まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 川 ゚ -゚)  ゆめみてしねるようです


※ 7xまとめ 様でもまとめられています
1 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:13:50 ID:vZ0VksvA0





                Episode   ひ の で




.



2 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:15:58 ID:vZ0VksvA0

( ;゚ω゚) 「おぅわッ!!」 ガバッ


(゚ω゚; ) 「お…おっ…おおー…?」 キョロキョロ


( ;^ω^)=3 「…おお」


( ;^ω^) 「夢…かお」


 内藤ホライゾンは、ほっため息をつく。
そして、蹴り飛ばし、床に落ちた毛布を手に取り、ベッドの上に投げ戻してから
洗面所に向かった。

 内藤は洗面所にあった歯磨き用のカップを手に取り、ブラシを音を立てて放る。
ノブを回して蛇口から水を吐き出させると
それにカップを注ぎ、自分の口の中に運び入れる。


( ´ω`) ゴキュゴキュッ


カルキ臭いが、冷たい水が食道を通り、潤いを得ると、幾分かは気が楽になってきた。


3 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:18:40 ID:vZ0VksvA0

( ^ω^) 「ぷふぅ」


 内藤は部屋に戻り、ベットの枕元に嵌めこまれたアルミ板に内蔵されている、
ネオングリーンに輝くデシタル時計をみる。

04:31。


朝とも夜ともいえない、半端な時間であった。


( ^ω^) 「お」


 内藤は窓のほうを見る。カーテンからほんの僅かに青い光が差し込んでいた。
太陽ではなく空の明かりだ。

 シャッとカーテンを開くと、やはり太陽はまだ顔を見せておらず、星空がいくらか煌めいている。
青く染まりかかった空と、まだ街灯もきえていない街も、このホテルの窓殻はよく見えた。

無数のビルの屋上がみえるが、いずれも人影はなく、「コンクリートの密林」という単語を
彷彿させてしまうほどに生気というものが感じられなかった。

 そんなことを考えていると、とろんとまぶたが落ちてきる。


4 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:21:58 ID:vZ0VksvA0

( うω^)゚ (…チェックアウトは9時の予定…。また5時間もあるかお…)ムニャムニャ

( ;^ω^) (…でもなぁ…)


 そのまま二度寝してしまおうか。と内藤は思ったが、
先程みた夢のせいではばかれてしまった。


(ヽ´ω`) (やっぱ、この取材旅行でつかれてるかもしれんお…)


 内藤の職業は一風変わったものである。
文章を扱う仕事ではあるが、といっても、新聞とか雑誌とかの記事を書くような仕事ではない。

 内藤は、ある作家から依頼されて、作品の資料になりそうなものを集めてレポートを作り
作家に提供することを報奨を受けている。

つまりは、作家にかわって現地までいって情報を集める、『代理取材』である。


5 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:25:11 ID:vZ0VksvA0

 今回の取材旅行は、金野橘音という小説家に依頼され、ある人物と会っていろいろ話を聞くという
ものであるはずだった。


(ヽ´ω`) ごそごそ…


(ヽ´ω`) パラパラ…


 内藤はここ2週間の旅行でかき集めてきた情報を書き入れた手帳をめくる。

金野先生は、妖怪伝奇や超自然小説。魔法がどかーんとかそういうファンタジーじゃなくて
世の中に眠る神秘というものをテーマにした硬派小説家である。

 そんな彼女が興味をもつような事柄はもちろん、
夫婦同時の諍いとか、探偵も息を飲むような密室殺人とかそういうものではない。

オカルトの要素が入った、不可解な事柄である。

 そして、金野先生が今回求めてきたテーマは、


 「砂生空という実在した人物の 『変人』っぷりを取材してこい」というものであった


(ヽ´ω`) 「初日からあんなハプニングとか思いもしなかったお…」


6 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:27:42 ID:vZ0VksvA0

 結論から言えば、『砂生 空』という少女と会うことはできなかった。

 内藤はファイルから一枚の新聞の切り抜きを引き出した。



 四年前の冬、殺人事件は起こった

 被害者: 砂生 空 17歳 女性


 彼女は、橋の下で殺された。



(ヽ´ω`) 「取材する相手がもう死んでるとか…しかも殺人て」


 加害者は、名前から性別まで不明。
 ただ、目撃者によるとフードをかぶっており、血まみれの服装のまま、山奥に消えたらしい。


 直ちに捜索が展開されたが、季節が悪く、豪雪の時期が続き、春先まで調査し続けていたが
 それ以降は打ち切りされた。


7 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:30:20 ID:vZ0VksvA0

( ^ω^) 「砂生さんの死因は鋭利な刃物による大量出血死…か」

( ^ω^) ぺらぺら

( ^ω^) 「………に、しても」


 内藤は、手帳の一番最後のページをめくる。
そこには、今回の取材でかき集めた資料写真がいくつか挟んでいる。

一枚の写真を引き出す、その写真には、可愛らしい少女の写っていた。



   川 ゚ -゚)

 

( ^ω^) (この人が、砂生 空。この事件のガイシャ…)


( ^ω^) (………そして、金野さんが、特に興味をもった、『変人』………)


( ^ω^)


(ヽ´ω`) 「僕の夢に、この人がでてくるなんて……」 ゲンナリ


8 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:35:43 ID:vZ0VksvA0

 内藤は、とりあえず亡くなっていた砂生についてあちこち調べるついてに
殺人事件までしっかりと調べていた。

 しかし、そのその彼女の友人や知人と会っていくうちその過程で
砂生の人物像が朧げながらも頭の中でイメージが固まってきた。

 しかし、すでに亡くなっているという事と、それが殺人である事が内藤にとっては
どうしても胃に重いものが残るような気分になったようだ。




 内藤は、そのあと「ま、いいかお!」といいながら再びベッドの中へダイブし
思うままに二度寝を堪能した。

ぐがーぐがー。


9 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:37:30 ID:vZ0VksvA0




    川   )     Episode   ひ と り ぼ つ ち


10 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:39:06 ID:vZ0VksvA0

( ^ω^) 「もぐもぐ」


 内藤は、ひどい夢を見たにも関わらず、ぐっすりと二度寝をし
すっかりとさっぱり清々しい気持ちで改めて朝を迎えた。

 ラフな服装でさっそくホテルの朝食バイキングに参加し、他の宿泊客とまじれながら
並ばれた食品を物色していく。

 まずは手軽く、全食品コンプリート。


( ^ω^) 「もぐもぐ… ホテルの厚焼き玉子って、うまうまだお」 モムモム


 内藤は、のべ50種類ある食品を一品ずつ片っ端から頬張った。
そのなかで特に気に入った厚焼き玉子をお代わりする。


( ^ω^) 「うーん、この厚焼き、出汁つかってるおね。しかしたまらんお」 モムモム…


噛み砕くと卵焼きの破片からじんわりと優しく滲みでてくる旨み汁で内藤は舌鼓を鳴らした。
さて、と箸を動かして新たな食べ物を口の中に投げ込む。


11 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:41:16 ID:vZ0VksvA0

( ^ω^) ポリポリ…


( ^ω^) 「うーん、爽やかな味」


漬物といえば、カブ・ニンジン・キュウリの浅漬け。
この爽やかな塩味のこれが内藤は好きだった。
口の中の粘りがほとんど解消される


( ^ω^) 「やっぱり、食事の締めは漬物が一番だお」 ポリポリ


 食事は、みんなで食べるとうまいという。そりゃそうだろう。それは認める。
しかし、一人で食べる食事というのもなかなか乙なものである。

自分ですきなペースで食べ進めれるし、他人さまの食事に気遣うこともない。
まったくもって気楽でいい。ぽりぽり。もむもむ。むしゃむしゃごっくん。ぷはー。



( ^ω^) 「あ、お茶もらわなくちゃおね!」


12 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:42:48 ID:vZ0VksvA0

(( ( ^ω^)~♪



  ::(( ( ^ω^)



     :: ( ^ω^) ピタッ



          (^ω^ 三 バッ



             ( ^ω^) …?



 しかし、内藤はどうも、一人で食べている気になれなかった。


13 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:44:23 ID:vZ0VksvA0

( ^ω^) 「チェックアウトおねがいしますお」

( ゚_」゚)  「はい」


 ホテルから出る準備も終え、身だしなみを整える。
最後にロビーにもよって、帰りの新幹線の中のおやつと、依頼者でもある金野先生への
おみやげをたんこもりと買って、ホテルマンにチェックアウトの手続きをすすめる。


( ゚_」゚)  「お客様、キーを・・・」


( ^ω^) 「はいはいお」



( ^ω^)> )) ゴソゴソ 


(( <(^ω^ ) ゴソゴソ
       ┘


(;^ω^) 「あれ?」


14 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:45:47 ID:vZ0VksvA0

( ゚_」゚) 「お客様、もしかしてお部屋に置き忘れては…?」

(*^ω^)ゞ 「お、おー、そうかもしれないお。えーっと、部屋の番号は…」

( ゚_」゚) 「ああ、ちょっとまっててください。お名前を聞かせて構いませんでしょうか?
      そちらからしらべてみますので」


( ^ω^) 「お、僕はブーンだお」

( ;゚_」゚) 「……ぶぅ?」


(*;^ω^)ゞ 「あ、すまんお。いまのはあだ名みたいなものなんだお」 



ここまでくるとさすがに気恥ずかしさで顔に熱を感じてしまう。
さて、と。内藤は自分の名前を告げようとした。

「内藤ホライゾン」と


15 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:46:29 ID:vZ0VksvA0


( ^ω^)


( ゚_」゚)


( ^ω^)


( ゚_」゚)


( ^ω^) 「…?」


( ゚_」゚) 「?」

.


16 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:47:15 ID:vZ0VksvA0

( ^ω^)> ゴソゴソ
 L

     □ ←サイフ
( ^ω^)ノ        バーン


( ^ω^) ゴソゴソ

     □ ←運転免許
( ^ω^)ノ          ジャッジャーン


( ^ω^) チラ…


( ^ω^) 「内藤ホライゾンです」


(;゚_」゚) 「お客様ッ?!」


17 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:48:42 ID:vZ0VksvA0








   川 ◯ ◯)   Episode   の ろ わ ば あ な ふ た つ






.


18 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:49:41 ID:vZ0VksvA0

イ从^ワ^ノi、 「ひゃっひゃっひゃ!!」


(;^ω^) 「そう笑わんでくださいお金野先生」


イ从*> ~<ノi、 「ひゃっひゃっ!だってよオメェ!!うっかり名前ど忘れて運転免許を確認するとか…」


イ从*` 3´ノi、=3 「ブフ―――ッ!!」

。イ゚从゚^ ∀^゚ノi、゚。 「今時のライトノベルでもそんなギャクやらんぞwwwww」 ヒャッヒャッヒャ!!



