まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

 スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | CM(-)


 黒魔術師の月渡しのようです


2名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:30:54 ID:ES/0.rIw0


ある静かな夜に、四人の少女が縁側でお喋りしていました。

mr02_boonpic2_779_20130803221258684.jpg

l从・∀・ノ!リ人「お月様、きれいなのじゃ~」

*(‘‘)*「三日月だね」

(#゚;;-゚)「まんまるだと、もっときれい……」

⌒*リ´・-・リ「……」

l从・∀・ノ!リ人「?」

*(‘‘)*「リリちゃん、どうしたの?」

⌒*リ´・-・リ「……お里に帰りたい……」

(#゚;;-゚)「えっ」

*(‘‘)*「リリちゃんのお里って、お月様でしょ?」

(#゚;;-゚)「竹から生まれたのにリリちゃん……」




3名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:32:13 ID:ES/0.rIw0

l从・∀・ノ!リ人「そっか、リリちゃんお月様から来たんじゃったな」

*(‘‘)*「さいしょに会ったときは赤ちゃんだったよね~」

l从・∀・ノ!リ人「ミルナさんが山に竹を取りに行く姿が想像できないのじゃ……」

*(‘‘)*「ミルナさんのこと、きらい?」

⌒*リ´・-・リ「ううん、ミルナさんのことは大好きだよ、でも……」

*(‘‘)*「でも?」

⌒*リ´・-・リ「お里が懐かしいの。里帰りがしたい。
        それに、そろそろお里に顔出しておかないと、使者が勝手に迎えに来ちゃうから……」

(#゚;;-゚)「つぼなるみくすりたてまつれ」




その少女たちの会話を、こっそりと男の人が聞いていました。

( ゚д゚ )「……」


4名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:33:01 ID:ES/0.rIw0

( ゚д゚ )「リリ……里帰りしたいのか……」

( ゚д゚ )「しかし、月に行く手段など……」

( ゚д゚ ) 「……」

( ゚д゚ )!

( ゚д゚ )「月をこっちに近づければいいのか」









黒魔術師の月渡しのようです






.


5名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:34:00 ID:ES/0.rIw0


ワイワイ ガヤガヤ
“ソーサクギルド”事務所内、賑やかな大会議場の扉を、二人の男が開けた。
そっくりな顔、豪奢なローブ、猫のような耳には数多のピアス。
入るなり片方が感嘆の声を漏らす。

(*´_ゝ`)「ふわー、人たくさんいるなあ、オトジャ!」

オトジャと呼ばれたもう片方は、一度周囲を見渡してから、それに答えた。

(´<_` )「アニジャ、はしゃぐなよ転ぶぞ」

(;´_ゝ`)「うわっと」ツルッ

(´<_`;)「言わんこっちゃない!」

なんとか転ばずに持ち直したアニジャは、懲りずにそわそわと辺りを見回した。

(*´_ゝ`)「……しっかし、ずいぶんいるなぁ!ぎゅうぎゅうだ。
       いっつもこんなにいるのか?」

(´<_` )「いや……大事な任務ってことだったし、大勢召集かかったんだろう。
ミルナ総隊長直々ってぐらいだし……あ」

オトジャの目線の先には、髪を綺麗に巻いた少女がいた。
髪はリボンで結わえられ、ゆったりした服装をしている。
袖が長く指先が隠れた手には顔のない人形、なぜか、巨大なひよこの人形の上に座っている。


6名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:35:59 ID:ES/0.rIw0

ξ゚⊿゚)ξ「……あら?サスガ兄弟じゃない」

少女がこちらに気が付き手を振る。

(*´_ゝ`)「ツン!久し振り~!」

アニジャはすぐに駆け寄る。オトジャもそれに続いた。

(´<_` )「ツン隊長な、隊長。
      ……お久し振りです」

ξ゚―゚)ξ「久し振りね、二人とも」

アニジャはしゃがみこむと、ツンが座るひよこに声をかけた。

(*´_ゝ`)「エクピヨも久し振り」

<_プ◇゚)フピヨ!

ひよこの人形は元気いっぱい返事をする。


7名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:37:29 ID:ES/0.rIw0

ξ゚⊿゚)ξ「あなたたちも召集かかったの?」

(´<_` )「ええ。
      ……兄者、ひよこつついたらだめだろ」

Σ(;´_ゝ`)つ”_プ◇゚)フピヨ?

ツンが座るひよことじゃれていたアニジャがビクリとする。

ξ゚⊿゚)ξ「構わないわよ。
     それより、なんなのかしらね?ずいぶんたくさん召集かかったみたいだけど」

lw´‐ _‐ノv「大事な任務らしいね」

後ろからふわりと現れた女性が口を挟んだ。
ふわふわしたストールをかけ、長い髪を柔らかく波打たせたその姿は、とても上品そうに見える。
月を模した空中浮遊具に腰かけていて、浮遊具が動くと、月の先端から垂らされた星のもようのランタンとひっかかった日傘が揺れる。

mr02_boonpic2_773_20130804214839ab9.jpg

( ´_ゝ`)「おお、シュールさんまで」


8名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:38:18 ID:ES/0.rIw0

lw´‐ _‐ノv「やっほアニジャ」

シュールは見た目に合わない軽い挨拶をすると、ううむとうなった。

lw´‐ _‐ノv「“双子の黒魔術師”のサスガ兄弟に、“人形操り師”兼“第B隊隊長”のツン、それから“月上の魔女”のシューちゃんまで呼ばれてるんじゃあ、そうとう厄介な任務かしらん」

ξ゚⊿゚)ξ「そうみたいね……。
      他の面々も、“ソーサクギルド”内ではすごい人ばかりみたい」


“ソーサクギルド”は、シタラバ王国一の大きさと力を持つギルドだ。
総隊長はミルナ=コッチといい、彼のもと、第A隊から第Z隊までの26もの隊が連なる。
入隊している者たちはみな実力者ぞろいだ。人種はばらばら、能力も、魔法を使う者や、腕っ節の強い者などさまざまだ。

