まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ξ゚⊿゚)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )


 ※ 閲覧注意
286名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 20:58:41 ID:Zfm9nmZ2O

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  |_|




287名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:00:16 ID:Zfm9nmZ2O


――北の山には絶対に行ってはいけないよ。

どうして?

――鬼がいるからさ。

鬼? 鬼って、お伽噺に出てくる?

――そうさ。お前はまだ子供だからね。鬼に会ったら最後、ぺろりと食べられてしまうよ。

ふーん。

――信じていないだろう。

うん。

――ばあちゃんもな、昔、怖い思いをしたからきつく言ってるんだよ。

…………。

――さあ、もうそろそろ友達の来る頃だろう。


( ゚д゚ )「遊びに行っておいで、ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「うん!」

私はお婆ちゃんに手を振って部屋を飛び出した。




ξ゚⊿゚)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )




288名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:02:34 ID:Zfm9nmZ2O


庭に面した長い廊下を走る。
今日は雨だから湿っぽい。
でも今年は雨が少ないみたいだから、これで米が育つとお父さんたちは喜んでいた。

(;'A`)「ちょっとツンさま、廊下は走らないでくださいって言ってるじゃないですかー!」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、あんたも来る? 今からクーと遊ぶんだけど」

私を止めたドクオは箒を持っている。
ここに来た頃は貧相すぎる体付きにちゃんと働けるのか心配だったけれど、それは心配しすぎだったらしい。
奉公人のドクオは、今では立派な働き手で私の友達だ。

だから誘ったんだけど、私は箒を見落としていた。
うちはあまり使用人に厳しくないが、遊び惚けるのはドクオの立場を悪くする、らしい。
ドクオには悪いことをしてしまった。

('A`)「ありがとうございます。もうすぐ終わりますのでお供します」

ξ゚⊿゚)ξ「え……」

('A`)「間抜けな顔してどうしました?」

ξ゚⊿゚)ξ「いや……ドクオがいいならいいんだけど、ね」

そういえば使用人の頭のモナーさんはドクオに優しかった。
都に住んでいる孫に少しだけ似ていると言っていた。


289名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:03:45 ID:Zfm9nmZ2O

('A`)「あまりツンさまの誘いを断ってるとモナーさんに怒られるんです。
    『子供は風の子、もっと外で遊ぶモナー!』って」

ξ*゚⊿゚)ξ「やっぱり、モナーさんのお墨付きなのね。なら遠慮なく遊びにいきましょ!」

私は嬉しかった。
変に真面目なドクオは私の誘いを断ることも多い。
久しぶりに一緒に出かけられる。

三日前には新しい傘を買ってもらったばかりだ。
ドクオとクーにたっぷり自慢しよう。




しとしと、小雨が降っている。
門のすぐ外にはクーがいた。
真っ黒な傘は烏の羽のような色だ。

川 ゚ -゚)「おや、今日はドクオもいるのか。ツンのお守りは大変じゃないか?」

(;'A`)「いや、そんなことは……」

ξ゚⊿゚)ξ「クー、せめて私の前では言わないでよ」

川 ゚ -゚)「冗談だよ、冗談」

クーは手を口元に当てて控え目に笑った。
傘から水滴が落ちる。


290名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:04:55 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「今日の傘はいつもと違うな。新調したか?」

ξ*゚⊿゚)ξ「うん! 蛇の目っていってね、都で流行ってる柄なんだって」

川 ゚ -゚)「きれいだな。ツンによく似合ってる」

ξ*゚⊿゚)ξ「そ、そう? あんまり褒めてもなんも出ないわよ?」

クーは話上手で褒め上手だ。
読書や算術も得意で頭の回転が早いと大人たちによく褒められている。
それに素直に思ったことを口にしてくれるから、一緒にいて気楽だ。

川 ゚ -゚)「それにしても……今日は雨だが、どこに行く?」

ξ゚⊿゚)ξ「北の山の方よ。この前きれいな花が咲いてるのを見つけたの」

川 ゚ -゚)「それは楽しみだ。でも地面がぬかるんでるからゆっくり行こうな」

ξ゚⊿゚)ξ「もちろんよ」

私とクーは並んで歩きだした。
後ろにはドクオ、つかず離れずついてくる。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオも隣歩きなさいよ」

