まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ('A`) 無題 / ,' 3


669名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 18:47:47.78 発信元:50.132.55.159 !
/ ,' 3 おや、お帰りになられましたか。しかし幾ら歩き回っても、
    なんにも無い、さみしい村でしょう。

('A`) まさかそんな。風情のある村じゃあないですか。
    三日歩き続けても、まったく飽きることがない。
    日が暮れなければ、僕は未だ探索していましたよ。

/ ,' 3 そうですか。

('A`) ええ。

/ ,' 3 明朝にはお帰りになるんですね。

('A`) そうですね、背広に袖通す日に戻ってしまいます。

/ ,' 3 それはそれは。

('A`) ………。

/ ,' 3 どうかされましたか。

('A`) いえね、帰る前にちょいとした疑問を解消したいんですよ。
    つまり、教えてほしいことがあるな、と。




670名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 18:53:47.32 発信元:50.132.55.159 !
/ ,' 3 そういいますと。

('A`) 僕はずうっと歩いたんですが、この村には
    神社とか寺が全く見当たりませんでした。
    ないんですか、そういうのは。

/ ,' 3 ありませんね。

('A`) 野地蔵やらもありませんね。国道へ戻る麓にも
    ありはしない。村もそうなんですよね。

/ ,' 3 地蔵もありません。

('A`) どうしてですか。

/ ,' 3 ………。

('A`) お気に触ったらすみません。ですが、僕は少しばかり
    興味があったのです。山奥の村という偏見で語っている
    わけではないのですが、民間信仰や何やらあるのでは、なんてね。
    摩尼光仏でも崇めていれば、それはもう大収穫だなんて睨んでて。
    ところが、一般的な仏教さえ見当たらないものですから。

('A`) 奥の、あの溜池の方まで歩いたんですが、不思議な
    空き地がありました。なにかが建造されていたようですが、
    風化が激しくって何も読み取れやしない。ところが
    見たところ、破壊された寺のようなんですよ。
    昔はこの村も、仏様を崇めていたということですよね。


671名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 18:57:08.22 発信元:50.132.55.159 !
/ ,' 3 昔は、そうでしたね。私が生まれる遥か昔のことですが。
 
('A`) 理由を知っているなら聞かせてくださいよ。どうにも
    気になって寝付けやしません。充血眼で山を下るのは御免です。

/ ,' 3 あんまり愉快な話ではないんですがね。

('A`) 構いません。


/ ,' 3 それはもう大昔、お侍さんが居たなんて頃の話ですがね、
    この村には犬小僧ちゅう化物が現れたそうなんですわ。

('A`) 犬小僧、ですか。

/ ,' 3 はい。見た目は人間の若者と変わりないが、それはまやかしで
    やせ細った野犬が正体、ま、妖怪の類と思って頂ければ。

('A`) そんな奴がこの村にやって来た、と。

/ ,' 3 そういう話ですが、語り継がれるうちに変な尾ひれが
    ついただけかも知れない。ともかく伝承によれば、彼ははじめ、
    旅人の格好をしてこの村にやって来たそうなんです。


672名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:00:57.61 発信元:50.132.55.159 !
・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・


( ・∀・) 腹が減っておるのです。頼む、なにか食わせてくれ。

 と、一軒々々まわってそんなことをお願いしたそうだが、
村民は不審な旅人を警戒して追い返したそうだ。そんななか、
とある娘が不憫に思って、彼に腹一杯の飯をご馳走したそうです。

 ほう、それでどうなったんです。

 その若者は、茶碗を平にすると、涙目になって正体を明かした。
曰く、

( ・∀・) 俺は今はこんな格好をしているが、実は人間に化けた
      犬なんだ。人間には疎まれ孤独に暮らしてきたところ、
      俺は最後の望みとばかりにこの村へやって来た。

( ・∀・) ありがたい、ありがたい。なんて美味な飯だろう。
      人間にはあなたのような優しいのもいたのだ。


673名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:04:56.87 発信元:50.132.55.159 !
 娘は大層驚いたそうだが、その話をすぐに信じたらしく、
家族にも彼の正体を告げた。噂はやがて村に広まって、犬小僧は
たちまち話題の種になったそうで、面白半分で覗きに来る奴が絶えない。

 それで、どうなったんです。

 ところがあるとき、住職が犬小僧を一目見るなり

(´・ω・`) これは邪な奴だ。いますぐこの村から追い出さなければ。

 と怒鳴り散らした。彼と仲のよい豪農が賛同すると、
村民はすぐに犬小僧を邪険に扱いはじめた。終いには、
彼は寺の一角に幽閉され、食事も水も絶たれたので、

( ・∀・) この野郎、さっさと出しやがれ。でなきゃてめぇら
      呪い殺してやる。おい、俺を見て笑うんじゃねえぞ。
      腹が減っちまった。空腹だ。米をくれ。水をくれ。
      つらいんだ、腹が減ってつらいんだ。