今回の召集は、そのなかでも特に有力者ばかり集められているように見え、相当重大な任務であることが伺える。


9名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:39:01 ID:ES/0.rIw0

ガヤガヤ
ふと、喧騒が大きくなる。

( ゚д゚ )「静粛に」

入ってきたのは、制服に身を包んだ男だった。
総隊長たる証のロッドを手にしている。
“ソーサクギルド”総隊長、ミルナ=コッチだ。

( ´_ゝ`)「あ、ミルナ」

(´<_` )「ミルナ総隊長な、総隊長」

ミルナはロッドに両手を乗せると、咳払いをする。
その場にいる者はみな静かになり、総隊長の言葉に耳を澄ます。

( ゚д゚ )「えー……今回集まってもらったのは、ある任務のことだ」

( ゚д゚ )「君たちには、空をシタラバ王国に近づけるという任務に就いて欲しい――簡単に言うと」


( ゚д゚ )「空を落とせ!」

.


10名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:40:15 ID:ES/0.rIw0

ザワザワ

(;´_ゝ`)「空を、落とす……?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとミルナ、どういう意味よ?」

( ゚д゚ )「そのままの意味だ」

ξ;゚⊿゚)ξ「あんたが言うと冗談に聞こえないからやめなさいよ」

( ゚д゚ )「冗談じゃないしな」

ξ#゚⊿゚)ξ「なおさらたち悪いわ」

(´<_`#)「ハァ?無理だろあのハゲ呪い殺してやろうか」

(;´_ゝ`)「オトジャ、どーどー、ノットハゲ、イエスミルナ総隊長」

lw´‐ _‐ノv「そーたいちょー、いくらなんでもムリでしょ。空を落とすなんて……」

mr02_boonpic2_780_20130804214951dd4.jpg

その場にいた誰もが、口々に言い合った。

( ゚д゚ )「静かに。
     やり方はなんでも構わん。君たちの得意なやり方でやって欲しい。
     空を、具体的には月をシタラバに近づけてくれれば構わん」


11名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:41:07 ID:ES/0.rIw0

(;´_ゝ`)「あのー、近づけるって、どれくらい?」

( ゚д゚ )「徒歩で行けるくらい」

(´<_`#)「ハゲ!!」

( ゚д゚ )「参加すれば報酬は出そう。
     成功者には相応に出すぞ。
     それでは検討を祈る」

制服の裾を颯爽とひるがえし、ミルナはさっさと去って行ってしまった。

(;´_ゝ`)「爆弾投下だけして帰りやがった……」

途方に暮れるアニジャの手をオトジャが引っ張る。

(´<_`#)「ハゲの任務なんて無視だ、無視。帰るぞアニジャ」

(;´_ゝ`)「オトジャ」

(´<_`#)「遠路はるばる来てやったっていうのにあのハゲ。
       大事な任務だっていうからアニジャも連れてきてやったのにハゲハゲ」

(;´_ゝ`)「でもオトジャ、今月厳しいぞ?」

(´<_`#)「構わん、俺が稼ぐ」


12名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:42:00 ID:ES/0.rIw0

(;´_ゝ`)「でもこないだ大分消耗しただろ、聖ペテロ逆十字の粉末とか、魔法陣とか、ビコーモリの鮮血、全部高いやつじゃん」

(´<_`#)「……」

いまだ帰る意志をみせるオトジャに、アニジャが申し訳なさそうに続ける。

(;´_ゝ`)「……あと、お菓子、材料がもうなくてつくれない」

(´<_` )「しかたないやるか」

オトジャは即答した。

ξ;゚⊿゚)ξ「……お菓子?」

(;´_ゝ`)「……気にするな。
       ツンはどうすんの?やる?」

ツンはこくりと頷いた。

ξ゚⊿゚)ξ「やるつもりよ、私も結構厳しいのよね……。
     参加だけでいいならちょちょっとやってもらえるもんもらうわ」


13名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:43:22 ID:ES/0.rIw0

lw´‐ _‐ノv「えーみんなやるの、じゃあ私もー」

(;´_ゝ`)「軽っ」

lw´‐ _‐ノv「だってみんなやるのに私だけやんないなんてさびしいでしょ。
        家にまだ米が俵で四十ダースはあるからなんにも厳しくないけどやる」

(´<_`;)「四十……」

(;´_ゝ`)「しかもダース……」

ξ゚ー゚)ξ「じゃ、決まりね」

ツンはにこりと笑うと、ひよこの人形からからおりた。
ひよこでかさましされていた身長が一気に縮み、サスガ兄弟とシュールはツンを見下ろす形になる。ツンはひよこの人形の頭を撫でた。

<_プ◇゚)フピヨ!

人形はふるりと震えるとたちまち手のひらほどの大きさになった。
ツンはそれを拾うと手に持った顔なし人形の腹についたジッパーを開け、その中にしまう。

ξ゚⊿゚)ξ「ちょうどいいし、みんなでやりましょうよ」


14名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:44:46 ID:ES/0.rIw0

(´<_` )「いいんですか?第B隊からも何人か召集されているのでは?」

ξ゚ー゚)ξ「ふふ、いいのよ。うちの隊の子は手のかからないいい子たちばかりだから。
     それにこういう任務なら、私が率いたりしなくても大丈夫」

( ´_ゝ`)「おお、隊長っぽい。かっこいい」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがと。
     シューは?隊で行動する?」