('A`)「この先、道が狭いじゃないですか。三人では並べませんよ」

川 ゚ -゚)「今は広いだろう。君は私たちの友人だろう、そんな遠慮されると気持ち悪い」

そう言って、クーは強引にドクオの手をとった。


292名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:06:19 ID:Zfm9nmZ2O

(;'A`)「うわっ……!」

川 ゚ -゚)「しっかりしろ」

ぬかるんだ地面にふらついたドクオをクーが支える。
クーの方が背も高いし、二人は友達というより姉弟みたいだ。

ξ゚⊿゚)ξ「もう少しよ」

ドクオを真ん中にして三人で並んで歩く。
晴れていたら手を繋ぎたかった。
きっともっと互いを近くに感じられて楽しい気分になれたのに。

道が狭くなる頃には縦一列で歩いていた。
花の場所を知る私が先頭だ。
真ん中を歩くクーが私やドクオの知らない面白い話をたくさんしてくれた。

('A`)「ツンさま、どこまで行くんです?」

一番後ろのドクオが言った。
雨にかき消されないように大きな声だ。

ξ゚⊿゚)ξ「たぶんあと少しー」

私も大声で返す。
この辺りは私の庭みたいなものだから迷うはずはない。
今歩いているのもよく知った道だ。

心当たりを見渡す。
たしかに咲いていた、炎のような真っ赤な花。
鮮やかできれいで、大好きな二人に見せたかった。


293名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:07:38 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「たしかにこの辺りなのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「そのはずなんだけどなぁ……」