 犬小僧は最初は威勢もよく啖呵を切っていたが、次第々々に
衰弱し、そして絶命した。坊さんが朝になって確認すると、
遺体は人間ではなく、やせ細った犬のそれになっていたらしい。

 ………。


674名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:09:12.34 発信元:50.132.55.159 !
 その夜、村の敵を討ったと宴が開かれた。ところがそうするうち、
犬小僧を殴りつけて引っ捕えた若者の一人が苦しみはじめた。

(’e’) うう、腹が痛い、喉もかさかさに乾いちまった。

 その若者は、それで。

 彼は宴の最中というのに、極度の空腹状態であったそうだ。
宴の品々を食らい尽くしても、井戸水をどれだけ飲んでも
空腹が収まらない。それから彼はこう叫んだのだ。

(’e’) ああ、犬小僧に呪われちまったんだ、俺は、犬小僧に。

 村人は彼を心配したが、それ以上に恐怖に駆られた。
家の前に塩をまき、それでもなお恐ろしくて寺にお布施をした。
村が静かに混乱していたところ、とうとう彼は鉈で喉を裂いて自害した。

 ………。

 ところが呪いはそれでも収まらない。次に空腹で苦しみだしたのは、
その若者を揶揄していた狩人だった。狩人は山で倒れて、やはり
同じように苦しみだした。……まあ、連鎖的にどんどん呪われたんです、
犬小僧にね。


676名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:12:26.31 発信元:50.132.55.159 !
 犬小僧を邪険にした者がですか、それとも憑かれた者を。

 結果では後者ですが、呪った犬小僧は特にそんな理屈の
通りに動いたわけではないでしょうな。ともかく、その狩人は
無限の空腹に囚われた。恐れをなした村人は彼にたらふくの
馳走を用意したが、彼の腹は延々と鳴り続けた。
しかしあの月のよく出た夜、彼に飯を献上したのは
村の娘……そう、最初に犬小僧を助けたその人だったらしい。

ミセ*゚ー゚)リ 私が用意できたのはこれだけですが、どうぞ。

 と言いながら、娘は狩人に握り飯を差し出した。狩人が必死に
貪るなか、彼女は泣きながらこう懺悔したそうだ。


677名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:16:15.01 発信元:50.132.55.159 !
ミセ*;ー;)リ ああ、犬小僧さん。あのときは救えず申し訳御座いませんでした。
       私は坊さんが邪な者と告げたそのときから、恐ろしくて
       手を切りたくなったのです。

ミセ*;ー;)リ しかし、あなたは未だに空腹に苦しんでいる。それを
       助けなくて、なにを善と呼ぶのでしょう。私はあなたを
       恐れていました。しかし、それ以上に助けたいのです。

 それを聞いた狩人は、笑顔になり。二つばかりの握り飯で
満足したといい、おだやかに、

(・∀ ・) あんたはやはり、優しかった。俺はこの村を破滅させて
      やろうと思っていた。呪い尽くしてやろうと考えた。
      だがあんたの優しさに触れ、助かった気分だ。
      未練がましく誰かに憑くことは止めよう。さようなら。

 そうして狩人は絶命し、犬小僧は満足して天に昇ったといいます。

 狩人のそいつは道連れになったんですか。まあ犬小僧の
気持ちも分からなくはない。要するに彼は愛情のこもった飯が
食べたかったんですかね。だから握り飯二つで満足をした、と。


678名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:20:25.47 発信元:50.132.55.159 !
 かもしれません。

 なるほど、なるほど。それは大層いい話ですが、
しかし何というか、犬小僧は成仏したんですか。だったらそれで
チョンじゃないですか。元凶は居なくなったのだから。

 いいえ、むしろ村はここから悪化していく。何故なら犬小僧の
成仏して直ぐに、

( ,,^Д^) 犬に憑かれた、馳走を寄越せ。

( ><)とりつかれて空腹なんです。

 と、取り憑かれたと騙る者が続々と現れたんですわ。
まあ、彼らは正常なのだから、無論、たちまち満腹になる。
そうすると、ああ治ったぞう、なんて笑いながら去っていくんです。

 罰当たりな連中も居たもんだ。そいつらは、村人なんですか。

 ええ、そうです。犬小僧の話は恥だからと、余所者には話して
いなかったそうなので。だからこうして私があなたに話すのも、
先祖は怒り狂うかも知れない。

 それはそれは。


679名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:24:19.43 発信元:50.132.55.159 !
 さて、犬小僧に憑かれたと騙る者はどんどん増えていった。
同じ日に三人が憑かれたと、揃って言い出したこともあったらしい。
村人は犬小僧が恐ろしくて、馳走をどんどん差し出したし、
坊さんもお経を唱えて回ったが、時が経つにつれて
犬小僧に憑かれたなんて話は、どんどん不審がられた。

 それはまあ、そうでしょうね。

 ある不作の季節、一人の老人が憑かれたと喚き散らした。
もうこれ以上、何かを差し出すのは嫌になったんでしょうね。
村人はその老人を袋叩きにし、最終的には殺してしまった。