lw´‐ _‐ノv「えー……いいや、O隊はみんな自由人だから団体行動へたくそだし」

ほれ、とシュールが指す先を見ると、第O隊の面々がさっそくばらけている。

ξ;゚⊿゚)ξ「普段どうしてるのよ」

lw´‐ _‐ノv「任務の時はたいちょーがいるでしょ。
       みんなたいちょーのことすきだから、たいちょーがいればがんばってまとまるの」

ξ゚⊿゚)ξ「隊長って、ヒッキーか。
      いいやつだもんなぁ、あいつ」

lw*´‐ _‐ノv「でしょ。賢いし、優しいし、自慢のたいちょーだよ」

シュールは誇らしげに豊満な胸を張る。

( ´_ゝ`)「いいなぁ……。俺らは外部だから隊とかないしなー」


15名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:46:12 ID:ES/0.rIw0

アニジャはため息をつく。
入隊しているツンやシュールとは違い、サスガ兄弟たちは依頼があれば任務に就く外部の人間だ。

ξ゚⊿゚)ξ「入れば?あんたたちなら試験くらい余裕でパスできるでしょ?」

( ´_ゝ`)「うん、試験は大丈夫だと思うが」

入隊には試験があり、ある程度能力がなければ合格はできない。
“ソーサクギルド”に入隊したがる人間は多く、試験は難しい。何度も何度も試験を受け、それでも涙を飲む人間ばかりだ。
そんな中でもツンやシュールは一発で合格した強者だ。サスガ兄弟も、ふたりに匹敵する能力がある。

( ´_ゝ`)「俺家からなかなか出れないから隊に顔出せないでしょ。
      そうなるとオトジャも顔出さないでしょ。
      入った意味皆無でしょ」

ξ;゚⊿゚)ξ「そんなに厳しいの、サスガの家?」

(´<_` )「いえ、アニジャは日に弱いもので、長く外にやれないんです」

(;´_ゝ`)「全然大丈夫なのに」

(´<_` )「三時間も日に当たってられないのに何を言う」

(;´_ゝ`)「……夏だけだし!」


16名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:47:10 ID:ES/0.rIw0

(´<_` )「まあそういうわけだから、入隊はしないで、外部でいいんですよ。
       重大な任務でなければ俺だけで済ましますし。……」

(´<_`#)「それをあんのハゲ……」ビキビキ

(;´_ゝ`)「どーどー。総隊長総隊長」

(´<_`#)「ハゲ総隊長……」

(;´_ゝ`)そ

ξ゚⊿゚)ξ「まあまあ、落ち着きなさいよオトジャ。いまは報酬の……じゃなくて、任務のことを考えましょ。
     どうする?空を落とせって」

lw´‐ _‐ノv「手がかりがないわけじゃないよ」

(;´_ゝ`)「えっ?」

シュールはふふ、と笑う。

lw´‐ _‐ノv「前に、集会で聞いたの。シベリア皇国の湖に落ちた人が、空から降ってきて助かったって。
       その人は空に落ちたんだって」

ξ゚⊿゚)ξ「空に落ちた……。惜しいわね」


17名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:48:11 ID:ES/0.rIw0

lw´‐ _‐ノv「でもその湖、行ってみる価値はあるんじゃない?
       “魔女の集会”情報だから確証はなんにもないんだけど、なんにも手がかりがないよりマシマシ。
       どう?」

(´<_` )「シベリア皇国か……」

(*´_ゝ`)「あそこの砂糖はおいしい……」

(´<_` )「行くか」

ξ;゚⊿゚)ξそ

lw*´‐ _‐ノv「ようし、いっちゃおういっちゃおう。
        転移魔法はシューちゃん得意なんだからね!」

シュールはぱちりとウインクをし(たつもりなのだろうが、目が細いためよく分からなかった)、転移魔法の準備を始めた。



.


18名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:50:17 ID:ES/0.rIw0




転移した瞬間、シュール以外の三人は真っ青な顔をした。

ξ;゚‐゚)ξ「……うっぷ」

(´<_`;)「うっ」

(;´_ゝ`)「オボロロロロ」

lw´‐ _‐ノv「あれれ~?おかしいな~?」

シュールは素知らぬ顔である。

(´<_`;)「得意とかどこがだよ……うう気持ちわる……」

lw´‐ _‐ノv「いや、君たちが魔法に乗るのがへたくそなんだよ。
        そういうことにしとこう」

ξ;゚⊿゚)ξ「アニジャ大丈夫?」

(;´_ゝ`)「うん、三割は大丈夫」

ξ;゚⊿゚)ξ(残りは……?)

なんとか回復した三人は、辺りを見回す。


19名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:51:01 ID:ES/0.rIw0

ξ゚⊿゚)ξ「ここがシベリア皇国……。白いわね」

(*´_ゝ`)「きれいだなあ……」

辺りは一面、真っ白だ。毎年降り積もる雪が街を染めている。
今は幸いに雪は止んでいるが、重たい灰色の雲が立ち込めている。

(´<_`;)「おかしいな、シベリアは寒いと聞いていたが……」

lw´‐ _‐ノv「ぺろぺろしてもらっては困るよオトジャ君!!」

(´<_` )「してない」

lw´‐ _‐ノv「なめてもらっては困るよオトジャ君。
       私は“月上の魔女”シュールだよ。
       君がもう寒さに震えないように、暖めてあげているのさMy Sweet Honey……」

ξ゚⊿゚)ξ「シューの魔法で守られてるってことね。便利でいいわね」

lw´‐ _‐ノv「……うん。でしょ」

(;´_ゝ`)(なんかかわいそうだ……)

ξ゚⊿゚)ξ「で、湖ってどこにあるの?」

lw´‐ _‐ノv「国のはずれだって。大丈夫、近くに飛ばしたから、すぐだよ。
        ……たぶん」


20名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:52:21 ID:ES/0.rIw0

ξ;゚⊿゚)ξ「……エクピヨ!」

ツンが手に持った顔のない人形のジッパーを開けると、人形の腹からころんとひよこの人形が落ちた。
人形はふるりと震えると、ぼふんと音を立てて大きくなる。

<_プ◇゚)フピヨピヨ

大会議場でツンが乗っていたのと同じひよこだ。

(*´_ゝ`)「ピヨ!」

(´<_` )「これくらい歩きましょうよツン隊長……。
       シュールさんは仕方ないとしても」

lw´‐ _‐ノv「ごめんねえ」

シュールは浮遊具でふよふよと浮かんでいる。
彼女は魔法を使う代償に、自らに“歩くこと”を禁じているのだ。

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うう。
      かよわき乙女を歩かそうって言うの?」