いくら見渡しても花はない。
その代わり、私は変なものに気付いた。

ξ゚⊿゚)ξ「……?」

目の前には小さな横穴がある。
あれは見慣れたものだ。
お婆ちゃんが小さい頃からあると言っていた。
だけどその横穴の近くに、何かがあった。

('A`)「ツンさま?」

ξ゚⊿゚)ξ「しー! 何かいるかも」

ドクオとクーは顔を見合わせて首をひねった。
でも私には見える。
横穴の前の浅い水溜まりの中に、足跡が。

そろりと、足音を立てないように動きだす。
クーたちもそれに倣ってくれる。

しとしとと降り続く雨、空は暗い。
横穴の中は真っ暗なはずだ。
近くで確認すると、それはやっぱり足跡だった。


294名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:08:44 ID:Zfm9nmZ2O

ξ゚⊿゚)ξ「……!」

さらに近づいて、私はついに横穴を覗き込んだ。
そして息をのむ。

中には何か、私たちと歳は変わらなそうな子供がいた。
でもそれは普通の子供じゃなかった。
まるい頭の上には二つの突起がついていた。

川;゚ -゚)「な、なんだあれは……」

クーは小声だった。
雨音にかき消されそうな小さな声だった。

( ^ω^)「……」

なのに横穴のそいつはくるりと振り返った。

(;'A`)「ひっ!」

ドクオが小さな悲鳴をあげる。

( ^ω^)「……君たち、誰だお?」

目があった。
私は乾いた喉をなんとか動かして、言った。

ξ゚⊿゚)ξ「ツン、私の名前はツンよ。……あなたは?」

( ^ω^)「僕は……」




295名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:09:59 ID:Zfm9nmZ2O


頭に小さな角を持つ子供はブーンと名乗った。
クーとドクオもおそるおそる自己紹介をして、私たちはブーンのことを知った。

ブーンは気付いたらここにいたらしい。
自分は角を持つ忌み子なのだと言っていた。
忌み子というのは村の嫌われ者のことだとクーが教えてくれた。

たまに大人が食べ物を運んでくる、ブーンはそれを食べているらしい。
ブーンのことは絶対に秘密で、それを知った私たちは殺されてしまうかもしれないと言われた。

ξ゚⊿゚)ξ「そんなの、ひどい」

それが私の感想だ。
ブーンは私より年下かもしれない。
なのに、ずっとひとりぼっちだったなんて。

( ^ω^)「ひどい、のかお?」

川 ゚ -゚)「ああ、ひどいさ。君は何も悪いことをしていないんだろう?
     ならこんな場所にいなければならない理由なんてないさ」

クーは右手を差し出して笑った。

川 ゚ー゚)「君の隣には私たちが立とう」

振り返って、私とドクオに向けて手を差し出す。


296名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:11:25 ID:Zfm9nmZ2O

ξ゚⊿゚)ξ「そうね」

('A`)「……」

私はドクオと手を繋いでブーンを見る。
ブーンはなにがなんだか分かっていないようだ。

ξ*゚ー゚)ξ「ブーン、友達になりましょう」

ブーンは迷って、ついに私たちの手を取った。




297名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:13:01 ID:Zfm9nmZ2O


それから私たちは四人で遊ぶようになった。

雨の日はみんなで横穴で過ごした。
クーの好きな書物の話を聞いたけれど、私には難しかった。
ブーンはすぐにクーの話が分かったようだった。

梅雨が終わってから沢に行った。
そこにいる小さな蟹がおいしいのだと教えてあげた。
ブーンは誰よりも蟹を捕まえるのが上手になった。

みんなでブーンの家になっている横穴を掃除した。
ドクオはさすがな箒さばきだった。
ブーンも熱心に壁の汚れを落としていた。

毎日のようにブーンと遊んだ。
クーとドクオはいないこともあったけれど、どちらかが会う時に私は必ずブーンに会った。


山の木々は黄や紅に染まっていた。
最近風が肌寒い。
よく晴れた日に、私とクーとドクオはブーンに会いに行った。

( ^ω^)「こんにちはだお! 今日は何して遊ぶお?」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしようかなぁ……」

落ち葉を足で払いながら考える。
昨日は歌をうたった。
一昨日は鬼ごっこをした。
その前はお手玉で遊んだ。


298名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:14:11 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「久しぶりにかくれんぼなんてどうだろう?」

('A`)「かくれんぼって……クーさん、前は事前に穴掘ってましたよね」

川 ゚ -゚)「今日はなんの準備もしていないぞ。正々堂々勝負だ」

クーは何をするにしても、ひとりでこっそり準備をしていたりする。
だからドクオは嫌がったのだけど、クーは正直者だ。
今回は本当に何もしていないだろう。

ξ゚⊿゚)ξ「私はいいわよ。ブーンは?」

( ^ω^)「僕もいいお。今日こそ最後まで見つからないように頑張るお!」

私とクーとブーンは賛成だ。
三人でドクオをじっと見つめる。

('A`)「三人がやりたいなら俺は反対しません。いいですよ」

私は知っている。
ドクオは絶対に私とクーには逆らわない。
だからクーがかくれんぼを提案した時、何をするかは決まっていたのと変わらない。

最初の鬼は言い出しっぺのクーに決めて、私たちは散り散りに隠れ場所を探した。




日はすっかり落ちて、空は橙色。
最後の鬼のブーンが全員を見つけて私たちはまた集まった。


299名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:15:28 ID:Zfm9nmZ2O

(*^ω^)「今日は楽しかったお!」

ブーンは全身で喜びを表現してくれた。

ξ*゚⊿゚)ξ「そうね。今日のクーは弱かったもんね」

川 ゚ -゚)「たまたまだ。私の真の実力はこんなものじゃないぞ」

('A`)「小細工なしで勝ってから言ってください」

いつものようなやりとりをして、私たちはブーンと別れた。

もう秋だ。
ブーンと出会った頃に比べると夕方は少し冷える。
私は着物の袖に手を引っ込めて体を擦りながら先頭を歩いた。

狭い一本道を真ん中くらいまで進んだ頃、ドクオは唐突に立ち止まった。
それに気付いたクーに肩をたたかれて私も立ち止まる。

川 ゚ -゚)「どうした?」

('A`)「忘れ物をしたみたいです」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、手ぶらじゃなかった?」

