まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ( ^ω^) 無題


50VIPがお送りします :2013/06/19(水) 23:54:28.70 ID:QqJhvYf10
::(;^ω^)::「うひー。さみぃさみぃ」

正午過ぎの、しかし2月の冷たい風を自転車をこぐその身に正面衝突させながら、俺はいつもの通学路をひた走っていた。
大学に講義を受けに行ったのだ。
しかし金曜日の今日は俺の採っている授業が午前の2コマしかなかったため、平日の昼間にも関わらずこうしていそいそと帰宅しているのだ。
すごく寒いので、早く帰ってストーブにあたりたい。

::(;^ω^)::(あーさみぃ!さみぃ!凍え死ぬお!)

::(;^ω^)::(なんなんだおこの寒さ!都会は冬でも暖かいなんて、そんなの嘘だお!)

::(;^ω^)::(チャリ漕いでるせいで風がもろに顔に当たるし……痛みで感覚が無くなってきそうだお……)

::(;^ω^)::(あーもうくそ!顔がしもやけで腫れる前に、さっさと家に帰るお!!)

::(;^ω^)::(うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!)

こうして俺は、感覚ではもう音速を超えてんじゃないかってくらいのスピードを出しながら、ひたすら家を目指して自転車を漕ぐことに集中していた。




51VIPがお送りします :2013/06/19(水) 23:55:50.22 ID:QqJhvYf10
しかし忘れてはならないのが、ここは都会だということ。
地元と違うのは縦横無尽に張り巡らされた道路の多さ。

::(;^ω^)::(ガッデム!!こういう時に限って赤信号とか!!うああああ)

早く帰りたがっている俺をあざ笑うかのように、赤信号が進行を阻害する。
横断歩道の手前で立ち往生しているその間にも、冬の冷気が露出した顔や手をチクチクと攻撃してくる。

::(;^ω^)::(寒さが痛い……震えが止まらない……鼻水も凍る勢いだお……)

::(;^ω^)::(ちくしょう……もう、ダメかもしれないお……腹も減ってきたし……ああ、神様……)

::(;^ω^)::(ん……?……腹?)

唐突に思い出した。
そういえば、今はもう正午を回っているのだった。
腹が減るのも道理である。
そこで俺は、赤信号を睨みながら、今日のお昼ご飯は何にしようかと考えを巡らせることにした。

::(;^ω^)::(やっぱり、こんだけ寒いんだし、温かいものが食いたいおね……)

::(;^ω^)::(家には……だめだ。冷蔵庫の中は確か空だお。何か買わなきゃ……)

::(;^ω^)::(スーパーは今行ったら多分途中で死んでしまうおね……。コンビニでカップ麺でも……お?)

ふと視線を脇にずらした俺は、向こうの赤信号の奥に、光を見たのだった。
そう、命の休息所。なか卯を―――。


54VIPがお送りします :2013/06/19(水) 23:57:05.30 ID:QqJhvYf10
そういえば通学路の途中には、なか卯があったのだった。
吉野家では牛丼大盛りが480円もするところ、なか卯ではこれを390円で提供しているという大変リーズナブルなお得感満載の全国チェーン店だ。
普段外食などはあまりしないため、ここに建っていることをすっかり忘れていた。
俺はなか卯の存在を認めるやいなやここに寄ろうと即決し、横断歩道を渡りきってから、店脇に自転車を停め、駆け足で入店した。


「いらっしゃいやせーーーぃ!!」

(*´ω`)(ほぁ~~~。あったけ~……)

自動ドアを潜り抜け店に足を踏み入れると、暖房の暖かさが冷たくなった顔を優しく撫でた。
この感覚を味わうことができただけで入店して良かったなと思えてくる。
さらにこれからあったか~い食事で腹ごなしまでできるのだ。
文句無し。なか卯様様だ。

( ^ω^)(どれにしようかお~♪)

券売機の前で少々逡巡したものの、結局は牛丼大盛りのボタンをプッシュし、カウンター席に腰を下ろした。

平日の正午過ぎ(時計を見ると1時半近くだった)ではあるが、普通の社会人のお昼休憩の時間帯は過ぎていたようなので、
少々狭い店内に客は多すぎず少なすぎず、俺の他に4人ばかりがいる程度であった。
天井のスピーカーからは最近流行りのアイドルの曲が流れていて、しかしその音楽に耳を傾ける暇もなさそうにして店員は動き、
客は飯をかっ食らっている。


55VIPがお送りします :2013/06/19(水) 23:58:29.79 ID:QqJhvYf10
「こちら、あったかいのになりまーす」

店内の様子を見まわしていた俺の前に、お茶が配膳された。
もちろん温かいやつだ。
湯呑みを手で優しく包むと、掌がジーンと熱を取り戻していく。
飲むと体の芯から温められ、ポカポカしてきた。

(*^ω^)(うはぁ~あったけぇ~)

(*^ω^)(寒さもなくなったし、これで牛丼を食う準備はバッチリ整ったお!)