( ^ω^) 「帰ります」

イ从゚ -゚ノi、 「すまん、ワシが悪かった」


19 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:54:25 ID:vZ0VksvA0

 内藤は、小さな定食屋にいた。
生姜焼き定食大盛りを彼はすでに半分ほど食べていた。

その彼が座っている椅子の向かいには、彼よりも10,15年は長く生きていそうな女性がいる。

 この彼女こそが、内藤が二週間の取材旅行に行かせた依頼者であり、
小説家の金野橘音(キンノ キツネ)である。


イ从゚ ~゚ノi、 「ふんふん、やっぱりブーンちゃんはいい仕事するね。
        知りたい事がたくさん入ってるしわかりやすいよ」

イ从;゚ ー゚ノi、 「しかし、すまなかったね。まさか取材する相手が亡くなっていたなんでな…」

( ^ω^) 「まぁ、こっちとしてはいろいろな所にいける口実ができるのでどっちでもいいですお」

イ从゚ ー゚ノi、 「そうかい」


 彼女は内藤が二週間の取材でかきためてきた資料を片っ端から目を通し、チェックを入れていく。
そして、彼女のバッグから封筒を取り出して、内藤に渡した。


20 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:57:04 ID:vZ0VksvA0

イ从゚ ー゚ノi、 「ありがとう、おかげ様でいい小説がかけそうだよ」

イ从゚ ,゚ノi、 「欲をいえば、砂生という人に会って取材もしてもらいたかったけどね」

( ^ω^) 「天国にいけというかお!」

( ^ω^) 「とりあえず、これはいただきますお。ありがとうございますお!」


 内藤は一瞥してから礼金を受け取った。
そして、金野はせっかくだ、と継ぎ足してから


イ从゚ ー´ノi、 「ついでに、ここで好きなだけ頼みなさい。ワシからのおごりだ」


( ^ω^)


( ^ω^) 「だから」


( ^ω^) 「こんな、安っぽい定食屋に」


イ从*`∀´ノi、 「バレタ?」


21 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 22:59:06 ID:vZ0VksvA0

 けへへっ と高い笑い声を鳴らし、右拳でコツンと頭を叩きながら金野先生は舌をペロッとだした。
幼い頃の付き合いではあるが、あいのかわらずな先生だ。と内藤はおもった。


イ从゚ -゚ノi、 「ところで」


と、先生は急に神妙な顔になる。
毒森先生はおちゃめなところもあるが、こういう顔になるときは本当に真面目な話になる。

そうみとった内藤は


( ^ω^) 「はいお」


と、返事をして、座り直し姿勢を正す。


イ从゚ ー゚ノi、 「ブーンちゃんは、この二週間の取材旅行をして、なにか不思議な体験はしたかい?」


( ^ω^) 「お」


この、問いかけは初めてではない。
金野橘音という人物は、オカルト小説を書いているような人だからなのか、
「生」の「霊体験」というものに、強い興味を持っていた。


22 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:00:23 ID:vZ0VksvA0

 ううむ、と内藤は腕をくんで頭を傾げる。
そうしていると、ああそうだお、とポッと電球がひらめいたように彼は喋り出した。

( ^ω^) 「…さっきの、名前がわすれちゃう、アレは?」


イ从゚ -゚ノi、 「ん~弱いね。あれじゃあ、ブーンちゃん自身のうっかりでもありそうでしょ」

イ从゚д゚ノi、 「もっとさ、こう、ダイレクトな霊体験みたいなのはなかったかな?」


そんな事言われても… と思ったが、そういえばと3つほど思い当たることがあった。


イ从*゚ワ゚ノi、 「ほほぅ、3つも!」


( ^ω^) 「だお」


 いずれも、取材旅行の最終日におこった出来事なのですが。と前置きをつけてから
話していく。


23 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:03:53 ID:vZ0VksvA0

( ^ω^) 「ガイシャさんが僕の夢にでてきたことと、なんか常に誰かがいるような気がしてて…」

イ从゚ ー゚ノi、 「ふむふむ」

イ从゚~゚ノi、 「けっこうありがちなモンだが…まぁいいじゃろ。で、あとひとつは?」


(;^ω^) 「う~~ん…」

イ从;゚ -゚ノi、 「え、なんじゃ?喋りづらい話なのか?」


24 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:06:32 ID:vZ0VksvA0

( ^ω^) 「うん…それは、帰りの新幹線に乗ってたときの話なんですけどお…」

イ从゚ ー゚ノi、 「うんうん」

( ^ω^) 「ちょっとうたた寝してたんだけど、新幹線が発進したときに、なんか女の子が出てきて…」

イ从゚ ー゚ノi、 「ほぅ」

( ^ω^) 『え、あ、ちょっとまって、やだ、はやい!!はやい!!まって!!新幹線はやッ!!!』

( ^ω^) 「ーって感じで、なんか、駅においてけぼりされた娘。っていう夢をみたんだお」

イ从゚ ー゚ノi、

イ从゚ ー゚ノi、 「笑いとろうとしてない?」

( ^ω^) 「だから、話しづらかったんだお」


25 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:08:15 ID:vZ0VksvA0





   ┗川 ゚゚゚ )┛ Episode  う  し  み  つ  ど  き




.


26 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:08:58 ID:vZ0VksvA0

カチッ


 長い針が、「12」と書かれたところに、短い針は「2」と書かれたところに指し示す。

この壁掛け時計がおいてあるこの部屋の持ち主は、金野橘音、今夜内藤と話していた女である。


イ从゚ -゚ノi、 「…もう二時か」


 彼は、手元の電灯ランプの回転式スイッチを捻り、やや明るめに光を取った。
金野は今時珍しい、アナログ派であり、こうやって原稿用紙に万年筆を走らせて文章を作っている。
その作業場の横には、大事そうにファイルの中に入れている内藤の資料があった。


イ从> ー<ノi、 「うぅ~~ん」

イ从´ 0`ノi、゚ 「ふぁぁ…」


 どうやら眠いようであり、おおきなあくびをすると座椅子から立ち上がる。
内藤のファイルも持ってランプの電灯を切った。

あたりが、真っ暗闇になる。


27 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:09:51 ID:vZ0VksvA0

イ从う -`ノi、 「そろそろ寝るかな」


 金野はこの暗闇の中でも慣れた足取りでふすまに向かい、しゃりと音をたてて開けた。
ふすまの向こうは廊下と庭が見えており、窓の外から月や星のあかりでやや明るくなっていた。
先ほどの部屋よりも足場がよく見えた。


イ从゚ -゚ノi、 「とっとっと…」


 金野は廊下を歩きながら思った。
どうせなら内藤もこの家に越してくればいいのに、と思った。

 この家はもともと内藤の家になるはずであった。
しかし、内藤の祖父が亡くなり、その祖父に小説についていろいろ教えてもらっていた金野と内藤の
二人暮らしが始まったが、内藤はまだ若い為か、家から飛び出していった。

 あれから随分経つが、それでもこの家の広さに金野は慣れずにいた。
内藤に頼んだ取材もいい素材をもってくれたし、これから本腰をいれて新作を書こうと考えている。
そうなったら、無理でも言って内藤をこの家に呼び戻してもいい。

 内藤は健啖家でもあるが、料理好きでもあり、彼のつくるメシは旨い。
それに、取材してきたものをわかりやすくレポートしてまとめるほどの技量ももっている。

 この小説は内藤と一緒にかいてみたいな、と金野はそんなことを考えていた。


28 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:11:24 ID:vZ0VksvA0

  Pi Pi Pi Pi !!


イ从゚ ,゚ノi、"


イ从゚ ,゚ノi、 「…電話」


  Pi Pi Pi Pi !!


 自宅の取り付け電話に電子音が鳴り響いた。
こんな時間になんて非常識な。と彼女は思った。

 しかし、はて?小説のしめきりはまだまだ先だし、他の会社から短編を依頼しにくるにしても
こんな時間で電話するようなものでもない。

 誰だ? と顔をしかめながら、電話のある所に向かい、受話器を取る。


29 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:12:19 ID:vZ0VksvA0

ガチャッ。
  
イ从#゚ ,゚ノi】9 「はいもしもし、こちら金野ですが…?」


『お、おおッ先生!!』


イ从*゚∀゚ノi、】9 「なぁんだ、ブーンちゃんじゃないの!どうしたんだい?!」


『ど、どうしよ!!これどうしッおお!』



イ从 ゚∀゚ノi、】9 「…?」


30 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:13:06 ID:vZ0VksvA0

 こんな夜中に電話かけちゃって、もうしょうがないなぁ。と思っていたが、
その内藤ののっぴきならないような声を聞くと、
その笑みは消えて当惑の色がにじみ出てきた。


イ从;゚ ー゚ノi、】9 「? どうしたの? おちついて話して」


『ど、どうしよう!!ぼぼぼ、僕…僕…ッ!!』


イ从;゚ -゚ノi、】9 「うん、うん。大丈夫、きいてるからね」


『ぼぼ…ぼく…』



『 人、ころしちゃったお―――――――――ッ!!! 』



イ从゚Д゚ノi、】9


31 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:15:51 ID:vZ0VksvA0





    川  4 )     Episode   死




.


32 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:16:39 ID:vZ0VksvA0
―――あの電話から12時間後、つまり、同じ日の昼2時過ぎあたり。

金野は今、内藤の前に座っている。
二人の間には、白いプラスチックデクスとコーヒーがあった。

ここは、喫茶店であり、金野と内藤がよく来るところであった。
そこにその二人の姿があった。


イ从^ ー^ノi、 「…」

(ヽ´ω`)

イ从^ ー^ノi、 「あのね、ブーンちゃん」

(ヽ´ω`) ハイ


イ从^ ー^ノi、 「辛いことはわかるけどね」

(ヽ´ω`) ハイ



イ从#^∀^ノi、 「人を殺した夢で…わざわざ電話しないで欲しいかなぁ…」 ピクピクッ



(ヽ;ω;) 「すっんませんでしたお―――ッ!!!」 ドッゲザァァ


33 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:18:51 ID:vZ0VksvA0

つまり、内藤は寝ている時に人を殺した夢をみて、びっくりして起き上がりそのまま金野先生の家に
電話をかけてしまったのであった。

ちゃんちゃん。


イ从#゚皿゚ノi、 「で、済ませられるわけもいかんよね…君…! まったくあの時のワシの心境としたら!」

(ヽ´ω`) 「いえ、まったくもってすみませんでしたお。反省してますお」

イ从゚ -゚ノi、=3


まぁ、仮に夢だったとしても、彼は人を殺した時に真っ先に金野に電話をかけてきた。
その事実については、彼女にもあまり悪い気はしていなかった。


イ从*´ -`ノi、 (んー)

(ヽ´ω`) ………

イ从゚ ー゚ノi、 「…?」


ふと、気づく。
金野は、すでにコーヒーを空けている。
しかし、内藤は目の前にあるコーヒーをみつめるばかりでなかなか手をつかない。


34 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:19:37 ID:vZ0VksvA0

異常だ。と、彼は思った。
あの食い意地を張っている内藤が、コーヒー一杯も手を付けないだなんで。



イ从゚ ー゚ノi、 「…どうしたの、ブーンちゃん?」

(ヽ´ω`) 「お…」

(ヽ´ω`) 「すみません…食欲が」

イ从゚ ~゚ノi、 「…ふむ」


どうやら、今回の取材旅行で、彼はほんとうにつかれてしまっているらしい。
それこそ、水すらも喉に通らなくなるくらいに。

となると、やはり無理を言って殺人事件を調査に行かせた自分にも
否があるのではないのだろうか。

そうなると、自分は急にいたたまれない気持ちになってくる。


35 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:22:56 ID:vZ0VksvA0

イ从゚ ー゚ノi、 「…夢、といったね」

(ヽ´ω`) 「お…」

イ从゚ ー゚ノi、 「ワシで、よければ、聞かせてくれるかな」

(ヽ´ω`) 「う~~~~……」

(ヽ;ω;) 「しぇんせぇぇ~~~」 ぼろぼろ

イ从;´ ー`ノi、 「ああ、もういい年にして泣くんじゃないよブーンちゃん。よしよし」



なんとか宥めて内藤が落ち着いてから、ようやく彼はコーヒーを口にしてくれた。
おまけに、「あ、ティラミス注文していいですか?」とまでほざいた。

しかし、元気が戻ってきてくれて、安心した金野は早速店員に注文してから、
いよいよ夢の話に踏み込んだ。



(ヽ^ω^) 「また、あの人の…砂生の夢を見たんですお」

イ从゚ ー゚ノi、 「―――ふむ」


36 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:24:10 ID:vZ0VksvA0

 まだ、顔色の悪い内藤ではあったが、話を始めてくれた。
そして、再び砂生の夢を見たらしいが…待てよ、と思った。


イ从;゚д゚ノi、 「まさか、その砂生を殺した夢を見たんじゃないだろうね?」

(ヽ´ω`) 「そのとうりですお…」

イ从;'д`ノi、 「うわぁ」


 まさか、内藤が取材していた相手の、それも亡くなっている人を、
内藤が殺す夢をみるとは。

 感情移入して彼女と会ったり救ったりするような夢をみるならまたしも、
すでに亡くなっている砂生を殺す夢をみるとは、さすがの内藤もこれには参ったらしい。

 夢といえば夢。気にするなと言いたいが…。


37 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:25:50 ID:vZ0VksvA0

(ヽ´ω`) 「金野先生、前に『湖の蝶は果たして青いか?』という小説書いてましたよね?」

イ从;゚ ー゚ノi、 「あ、ああ…あれな…」

(ヽ´ω`) 「『夢というものは、その人の人生から反映されたものだ。妄想とは違う』…」

(ヽ´ω`) 「小説の中に出てきた、探検家のモララーが言ったセリフですお」

イ从;゚ ー゚ノi、 「ああ、そんなことも書いたね」

(ヽ´ω`) 「自分の小説のセリフくらい、覚えておいてほしいお」

イ从゚ ー゚ノi、 「ムリ、だってあいつら勝手にしゃべりまくるもん」


 『湖の蝶は果たして青いか?』という小説は、金野が前にだした小説の一つであり、
ベストセラーになった唯一の作品でもある。


38 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:29:33 ID:vZ0VksvA0

あらすじをかいつまんでいかけば、アフリカの未踏境地に踏み込んだ探検家のうち一人が
急に悪夢にうなされ発狂し、次々と探検家のメンバーを殺し始める。

 主人公のトソンがその悪夢を見た人を撃ち殺し、殺人の葛藤に苛まれるが、
生き残った探検家のうち一人がふたたび悪夢にうなされる。

 その人がモララーという人物であり、先に悪夢を見、死んでいった仲間のジョルジュのことを思い返しながら
『夢というものは、その人の人生から反映されたものだ。妄想とは違う』 とポツリと呟いた。