みんなで遊ぶ時は基本的に手ぶらだった。
最初の頃こそブーンにいろいろなものを持っていったが、もう持っていくものが思いつかない。
ブーンの住む横穴には私たちの思い出がたくさん詰まっている。


300名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:17:08 ID:Zfm9nmZ2O

('A`)「お屋敷の蔵の鍵を預かっていたんですけど……」

ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ドクオ、あそこの掃除任されてるもんね」

うちには大きな蔵がある。
一度お父さんに連れられて入ったことがあるけれど、面白そうなものはなくてがっかりしたのを覚えている。
難しそうな書物がたくさんあったから、もしかしたらクーには楽しめるかもしれない。

とにかく蔵には大量にいろんなものがしまわれている。
屋敷の使用人のうちモナーさんが任命した三人には合鍵が渡されて、いつでも掃除をできるようになっている。

ξ゚⊿゚)ξ「あそこの鍵ならモナーさんたちも持ってるじゃない」

('A`)「そのモナーさんが信用して預けてくれた鍵です。そう簡単になくせません」

ドクオは下を向く。
影になって顔は見えない。

川 ゚ -゚)「なら私も一緒に戻ろう。もっと暗くなったら道を見失いかねないからな」

('A`)「それは出来ません。ここいらは獣もいます。俺は対処できますから、絶対についてこないでください」

ξ゚⊿゚)ξ「あ……」

私が伸ばした手が触れる前に、ドクオは走りだしてしまった。

川 ゚ -゚)「珍しいな。ドクオが私たちに、あんなはっきりものを言うなんて」

ξ゚⊿゚)ξ「……」


301名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:18:29 ID:Zfm9nmZ2O

赤くて暗い森の向こうにドクオの影が消えていく。

川 ゚ -゚)「どうした、ツン?」

ξ゚⊿゚)ξ「なんでもない」

寒気がした。
まるで山にドクオが食べられてしまうようだった。
そう考えてしまう自分が嫌だ。

追い掛けようか、そう思ったけれど、ドクオの態度を見たらそれはいけないように感じた。
クーと顔を見合わせて、二人で帰り道を急いだ。
だんだん暗くなるのが、初めて怖いと思った。




結局その日、ドクオは帰ってこなかった。




302名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:20:03 ID:Zfm9nmZ2O


三日後に会ったクーの顔色は悪かった。

川 ゚ -゚)「なあツン、一度、ブーンに会ってみないか?」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうね」

大人たちが手分けして探してもドクオは見つからなかった。
事情を聞かれた私とクーは、ブーンのこと以外は全部素直に話した。
私たちも子供同士で集団になって探すのを手伝ったけれど駄目だった。

だけどこの間、私たちはブーンのもとへは行かなかった。
ドクオが戻ったのはブーンの住む横穴の方向だった。
私たちは死ぬのが怖かった。
ブーンにされた話を忘れられなかった。

でも、もうそんなことは言ってられない。
もし遭難していたら、そろそろ大変なことになると大人たちが言っていたのを聞いた。

川 ゚ -゚)「大丈夫、誰にも会わずにあそこへ行く道を見つけたんだ」

こんな時でもクーは頼もしい。

ξ゚⊿゚)ξ「私、役立たずね……」

呟きはクーには聞こえなかったらしい。
クーは私に手を伸ばして言った。


303名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:21:43 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「ほら、烏が鳴く前に帰ってこないと怒られるぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん」