(´<_` )「たいした距離じゃなさそうですし、たまには歩かないと。
       いっつも人形に頼り切りでしょう」

ξ;゚~゚)ξ「うう……」


21名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:53:34 ID:ES/0.rIw0

ツンはモゴモゴと口を動かしたが、ふうとため息をつくと、ひよこの人形の頭を撫でて小さくし、顔なし人形の腹にしまった。

ξ;゚⊿゚)ξ「歩くわよ、歩けばいいんでしょ。もう……」

(´<_` )「頑張りましょう」

lw´‐ _‐ノv「さあ、みんな行こうか。近いといいよね」

ξ;゚~゚)ξ「ううううう……」





一時間ほど歩いたころ、ツンがついに口を開いた。

ξ;゚⊿゚)ξ「……ま、まだなの?すぐって、言ってた、じゃない」

もはやバテバテだ。

lw´‐ _‐ノv「あれれ~?おかしいな~?」

ξ;゚⊿゚)ξ「今日、それ、二回目、よ……」ゼエゼエ


23名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:55:01 ID:ES/0.rIw0

(´<_` )「アニジャ、大丈夫か?」

( ´_ゝ`)「ん」

日に弱いアニジャはシュールの日傘を借りて差しているが、曇っていることもあり平気そうだ。

lw´‐ _‐ノv「うーん……」

( ´_ゝ`)「どしたのシュールさん」

lw´‐ _‐ノv「もしかして湖、凍ってんじゃないかなって。通り過ぎちゃったかも」

(´<_` )「……あ」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

ツンはもはや声も出ない。

(´<_` )「……いったん戻りましょうか。シベリアの人に場所を聞いたほうがいい」

ξ;゚⊿゚)ξ「戻るって……また一時間……」

(´<_` )「がんばりましょう」

がっくりと項垂れたツンを励ましつつ、一行は踵を返して来た道を戻り始める。


24名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:56:02 ID:ES/0.rIw0

( ´_ゝ`)「あれっ?」

そのときアニジャは、自分の足を誰かが掴んだような感じを覚えた。
そのままずるっと、下に、引っ張られる。

身体が沈む。

とぷん。


(´<_` )「……アニジャ?」

オトジャが振り返った時には、そこには白い大地が広がっているだけだった。




ふっと気づいた時には、辺り一面真っ青だった。

(;´_ゝ`)「えっと……」

アニジャはあたりを見回す。
都市のように見えるが、全部が青い。
まるで水の中のようだ。

(;´_ゝ`)「ここどこ……?」

mr02_boonpic2_781_20130804221818d61.jpg


25名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:57:04 ID:ES/0.rIw0

('A`)「水没都市だ」

(;´_ゝ`)そ「ダレ!?」

背後にいたのは顔色の悪い男だった。顔の右側は血で濡れている。
しかも若干透けている。

(;´_ゝ`)「ま、まさか……?」

('A`)「幽霊だ」

(;´_ゝ`)「ひいい!ネ、ネクロマンサー呼んでくれ!」

('A`)「こんなとこまで来るやついねーよ。
    安心しろ、危害は加えないから。普通の幽霊だよ」

(;´_ゝ`)「……」

アニジャは幽霊を上から下まで眺める。
確かに、悪霊には見えない。むしろ今にも成仏しそうだ。

(;´_ゝ`)「まあ確かに……大丈夫そう……」

('∀`)「だろ。俺はドクオだ」

( ´_ゝ`)「お、おお。俺はアニジャ=サスガだ……じゃなくて。
      ドクオ、ここはどこなんだ?」


26名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:58:08 ID:ES/0.rIw0

('A`)「だから、水没都市だ」

( ´_ゝ`)「水没都市?」

('A`)「水の中に落とされた都市だ。……俺の故郷だよ。
    何年前だったかな、……ちょっと分からないが、悪い病が蔓延してな。
    住民はみんな移動させられて、街は沈んだ」

( ´_ゝ`)「そう……なのか」

青く照らされた都市は美しく静かで、とてもそんな悲しい過去を秘めているようには見えない。

( ´_ゝ`)「……でも俺、なんでそんなとこに?」

('A`)「俺が落とした」

(;´_ゝ`)そ「!?」

('∀`)「悪いな。大丈夫、ちゃんと帰る術はある。
    なんでかは分からないが、出来るのがわかるんだ。
    ……アニジャ、お前さんに、ちょっと手伝ってほしいことがある」

(;´_ゝ`)「手伝い?」

('A`)「ああ。
    俺の……友達を、探してほしいんだ」


27名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 21:59:02 ID:ES/0.rIw0



***

それはずいぶん昔。
ドクオは、水に沈められたかつての故郷の前にいた。

('A`)「……」

ドクオは、死にに来たのだ。
ドクオの両親は病で死んだ。墓は水の中だ。
友人もたくさん死んだ。知っている人も知らない人もみんないなくなった。数少ない生き残りで暮らす新しい土地は何もかも慣れない。
毎日を憂鬱に暮らすくらいなら、みんなが眠る故郷で、一緒に死にたかった。
重苦しい憂鬱から、逃げたかった。

(;'A`)ゴクリ

怖くはない。
みんなのところに行くだけだ。

('∀`)「……はは、月が綺麗だ。死ぬにはいい日だな」

ドクオは、水の中へ、故郷へと、飛び込んだ。

ざぶん!

水は冷たく、身を切るようだ。
それでもみんなのところに行けるなら、怖くなかった。
ドクオは目を閉じた。


28名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:00:01 ID:ES/0.rIw0


……ドクオ!