その直後、モララーは先に死んだジョルジュのように発狂し、
主人公たちを襲いかかった…という話である。



イ从゚ ー゚ノi、 「でも、あれは小説だ。彼らが発狂した理由は、
        その未踏領域の密林にあった未知の寄生虫のせいだ」



そう、彼らが悪夢をみて発狂したのは、その密林の獣の脳に住まう寄生虫が原因で、
その獣を狩って肉を食べた彼らは寄生虫に脳を犯され、発狂してしまったのだ。

しかし、ここは都会だ。くすんだ色をしたビルが立ち並ぶような街だが、
未知の寄生虫はおろか、食中毒ですらもめったにない清潔な世界だ。


39 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:30:49 ID:vZ0VksvA0

(ヽ´ω`) 「んや、その寄生虫とかそういう話じゃなくて…」

('A`) 「うん?」

(ヽ´ω`) 「夢だとしても、人を殺してしまったことに、ショックしてるんですお」

イ从;゚ ー゚ノi、 「ああ…」



 内藤はとても活動的な人間だ。それはもう、取材でアメリカにいけ。と言われたら
次の日にはもうニューヨークで自由の女神像のまえで
現地人に「ハローハローカメラおっけい?あっちでカメラ!プリィィズ」とヘタクソな英語で
カメラを渡して撮影を頼むような人だ。

そのくせにひどく心優しく、電車の優先席には絶対に座らないし、食べ物も残さず食べる。
この間の定食屋だってわざわざ店主に「ごちそーさまでしたおー」と挨拶するほどに律儀な人である。

だからこそ、代理取材という、外仕事で人と会う必要のある仕事でも、内藤は元気にこなしていった。


そんな内藤が、人を殺すという夢を見るというのは、さぞかし衝撃的だったのだろう。


40 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:31:57 ID:vZ0VksvA0

(ヽ´ω`) 「それに、モララーのあのセリフが気になって気になって…」

(ヽ´ω`) 「『夢は妄想じゃない』…つまり、経験した事柄などでないと、見れないものなんですお」


イ从;゚д゚ノi、 「いやいやいや、だからあれは小説だから。おまけに寄生虫に侵された人の戯言だから」


(ヽ´ω`) 「あとがきに、毒森先生は『モララーの言ってることに自分も共感を覚えています』みたいなこと書いたでしょ?」


イ从;゚Д゚ノi、 「ひぇあ!ブーンちゃん、あとがきまで読み込んでるの?!」


(ヽ´ω`) 「 ? 読まないといけないでしょお?」


イ从;´ ー`ノi、 「いや、まぁ、嬉しいというか恥ずかしいというか…ひぅぅぅ…」


(ヽ´ω`) 「『湖の蝶は果たして青いか?』、おもしろかったです。まさか僕が取材してきた
       ティーパックの糸の部分があんなふうに使われるなんて」

イ从*ノДヽノi、 キャー

イ从*ノДヽノi、 「やめてよブーンちゃん!!もっと感想言って!!
          でも恥ずかしいからやめて欲しいけど言ってぇぇ!!」


41 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:32:59 ID:vZ0VksvA0

((( ノレ`ワ´)レ 「ティラミスおまたせあるよー」


イ从*゚∀゚ノi、ノシ 「もう、そんな煽てちゃっても、ちゃんとおごってあげるからね!!
          あ、ほらティラミスきたよ?ブーンちゃんたべてたべちゃって!!」


(ヽ´ω`) 「……ぼく、実は殺人願望とかあるのかな…?」


ノレ;`ワ´)レ 「さ、殺人ッ?!」


イ从;´ー`ノi、 「あ、気にしないてください
         ほら、ブーンちゃん、ティラミス食べてよ」


(ヽ´ω`) ぱく、もぐ、ごくん


ノレ;`ワ´)レ 「一口で平らげたあるッ!!」


イ从;゚ ー゚ノi、 「もう何かなんだかッ!」


42 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:34:14 ID:vZ0VksvA0





    川 。,゚ )   Episode  ご か い




.


43 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:35:18 ID:vZ0VksvA0

 あれから一週間後。
相変わらず内藤はあの砂生を殺す夢をたてつづけて見るようになってきた。

 日を経るたびに、内藤はだんだん生気が抜かれて顔色もだんだん悪くなった。
今夜になって、「もう寝たくないお」とまで言ってくるほどに弱っていた。


イ从;゚ ,゚ノi、 「ブーンちゃん…」


 金野にとっての内藤はたんなる仕事仲間ではない。
彼が、師匠として仰ぎ、尊敬していた人物がいる。
その人の名前はペンネームで荒巻スカルチノフ。内藤の祖父である。

 この毒森にとって荒巻は小説の師匠でもあったが、数年前にガンに冒され、亡くなってしまった。
内藤には両親もいなく、ずっと祖父の荒巻と一緒に過ごしていたが、当時、金野はよく彼の家に押しかけて
自分のかいた小説の意見をもらったり、執筆のお手伝いや女中みたいな家事もやっていた。

内藤と金野は面識があり、内藤もよく金野に懐いていた。


 金野にとっては、尊敬する師匠の形見のようなものでもあり、年の離れた、かわいい弟分でもあったのが
内藤なのである。


―――しかし、その内藤が、いまはすっかり弱り切っている。


44 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:36:01 ID:vZ0VksvA0

イ从;- ,-ノi、 「こればっかりは、何とかにしてやりたいが…」


 さすがに、知恵が回らない。

 夢に携わるような話ならいままでにいくつか書いてきたが、悪夢について悩む患者に対して
正確な処方を施すことは、小説家にはできなかった。。

 一応、セラピーにも行かせたが、大抵は「ストレス」とか「疲労」とかありきたりな答えしか来ず
たっぷりと睡眠薬を渡されて帰ってきた。

 内藤はその睡眠薬を服用したが、夢もみれなくなるほど深く眠ることはできず、
より一層悪化してしまった。


(ヽ´ω`)


イ从゚ ー゚ノi、 「ブーンちゃん、お茶入ったよ」


(ヽ´ω`) …


イ从;゚ ー゚ノi、


45 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:37:36 ID:vZ0VksvA0

 カフェのときは、ティラミスもぺろりと平らげたのに、今はもう飴1個も口の中で転がすことができない。
金野は念のため、内藤にアパートからある程度荷物をまとめさせ、荒巻師匠から譲り受けたこの家に招き入れた。

子供の時から過ごしていた内藤の部屋に居させているが、全く回復する気配がない。
金野はひたすらおろおろするばかりであった。


イ从;゚ 3゚ノi、 「う~~~~んむ」


イ从゚ ー゚ノi、 「…霊体験 か」


実は、この彼女、金野橘音は、オカルト小説などを書いているくせに
妖怪や幽霊、神などは存在しないと信じてるリアリズムなのであった。

 『内藤に霊体験をしたことはあるかい?』
と聞くことがあっても、それは本物の霊による体験ではないと思っている。

たいていの霊体験は、なにかの偶然や勘違いからなる、思い込みで生まれてくる。


46 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:38:55 ID:vZ0VksvA0

ラップ音が聞こえた ような気がする。

人の気配がした   ような気がする。

幽霊がみえた     ような気がする。

顔が写ってる     ような気がする。


 そういうものだ。魔法だの妖怪だの、そういうものは結局は小説や漫画、
我らとは隔たられた向こうの世界にしか存在し得ないし、ほんとうの意味で邂逅することも永遠にないだろう。

しかし、それにも関わらず世の中に跋扈する無数の怪談・神秘・不思議な物語。
その思い込みで、何もないところから神や妖怪が生まれてくることに
金野は神秘性を感じていた。

基本的にオカルト的存在は、存在しない。しかし、科学では測れない何かはあるかもしれない。
そこに金野は魅力を感じていた。


47 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:39:57 ID:vZ0VksvA0

(ヽ´ω`)


イ从- ,-ノi、 「…よし」


イ从゚ 一゚ノi、 「…久しぶりだな。取材旅行」


 金野は、尊敬する師匠の孫のために、
現実世界に広がる神秘を、内藤に蝕む何かを、自分の足で追って見る決心をつけた。







――― 次の日


48 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:41:00 ID:vZ0VksvA0

イ从゚Д゚ノi、



 『 もういちどあの街にいってみます

   ありがとございましたお

                ブーンより  』



イ从;゚Д゚ノi、 「ブーンちゃぁん!!」


 流石は、かつて一日でアメリカまで飛んでいった内藤。
簡単な書き置きだけ残して、金野よりも先に立ち向かっていった。


49 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:42:32 ID:vZ0VksvA0

(ヽ^ω^) 「………」


 金野が、自宅で叫んでいたその頃、内藤は朝一から新幹線に乗り込んだ。
四年前、砂生空が殺された街、「双柵市」へ。


(ヽ^ω^) 「…まずは腹ごなしだお」


不思議と、食欲がでてきた。
おじいちゃんの家で安静していたときはなにも喉を通らなかったのに、いざこうして外に出てみると食欲が湧いてきた。
つかれたつかれたと内藤は言ってはいたが、やはり、フィールドワークのほうが性にあう性格なのだろう。


(ヽ^ω^) ごそごそ

(ヽ^ω^) □ ………


コートの内ポッケから取り出したのは、取材手帳。
このなかには、砂生空という人物のデータがびっしりつまっている。
これに自分の夢とどう関わってくるのか全く分からないが、とりあえず目標はできている。

それは、2つ。


50 名前:名も無きAAのようです :2012/06/14(木) 23:43:21 ID:vZ0VksvA0

(ヽ^ω^) 「犯人を見つけること」

そして、

(ヽ^ω^) 「砂生 空を、    」


(ヽ^ω^)


   (ヽ^ω^)


       ::(ヽ^ω^)


          :::(ヽ^ω^)


           .......:::::゚::゚::゛ (ヽ^ω^)





                            (ヽ ω )


61 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:35:40 ID:ZDShkYZg0





        川 6 -6) Episode  ろ く で な し




.