私はクーの手を掴んだ。
じゃないと、もう一緒にいられないような気がした。




まだ明るい時間なのに、横穴の近くは生き物なんていたいみたいに静かだった。

(;^ω^)「三日間もみんな来ないから心配したお!」

私とクーの姿を見るなりブーンが言った。
裸足で走りよるブーンに、私はなぜか涙が止まらなかった。

ξ;⊿;)ξ「ひっく……ぅ……。ブーン、どうしよう……私、私のせいで、ドクオ……!」

クーが背中をさすってくれる。
それでも止まらない。

( ^ω^)「ドクオに、何かあったのかお?」

ξ;⊿;)ξ「いなく、なっちゃった。私が止めてれば……」


304名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:23:19 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「ブーン、詳しい話は私がしよう。一度君の家に上げてくれないか?」

( ^ω^)「……わかったお」




クーが全部話してくれた。
わかりやすく、簡潔に。

(;^ω^)「うーん……僕はみんなと別れたきりドクオには会ってないお」

ブーンは頭の角をさすりながら言った。
考える時の癖だというのには最近気付いた。

( ^ω^)「人の声も獣の声もしなかった、静かな日だったお」

川 ゚ -゚)「人さらいや山賊ではない、獣でもない。ドクオはどこを探しても、手掛かりひとつ見つからない」

クーまで考え始めてしまった。
ドクオが私たちと別れた場所からブーンのうちまでは遠くない。
何かあったなら聞こえるはずだ。

川 ゚ -゚)「ツン、君のおばあさんは、この山に鬼が棲むと言ったな」

ξ゚⊿゚)ξ「え、う、うん……」


306名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:24:50 ID:Zfm9nmZ2O

私は涙を拭きながら答えた。
おばあちゃんはしつこいくらいに、毎日のように不気味な話をした。
まるで、私がここに来ているのを知っているかのように。

川 ゚ -゚)「私は最初……申し訳ないが鬼とは、ブーンのことだと思っていた。しかしそれはおかしいんだ」

( ^ω^)「どういうことだお?」

川 ゚ -゚)「彼女は私たちが物心つく頃からあの話をしていた。しかしブーンは私たちより年下に見える」

私はブーンの顔を見た。
最初の印象と同じ、私より年下に見える。

川 ゚ -゚)「それだけなら鬼は人と違う、年をとらない、そう言えるのだが」

ξ゚⊿゚)ξ「あ」

クーの言いたいことがわかった。

川 ゚ -゚)「ブーンは成長している。事実、ツンとブーンの身長差は初めて会ったときより縮んでいる」

ξ゚⊿゚)ξ「私たちが物心ついた頃、ブーンも年は変わらなかった。だからブーンが人を襲っていたとは思えない」

川 ゚ -゚)「その通り。だから私は、この山には別の鬼がいるのではと考えたわけだ」

クーの言うことが正しいのなら、ドクオは。

( ^ω^)「人でも獣でもなく、鬼に襲われていなくなった、ということかお?」


307名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:26:00 ID:Zfm9nmZ2O

クーは頷いた。

川 ゚ -゚)「そうでない証拠がない以上否定はできない。私はこの目で見ないからとすべてを否定したりはしない」

寒い。
風が中まで入ってくる。
私は膝を抱える。

( ^ω^)「僕もドクオを探すの手伝うお」

川 ゚ -゚)「よろしく頼むよ。私たちはそろそろ帰らないと」

私はクーに手を引かれて立ち上がった。
お気に入りの着物の裾が少し汚れたけれど気にしない。
ドクオの行方以上に、今の私の興味を引くものはない。

横穴の外は真っ赤だった。
夕日があの日みたいだ。

( ^ω^)「二人とも、いなくなったりしないでくれお」

川 ゚ -゚)「もちろんだ」

少し前に進む。
そしてクーはもう一度振り返った。

川 ゚ -゚)「鬼に、喰われたりするなよ」




308名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:27:02 ID:Zfm9nmZ2O


家に帰った私に、おばあちゃんが抱きついてきた。

(;゚д゚ )「ツン、どこに行っていたんだい!?