 え、殺してしまったんですか。

 そうです。ここから先は、憑かれたと嘘つく者は殺されるんです。

 過激ですね。そりゃま、腹の立つ話には違いないけれど。
最後の藁になった老人には、ちょいと同情してしまいます。


680名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:29:20.27 発信元:50.132.55.159 !
 不作で、明日の食事にも困る頃でしたからでしょう。今までの
鬱憤もあって、それが一気に爆発した、と。……村人は怒り狂い、
嘘吐きは居なくなりました。ところが、それでも怒りは収まらない。
それで次の標的は、お寺になったのです。

 どうしてですか。犬小僧を悪と言い切ったせいだと。


・・ ・・
・・ ・・・
・・ ・・・・



/ ,' 3 いいえ、住職が役立たずだったからです。念仏を
    唱えようと、犬小僧に憑かれたという者は絶たなかった。
    お布施したのに、なんの効果もないではないか。
    それなら最初から居なければよかった、と。
    信仰を疑って掛かり、排除していったのです。


681名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:32:59.48 発信元:50.132.55.159 !
('A`) 身勝手ですね。別に坊さんに同情するわけじゃないが、
    お布施に露骨な見返りを求めちゃあいけない。
    ……それが、この村に信仰がない理由ですか。

/ ,' 3 そうです。村人は仏を信じなくなった。彼らは寺を焼き払い、
    先祖の墓を蹴飛ばして、地蔵は叩き壊した。

('A`) いくら不作で鬱憤が溜まっていたからって、酷いもんだ。

/ ,' 3 ええ……。

('A`) 
村人は犬小僧さえ信じなくなったんですか。

/ ,' 3 いや、犬小僧は居たと考えていた。それほどまでに
    恐怖していたのです。あの娘は、犬小僧の終焉を見届けて
    村人にそれを教えても、彼らはまだ呪いに怯えていたといいます。
    脅威が去ったことを、信じられなかったのでしょう。

 


682名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 19:35:58.28 発信元:50.132.55.159 !
('A`) 坊さんも哀れなものですな。居もしない化け物のために
    駆けずり回って、最終的には寺を焼かれちまうんだから。
    まあ、犬小僧が居ないと見抜けなかったのには笑ってしまうが。

/ ,' 3 それが信仰の限界です。話の結末がどうであれ、
    犬小僧の呪いが蔓延するのを止められなかった。
    今では犬小僧が実在したかは疑わしい。しかし事実、
    村人は最終的に仏を信じなくなり、寺を焼き払った。

/ ,' 3 焼き討ちをしてからの村の事情は、お寒い限りです。
    他の人間を疑って掛かり、助け合いを拒むような
    慣習が出来上がると、どんどん寂れていって、この有様。
    ……散歩しているときに、村の若いモンは見ましたか。
    見なかったでしょう。もうこの村には、年老いた者しか居ない。

('A`) ええ。見なかったですね。

/ ,' 3 他人を疑い、助けを拒み、自滅していった結果です。

('A`) ところで、何も信じない慣習が出来たという割には、
    犬小僧だなんて伝説が残っているじゃないですか。
    不思議なものですね。……だってそうでしょう、
    犬小僧を実際に見た者ならともかく、その次、また
    更に次の世代にもなれば、そんな伝承は立ち消えそうなものですが。


685名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 20:02:05.44 発信元:50.132.55.159 !
/ ,' 3 そうですね。言い訳のための伝説
    かもなんて、若い頃は思ったのですが。

('A`) 言い訳……ですか。

/ ,' 3 ええ。もしかしたら、犬小僧に恐れた村人など
    初めから居なかっただけかも知れない。たとえば、
    強欲な住職がいて、それに立腹した村人が信仰を
    追い払っただけなのかもしれない。

('A`) 真実を言いたくないために、犬小僧だなんて話を作った、と。

/ ,' 3 伝承なんて、或いはそんなものかも知れません。
    残された事実は、村人はなにも信仰しないということだけ。
    何も信じない癖に、犬小僧の伝承だけは語られていますが。

('A`) 何も信じない、か。じゃあ俺の正体は
    実は犬小僧の生まれ変わりで復讐に来た
    だとか言っても、誰も信じようとしないわけだ。


686名無しっていいもんですね :2013/08/02(金) 20:04:06.59 発信元:50.132.55.159 !
.


/ ,' 3 ええ。だァれも。そんな嘘は切り捨てますよ。

('A`) そりゃそうか、はは、いや参ったな。

/ ,' 3 みんな、訳の分からないものは無視して掛かるんです。
    手の出しようがないんだから、信じるつもりもない。
    信仰する必要もないし、恐れることもない。
    なんせ、相手は姿が見えないんですから。

/ ,' 3 それが仏様であれ、化物であれ。

('A`) はっはっは、はっはっはっはっは………。





                      (終)



>>705より 支援絵
boonpic2_1083.jpg

( ^ω^)ブーン系小説シベリア図書館のようです★48
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1367165115/

[ 2013/08/02 21:49 ] シベリア | CM(0)
[タグ] ('A`) / ,' 3


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