呼ばれた気がして、ドクオは目を開けた。

(;'∀`)(お迎えか?)

しかし、ドクオに見えたのは天使でも、死んだ友人でもなかった。

川;゚ -゚)

端正に整った顔、長い黒髪が水に揺れている、いつもは無表情なその顔は、必死だった。
ドクオに手を伸ばしている。

mr02_boonpic2_766_20130801205942905.jpg

(;'A`)(クー……?)

それは、唯一生き残った友人のクールにそっくりだった。
いや、本人だ。

(;'A`)(なにしてんだバカ、ついてきたのか!?)

川;゚ -゚)

水中では、クールに声は届かない。


29名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:01:01 ID:ES/0.rIw0

(;'A`)(やめろ、帰れ、お前まで死んじまう!)

川;゚ -゚)

川;゚ー゚)

(;'A`)(……クー?……)

ドクオの意識が遠のく。
クーの手が近づく。

触れる。



そこで意識は途切れた。





***


30名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:02:05 ID:ES/0.rIw0


('A`)「俺は死んだ。
    頭は、落ちてる途中でどこかにぶつけたんだろうな。
    痛くないから構わないが。……もう感じないんだ」

( ´_ゝ`)「……」

('A`)「だが、死んでもこうしてる。俺はバカだった、クーを置いて死のうとしたんだ。
    バカは俺だった。
    クーが助けに来るなんて、思わなかった……」

('A`)「クーがどうなったか、気がかりでうえに逝けないんだ。
    俺が死んでるんだから、きっと、……死んでるだろうが。
    せめて弔いたい、俺の、せいなんだから」

( ´_ゝ`)「ドクオ……」

('A`)「我がままなのは、分かってる。
    でも、俺一人じゃどうにもならないんだ。
    頼む、アニジャ」


31名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:03:08 ID:ES/0.rIw0

( ´_ゝ`)

( ;_ゝ;)ブワッ

('A`)そ

( ;_ゝ;)「もちろん……!もちろん協力する!
       クールさんを探せばいいんだな!!」

(;'A`)「あ、ああ。ありがとう。
    ……泣くなよ」

( ;_ゝ;)「すまん、感動して……」

アニジャはごしごしと目元を擦って、

( ´_ゝ`)「よし。探そう!」

勢いよく歩き出し、

(;´_ゝ`)「うわっ」ズベッ

転んだ。

(;'A`)(大丈夫かな……)


32名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:04:01 ID:ES/0.rIw0


( ´_ゝ`)「……あ、でも、ドクオはなんでわざわざ俺に手伝わせてるんだ?
       自分で探せばいのに」

('A`)「ああ……それがな」

ドクオは後ろを振り返った。先ほどまでアニジャたちがいた場所の方だ。

('A`)「俺の死体があの辺にあってな」

(;´_ゝ`)そ「えっ」

('A`)「どうやら体から離れられないみたいだ。
    何度も探しに行こうとしたんだが、いつのまにかあそこに戻ってるんだ」

(;´_ゝ`)「え、そう、なんだ……。
       ていうか、死体とか見当たらなかったけど」

('A`)「砂でも被ってるんじゃないか?」

(;´_ゝ`)「……。
       まあ、土葬、みたいな……。いや、すでに水葬なのか……。
       あれ、でもいまは普通に動けてるじゃないか?」

('∀`)「いまはお前さんに憑いてる状態だからな」ニヤリ

(;´_ゝ`)「えっ」


33名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:05:06 ID:ES/0.rIw0

('∀`)「死にゃしねーよ、大丈夫。
    お前さんをここに引っ張ってくる力はあっても、取り殺すことは出来そうにない」

(;´_ゝ`)「……。もういいや、どうにでもなーれ」

( ´_ゝ`)「いやそれより、当てもなく歩いてるけど、検討はついてるのか?」

(;'A`)「……いや……」

(;´_ゝ`)「……」

アニジャは頭を抱えたくなった。
見たところ、小さな都市でもない。端から端まで歩かされるのだろうか。

(;´_ゝ`)(見つかるのはいつになるやら……ん?)

アニジャの視界の端をなにか赤いものがかすめた。
そちらを見やると、赤い傘が見えた。

( ´_ゝ`)(あれは確か……尾布国の傘だ。なんだっけ、バンガサ?)

番傘はふわふわと動いている。
よく見ると、傘の下から緑色のものが伸びている。

( ´_ゝ`)(なんだあれ……布っぽい……布っぽいていうか……服っぽい……?)

(;´_ゝ`)「……人?」

番傘が振り向いた。


34名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:06:30 ID:ES/0.rIw0

(  ゚¥゚)「おや?
       こんなところに人間がいるとは、珍しい」

正確に言うと、緑色の着物を着て、番傘を持っている、人間の男が、振り向いた。

(;´_ゝ`)「シャベッッタァァァ!!!
       ド、ドクオ、この人は誰だ?」

(;'A`)「初めて見た」

(;´_ゝ`)「えええ!!」

(  ゚¥゚)「安心してください、怪しいものではありませんよ」

アニジャは男を上から下まで眺める。
アニジャたちが住むシタラバ王国からは東にある、尾布国の服装だ。右手には番傘、左手はだらんと下げられている。柔和な顔つきをしているが、表情が読めない。

(;´_ゝ`)「……」

ドクオのときとは違って、明らかに怪しく見える。非常にうさんくさい。
第一、アニジャはドクオのせいでここにいるが、この男をドクオは知らないという。
それなら、ここにいること自体が十分に怪しい。