62 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:39:30 ID:ZDShkYZg0

イ从;゚д゚ノi、 「うぅ……」



 金野橘音は、双柵市の駅前にいた。
内藤もきっとこの駅に着てるはずだろう。
しかし、その顔はすでに疲労の色がはりついていた。


イ从;゚д゚ノi、 「こりゃ、たまらん。どこかに逃げ込まねば」


 不慣れな遠出で、体はもう、休みたい休みたいと悲鳴をあげていた。
足も棒になっていたむし、肩こりもひどい。はやく休息を取らないと倒れそうだ。


イ从;゚д゚ノi、 「ブーンちゃんも、こんな取材してたのかね…」


 改めて、取材旅行の過酷さを思い知った。
今の今まで代理取材をし続けてくれた内藤に、感謝の念を覚えた。

 しかし、その内藤が今日、何も言わず書き置きだけを残して飛び出していった。
それも一週間近く、何も食わず日々おうごとに顔色が悪くなっていった人がである。

 自分も慌てて追ったが、その街についたときはすっかり太陽も上り、
蒸し蒸しとした時間になっていた。


三ヽイ从゚-゚ノi、ノ 「ヒー」


63 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:41:56 ID:ZDShkYZg0

 金野は駅前にあったショッピングモールに逃げこむ。
適当にみつけたベンチでようやく一息をつく。


イ从゚ ー゚ノi、 グー

イ从;゚ ー゚ノi、 「…そういえば、朝飯もくってなかったな…」


 となると、次はエネルギー補給だ。
どこかにいいカフェはないものか。


((( イ从゚ -゚ノi、 「そういえば、ブーンちゃん。駅前デパートでケーキバイキングがあるとか言ってたな…」


イ从゚ -) 「…あ、これか」


歩いて行くと、エスカレーターのある広場にでるが、その周囲にデパートのイベントポスターが貼りだしてあった。
『十八世紀陶器展示会』『十人一全メイデン 漫画家 棺桶治 サイン会』『cafeちんぽっぽにてケーキバイキング開催中』…


イ从゚ ー゚ノi、 「このちんぽっぽっていうカフェでやってんだな。場所は・・・っと、地下レストラン街かぁ」


64 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:44:32 ID:ZDShkYZg0

 早速、ショッピングモールから地下デパートに通じる地下通路に足を運ぶ。
すると行列がみえた。


イ从゚ ー゚ノi、 「?」


 最初、ケーキバイキングの行列か?と思ったがどうも違うらしい。
行列の向こうはレストランフロアとは正反対の方に伸びている。
その先は書店らしきところだった。


イ从゚ ー゚ノi、 「ああ、棺桶っていう漫画家のサイン会か…」


 随分とまぁ、自信のある作家さんなんだな。金野は感心した。
自分も小説家でそれなりの本もだしてるしファンレターだっていっぱいもらった。

しかし、サイン会の話も何回かきたが、すべて断った。
考えてみろ、いきようようとサイン会を開いたら、だーれもこなかった。という状況。
万が一でもそんな状況がおこったら、気まずさと恥ずかしさで自分は死ねる。


イ从゚ ー゚ノi、 「それはさておいて、それよりもケーキバ…」


65 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:45:29 ID:ZDShkYZg0

イ从゚ ー゚ノi、 「それはさておいて、それよりもケーキバ…」


 ゾロゾロ
          ゾロゾロ

(゚Д゚,,)ω・` )ω^ )、゚*ζν^ )



イ从゚ ー゚ノi、


       ↓

(゚Д゚,,)ω・`)ω^ )、゚*ζν^ )


イ从゚ ー゚ノi、 「ブッ」


イ从;゚Д゚ノi、 「ブーンちゃぁぁぁぁぁあんッ!!!」


街についてからわずかの30分。金野の追走劇は終わった。


66 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:46:59 ID:ZDShkYZg0

( ^"_ゞ^) 「はいどうも、読んでくれてありがとう」

(*^ω^) 「おっおっ! 『十心一全メイデン』ぜんぶ持ってますお!!」

( ^"_ゞ^)つ 「ははは、ありがとう」 アクシュアクシュ

(*^ω^)つ 「はい先生!」 アクシュアクシュ


イ从#゚ -゚ノi、 「…………」


(*^ω^) 「おまたせしましたお金野先生!」 ホクホク


イ从#゚ -゚ノi、

イ从#゚ -) プイッ


(;^ω^) 「ありゃ…」


 金野は子供のようにすっかり拗ねてしまった。
ご丁寧に腕を組んで片足をパタパタとふみ鳴らしてる。
そのうちにすればホッペまでふくらませて口を3の字にするんじゃないかってくらいの
おかんむりであった。


67 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:49:15 ID:ZDShkYZg0

 それもそのはず。あんなに具合悪そうにしてた人物が、いきなり隣県の街に飛び出たのかと思ったら
なんと、よその作家のサイン会の行列に並んでいたんだ。


イ从#゚ 3゚ノi、 ブー


(;^ω^)ゞ


 内藤は申し訳なさそうに頭をかくが、もう片方の腕には、大事そうにイラストまでついてるサイン色紙を抱えていた。
金野はますます頬が膨れていく。


(;^ω^) 「と、とにかく金野先生、なんできたんですかお?書き置きみなかったんですかお?」

イ从#゚ -゚ノi、 「ブーンちゃん…あんたねぇ!!」


ワシがどんだけ心配してたのかとくどくど イ从#゚Д゚ノi、c<^ω^;) ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん


68 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:52:05 ID:ZDShkYZg0

―――ところ変わってcafeちんぽっぽ。

 ここはレンガで舗装されたクラシックな雰囲気の喫茶店だった。
二人はさっそくケーキバイキングを注文し、1時間の間は5種類のケーキ食べ放題という権利を買い取った。


(*‘ω‘ *) 「おちゅーもんどぞっぽー」


イ从゚ ー゚ノi、 「とりあえずモンブラン。あとアイスコーヒー」

( ^ω^) 「全種類。それぞれ3個ずつ。コーヒーはホットで」


(*‘ω‘ *) 「かしこまりましたっぽー」



イ从゚ ー゚ノi、 「…なんか、元気になったね?」

( ^ω^) 「お」


家に出るまでは、(ヽ´ω`)こんな顔で、食事はおろか水一杯も喉に通らないような状態だった。
しかし、この街に来た途端、ケーキを15個も注文するほどまでに回復するものかと思った。

さっそくケーキとコーヒーがやってきた。
金野のまえにモンブランとコーヒーの二品に対し、
内藤はケーキ3個のせたものが5皿、あわせて15個。それにコーヒー。
対比しなくても明らかにわかるくらいに健康的な食欲だ。


69 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:54:06 ID:ZDShkYZg0

( ^ω^) 「僕も知らんけど、なぜかここに来た途端、ピキーンってきたんだお」

イ从゚ ー゚ノi、 「…へぇ?」


今の会話の間に、内藤はショートケーキの外装ラップを丁寧に剥がし、スポンジにフォークをたてて
そのまま丸ごと口に放り込むという大技を成し遂げる。


イ从゚ ー゚ノi、 「じゃあ、夢のアレは?」

( ^ω^) 「まだ寝てないからわからないお。一応あちこち歩いてからここのホテルで泊まる予定だお」モムモム


そこで、夢がみれるかどうか確認するお。と内藤は言う。
この時点で、彼は二皿の上をラップとアルミ皿の屍を築き、三皿目に取り掛かろうとしていた。


イ从゚ ,゚ノi、 「そうかそうか…歩きまわるといっても、目処はついてるのかい?」

( ^ω^) 「それについてなんだけど…」ゴクン


「ああ、いたいた。おーい」

イ从゚ -゚ノi、 「ん?」


 顔をむけてみると、見覚えのある顔がレジの向こうで手をふっていた。


70 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:55:28 ID:ZDShkYZg0

( ゚"_ゞ゚)ノシ

( ^ω^) 「あっれ?!棺桶先生?!」

イ从#゚Д゚ノi、 「なにしにきた?!」


 敵意を露骨にさらけ出す金野を尻目に、棺桶はほいほいとこちらにやってくる。


( ゚"_ゞ゚) 「いやあ見つかってよかった。さっきのサイン出してくれる?」

(;^ω^) 「え?」

( ^"_ゞ^) 「名前だよ名前。ほら、「太郎へ」って書くアレだよ」

(*^ω^) 「お?おッあ、お~~~」


イ从#゚皿゚ノi、 「サービスいいんですねぇ…」 ギリギリ


( ゚"_ゞ゚) 「どうもありがとうございます金野先生」

イ从゚ ー゚ノi、=3 フンッ ワカゾウガ チヤホヤサレオッテ…

イ从゚ ー゚ノi、 …

イ从;゚д゚ノi、 「あれ、ワシのペンネームなんで知ってるの?」


71 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 22:57:11 ID:ZDShkYZg0

( ^"_ゞ^) 「オレも読んでますよ。『湖の蝶ははたして青いのか?』のファンです」


イ从*^∀^ノi、 「気に入った―――ッ!!ここで好きだけ食っていけ!!おごってやら―――ッ!!」


( ^"_ゞ^) 「気持ちだけお受け取りします。そのあとにまたサイン会が再開しますので」

イ从*^ー^ノi、 「ありゃ、そうなのかい…、無理言ってすまんね」

( ^"_ゞ^) 「いえいえ、むしろ休憩時間で来れないような人ですみません」


 ばかに丁寧な人間だ。と金野はおもった。
しかし、それでもサイン会というのは数百人の人を交わしながらひとつのミスも許されない
サイン作業をするものだ。当然疲労の度具合も大きい。

しかし、こうして休憩時間を割いてまでわざわざネームを描き忘れた人を探してやってくるとは
この人、底抜けのお人好しなのかもしれない。


と、おもっていたら、棺桶はそっと、真っ白な色紙とサインペンを金野の方にだしてきた。


(*^"_ゞ^) 「…サインください。「棺桶治へ」 でおねがいします」


72 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:01:44 ID:ZDShkYZg0

イ从*;`Д´ノi、 「ええぇ―――ッ!!」


( ^ω^) 「あ、まさか棺桶先生…」 モグモグ

(;゚"_ゞ゚) 「あ、いや、名前もちゃんと書きますよ!べつに、あなたと金野先生がいるのを見かけたから
      追っかけてきたわけではありませんよ?!決してありませんよ!?」


( ^ω^) 「棺桶センセーッ わかりやすいおーッ」


イ从*;`Д´ノi、 「やだよ!ワシサインかいたことないよ?!ヘタクソだよ?!」


( ^ω^) 「こっちの先生も諦めてくださいお。書いてやるお」モグモグ

イ从;゚ ー゚ノi、 「い、いいのか?!ワシのなんかでいいのか!?」

(*゚"_ゞ゚) 「おねがいします!!」

イ从;*´д`ノi、 ヒー


( ^ω^) 「あれ?」


73 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:03:51 ID:ZDShkYZg0

金野が満更でもない表情を浮かばせながら色紙にペンを走らせていると、
内藤のほうが素っ頓狂な声をだした。


( ^ω^) 「…棺桶先生、なんかどこかで会ったような…?」

( ゚"_ゞ゚) 「? さっきのサイン会でしょう?」

(;^ω^)> 「いや、なんかもっと昔に…なんだっけ…なんだっけなぁ…」ポリポリ

イ从゚ ー゚ノi、φ 「こりゃ、ブーンちゃん。いいから名前教えてやりたまえよ」 キュッキュ


( ^ω^)> 「どこだったかなぁ…あ、僕の名前ですね。えーっと」

(;^ω^) 「あれ…あれれ?」

イ从゚ ー゚ノi、 「どうしたのブーンちゃん。サインなくしたの?」


(;^ω^) 「いや…なんか…あれ?」


( ^ω^) 「僕の名前、なんだっけ?」

( ゚"_ゞ゚)

イ从゚ ー゚ノi、


( ^ω^)


74 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:05:33 ID:ZDShkYZg0

棺桶は、サインに「内藤ホライゾンへ」と書いて、
金野からちゃっかりとサインを頂戴したあとに名刺交換をしてからサイン会場にもどっていった。

しかし、内藤はというと再び元気がなくなっていた。


( ´ω`) ショボーン


イ从゚ ー゚ノi、 「ほら、ケーキ食べなって、名前忘れるのはワシもたまにあるからさ」


( ´ω`) 「…二回目だお」

( ´ω`) 「ホテルに泊まった時も、似たようなことがあったんだお」


イ从゚ ー゚ノi、 「そういえばそんなこともあったな」


金野が内藤に依頼した取材旅行の最終日に、うっかり名前をわすれてホテルマンに困惑させたという
ハプニングがあった。

最初は内藤のおっちょこちょいな話だとおもっていたが、もしかしたら、と金野はおもった。


75 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:07:09 ID:ZDShkYZg0

イ从゚ ー゚ノi、 「…誕生日はいつ?」

( ´ω`) 「? 3月の16日だお」

イ从゚ ー゚ノi、 「年齢と血液型は?」

( ´ω`) 「26とABだお」

イ从゚ ー゚ノi、 「名前は?」

( ´ω`)

( ´ω`)

(;^ω^) 「んん?!」


76 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:08:18 ID:ZDShkYZg0

イ从;゚ ー゚ノi、 「………マジで、忘れてるのか……いや、というよりも思い出せない…?」


(;^ω^) 「あっれぇ?!僕はブーンで………うん?!」

イ从;゚ ー゚ノi、 「ワシの名前は?」


(;^ω^) 「金野橘音!さっきの漫画家は棺桶治!!『湖の蝶』の主人公は都村トソン!!」

( ^ω^) 「僕の名前は………ッ!!」

(;`ω´) 「~~~~~ッ………???」


イ从゚ ー゚ノi、 「内藤ホライゾン」

(;゚ω゚) 「そうそれ!!内藤ホライゾン内藤ホライゾン!!僕の名前は内藤ホライゾンだお!!」

イ从゚ ー゚ノi、 「君の名前は?」

( `ω´) 「砂生 空!!」

イ从゚ ー゚ノi、

( `ω´)


77 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:09:04 ID:ZDShkYZg0

イ从゚д゚ノi、 「え?!」

( ^ω^) 「え?!」

イ从;゚Д゚ノi、 「ええ??!!」 (^ω^;)







  ええええ――――――――――――ッ?!