そうして、可愛らしいピンクのマフラーを巻いた、冷気に身を震わせる女学生が歩く外の様子や、テーブル席に座っている40代くらいのおっちゃんがうどんをすすっている様子、
厨房の向こうで忙しなくしている若いアルバイトの様子なんかをなんとなく見たりして、牛丼大盛りが出来上がるのを待った。


58VIPがお送りします :2013/06/19(水) 23:59:46.70 ID:QqJhvYf10
それから1分後。

「お待たせしゃーしたーこちら!牛丼大盛りになりまーす。以上でよろしいですか?」

( ^ω^)「あ、はいですおー」

「ごゆっくりどぞーぅ」

流石はチェーン店。もう目の前に牛丼が配膳された。
ちょっと大きく深さのあるどんぶりには、下にある米が見えないほどに牛肉が、それはもう所狭しと盛られている。
今まで店内に響く食事の音と漂う匂いで空腹加減をピークにさせられていた俺はもう、コレを見ているだけで涎が止まらない。

(*^ω^)(くぅ~~~!もう我慢できねぇお!!!)

心中でいただきますを唱えた後、早速牛丼を食らいにかかる!

(*^ω^) はむっ!ハフハフ!モグモグ!ハフハフッ!


60VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:00:57.99 ID:tkzvlRXT0
(*^ω^)(んおおおおおおーーーーーーーーーーー!!!!!)

瞬間、牛肉の優しいうま味がジュワァーっと、口内いっぱいに広がった。
少々濃いめにつけられた砂糖と醤油のあまじょっぱい味が肉にたっぷりと染み込んでいる。
太く切られた玉ねぎは熱処理によってラメ色に輝き、とろけるような自然の甘さを醸し出す。
また牛肉に絡まるように入っている白滝の、独特のプルプルコリコリとした食感は牛肉の歯ごたえと相まって咀嚼を止めさせない。
これらが白飯とコラボレーションし、食す者に抜群の味わいと満足感をもたらすのだ。
箸と顎が、もう止まらない。

(*^ω^)(なんという……なんという破壊力!!)モグッモグッ!

(*^ω^)(体が温まる!腹がふくれる!舌が……舌が幸せだああああ!!!)ハムッハムッ!

(*^ω^)(うおおおおおおおお!!!)ハフッハフッ!!


61VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:02:22.76 ID:tkzvlRXT0
(*^ω^)(うまっ!うまっ!)

(´・_ゝ・`) ウィーン

「いらっしゃいやせーーーぃ!!」

そうして丼ぶりの3分の1程度を食した俺だったのだが、新しく入ってきた客がちらと目に入った。
その客も同じく牛丼を注文したようで、間もなく丼ぶりが彼の前に配膳された。
しかしその客は出された牛丼には真っ先に手を付けず、目の前にあるビンの蓋を開けたのだった。

(´・_ゝ・`)つ□ カパッ

( ^ω^)(……何をやっているんだお?)

つい、気になって、牛丼を食べるのを止めて彼のほうを注視する。
すると、彼はおもむろにビンの中身を、小さ目のトングを使ってつまみ、自分のどんぶりの中に入れ始めたのだ。

そう、あの紅く輝く細長に切られた物体は……まごうことなき「紅しょうが」!
しかもそれを丼ぶりに入れる手は全く止まる気配がなく、ついにとんぶりの中心に東京タワーでも築かれたように山盛りになってしまった。


63VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:03:46.27 ID:tkzvlRXT0
(;^ω^)(や、やべぇお……。あれじゃもはや、紅しょうが丼と言っても差支えないお……)

(;^ω^)(あんなことして美味いのかお?……うわ、食い始めた……)

(;^ω^)(……とても美味そうには見えないお……。……でも)

普段紅しょうがを好んで食さない俺だったが、しかし些か興味が沸いてきたのだった。
よく紅しょうが愛好家は、牛丼や焼きそば、ラーメンなんかには紅しょうがをまず真っ先に入れて食さなければ気が済まないらしいと噂される……。
彼らを夢中にさせる紅しょうがとは、一体全体牛丼に入れると如何様な味がするものなのか。


66VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:05:29.46 ID:QqJhvYf10
(;^ω^) ゴクリ…

俺は目の前にどうぞご自由にお使いくださいとばかりに置かれている紅しょうがの入っているビンから中身を、まずは少量だけと丼の上に乗せてみた。
それだけで、俺にとっての牛丼とは全く別物のなにかが出来上がったような気がして、思わず苦笑いをこぼしてしまった。

(;^ω^)(……)

(;^ω^)(やっぱり、失敗だったかお……?)