ぎゅっとしがみつかれて少し苦しい。

ξ゚⊿゚)ξ「クーがうちに来てね、一緒にドクオ探してた」

( ゚д゚ )「……そうかい。外は危ない。次に神隠しにあうのがお前なんて、私は嫌だからね」

ξ゚⊿゚)ξ「神隠し……」

神隠し、か。
隠すのが鬼でも神隠しというのだろうか。
そもそもドクオの本当の消えた理由はなんだろう。

( ゚д゚ )「ツン、悲しいがドクオはもう戻ってこない。だけどツン、おまえはいなくならないで」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

おばあちゃん、そういうこと言うのか。

ξ゚⊿゚)ξ「私はドクオが帰ってくるのを信じる。……おばあちゃんなんて」

わかってる、言ったらだめだって。
だけど止まらない。


309名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:28:41 ID:Zfm9nmZ2O

ξ#゚⊿゚)ξ「大っ嫌い!」

私はおばあちゃんを突き飛ばした。
そのまま横を通り過ぎて自分の部屋にこもる。

「ツン……」

引き戸の向こうからおばあちゃんの声が聞こえる。
でも無視をする。

ξ ⊿ )ξ「ごめん……」

私はドクオが好きだった。
私には三人しかいない友達の一人だった。
だから、ドクオが戻ってくることを信じないおばあちゃんが許せない。

敷きっぱなしの布団に潜り込んだ。
着物も髪もぐちゃぐちゃだけど気にしない。
目を閉じると、じんわり涙があふれてきた。




310名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:29:49 ID:Zfm9nmZ2O


ξ゚⊿゚)ξ「……」

信じられない。
起きたばかりの私に、おばあちゃんはなんて言ったのだろう。

( ゚д゚ )「ツン、もう一度言うよ」

嫌だ、嫌だ。
その先は聞きたくない。
耳をふさぎたいのに腕が上がらない。

( ゚д゚ )「クーが」

やめて。
言わないで。

( ゚д゚ )「昨日から行方不明だ」

ξ゚⊿゚)ξ「……っ」

寒い。
気温ではない。
体が冷えて冷えて、だから寒い。

ξ゚⊿゚)ξ「……なきゃ」

( ゚д゚ )「ん?」


311名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:31:00 ID:Zfm9nmZ2O

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンに、知らせなきゃ……」

(;゚д゚ )「ツン!」

おばあちゃんが伸ばした腕をかわし、私は家を飛び出した。
おばあちゃんの声が聞こえる。

「ツン、あんた、北の山に行ったね……!」

おばあちゃんはやっぱり知っていた。
だからあんな話をしつこく聞かせていたんだ。




いつもの横穴。
こんな朝早くに来るのは初めてだ。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、いる……?」

まだ寝ているかもしれない。
だけど、どうしても無事を確認したかった。
もしかしたらドクオとクーはここにいるかもしれないと、淡い期待もあった。

ブーンの返事はない。
私はゆっくりと中に入っていった。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン」