(;´_ゝ`)「クッ……オトジャいないのに……!」

いつでも戦えるようにと、耳に手をやり、

(;´_ゝ`)「……アレッ?」


35名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:07:32 ID:ES/0.rIw0

(;'A`)「どうした、アニジャ」

(;´_ゝ`)「ピ、ピアス、ピアスがない……!」

(;'A`)「ピアス?」

(;´_ゝ`)「お、俺たち黒魔術師は、【アンプ】――えっと、能力増幅器をアクセサリーに模して身に着けるんだ。
       魔女みたいに潜在能力が強くないから」

アニジャの服にはたくさん飾りがついているし、指輪もつけている。
すべて能力増幅器、通称【アンプ】だ。
そして耳につけていた数多のピアスも、それだ。

(;´_ゝ`)「そのピアスが、一個しかないんだよ……!
       落としたのかな、あれか、転んだときか、絶対そうだ。
       高いのに……オトジャの負担が増える……」

アニジャはがっくりと項垂れる。

(;'A`)「そりゃ気の毒だが、そんなことしてる場合じゃないだろ、この怪しいオッサンどうすんだよ」

(  ゚¥゚)「オッサンだなんて……」

(;'A`)「話に入ってきたー!」

(  ゚¥゚)「どちらかというと、おじいさんですよ」

(;´_ゝ`)「えーっ!全然みえなーい!!」


36名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:08:45 ID:ES/0.rIw0

(  ゚¥゚)「それより、私の話を聞いていただけますか?
       私は怪しいものではありません、魔女です」

(;'A`)「ま、魔女?」

(;´_ゝ`)「魔女!」

(  ゚¥゚)「ええ。“水の魔女”という二つ名を預かっております」

(;´_ゝ`)「水……なるほど、それならこんなとこにいてもおかしくないかも……」

(  ゚¥゚)「名はニセモナー=ズモモモモモ、ご覧になればお分かりになるかとは思いますが、“左腕の使用”を代償としております。
       信用していただけましたかな?」

(;´_ゝ`)「うーん……まあ、じゃあ、一応」

(;'A`)「なんかよく分からんが、分かった」

(;'A`)(変な名前だってことは……)

(  ^¥^)「ああ、よかった」

ニセモナーは柔和な笑みを見せた。

(  ゚¥゚)「それで、あなたがた、なにか理由があってこんなところにいるのでは?
       見たところ、そちらのかたは幽体のようですし」


37名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:09:34 ID:ES/0.rIw0

(;'A`)「あっ。そうなんだ、あんた、ここには長くいるのか?」

(  ゚¥゚)「いえ、さほど……ちょこちょこ遊びには参りますが」

(;'A`)「髪が長くて黒い、女の、……死体、見たことないか?
    俺と同い年くらいの」

(  ゚¥゚)「ああ!それでしたら」

ニセモナーは彼の後方を指さす。

(  ゚¥゚)「向こうで眠っておられる方がいますよ。
       探し人かはわかりませんが」

(;'∀`)「恩に着る……!
    アニジャ、行こう」

( ´_ゝ`)「ああ。ありがとう、ニセモナーさん」

(  ^¥^)「お気をつけて」

ニセモナーはゆっくり傘を振った。手を振る代わりなのだろう。


38名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:11:02 ID:ES/0.rIw0


(;'A`)「……こっちであってるよな?」

( ´_ゝ`)「ああ、たぶん……」

ドクオはきょろきょろと辺りを見回すが、それらしき影は見当たらない。
元々都市だったせいで、高い建物がそびえているため、それらでさえぎられて見えないのかもしれない。

(;'A`)「くそ……」

( ´_ゝ`)「焦るなよ、ドクオ。大事なものを見落とすぞ」

(;'A`)「だが……」

ドクオは目に見えて急いている。

( ´_ゝ`)「あんまり焦ってもいいこと……
       あ。そういえば、いいものがある」

(;'A`)「?」

( ´_ゝ`)「えーっと……」ゴソゴソ

( ´_ゝ`)つ○「ほら」


39名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:12:02 ID:ES/0.rIw0

('A`)「なんだそれ?」

アニジャが取り出したのは、布が巻かれたなにかだ。

( ´_ゝ`)つ○「そういうことにしといてくれ」

(;'A`)「お、おう」

布をほどくと、なかから綺麗な細工が施された箱が顔を出した。

( ´_ゝ`)つ□「オルゴールだ。オルゴールということにしてくれ。
         見えなくてもこれはオルゴールだ」

(;'A`)「お、おう」

解いた布が邪魔だったのか、アニジャが首に巻く。

( ´_ゝ`)つ□「えーと……
         ネジを巻いてっと」マキマキ

( ´_ゝ`)つ□~♪♫♩

('A`)「あ……」


40名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:13:02 ID:ES/0.rIw0

( ´_ゝ`)「いい曲だろ。オトジャが、あ、俺の弟がくれたんだ。
       なにかあったり、焦ったときはまずこれを聞いて落ち着けってさ」

□~♪♫♩

( ´_ゝ`)「ほら、ちょっとは落ち着いたか?」

('A`)「……」

('∀`)、「……ああ、ありがとう。
    ……悪かったな」

( ´_ゝ`)「いいってこと。焦らずいこうぜ」

('∀`)「……ああ」

( ´_ゝ`)「しっかし、そういえば、任務の途中だったなあ。
       オトジャ、どうしてるかなあ」

mr02_boonpic2_768_20130803221151f42.jpg


42名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:14:02 ID:ES/0.rIw0

***

一方、シベリア皇国内の宿屋。
突然にオトジャが立ち上がった。

(゚<_゚  )「!」

lw;´‐ _‐ノv「うわっ、こわ、開眼こわ」

ξ;゚⊿゚)ξ「どうしたの、オトジャ!?」

(゚<_゚  )「アニジャがオルゴールを開けた!
      これで場所がわかる!!」

lw´‐ _‐ノv「うん、わかった、わかったから目は閉じて怖い。
        オルゴールって?なんか私の魔法より役立ちそう」

ξ;゚⊿゚)ξ「まあ、シューは探査系の魔法苦手だし……」

lw´‐ _‐ノv、「役に立たんくてごめんね……」

オトジャたちは、アニジャが忽然と消えた後、周りを探しても――といっても、見渡すばかり白い大地が広がるばかりで、探すも何もないのだが――アニジャは見つからず、シュールの魔法に頼るために一度街まで戻っていた。
しかしシュールの魔法でも探し当てられず、途方に暮れていたところだったのだ。