.


78 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:11:40 ID:ZDShkYZg0






    川 ・:・:・)   な な つ の だ い ざ い  



.


79 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:12:25 ID:ZDShkYZg0

 肌に粘りつきそうな水分量の含んだ空気の中に、珍鳥の鳴き声が響き渡る。
それを聴いた男ははっと我に帰り、今の状況を飲み込み始めた。

(;・∀・) 『あ、あぁ』

 男は、情けない音を出しながら、ふらふらと立ち上がるが、足がもつれて
腐った葉が積み重なる土のうえに転ぶ。

 羽虫がいっせいに飛び出す音が耳にいやらしく残っていった。
呼吸をすると、密林独特の腐ったような匂いが鼻腔に襲った。


(;・∀・) 『うう』

(;・∀・) 『夢だ』


 男の周りには誰もいない。しかし、彼は言葉を出していった。
それは自分の立ち位置を確認するための、呪文のようにも聞こえた。


(;・∀・) 『あれは夢なんだ。夢だ』

(;・∀・) 『僕が、ジョルジュを殺したなんて』


80 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:13:27 ID:ZDShkYZg0

 いや、彼がジョルジュを殺したという事実は、夢ではない。
長い探検でジョルジュは発狂した。そしてジョルジュがメンバーの女性に襲いかかった時、
モララーが拳銃を撃った。

 それは、まじれもなく事実ではあるが、モララーはその事実を夢であると思い込もうとしていた。

(;・∀・) 『もどらなくちゃ』

どこへ?

(; ∀ ) 『みんなのところへ、今日は帰国する日なんだ』

逃げてきたのに?

(; ∀ ) 『大丈夫だ、あれは夢だ、オレは戻ってもいい。ちょっと迷子になっただけだ』


 男は、四つ這いの状態からなんとか立ち上がり、ふらふらとしながらきた道を引き返そうとしていた。
その、モララーが居たところには、もう一人、人影があった。


(; ∀ ) 『夢だ夢だ。これは夢だ』


 その、男のベルトにはいつも下げてあったはずのサバイバルナイフがいつのまにかなくなっており、
鞘だけぶら下げていた。


81 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:14:51 ID:ZDShkYZg0

 男は、そのまま密林の草木を分け進み、消えていった。
サバイバルナイフででたらめに引き裂き、ひどく散らかった、
彼のメンバーであり、ジョルジュの狂気の手から救った、大事な仲間を残して。


(; ∀・) 『―――はぁッ……あ?』

(; ∀・) 『…はは、綺麗な蝶だ』

男は、テントに向かおうと、おびただしい血の跡をつけた格好のままに、歩いて行くと、
不意に青いものがひらひらと飛んでいるのを気付く。

(; ∀・) 『こんなところに蝶か…みないものだ。新種かもしれない』

(; ∀ ) 『いや…よく見えないな…ははは―――』


男は、もうみたくもないように、強く目をつぶったが、その蝶は相変わらず
飛び続けていたので、諦めて歩き続けることにした。




 パタンッ


イ从゚ ー゚ノi、 「………」


82 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:18:26 ID:ZDShkYZg0

 金野は、『湖の蝶は果たして青いか?』というタイトルを下げた文庫本を閉じた。
ちらりとベットに取り付けられたネオンライトに輝く時計を見る。


01:54。


イ从゚ ー゚ノi、 (いい時間だ)

 もう太陽も沈み、真円からやや楕円型になった月が輝く夜空の下に、
内藤と金野はビシネスホテルの部屋にいる。

内藤はすでにベッドに潜り込んで寝ている。
しかし、その一方金野はコーヒーを飲みながら読書をしていた。

ちらりちらりと内藤のほうに目配せしながら、その時を待っていた。


イ从゚ ー゚ノi、 「夢…か」


 二人はあちこち歩きまわった。まず、被害者の砂生空が住んでいた家に尋ねてみるが
すでに空き家となっており、残された家族はどこかへ引越ししていた。


83 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:19:43 ID:ZDShkYZg0

イ从゚ ー゚ノi、 (そして、そこに行っても内藤は特に変化はなかった…)


―――もしも、仮に、内藤に、砂生の霊とかそういうものに『憑かれて』いると過程するならば、
その砂生がかつて住んでいたところにいけば何かがしら反応すると思っていたが…。


イ从゚ ,゚ノi、 (あてが外れちゃったかな)


 そのあと、砂生が通っていた地元の小学校、中学校、高校の校門前まで来てみたり、
最後に砂生の友人にも会おうかというところで
金野がもう悲鳴をあげた。疲れた、足が痛い。休みたい、ホテルでやすみたい、と。

四時前、太陽がまたいきいきとして空で輝いている時間帯であった。

 仕方がなく、早々とホテルにもどり、部屋であーだこーだと会議しながら夜を迎える。
その会議ででた結論は『とりあえずもういっぺん夢を見よう』ということであった。


84 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:20:58 ID:ZDShkYZg0

( ^ω^) 「また人を殺す夢はみたくないけど、なんか別の夢を見れそうな気がするんだお」


という、無根拠な自信が内藤にはあった。
金野も別に止める気もなかったし、今日歩き回っている時もしばしば内藤は眠そうな目をしたり
口をくいしばってあくびを噛み殺したりしていた。
ここに来てから妙な圧迫感もなくなったことから、緊張も解けて純粋に眠りたいと思っているからなのかもしれない。


イ从゚ ー゚ノi、 (だから、内藤はいまこうして寝ている)

イ从゚ ー゚ノi、 (―――しかし、それでも悪夢が見れるのか、はたまた別の夢を見る事になるのか)

イ从゚ ー゚ノi、 (ワシにはわからないことだ)

イ从゚ ー゚ノi、 (………しかし、なぜかは知らないが、今夜、何かが起こりそうな気がする)


 あれこれと考えているうちに、時計のデシタル数字が一斉に変わる。

02:00。

丑三つ時である。


イ从゚ ー゚ノi、 「………」


85 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:22:33 ID:ZDShkYZg0

 内藤は、


 相変わらずすやすやと寝息を立てている。


イ从゚ ー゚ノi、

イ从゚ ー゚ノi、 「だよね」



 そもそも、丑三つ時だからといって、その時間ちょうどに何かがおこるという期待は的はずれなものである。
もうしばらく起きていて、なにもおこらなかったら、自分も寝て明日、内藤の夢の報告を聞くとしよう。
そう金野はあくびをしながら考えていた。


イ从*´0`ノi、゚ あふ…

イ从゚ ー゚ノi、 「…もうすこし読むかな」


 金野は、再び自分が書いた作品、『湖の蝶は果たして青いか?』を手に触れるが、そこでとまる。
…何かがひっかかるような気がする。


86 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:25:06 ID:ZDShkYZg0

イ从゚ ー゚ノi、 「ふむ…」

 金野は、バッグから常に持ち歩いている万年筆とノートをとりだし、適当な単語を書き並べる。

一目、無関係に思える様々な単語をし、広がれたノートのあちこち適当に
書き並べていく。


イ从゚ ー゚ノi、 カリカリカリ


   砂生 空           4年前の事件
       を殺す夢                名前を忘れる
                    悪夢

  内藤ホライゾン   二週間の取材旅行     犯人は不明

    丑三つ時?        元気がなくなる
                          棺桶治?
       間違えて砂生と名乗る            
                       一週間で
                       街に戻ると元気が出る


イ从゚ ー゚ノi、 「ポイントは、ここだな」


87 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:26:57 ID:ZDShkYZg0

 金野は、3つの単語に丸で括る。

「名前を忘れる」 「間違えて砂生と名乗る」 「砂生空を殺す夢」


イ从゚ ー゚ノi、 「―――…………」


 名前を忘れる。というのは自我を失うような意味合いも持つ。
しかし、内藤は名前を忘れているだけで、その名前を示せばその名前であると思い出すことができる。
つまり、自力で自分の名前を探し出すことができなくなっている状態だ。

名前が探し出せない。名前が思い出せない。名前を奪う。名前を隠す…。


イ从゚ ー゚ノi、 「…しかし、自分の名前が忘れる上、別の人の名前を名乗る…かぁ」


イ从゚ ー゚ノi、 (名前を忘れる… 別の名前を名乗る… 一週間の悪夢… ここにもどると元気がでる…)


イ从゚ ー゚ノi、 「…あ」


88 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:31:58 ID:ZDShkYZg0

金野はなにかを思い出したようで、手提げカバンからファイルを取り出した。
この間、内藤が取材であつめてきた資料である。


イ从゚ ー゚ノi、 パラパラパラ

イ从;゚д゚ノi、 「…やっぱり!」


 カフェで、内藤が突然名乗った「砂生 空」。どこかできいたような気がしたが、それもそのはず。
内藤が取材していた、殺人事件の被害者ではないか。

おまけに、この砂生 空という人物は、殺されている。


イ从゚ ー゚ノi、 「なぜ、ブーンちゃんが自分の名前でこの人の名前がでてくる…?」


イ从゚ ー゚ノi、 「…砂生になりかけた?」


―――『乗っ取り』でもしようとしているのか?


イ从;゚ ,゚ノi、 「………」


89 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:33:15 ID:ZDShkYZg0

 ひやり、と嫌な予感がした。背中に冷たい風が通ったような気がする。
寝ている内藤をみるが、ここからでは顔がよく見えない。


イ从;゚ ー゚ノi、 「………ブ…」

イ从;゚д゚ノi、 「ブーン、ちゃん?」


静かだ。よくよく耳を澄ましてみると、寝息も立っていないように感じた。
まさか、まさか、嫌な予感ばかりが広がっていく。



(  ω )



イ从;゚Д゚ノi、 「オイッ!!ブーンちゃん!!起きろッ!!!」



(((  ω ))) ガクガク


90 名前:名も無きAAのようです :2012/06/15(金) 23:35:29 ID:ZDShkYZg0





(#`ω´) 「うるせえお!!!!!!小娘どもがッッッ黙れッッッ!!!!!!」




イ从゚ ー゚ノi、 「え」





(#`ω´)三つ#)`Д゚ノi、゚、・  ドクァッ






( -ω-) すやすや      :イ从#);Д;ノi、: グスン グスン


97 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:23:12 ID:Zj85YcDo0




     川 ゚ 八゚) <ヒゲー   や お よ ろ ず





.