312名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:31:54 ID:Zfm9nmZ2O

( ^ω^)「おはよう、ツン」

ブーンは、いた。
いつものように私に挨拶をしてきた。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

様子がおかしい。
何がおかしいかというと、手だった。

ブーンは、何かを両手で抱えていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

それに、本当は一目見てわかった。
ブーンの口元、手、着物。
全部、よく見なくてもわかる。

私はそれを見たことがある。
だから知っている。
暗くても異様な存在感。

それは、誰がどう見ても。


313名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:32:48 ID:Zfm9nmZ2O

ξ゚⊿゚)ξ「……血」

生臭い匂いが一気に鼻から入ってくる。

ξ;゚⊿゚)ξ「ぅ……」

気持ち悪い。
喉を通って、昨日の食事が吐き出される。

ξ; ⊿ )ξ「ぐ、ぅ……。は、……ぅぅ……」

ブーンは球体のものを持っていた。
そのてっぺんから、つやのある黒い糸のようなものが垂れ下がっている。
下からは血が流れている。

( ^ω^)「うーん……ドクオよりはましだけど、ちょっと物足りないお」

ブーンはわきに球体を置いて、今度は別のものを口元に運んだ。

ξ; ⊿ )ξ「ぁ……それ、は……」

( ^ω^)「見てのとおり、腕、だお。クーのね」

ブーンは食べていた。
腕、を。
口のまわりを真っ赤にして。

腕からは白いもの、赤い何かが見える。
うそ。
なんで、ブーンが。


317名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:35:24 ID:Zfm9nmZ2O

おかしい、ブーンはドクオ探しに協力してくれると言った。
クーは私と帰ったはずなのに。
おかしい、私にはわからない。
なんにも。

( ^ω^)「僕ね、お楽しみは最後にとっておくって決めてるんだお」

ブーンは笑っている。
楽しそうに。
ブーンは、おかしい。

逃げなきゃいけない。
わかっているのに、私はすっかり腰が抜けて動けない。
ブーンが、真っ赤なブーンが、ゆっくり近づいてくる。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

( ^ω^)「ツン、ふたつ、お話を聞かせてあげるお。きっと君が一番聞きたい話だと思うから」

ブーンは喋れない私を無視して話し始めた。
ドクオとクーのことだった。

( ^ω^)「ドクオは、あんまりおいしくなかったお。骨と皮ばかりで。
       しいて言えば、久しぶりに食べた感動はあったかもしれないおね」

耳をふさぐことも忘れていた。
寒い。
がくがくと全身が震える。
気持ち悪い。


318名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:36:57 ID:Zfm9nmZ2O

( ^ω^)「ツンとクーの安全を約束すると言ったら抵抗もしなかったお。
       あれじゃあ友達というより、君とクーの忠実な下僕か何かみたいだお。僕はそういうところ、嫌いじゃなかったけど」

ブーンは口元の血をぺろりと舐めとって話を続ける。
涙が出てきて、私の視界は悪い。

( ^ω^)「クーは……なんだお? 僕がドクオを隠したって、三日後に気付いて問い詰めてきたお。勘が良すぎて気持ち悪いお」

ブーンは一口、かじりついた。
たらたらと血が落ちる。
地面は真っ赤だった。

( ^ω^)「ツンと一緒に来た時の話は、僕を油断させるためだったんだお。夜にクーはやって来た。僕は殺されかけたお」

ブーンは一度奥に行き、何かを拾い上げた。
刃物だった。
クーのお父さんの形見の短刀だった。

( ^ω^)「まあ僕は返り討ちできたし、それなりにおいしかったからよしとしとくお」

ブーンはずっと笑顔だった。

( ^ω^)「ツン、一応言っておくけど、別にドクオとクーが嫌いなわけじゃなかったお。でも僕も何か食べないと死んじゃうお」

一歩、二歩。
私に近付いたブーンは、ゆっくりしゃがんだ。
目が合う。
いつもと同じ笑顔だ。


319名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:38:55 ID:Zfm9nmZ2O

( ^ω^)「あ、それともう一つ。僕ね、実は一度死んでるから、見た目なんてどうとでもなるんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「ぇ……」

やっと出た声は情けなく震えていた。

ブーンは私の目の前にいた。
大きく開けた口には、鋭い牙がふたつ。
今まで気付かなかった。

( ^ω^)「いただきます」

ξ;゚⊿゚)ξ「……っ!」

ξ; ⊿ )ξ「ぁ、いやあああああああ!!」

結局ブーンは鬼で、私たちとわかり合うことはできなかったらしい。







320名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:41:23 ID:Zfm9nmZ2O

  (
   )
  i  フッ
  |_|



( ^ω^)百物語のようです2013( ω  )
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