43名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:15:02 ID:ES/0.rIw0

(´<_` )「……アニジャに、オルゴールを持たせてたんだ。
       開ければ魔術が発動する……」

オトジャは耳のピアスに触れながら答える。

ξ;゚⊿゚)ξ「ど、どういうこと?」

lw´‐ _‐ノv「カレログみたいなもんかな?」

(´<_`;)「……やっぱり、消えたとこの近くみたいだ……。
       ……下か?」

ξ゚⊿゚)ξ「下……?」

(´<_`;)「行きましょう、ツン隊長、シュール。
       あそこが湖だったってんなら、落ちたのかもしれない……!」

lw´‐ _‐ノv「私の魔法で寒さは感じてないだろうけど、呼吸は持たないでしょうね。
        耳族は強いからまだ大丈夫だろうけど……急ごう」

シュールは転移魔法の準備を始める。

(´<_`;)「アニジャ……!」


44名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:16:01 ID:ES/0.rIw0

***

アニジャたちはオルゴールをしまい、また歩き始めていた。

('A`)「……あれ?」

( ´_ゝ`)「ん、どうしたドクオ?」

(;'A`)「……あれ、クーの服だ」

(;´_ゝ`)「服?」

ドクオの指さす先を見ると、確かに砂上に上着が落ちている。

(;'A`)「あのとき着てた上着だ……」

それだけ言うと、ドクオは走り出した。

(;´_ゝ`)「あっ、ドクオ!」

上着を拾い、ドクオは顔を上げる。
建物や水草でさえぎられた先に、すこし開けた場所があった。


45名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:16:56 ID:ES/0.rIw0

そこは、光で照らされた、美しい場所だった。
髪の長い少女が、花に囲まれて眠っている。

mr02_boonpic2_764_2013080218492078f.jpg

('A`)「……クー」

川 ゚ -゚)

目は開いているが、そこに光はない。
亡骸だった。

( ´_ゝ`)「……」

('∀`)「久々だな、クー。
    遅くなって、悪かったな」

ドクオはクールの頬を撫で、目を閉じさせた。
優しい手つきだった。

('∀`)「……アニジャ、ありがとな。無事にクーに会えた」

( ´_ゝ`)「……ああ」


46名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:18:03 ID:ES/0.rIw0

('∀`)「もうなんにも思い残すことはねえや。
    ……これで、向こうに逝ける」

ドクオの身体がどんどん薄くなる。

( ´_ゝ`)「ドクオ……」

('∀`)「アニジャ、ほんとにありがとな。
    またどこかで、会えるといいな。今度はちゃんと生きてる時にさ。
    ……その時はクーも一緒だ。な」

( ´_ゝ`)「……ああ。またなドクオ」

ドクオは頷いて、水面を仰いだ。

('∀`)「いい気分だ。すーっとする。
    これが成仏なのか、ははっ、お迎え、来るかな?」

そのとき、ぱぁっと周りが明るくなった。


47名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:19:02 ID:ES/0.rIw0


……ドクオ。


川 ゚ -゚)

ふわりと現れたのは、少女だった。
端正に整った顔、長い黒髪が水に揺れている、いつもは無表情なその顔は、穏やかだった。
白い柔らかな布を身にまとっていて、天使のようだ。
布はふわりとゆらめき、ドクオを包む。

('A`)「クー……?」

川 ゚ -゚)

('A`)「迎えに、来てくれたのか……?」

川 ゚ー゚)

クールは手を差し出す。

mr02_boonpic2_759_20130804222256bc3.png


48名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:20:03 ID:ES/0.rIw0

('A`)「クー……」

ドクオはクーの手をとった。

('∀`)「ありがとう」

光が一層強くなる。アニジャは目を開けていられず、とっさに瞑った。

もう一度目を開けた時には、そこには誰もいなくて、青い静かな都市が広がっているだけだった。

( ´_ゝ`)「……ドクオ、元気でな……」





(;´_ゝ`)そ「……っていうか帰り方聞くの忘れたぁぁぁぁ!!!!!??」

(;´_ゝ`)「っべー、っべーよマジ……どうやって帰んの?詰み?これ詰み?
      ツンだデレない」

(  ゚¥゚)「もし、そこのひと」

(;´_ゝ`)そ「ぬはぁ!?」

いつのまにかアニジャの後ろにいたのはニセモナーだった。
柔和に微笑んでいる。


49名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:21:10 ID:ES/0.rIw0

(  ゚¥゚)「彼、無事に会えたようですね」

( ´_ゝ`)「ああ。ありがとうございました」

(  ゚¥゚)「お役にたてて何よりです。
       ……ところで貴方、貴方も何かをお探しなのでは?」

(;´_ゝ`)「うん、帰り方をね……
       っていうか、そういえば、任務……」

(  ゚¥゚)「任務?」

ニセモナーが首を傾げる。

( ´_ゝ`)「ええと……お仕事で、空を落とさなきゃいけないんだよ」

(  ゚¥゚)「空を……?
      もしかして、空に行きたいのでしょうか?」

( ´_ゝ`)「う~ん……?」

アニジャはミルナの言葉を思い出していた。

――君たちには、空をシタラバ王国に近づけるという任務に就いて欲しい。
――空を落とせ!
――空を、具体的には月をシタラバに近づけてくれれば構わん。

( ´_ゝ`)「そういえば、月を近づけてほしいみたいだったなあ。
       徒歩で行けるくらいに近づけろって言われた」


50名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:22:02 ID:ES/0.rIw0

(  ゚¥゚)「それでしたら、方法がありますよ」

(;´_ゝ`)そ「えっ!?」

(  ゚¥゚)「ここが病の繁栄により水に沈められたことはご存じですか?
       奇しくもその病が沈められたことにより、年月を経て、ここの水が神聖な意味を得たようなのです。
       さきほどの少女、綺麗なままでしたでしょう?」