98 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:25:32 ID:Zj85YcDo0

 もやもやとした意識の中で、金野は密林の中で、寝たままの格好で歩いていた。

なぜ、こんなところに、密林の中で?
そんな一片の疑問も抱かずに一歩一歩、草木を分けて歩いて行く。

 すると、足に何か柔らかいものをぶつけた、ような気がする。
なんだ?と思いながらみてみると、腸を撒いた死体があった。




(* ∀。)


イ从゚ ー゚ノi、




 金野はこの彼女のことを知っていた。
そして、その彼女の腹を割いて中の物をひきずりだし、胸に刺したそのナイフの持ち主も
知っていた。


99 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:26:16 ID:Zj85YcDo0

 金野は、その死体を尻目において、さらに歩いて行く。
今まで通ってきた道とは異なり、誰かが通ったような痕跡のある道のなかで
歩いて行く。

あちこち、血痕がのこっているが、しばらくすると消えた。
この血はおそらくさっきの彼女のだろう。
普通ならば血痕が途切れた処で追跡は困難になるが、金野は確信に満ちた足取りで進んでいく。


 それは、突然獣道から外れて、なんの目印もない密林の中でも、自分の庭のように歩いて行くように。
しばらくすると、開けたところにでる。その広場の中心にはとても大きな老木があった。

 その老木はおおきな根を大地にはり巡り、その中には洞窟を思わさせるような空間が
たくさんあった。そのなかに人影があった。


イ从゚ ー゚ノi、 「お」


( ・∀・) 『ん?』


イ从゚ ー゚ノi、 「いたいた」


( ・∀・) 『よぅ、作者』


101 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:27:42 ID:Zj85YcDo0

 先ほどの死体を手かけた張本人が、ひときわおおきな木の根のなかに包まるようにいた。
その男はこちらをみやるとよっこらせと、身軽な動きで洞の中から身を出す。


( ・∀・) 『さっき、つーを殺したんだけど』

イ从゚ ー゚ノi、 「さらにおまえは主人公のトソンの右腕を突き刺したり、隊長のシャキンから銃を奪って殺す」

( ・∀・) 『ひっでーな、オレ。結末は?』

イ从゚ ー゚ノi、 「脳に食われた寄生虫の進行で視神経に影響がでて、青い蝶のような光を追ってジャングルに消える」

( ・∀・) 『なんだ、オレ死なないのか』


 モララーはちょっと意外そうな顔をした。
「そんなにオレというキャラが大事かね」というような顔をした。


( ・∀・) 『でも、ま、キツネにしちゃ、かなり冒険したよな』

イ从゚ ー゚ノi、 「ワシにとってかなり猟奇的だとおもう。でもなぜか筆が進んだんたよね」

( ・∀・) 『狂気とか絶望とか破滅とか、そんな願望でも?』

イ从゚ ー゚ノi、 「ないない、3時のおやつは玄米茶ときなこもち食べるワシにそれはない」

( ・∀・) 『じゃあ、無自覚の領域に、それはないと言い切れる?』

イ从゚ ー゚ノi、 「あるかもね、こんな小説かけるくらいだから」


102 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:28:38 ID:Zj85YcDo0

 金野はポリポリと後ろ頭をかきながら、ややバツの悪そうな顔をする。
モララーと呼ばれた男はその大きな木の上に登り始める。
苔むすのついた大枝の上にたってから、こちらに見つめながら、喋る。

 気がつけば、彼の周りには青い蝶が2,3羽とんでいた。


( ・∀・) 『その無自覚の領域は、記憶であり、経験であり、本能であり、夢であり、自己である』

( ・∀・) 『この世界でもあり、死んだつーでもあり、オレを恋してるトソンでもあり、狂気に犯されたモララーでもある』

( ・∀・) 『キンノ、キツネ、金野橘音。わかるか? オマエは、キツネだけじゃないんだぜ』


 この話題も何回やっただろうか。彼はニヤニヤとした顔でこちらを見つめる。
金野は、話を合わせることにする。自分もその木の上に登る。


イ从゚ ー゚ノi、 「ああ、それはなんとなくわかっている。今こうしてしゃべっているワシ以外の、なんかもこの体の脳に
        住んでいる」

( ・∀・) 『キツネ、主人格。おまえは俺らの存在を認めてくれている。オカルトは信用しないくせに』

( ・∀・) 『だからなかなかオマエの体を借りてくれないな』


 彼はさらに樹の枝の先に歩いて行く。彼の周りの青い蝶が増えてきた気がする。
金野も、ようやくモララーの立つ大枝にたどり着く。


103 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:30:09 ID:Zj85YcDo0

イ从゚ ー゚ノi、 「阿呆め、モララー、貴様とワシは別人のようにいってるが、お前はワシの一部だ」

イ从゚ ー゚ノi、 「だから、こうして小説のなかでいさせてもらってんだろうかよ」


 枝の先に立っているモララーはこちらに顔を向ける。
その顔は、悔しいやら嬉しいやらもどかしそうな表情だった。


( ・∀・) 『ああ、くそ、これだ。キツネはオレに支配されないように先にキャラを与えやがったんだな』

( ・∀・) 『しかも、楽しいときた。クソったれだ』

イ从゚ ー゚ノi、 「面白いだろ?『湖の蝶』」

( ・∀・) 『ああ、面白いよ。面白い。でもさ』


 と、いうと、彼はまわりの青い蝶を、ようやくうっとおしそうに「しっしっ」と腕ではらった。
もう、10匹以上は飛んでいる。


( ・∀・) 『新作は、オレの頭の中にパラソルとか入れないて欲しいかな』

イ从゚д゚ノi、 「パラサイト」

( ・∀・)

イ从゚ ー゚ノi、


104 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:32:34 ID:Zj85YcDo0

( ・∀・)

イ从゚ ー゚ノi、

( ・∀・)そ 『…ッ!』

イ从゚ ー゚ノi、


( ・∀・)


(  ・∀)


(    ・)


(   *) 『……苦手なんだよ!横文字!!』


 彼は、あーもーと言いながら枝の先から、こちらに戻って歩いてくる。
すると、ああ、と口を開けながら手を叩いた。

 そして、二人の距離は、手を伸ばせば互いに触れるくらいの距離まで来た。
モララーの周りの蝶は音もなく飛び回る。その青く輝く色はどこかに見覚えが会ったように思えた。


105 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:33:19 ID:Zj85YcDo0

( ・∀・) 『そうそうパラソ…サイトで思い出したんだけど、ブーンちゃんさ』

イ从゚ ー゚ノi、 「うん?」

( ・∀・) 『ありゃ、オレと同じだ』


イ从゚ ー゚ノi、 「…?」


( ・∀・) 『きぃ、つけとけよ』







( ・∀・) 『パラソルより怖いのがいるぞ』






.


106 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:34:09 ID:Zj85YcDo0

イ从゚Д゚ノi、 「パラサイトッ!」 ガバッ!

イ从;゚ ー゚ノi、 「あ、朝………か」


 気がつけば、自分はいつのまにかに寝ていたらしい。
すでに朝日も登って、馴染みのある青い空が窓の向こうに広がっていた。


イ从;'Д`ノi、 「…あいたた」


自分は、どうやら床に寝ていたらしい。前後の事がよく覚えてない。
絨毯のような柔らかい繊維質の床だったが、それでも体の節々がいたく、重い。
とくに右頬が痛くてしょうがない。


イ从;-д-ノi、 「ヴー」


 それに、久々に重たい夢をみてしまったらしく、頭痛がきりきりとする。
その割に、一旦起きてしまえば、どんな夢をみたかすっかり忘れてしまう。
水が飲みたいな、とドクオはようやく立ち上がると、異変に気付く。


イ从゚ ー゚ノi、 「あれ?」


(  ω )


107 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:34:54 ID:Zj85YcDo0

 内藤が起きている。しかし、様子がおかしい。
ベットから上体だけ起こして、そのままじっといている。
ぼんやりとしているのかと思えば、その目は恐ろしいほどの形相をしていた。


イ从;゚ ー゚ノi、 「お、い」


イ从;゚д゚ノi、 「ブーン…ちゃん?」


(  ω )


(  ゚ ω )


イ从;゚ -゚ノi、 「 ッ 」


( ^ω^) 「あ…金野先生、おはようございます」


イ从;゚ -゚ノi、 「あ…ああ」


108 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:35:50 ID:Zj85YcDo0

 ここで、金野は思い出す。先ほどまで見ていた夢の内容。
そうだ、確か、小説のキャラ、モララーと会って、何かと話をしていた。


( ・∀・) 『ありゃ、オレと同じだ』



( ^ω^) 「…」

( ^ω^) 「行かないと」

イ从゚ ー゚ノi、 「え?」


 内藤は、朝食も取らずに簡単な着替えだけしてホテルから飛び出した。
金野も慌ててそれを追う。

 朝独特の冷たい匂いを肌に感じながら金野は内藤の背を追う。
内藤はもう歩いているのか走っているのかわからないような速度で進んでいく。


109 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:36:41 ID:Zj85YcDo0

イ从;゚ -゚ノi、 「まってよ、ブーンちゃん!どこへいくんだ?!」


( ^ω^) 「夢」


イ从゚ ー゚ノi、 「え?」


( ^ω^) 「みたんです、それで、行かないと」


イ从;゚ -゚ノi、 「夢…!」



 ―――やはり、ここで見た夢は、大きな手がかりがあったようだ。
しかし、その同時に、何かが、ひどく厄介なものも、やはりあったそうだ。


イ从;゚ -゚ノi、 「…ッ?はぁ… は… ブーンちゃん…?」

( ^ω^) ツカツカツカ

イ从;゚ ー゚ノi、 「…おまえ」

イ从゚ ー゚ノi、 「『お』、どうした?」


( ^ω^) ピタッ


110 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:37:45 ID:Zj85YcDo0

イ从゚ ー゚ノi、


( ^ω^)


イ从゚ ー゚ノi、



( ^ω^) ………



( ^ω^) 『なんのことですか?』


111 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:38:26 ID:Zj85YcDo0





         川 ゚ -゚)   Episode  く  ー




.


112 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:39:19 ID:Zj85YcDo0

 ライターの火を近づけると、線香の匂いが立ち上った。
その束の端全てに火がつくのを確認すると、それを優しく墓の香炉の中に置く。
香炉の上の台には、クーが好きだったお菓子とジュースが置いてある。

 ちょっと変な所もあったが、優しい妹たちだった。

 手を合わせる。


( -"_ゞ-)人


( ゚"_ゞ゚)人


 あれから、四年か。と棺桶はぼやくように呟いた。
自分は、あの事件から立ち直れた。クーの分にも生きようと、がむしゃらに生き急いだ。


 クーがよく読んでいた漫画を、自分は描いている。
そして、とうとうサイン会を開くほどまでに出世した。


 ―――しかし、両親はいまだにあの日から引きずっている。
この街から離れ、別の所に暮らしても、「いまごろクーがいたらば」というもしればを繰り返している。

 自分よりクーのほうが可愛かったのだろう、と彼は自嘲するように笑った。


113 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:40:02 ID:Zj85YcDo0

( ゚"_ゞ゚)


( -"_ゞ-)


 サイン会で近くまで来たから、むりやり時間を作って、墓参りこれた。
おそらく、自分はこれからもっと忙しくなるだろう。そうなったら、墓参りも年に一度も来れなくなるだろう。


 人が待っている。そろそろ行くか…。
と、彼が墓場をあとにしようとした時だった。


( ゚"_ゞ゚) 「ん…?」


 棺桶は、ようやく気付いた。墓の片隅のほうに、小さな花が4,5本供えられていた。
これは、クーの好きな花だった。

いったい誰が供えたのだろう。


( ゚"_ゞ゚)


( ^ω^)


114 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:40:50 ID:Zj85YcDo0

( ゚"_ゞ゚) 「ああ、内藤さん…あなたですか?」


( ^ω^)


( ゚"_ゞ゚) 「いきなり電話かけるもんだからびっくりしましたよ。
      それで、私にどんな用…」


 今日の朝、電話がきた。昨日、サイン会で内藤たちと出会い、名刺交換をした。
その名刺にはいってある電話番号から内藤は「いますぐ会えませんか?」と言ってきた。

 とりあえず、墓参りはする予定だったし、そんなに遠くはないところだから
そういう旨を入れたら「じゃあ今から墓場にいきます」と言ってきた。

 有無言わさぬような行動で、何があったんだろう。
まぁ、会ってみればわかるか。棺桶は楽観的に考えていた。



(;゚"_ゞ゚) 「―――ッ!」


そして、棺桶は内藤に歩み寄ろうとして、急に立ち留まる。


115 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:41:32 ID:Zj85YcDo0

 治は、その男の妙な雰囲気の、その正体を知れた。
彼のその手には、なぜかそこらへんから拾ってきたような、レンガ大の岩石を持っていた。



( ^ω^)  『 初めまして 』



彼は、その岩石をそのまま治の頭部に目掛けるように投げつけた。
驚いた治は思わず身を強張る。岩石は、頭部ではなく、それよりも前に出た右肩に当たる。

 ひゃあ、という悲鳴を上げながら治は転び、墓によりかかる。


(;゚"_ゞ゚) 「な、なにを!!」


( ^ω^)