(;^ω^)(そもそもこの紅しょうがって代物は、食べて美味しそうな見た目をなしてないんだお)

(;^ω^)(なにこの不自然な紅色……。牛肉の茶色の上にはあまりにもミスマッチだお……)

(;^ω^)(……しかし……それでも……)

それでも、俺は意を決して牛肉、白米、そして紅しょうがを一斉に口に放り込んだ。


67VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:06:56.92 ID:tkzvlRXT0
  _,
( ^ω^) モグモグ…

紅しょうがの冷たさが温かい牛丼と一緒になると、少し不自然さが口内にもたらされた。
がしかし、これの神髄は咀嚼をしていくたびに徐々に、徐々に発揮されていったのだった。
  _,
( ^ω^) モグモグ…

( ^ω^) ?…モグモグ

( ^ω^)(あれ?美味い……?)

噛めば噛むほど、当然食べているものは細かく砕かれ、口内でまざり合う。
丼ぶりの上ではそれぞれ別の食材だった牛肉と白米と紅しょうがが、段々と一つの食べものとして融合していく。
その時、俺は実感した。

( ^ω^)(そうか!これは……紅しょうがは……『しょうが』なんだ……!!!)


69VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:08:31.32 ID:QqJhvYf10
何を当たり前のことを言っているんだお前はと思われるかもしれないのだが、しかし俺にとってこれは衝撃の事実であった。

そう、紅しょうがは『しょうが』。
肉に合わないはずがなかったのだ。
スパイシーなしょうがの風味が牛肉とまざり合い味わうことで、肉のうま味が幾分にも増幅させられていく。
シャキッとしたその歯ごたえも、今までの"俺にとっての牛丼"に新たに融合することで新鮮な感覚を与えてくれる。

さらに、これはなんとも不思議なことなのだが、牛肉とまざり合い味わう中でもちゃんと紅しょうがは紅しょうがとしての味を主張し続けているのだ。
つまりこの時の俺は、『紅しょうが入り牛丼の味』と『紅しょうがの味』の2つを同時に味わえたのだ。
文字に起こすと実に奇妙なことだが、しかしこれが俺が感じた率直な感想だ。

(*^ω^) ハフッ!モグッモグッ!ハフハフッ!!

一言で言い表すと「さらに美味くなった」だ。
そこからはもう止められない。
すぐさままた紅しょうがが入っているビンに手を伸ばし、その中身を丼にのせる。
一口。うまい!二口。うまいっ!!
堪らず丼ぶりを持ち上げて口の中にかっ込む。

こうして俺は、米粒1つも残さずに牛丼大盛りを完食したのであった。


70VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:09:52.96 ID:tkzvlRXT0
(*^ω^)(ああ……幸せだお……)ゲフー

空になった丼ぶりを眺めながら、残っていた温かいお茶もぐいっと飲み干す。
ホッと一息ついたところで、心の中でごちそうさまを唱えた。

……さあ、帰ろうか。
満足感をたずさえて、席を立った。

「ありがとうございやしたーーー!」

店員の声を背に自動ドアを開けた。
そういえば外が凍えるように寒いことを忘れていたが、温まった体に受ける風は心地よく、解放感が体を突き抜けていった。


71VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:11:07.25 ID:tkzvlRXT0
自転車にふたたび跨り家へと向かう途中、俺は考えた。
どうして紅しょうがというものを、今まで疎んじて使ってこなかったのだろうと。
俺だけじゃない。他にも碌に試したことがないのに、食わず嫌いで紅しょうがを使わない人が大勢いるはずだ。

やはり、原因はあの色にあるのだろう。
紅色という他の食品の色合いと微妙に馴染まず、どうしても浮いてしまう感じになってしまうのがいけないのだと思うのだ。
しょうがとはっきり名前に付いているのに、あの色のせいで紅しょうがは『しょうが』なのだという事実に、俺がそうだったように皆気付くことができずにいるのではないだろうか。

( ^ω^)(なんて、馬鹿らしかったんだろうお……)

そう、馬鹿らしかった。
物は試しで恐れずに使ってみればよいのだ。
何故ならば紅しょうがは『しょうが』なのだから。
あの浮いた紅色も風情として認識し、しょうがとして食べることで、きっと皆新たな世界への扉を開けるはずだ。


72VIPがお送りします :2013/06/20(木) 00:11:53.24 ID:tkzvlRXT0
( ^ω^)(しかし、全然寒くならないおね……。あ、そういえば!)

そういえばしょうがには体を温める効果があったっけなんてことを思い出しながら、俺は空を見上げ、白い息を吐いた。








おわり



( ^ω^)ブーン系小説総合案内所のようです
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1371639180/

[ 2013/06/22 19:01 ] 総合短編 | CM(0)
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