まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ( ^ω^)真夏日の記憶のようです


63名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:12:20 ID:OZTqXe120


カタンカタンと軽やかな音を立てて走る列車は、そこそこに空いている。
少なくとも一人でボックス席を占領できる程度には人が疎ら。

7月に入り暑さもいよいよ本格的で、
けれど冷房の効いた車内ではそういうかったるさを感じない。
なんとなくぱたぱたと手にした紙で仰いでしまうのは、夏だからなのだろう。

( ^ω^)「…おっ」

窓の外に目をやると、一面に広がるヒマワリが風に揺れていた。
窓越しではあるけれど、さわやかな夏の香りが突き抜けたかのような感覚を覚えて。


ふと頭をよぎる、少女の顔。


ちょうど7年前ぐらいになるのだろうか。
僕がまだ少年と呼ばれても差し支えなかった、あの頃。
スケッチブックを抱えては、何かを見つけようと気まぐれに遠出を繰り返していて。

そんな僕が出会った彼女のこと。

長い間放っておいた記憶のページを、今―――




64名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:13:10 ID:OZTqXe120




( ^ω^)真夏日の記憶のようです


65名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:14:03 ID:OZTqXe120


( ´ω`)「おー…暑い」

じりじりと照り付ける太陽を見上げて、大きくため息をついた。

隣町の野原までやって来たはいいけれど、まさかここまで暑いだなんて。
薄々わかっていたのにもかかわらず、家を出るとき面倒がって水筒を持ってこなかった自分が恨めしい。

( ´ω`)「仕方ないかおー…」

どうせ、いくら嘆いても涼しくはならないのだ。
のろのろとした動きでスケッチブックを開き、ポケットから鉛筆を取り出す。


一旦目をつむって、開いて。


( ^ω^)「…」

さらさらと鉛筆を滑らす。
目の前の風景をそのまま写し取るように。
何も考えず、ただ記録を取るように。

時間の流れも忘れて。
自分を苦しめている、馬鹿みたいな暑さも忘れて。

ζ(^ー^*ζ「ばあ!」

(;^ω^)「おおおお!!?」

描いていた線がぐにゃりと歪んで、そなまま思いきり前に転ける。
みっともない体勢のまま頭を押さえて振り返って。
にっこりと笑うふわふわした二つ結びの女の子が、いた。