( ´_ゝ`)「そういえば……」

(  ゚¥゚)「水のおかげですよ。貴方がここにいるのも、先ほどの彼の願いに水が答えたからでしょう」

( *゚¥゚)「美しいことです……だから私も、ちょくちょくここに来るのですよ」ウットリ

(;´_ゝ`)「な、なるほど……」

(  ゚¥゚)「ああ、それで、この水にはそういった、不思議な力がありましてね。
      水面に映った空は、そのまま空につながっているようなのです」

(;´_ゝ`)「空に……!?」


51名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:23:03 ID:ES/0.rIw0

(  ゚¥゚)「ええ。だから、月が映っていれば、月に行けるでしょう。
      まあ、月の民でもない限り、すぐに追い出されるでしょうが……」

(*´_ゝ`)「いいこと聞いた!なにからなにまでありがとう、ニセモナーさん」

アニジャはニセモナーに右手を差し出した。
ニセモナーはしばし迷って、番傘を持ったままの右手を差し出す。
アニジャはその手を握った。

(  ^¥^)「困ったときはお互い様です。
        さあ、貴方は上に戻らなければいけないでしょう?転移魔法をかけてさしあげましょう」

( ´_ゝ`)「いいのか?」

(  ^¥^)「構いませんよ。……お達者で」

(*´_ゝ`)「ああ。また会おうな!」

ニセモナーは転移魔法の詠唱を始めた。


52名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:24:03 ID:ES/0.rIw0





(  ゚¥゚)「……無事に帰れましたかねえ」

ニセモナーは水面を仰ぐ。

(  ゚¥゚)「困ったときはお互い様ですよね。
       ちょうど今月困ってたんですよ」

ニセモナーは視線を下げると、番傘を握る右手を開いた。
手の中には、いくつかのピアス。
アニジャがつけていたものだ。

(  ^¥^)「ふふふ。いいもの貰いました」

それからもういちど、空を見る。

(  ゚¥゚)「……きっと、彼は成功するでしょう」

mr02_boonpic2_777_20130803220702ea7.jpg


53名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:25:03 ID:ES/0.rIw0

***

アニジャは無事に元いた場所に戻った。

( ´_ゝ`)「……あれっ、気持ち悪くない。
      やっぱシュールさんがへたくそなんじゃ」

(゚<_゚  )「アニジャァァァァァァ!!!!!!」

(;´_ゝ`)そ「うわっ、こわ、開眼こわ」

オトジャは無事にアニジャを見つけた。
オトジャはアニジャに駆け寄る。

(´<_`;)「怪我とかないか?よかった、心配したんだ、どこにいたんだ」

( ´_ゝ`)「ちょっといろいろあって……あっ」

(*´_ゝ`)「よろこべオトジャ、任務成功しそうだ!」

(´<_`;)「えっ?」



.


54名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:26:04 ID:ES/0.rIw0

***

( ゚д゚ )「リリ、大丈夫か、行けそうか」

⌒*リ´・-・リ「うん。わかるの、懐かしい香りがする……」

ミルナに湖のことを報告すると、彼はすぐさまリリを連れてきた。
シュールの魔法により溶かされた湖には、美しい月が映っている。

ξ゚⊿゚)ξ「空を近づけろって、リリちゃんのためだったのね」

( ´_ゝ`)「リリちゃん?」

ξ゚⊿゚)ξ「ミルナの養子よ。月の民の子なの。
      かぐや姫の子孫なんですって」

(´<_` )「なるほどな。愛想を尽かされたわけか」

lw´‐ _‐ノv「んーん、里帰りだってよ。一時帰省」

(´<_` )「なんだ……」

リリは水面すれすれに立った。
ついに月に行くのだ。


55名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:27:03 ID:ES/0.rIw0

⌒*リ´・-・リ「ミルナさん、すぐ戻るから。
       おみやげたのしみにしててください」

( ゚д゚ )「ああ、気を付けてな……」

⌒*リ´・-・リ「うん、いってきます」

リリはとぷんと水面に落ちる――否、月へ行ったのだ。

( ゚д゚ )「いってらっしゃい、リリ……」

ミルナは月を仰ぐ。月は美しく輝いている。


( ´_ゝ`)「よかったなあ。無事終わって」

ξ*゚⊿゚)ξ「これで報酬がもらえるわね」

(´<_` )「ああ。道具も材料も買える」

(*´_ゝ`)「チョコでもつくろうかなー」

lw´‐ _‐ノv「なになに、アニジャお菓子作れるの?」

(;´_ゝ`)「あっ……まあ、一応」

四人は会話をかわしながら帰路につく。
ミルナはずっと月を見上げていた。


56名も無きAAのようです :2013/02/11(月) 22:30:52 ID:ES/0.rIw0

lw´‐ _‐ノv「……そーたいちょー帰らないのかな?」

(´<_` )「里帰りなんて言ってたが、たぶん今生の別れなんだろう。
       かぐや姫だって帰ったらそれっきりだったじゃないか」

( ´_ゝ`)「そうだっけ」

(゚   )

月を見るミルナの後ろ姿はどこか悲しげだ。

ξ゚⊿゚)ξ「……いまは、そっとしといてあげましょ」

( ´_ゝ`)「そうだな……」

四人はミルナを残し、その場を去った。





一週間後。

( ゚д゚ )つ○「月見団子。リリからのおみやげだ」

( ´_ゝ`)そ「普通に帰ってきたんだ!?」


おわり



 ※ 第二話に続きます
 ※ ミニラノベ企画 (13/02) 参加作品
黒魔術師の月渡しのようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1360585718/



コメントの投稿


 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。