……。……う、ううん、何でもない……」

 始業のベルが鳴り、各自が席に着く。
 ショボンは机の上を見つめたまま、ぐちゃぐちゃに絡まる思考を整理した。
 整っていく度に、背筋が凍る。

 少年は「おにいちゃん」と言った。
 「おうちに入れて」と言った。

 昨日は父、今朝は母がたまたま玄関のドアを開けてくれたが、
 もしもショボンが開けていたら──



*****


559名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:46:26 ID:qi5H0aiEO


 その日帰宅したショボンは、玄関のチャイムを鳴らして母にドアを開けてもらった。
 家に入る間際、庭の隅で何かが動いたのが見えた。



 そうして、夜。
 部屋の電気をつけたままベッドに入ったショボンは、
 ぎゅっと目を閉じ眠りにつくのを待った。

 昨夜寝られなかった分、眠気は充分にあった。
 それでも、どうしても意識が深いところまで落ちていかない。

 やがて、また水音が聞こえ始めた。

 ひた。
 ひたひた。ぴち。ぴちゃ。
 ぽたり。

 滴る音は家の周りを回っている。
 布団を頭まで被っても、しっかり聞こえてくる。

〈おにいちゃん〉

 ああ。声が。

 布団の端を握り締めるショボンの手に、いっそう力が篭る。
 指先が痛むほどだった。


560名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:47:49 ID:qi5H0aiEO

〈おにいちゃん……おうち入れて……〉

 枕カバーを噛み、耐える。
 あちこちで聞く怖い話だと、みんな、気絶して朝を迎える。
 なのにどうして自分は気絶出来ないのだろう。こんなに怖いのに。ずるい。酷い。


〈……おにいちゃん……〉


(´;ω;`)「──あっち行け!!」


 布団の中から、ショボンは叫んだ。

 窓の外の声が止む。

(´;ω;`)「か、か、川に戻れよお!! ついてくるな! 家に入るな!
      お前なんかずっと川にいろ!!」

 それが精一杯だった。
 もう威勢のいい言葉が出てこなくて、声を殺して泣いた。

 外からは、声も音もしない。


 そうして──いつの間にか眠っていたショボンは、母によって目を覚ました。


561名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:48:52 ID:qi5H0aiEO



 以来、少年を見たり、音を聞いたりすることはなかった。
 本当に川へ戻ったのかもしれない。

 それでもショボンは用心して、自分でドアや窓を開けないようにした。
 帰宅が遅れたときにはヴィップ川の傍を通らないようにも心掛ける。


 そうして1ヶ月ほども経てば、恐怖心は薄らいでいった。


562名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:51:13 ID:qi5H0aiEO



 ある休日。
 1人で留守番をしていたショボンに、母から電話があった。


『雨が降ってきたから、庭の洗濯物、取り込んでおいてくれる?』

(´・ω・`)「はーい」

 掃き出し窓から庭に出て、物干し竿から衣類を外して籠に入れる。
 全て取り終えたショボンは、ふと、怪談を思い出した。

 窓を開けてしまった。
 慌てて辺りを見渡す。誰も、何もいない。

 ほっとしながらリビングに上がった。
 窓を閉めると同時に、雨の勢いが増した。

 ざあざあと激しく降る雨。
 庇から滴る水が、ぽたぽた落ちて弾けていく。



 ひたり。

 背後から、雨とは違う音がした。


563名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:52:19 ID:qi5H0aiEO















               〈オニイチャン〉





565名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:53:37 ID:qi5H0aiEO

  (
   )
  i  フッ
  |_|




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( ^ω^)百物語のようです2013( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1372396645/

[ 2013/08/13 00:52 ] 百物語のようです2013 | CM(0)
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