66名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:14:50 ID:OZTqXe120


ζ(゚ー゚*ζ「何してるの?」

( ´ω`)「それはこっちの台詞だお…」

わざわざしゃがみこんで目を合わせ、興味津々といった体で僕に問いかけるその子。
空色のワンピースと頭に乗せた大きな麦わら帽子が涼しげで。

けれど、そのどちらにも見覚えはない。

( ^ω^)「君は誰だお?」

ひょいと起き上がって、あぐらをかいて、聞いてみる。

ζ(゚、゚*ζ「私は私よ?」

人差し指を下唇に当て、不思議そうに首をかしげて。
いや、そうじゃないだろ。
心の中で突っ込みを入れつつ、けれどそれは顔へ出さずに、口を開いた。

( ^ω^)「名前だお、名前」

ぱっと立ち上がって、おどけたように笑ってみせて。

( ^ω^)「僕はブーンで、君の名前は?」

それは勢いよく吹き抜ける、風の音のような―――

ζ(^ー^*ζ「デレ!」

それでいて咲き誇るヒマワリのような、明るさに溢れた声だった。


67名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:15:44 ID:OZTqXe120


きゃーと楽しそうにくるくる回り、かと思えばぴたりと止まって座り込む。
目が回ったのか、なんて考えて。

ぐい、と近付いた顔に驚いた。

ζ(゚ー゚*ζ「ブーンは何をしているの?」

甘い香りがふわり、ただよって。
思わず目をそらしてしまう。

( ^ω^)「おー、絵…を描いてるお」

よどむ言葉に違和感を感じつつ、垂れた冷や汗も気付かない振りをして。
さりげなくスケッチブックを自分の後ろに回した。

何故そうしたのか、よくわからない。

でも、嫌だった。
絵を描いていることが嫌だったのか、自分の絵が嫌だったのか。
わからない、けれど。

ζ(゚ー゚*ζ「見たいな、私」

ぽつりと、溢れたデレの声に、はっとする。

ζ(^ー^*ζ「ブーンの絵、気になるよ」

草原の太陽。
浮かべた笑顔は、ぱっと咲いた花のよう。
彼女の手には既に、僕のスケッチブックが乗っていた。

照らして欲しかったのかもしれない。
目の前に現れた太陽に、そのまま焦がされたかったのかもしれない。

とにかく僕は無意識に渡していて。
彼女はゆっくりと、その表紙に手をかけた。


68名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:17:43 ID:OZTqXe120


ζ(-ー-*ζ「カメラ」

全てのページをめくり終えて、デレは一言、そう言った。
スケッチブックを膝に置き、ぱちぱちぱち、と拍手して。

ζ(^ー^*ζ「ブーンの絵は本当に本当に上手、それこそ写真みたいに」

にっこり笑って、そう言った。
それは心の奥にしゃんと響いて、けれど嫌味な含みは一切無く。

―――写真。

一つの単語。
僕の手は、カメラ。
ばらばらの単語が繋がり始める。

( ^ω^)「…閉じ込めてるんだお」

気付けば、声に出していた。

( ^ω^)「僕は多分、描いているんじゃなくて」

そう。
そうだ、気付いていた。
カメラである僕に出来るのは、

( ^ω^)「―――写している、だけなんだお」

それは足りなかったパズルのピース。
今まで仕舞い込んでいた、一つの答え。

僕は、がむしゃらに写し続けることが、嫌だったんだ。

ζ(-ー-*ζ「そっかぁ」

デレはそれを聞くと考え込むように目をつむり、むーと唸って。
ブーンはそれで満足していないんだね、と呟いた。


69名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:18:28 ID:OZTqXe120


ζ(゚ー゚*ζ「私、私ね、もっと自由に描いて良いと思うの」

( ^ω^)「自由に…?」

デレはこくりとうなずいて、膝上のスケッチブックを一枚めくった。
転がっていた鉛筆を拾い上げ、そこら中を見渡しながらゆっくりと描き込んでいく。

それは青空を悠々と泳ぐ不思議な形のサカナであったり。
それは可愛らしい音符を流す大小さまざまなゼンマイであったり。
それは葉の間にかけられた小さな小さな虹の橋であったり。

それはもう、愛らしい嘘ばかりの、絵で。




ζ(ーーー*ζ「ブーンは、私の絵をみてどう思う?」

ふいに描きかけのそれから顔をあげて、僕に問う。

( ^ω^)「どうって…」

明るく自由で、まぶしくて。
不思議で、どこか幸せで。

彼女らしいというよりも、彼女そのもののような―――。

デレはそんな僕の心を読んだように、あるいは初めからわかっていたかのようにうなずいて。
ぽんっと勢いをつけて立ち上がる。

ζ(゚ー゚*ζ「囚われない方が良いんだよ、きっと」

両手を伸ばしてくるくるとまわる、まわる。
ワンピースがふわりと広がって、飛んでいきそうな麦わら帽子を慌てて片手で押さえつつ。

ζ(-ー-*ζ「目に映らなくても大切で、素敵なものはたくさんあるんだから」

それは自分自身の姿であったり、目の前にいる誰かの心であったり。
きらきらとした言葉をぽろぽろと溢れさせながら、彼女の手が僕へ伸ばされて。

掴む。
そのまま引っ張られて、立ち上がる。

青空を反射してきらきら輝く二つの瞳。
その中心で、僕がじっと固まっている。

ζ(゚ー゚*ζ「ブーンはもっと、見えないものを探してみたら?」


70名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:19:12 ID:OZTqXe120







――――きっと、楽しくなるよ


71名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:20:02 ID:OZTqXe120



「向かい失礼します」

かけられた声に、ぐいと意識を引き戻された。
長い夢を見た後のような感覚にぼんやりとしつつ、頭を縦に揺らす。

( ^ω^)「おっおーご自由にですお」

そうしてもう一度、あの日のことを思う。
太陽のような笑顔が眩しくて、どこか非現実染みた雰囲気をまとっていた彼女のことを思い出す。

それは、長い間仕舞われていた記憶のほんの一ページ。

( ^ω^)(本当にありがちな、子どもの頃の一日)

その日その瞬間だけの友人は意外と多くいるもので。
けれど、そんな一瞬の時間を共有した彼らは皆、どこか特別な存在で。

からからと列車の窓を上に滑らせる。

広がる夏の香り、真夏日の記憶。
少年の僕。
笑いかける麦わら帽子の女の子。

窓越しに見えていたヒマワリ畑は既に通りすぎていた。


72名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:21:05 ID:OZTqXe120





吹き込む風に目を細めて、からり、窓を閉めた。
目的地まではまだ遠い。
一眠りしようかと腕を組み、頭を内側へ傾けかけて。



「あのう」

柔らかな響きの女性の声に、顔をあげた。

( ^ω^)「………お?」

目の前に差し出された水筒のコップ。
ふわりと揺れる髪の毛。
青の、シックなデザインのワンピース。

「お茶、いかがですか?」

いたずらっぽい口調でそう言って。
目があい、透き通った両の瞳が懐かしげに細められる。

ζ(^ー^*ζ「久し振り、ブーン」


73名も無きAAのようです :2013/05/19(日) 11:22:07 ID:OZTqXe120














それはきっと、途切れることなく列なった夏色の奇跡。




( ^ω^)真夏日の記憶のようです



(゚A゚* )ブーン系小説&イラスト練習総合案内所のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1368872639/

[ 2013/05/22 20:28 ] 総合短編 | CM(0)


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