 内藤は、いや、内藤の『中』は、治の声に反応せず、もう片手に持っていた岩石をもう一度投げつける。
ぐぇ という短い悲鳴があがった。身動きのできない状況で、頭を守るように手でおおったが、それで生まれた
脇腹のスキマに、岩石はめり込んだ。


116 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:42:24 ID:Zj85YcDo0

(; "_ゞ ) 「あぐッ!!」


( ^ω^)


 棺桶が怯んだ。そのうちに、『中』は、投げつけた岩石を拾う。もう一度投げつけようとする。
棺桶は大きな声をたてながら、内藤に体当たりをするが、『中』はそれも見通していたようで、簡単にかわす。
そして、棺桶の背中におもいっきり、岩石を投げつけた。


(;゚"_ゞ ) 「あッ が!!」


 折れた。今ので、背中側の筋肉が潰れて、肋骨にひびが入った。そう確信できるほどの衝撃を覚えた。
逃げろ。なぜこの人が私を襲うのかわからないが、とにかく逃げろ。と彼は思った。


(;゚"_ゞ゚) 「わぁぁ!!」


 棺桶は、必死に逃げ出した。


117 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:43:56 ID:Zj85YcDo0

(    )


(  ゚ω)


(  #゚ω) 『にげるな』





 内藤の『中』も、後を追った。


118 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:45:07 ID:Zj85YcDo0

イ从;゚д゚ノi、 「ゼハッ!!ぜはッ!!はぁはぁはぁ!!!」

 金野がようやく墓場にたどり着く。
内藤が途中からはとうとう走りだし、体力のない金野を置き去りしていった。
しかし、幸い彼には内藤がかき集めた資料から地図を引っ張りだし、砂生空の骨が安置されている墓場に
たどり着いた。


イ从;'д`ノi、 「ぜひゅ~~~~~ぜひゅ~~~~ッ おえ~~ッ!」


 急な運動で呼吸は大きく乱れ、ついに物を吐き出してしまう。
寺の前にはくなんで、罰当たりな。と金野は脳の片隅に考えていたが、それ以上に
激しい呼吸とひどい苦痛で脳はそれで大部分を占めていた。


イ从;'Д`ノi、 「はー…はー…」


たすけてくれー!!


イ从;'д゚ノi、そ 「?!」


 その時、聞き覚えのある声が飛んできた。しかも助けを求めている声だ。
嫌な予感が、むくむくと湧いてきた。まさか、とはおもうが、内藤がとうとうやらかしてしまったのか。

重たい肺にむりやり拳をいれて喝を上げ、はしる。


119 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:46:08 ID:Zj85YcDo0

(;゚"_ゞ゚) 「ッ ああ!!」


イ从;'д゚ノi、 「はぁッ!!かんッ おッ さん!!」


 墓場にはしると、向こうから男がでてきた。
彼は、とても悲痛な顔をして、走ってきた。

 ああ、もうだめだ。それだけで状況がありありと伝わってしまった。
しかし、どうすればいい?その前に酸素が足りない。
呼吸がはやくなる。


(;゚"_ゞ゚) 「たったの!!頼っすけて!!おまわりさんっぽ!!!」

イ从; д ノi、 「ぜは!!ぜへぇ!!ひっひっひっひっっひぃ ひぃッ!!!」

イ从 ロ ノi、 「ふッ!!!」


( ゚"_ゞ゚) 「え?」

イ从 ロ ノi、 ばたんッ


 金野は、体力の限界と極限の状況の果てに、とうとうぶっ倒れた。
白目をむいて息もおそろしく静かになった。


120 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:46:56 ID:Zj85YcDo0

(;゚"_ゞ゚) 「ちょちょちょ!!ぜぇ!!ピッ!!」


 棺桶は狼狽した。そのまま逃げるべきか、しかし、その一方この男を放置したら、
あの男に襲われやしないか。逃げるか逃げないか、連れて逃げるか見捨てるか。
そんな思考の半数も一巡りしないうちに、墓場から、もう一人男が現れてきた。


三( っ岩^ω^)っ岩 ダダダダダ


(;゚"_ゞ゚) 「わぁ―――ッ!!!」



 『まて』


( っ岩^ω^)っ岩 ピタッ


(;゚"_ゞ゚) 「?!」


声がした、下のほうだ。
しかし、聞きなれない声だ。

 しばらくすると、下の方から、人がむくりと起き上がってきた。


121 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:47:59 ID:Zj85YcDo0

イ从   ノi、 『あーいてて…あちこちいてぇわ…』

イ从 ∀ ノi、 『運動はしとけって、いつもいってやってんだけどなぁ』


(;゚"_ゞ゚) 「…?」


( ^ω^)


イ从 ∀ ノi、 『…はー、まぁいいや。ところでさ、ブーンちゃんの『中』のおめぇ』


 ―――何かが違う。棺桶は改めて、その立ち上がった人をみると、
あの金野先生であることを気づいたが、その直前、それは違う。と思った。

その身丈も顔も金野先生のそれなのに、何かが違う。
しかし、そのくせに、ひどく見覚えのある雰囲気だった。


イ从 ∀ ノi、 『自己紹介しとこうか』







         『俺の名前はモララー』


122 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:49:19 ID:Zj85YcDo0





イ从 ∀ ノi、 『あんたと同類……みたいなもんかな。『中』にいるお前』




(;゚"_ゞ゚) 「―――ッ!」


( ^ω^)


 モララー、それは金野のかいた小説の中にでてきた、人物の一人だ。
その人は寄生虫に犯され、狂人になり、最後は森の奥に消えた。

しかし、その狂気に囚われながらも賢者のような雰囲気をまとっていたそのキャラに
熱烈なファンがついた。

その、モララーが、フィクションの人物が、いまそこにいる。
―――そして


イ从 ∀ ノi、 『―――そんで、お前は…』


123 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:50:24 ID:Zj85YcDo0

( ^ω^)


イ从 ∀ ノi、σ


( ^ω^)


イ从 ∀ ノi、σ 『何人、入っている?』




( ^ω^)




( ^トェイ^) ニィィ


124 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:51:24 ID:Zj85YcDo0





    川  @ )   Episode    ま じ わ り




.


125 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:52:14 ID:Zj85YcDo0

 砂生空を殺した犯人は、そのまま死体を放置して山に逃げた。

 犯人は、わけが分からなかった。
ちょっとだけ、砂生と話をして、もっと理解しあいたいと思っていた。

 しかし、結局はこうして、砂生を自分の手で殺してしまった。
なぜ、砂生は自分を理解してくれないのかわからなかった。



 そして、高そうな崖をみつけると、そこに登って行って座った。
しばらく、高いところで山森と、その奥にひろがる町並みをぼんやりと見つめながら、
とうとうと涙を流した。砂生は、犯人にとってとても魅力的な存在だったからだ。




 しばらくして、その崖から飛び降りた。


126 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:53:08 ID:Zj85YcDo0

( ^ω^) 「このへんかお?」



 あれから四年後。
取材で、わざわざ犯人の目撃情報の後を追って山奥までやってきた内藤がやってきた。
彼は、地図を見つめながら身軽に登っていく。


( ^ω^) 「犯人はこの山に消えて、警察も何度も捜索したけどみつからず始末かお」


 それもそのはず。
事件当日、犯人はすでに山奥で命を捨てた。
警察が目撃情報をあつめ、山奥に逃げたという結論がでてから捜索が始まるまでに一週間はたっていた。
その時は冬であったため、死体は雪に埋もれ、消えていた。

 春が来ても、警察は捜索を繰り返していたが、長い冬の間に、服と骨を残して、
春の息吹に飲み込まれて朽ちていた。

捜索が打ち切りになったのは、事件の当日から半年後、警察は犯人の死体の、その衣服の破片も見つからず
撤退した。

 死体は、山奥の無数の生命と無数の葉によって、覆い隠されていった。


127 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:53:51 ID:Zj85YcDo0

( ^ω^) 「もし、僕が犯人だったら…」


( ^ω^) 「このへんで、道を外れて…うーん、あの崖とか登りたくなるかなお?」



 内藤は資料や死体の状態から犯人の性格をある程度推測してみたが、それ以上に妙な勘の良さで
犯人の死体が転がっているところまでやってきた。



(;^ω^) 「うわ、険しいお。むりむり、あんな崖、登れないお」



 彼は崖の前まできて、踵を返した。
その時、犯人は彼に興味を持った。

 犯人は、わざわざこんなところまでやってくるこの男の後を追った。
そして、その理由も知れた。


128 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:56:47 ID:Zj85YcDo0

( ^ω^) 「んーっと、砂生空は、当日ナイフで切られていて…」


( ^ω^) 「それから、彼女は家族がいたけどみんな越して…兄妹がいて…」


( ^ω^) 「…なんでオレ、殺人事件まで手を伸ばしてんの?」


( ^ω^) 「まぁいいかお。いないんな徹底的に身の回り調べ尽くしてやるお~」


 犯人は、この男は砂生について調べているらしい。
無理もない、それほどまでに彼女は魅力的だったからだ。
 
 この男についていると、いろいろなことが知れた。
あの殺した娘には家族がいた。その時は考えもしなかったが、なんとなくその家族にも
一目、見ておきたい気もした。

 こうして、犯人は、もうしばらく内藤のあとを追うことに決めた。


129 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:58:01 ID:Zj85YcDo0

 その日の夜、犯人は久しぶりに夢を見た。
四年前のあの日を、それは犯人にとっても、悪夢でもあった。


( ;゚ω゚) 「おぅわ!!」

(゚ω゚; ) 「お…おっ…おおー…?」 キョロキョロ


 ついていた男が朝早くから飛び上がるように起きた。
どうやら、自分と似たような夢を見たようだ。
無理もない、あれは自分でも辛い夢でもあるのだから。



( ^ω^) 「あつやきたまごうーめー」 もみゅもみゅ


((( ^ω^) 「おかわりいくおー」


  (^ω^三 バッ


   ( ^ω^) …?


 ?

 犯人は、内藤の横に居た。
内藤はいきなり後ろの方を振り向いたが、そこには誰もいない。


130 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:59:16 ID:Zj85YcDo0

 こうして、内藤は新幹線を乗って、隣県へ戻っていった。
ここで犯人はひとつ驚いたことがあった。キップを買わずともホームまで入り込むことはできた。
だれも自分を気づいてくれないことに僅かな寂しさを覚えたが、好都合とばかりに新幹線の中までついていった。

しかし、新幹線が動き出すとみんなが奥に吸い込まれるように動いていって、自分はその場に置いてけぼりされた。
呆気にとられて声を出しながら追いかけていったが、とうとう新幹線は線路の彼方へ消えていった。


 犯人は、辛抱強かった。彼はいつかまたここに来るかもしれない。
このホームでうろつきながら一週間もの間、待ち続けた。


 そして、その男は戻ってきた。
犯人はおもわずよしっ と言いたくなるのをこらえた。しかし、その男を寄ると驚いた。



(ヽ゚ω゚)



 痩せこけている。アレほどの健啖家が、ここまでやつれることはあるのだろうか。
それに、目付きが異常だ。ぎろぎろとしてて何かを思いつめているような眼だ。
犯人は思わず身をすくめた。


131 名前:名も無きAAのようです :2012/06/16(土) 23:59:56 ID:Zj85YcDo0

(ヽ^ω^) 「犯人を見つけること」



 すると、内藤はそんなことを呟いた。
犯人というのは、おそらく自分の事だろう。

 しかし、それ以上に、犯人は心配でしょうがなかった。
この男は、今にも、倒れそうではないか。

ここで、犯人は試しに内藤の体に触れようとしてみた。


(ヽ^ω^) 「砂生 空を、    」


(ヽ ω )


 すると、一瞬内藤は眼の色が変わったように見えた。
もしや、と犯人はおもい、内藤に触れたまま、歩け。と念じると歩き出した。

 あまり、多用はできないな、と思った。
なぜならば、内藤を動かすたびに妙な抵抗が感じられ、その抵抗は明らかに自分への敵意があった。

 しばらく歩かせていくと、触れていた手がピリピリと痛み、それがたまらなくて、手を離した。


132 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:00:51 ID:aPbQ9guc0



(ヽ^ω^) 「むしゃむしゃむしゃ」



 犯人は、とりあえず無理矢理にでも食物を詰め込ませてやると、内藤はだんだんと自分で
食べ始め、さきほどまでの影の落ちた表情がみるみるとなくなり、肥えてきた。
それにしてもよく物を食べる男だ、と犯人はおもった。


( ;゚ω゚) 「あー!!」


( ;゚ω゚) 「棺桶治先生のサイン会だお!!!な、並ばねばお!!!」


 内藤は棺桶治という人のサイン会があることを今日気づき、並びにかかった。
すっかり、内藤は気をよくし、元気が出てきたらしい。

 並んでいる途中に、もう一人女性がやってきて、大きな声をだしながら内藤の胸ぐらを掴んできた。
なにごとだ。と思っていたらどうやらこの怒っている人は金野といい、内藤の知人らしい。

 しばらくして、内藤は棺桶治という人のサインをもらい、御機嫌な表情をしながら
知人のもとへ向かう。

 犯人は、ちらりと棺桶治のほうをみる。
あの漫画家、どこかで見たことあるような気がした。
他人の空似だろう。と犯人は思うことにした。


133 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:01:53 ID:aPbQ9guc0

 内藤と合流した金野、その二人はおなじデパートの食店にはいり、片方が恐ろしい速度で
ケーキを頬張っていると、先ほどの漫画家がやってきた。



( ^"_ゞ^)



 やはり、見覚えがある。どこだったか…。
ああ、そうだ。この人は砂生空の兄だ。

生前、空を殺してみようと思い立って、彼女のマンション近くの公園でぼーと待っていた時、
よく空と一緒に帰ってきた人だ。空の話から、その人は兄であることはすぐにわかった。


 ―――犯人は、この人に嫌悪感を抱いた。

 棺桶、だと?貴様の名前は砂生のはずだ。あの女性と同じ苗字のはずだ。
ペンネームのつもりなら、なぜ捨てた?お前は、空を忘れたいのか?

 確かに空は犯人の手で殺した。犯人もそれは許されないようなことであることはわかっていた。
しかし、この兄である治のへらへらとした顔を見ていると、ひどい苛立ちを覚えた。


134 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:04:44 ID:aPbQ9guc0

(*^"_ゞ^) 「サイン…おねがいします」

 確かに、四年という時間は、悲しみを癒すのに十分な時間だろう。
それでも、一切の影の見えない治に、許しがたい感情が芽生えた。

 いっそのこと、砂生のいるあの世に行かせて、反省させてやろうか。


( ^ω^) 「…棺桶先生、なんかどこかで会ったような…?」

( ゚"_ゞ゚) 「? さっきのサイン会でしょう?」


 私は知っているぞ。と犯人は呟いた。
内藤は、この男をどこかであったことがあるように言っているが
犯人はもうどうでもよかった。


135 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:05:29 ID:aPbQ9guc0

(*^"_ゞ^) 「あ、棺桶治で」


 ちがう!!お前は、砂生治だろうが!!
いま、すぐ、おまえの妹を思い出させてやろうか。


( `ω´) 「砂生空!」


 しかし、やっきになって内藤を操ろうといろいろやっていたら、なぜか上手く行かず、
その名前を言わせた時には治もそうどこかへ行ってしまった。



 くやしいと、犯人は思った。


136 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:06:10 ID:aPbQ9guc0

 そのあと、このふたり組はあちこち歩きまわった。
なぜか砂生のかよっていた学校なんかに行っていたが、そんな所いっても
なんにもならないのに。と犯人はぼやいていたら

金野という女性がもうやだーかえるーあしいたいーと弱音を吐き出した。


 金野はベッドで横になってほとんど寝落ちている、内藤は今日もらったばかりのサインをうっとりと眺めている。
寝ている彼女は、それのなにがいいんだ?と尋ねると内藤はこれでもかという
治の漫画の啓蒙を始めた。


 話を聞いているうちに、治はいまこの街から離れていて仕事をしているらしいという。


 ―――もしかしたら、と犯人はおもった。
妹の空の死のことを忘れるような薄情な人ではあるが、その同時にわざわざサインにネームを入れに
やってくるようなひとよしでもある。

 この街にきたのが久々であるならば、なにかのはずみで砂生のことを思い出し、
墓に一礼にくるかもしれない。

 そうと決まれば、はやく内藤を乗っ取ろうと思った。
しかし、慎重を期して、彼が深く眠り、意識が全くない夜にしようと犯人は考えた。


137 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:06:55 ID:aPbQ9guc0


(  ω )


 途中、金野に起こされて一からやり直しになるようなハプニングもあったが、
なんとか、意識を乗り込み、体の支配権利を奪いとりつつにあった。

 そして、朝に迎えると、内藤の中に入ることに成功した。
さっそく、内藤が集めていた資料を漁り、砂生空の墓があるという場所を確認する。

 金野もおきてきたので、それとなく反応してやるが、怖いことがあるもので、
彼は半刻も立たぬうちに内藤の中に潜った犯人の存在に勘付き始めた。


 なんとか、金野から引き離そうとして、やや駆け足で走り、そして一刻もはやく
墓場に向かおうとした。

 そして、電話を入れる。昨日もらった棺桶の名刺から電話番号を調べていれて、かける。
彼は、すでにホテルから出て、墓場に向かっていることがわかった。
犯人は、一息ほっと胸を撫で下ろしてから、そのついでに砂生の墓に行く。

 とちゅう、砂生の好きな花をみつけたので、5本ほど積んで、備える。


( -ω-)


 ―――そして、長く祈った。
待ってください、砂生さん。いますぐ、お兄ちゃんもそっちに送ってあげるから。


138 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:08:30 ID:aPbQ9guc0




(; "_ゞ ) 「アグッ!!」



 墓場の隅でずっと待っていると、その男はやってきた。

 彼はちゃんと墓にお参りにしてくれた。

犯人は感動を隠しきれず、はしゃぎたい気持ちを抑えながら、墓場の隅に転がっていた岩石で殴りつける。
ほんとうは、ナイフでさくっと早く済ませたかったけど、もってないものはしょうがない。

 空が死んだあの日の悲しみを忘れて、自分だけのうのうと漫画なんかかいている罰だ。
そう自分で言い聞かせながら、逃げ出した治を追い、岩石で殴り殺そうとする。




イ从 ∀ ノi、σ 『何人入ってる?』




 ―――しかし、犯人は、そこで驚き戸惑った。
目の前に現れた、金野ではない誰かが、自分の方に向かって、自分じゃない誰かに話しかけたからだ。


139 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:11:39 ID:aPbQ9guc0
 ―――しばらく、静かに時が過ぎて―――



( ^ω^)



 ―――犯人は、ようやくその言葉の意味に気づき―――



( ^トェィ^)




 ―――表情を歪めて―――



(;^トェィ^) ヒクッ




 ―――ひきつった表情をつくった。


140 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:12:23 ID:aPbQ9guc0




















.


141 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:13:33 ID:aPbQ9guc0

    川   )     Episode   ひ と り ぼ つ ち

    川 ◯ ◯)   Episode   の ろ わ ば あ な ふ た つ

   ┗川 ゚゚゚ )┛    Episode   う  し  み  つ  ど  き

    川  4 )     Episode   死

    川 。,゚ )    Episode   ご か い

    川 6 -6)    Episode   ろ く で な し

    川 ・:・:・)   Episode   な な つ の だ い ざ い

    川 ゚八゚)     Episode   や お よ ろ ず

    川 ゚ -゚)      Episode   く  ー

    川  @ )    Episode   ま じ わ り


142 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:14:56 ID:aPbQ9guc0








                 Episode



               ゆめみてしねる






.


143 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:16:13 ID:aPbQ9guc0






( ;゚トェェイ゚) 「きゃあぁぁぁあ゛あぁ"ぁ゛ああぁああああッああぁ゛――――――――――――ッ!!!」





( ;゚ω。) 「ぇぁあ゛ッ!!!!」



(;゚"_ゞ゚)


( ; ω ) 「ぎッ!!!!!」



 イ从゚ ー゚ノi、


144 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:17:42 ID:aPbQ9guc0

 直後、とてもとても長い断末魔があがった。




( ; ω ) 『                                                 』




 そして、一瞬、正気にもどったような瞳を見せて



( ;゚ω )



 内藤は、いや、『彼女』は、―――いいや、『彼女たち』は、兄に向けて言葉を残した。


(  ^ω )  『ばいばいにいちゃん』


(;゚"_ゞ゚)


(;゚"_ゞ゚) 「…クー」


145 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:18:26 ID:aPbQ9guc0


















 それを最後に、内藤は倒れた。

―――再び気付いた内藤は、「あれ?朝食はお?」と呑気なことを言った。


146 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:19:41 ID:aPbQ9guc0










    川 ゚ -゚)ノシ   Epilogue   ばいばい


147 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:20:24 ID:aPbQ9guc0
( ;゚ω゚) 「おぅわッ!!」 ガバッ


(゚ω゚; ) 「お…おっ…おおー…?」 キョロキョロ


( ;^ω^)=3 「…おお」


( ;^ω^) 「夢…かお」


 内藤ホライゾンは、ほっため息をつく。
そして、蹴り飛ばし、床に落ちた毛布を手に取り、ベッドの上に投げ戻してから
洗面所に向かった。

 内藤は洗面所にあった歯磨き用のカップを手に取り、ブラシを音を立てて放る。
ノブを回して蛇口から水を吐き出させると
それにカップを注ぎ、自分の口の中に運び入れる。


( ´ω`) ゴキュゴキュッ


カルキ臭いが、冷たい水が食道を通り、潤いを得ると、幾分かは気が楽になってきた。


148 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:21:04 ID:aPbQ9guc0

( ^ω^) 「ぷふぅ」

( ^ω^) 「…………」


(ヽ´ω`) 「どら焼き食い過ぎて腹が破裂する夢とか…もう金輪際、夢なんかみたくねぇお…」





頭の中でケラケラと無数の笑い声が上がった。
このやろう、起こしてもらってもいいのに。





 あれから数ヶ月後、悪夢は相変わらず見る。
しかし、どれも歴とした夢であり、数分もすれば忘れるようなシロモノであった。


 内藤は新たな仕事の依頼をうけ、雪国のマイナーな妖怪物を取材しに行っていた。
降り積もる雪をキュッキュと踏みしめながら内藤は民俗博物館や妖怪話に詳しい人の家、妖怪にまつわる怪地などを
はしごして回っていた。


149 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:22:14 ID:aPbQ9guc0

 内藤は新たな仕事の依頼をうけ、雪国のマイナーな妖怪物を取材しに行っていた。
降り積もる雪をキュッキュと踏みしめながら内藤は民俗博物館や妖怪話に詳しい人の家、妖怪にまつわる怪地などを
はしごして回っていた。


( ^ω^) ~♪

::( ^ω^):: ゾクッ

( ^ω^)

( ^ω^) 「あ、あっちやばい?」


 彼がこれから向かおうとしていた先は、山中の小さなトンネルであった。
そのなかは電灯の一つもなく、直線ではないからか、向かいの穴の光もよく見えなかった。

逸話の中にはあのトンネルの向こうには、極稀に地獄だの奈落がの神かくしだに遭うと言われている。
ようするに中に入ると戻ってこれないという、ちょっと不思議なところである。

 それをこれから踏み入れようとしていたら、頭の中の人たちが警報をならしてくれた。


( ^ω^) 「うーん」

( ^ω^) 「…うん?うんうん」

( ^ω^) 「じゃあ、行くかお、みんな?」


 頭の中で、十人分の、一斉に揃えた声が上がった。
それにつられて内藤も「じゃあいくおー」とひとりごとを言った。


150 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:23:49 ID:aPbQ9guc0

( ゚"_ゞ゚) 「そういえば」

 棺桶が、ベッドの上から金野に声をかける。
金野は、見舞いといえばリンゴだ。といいながら皮を向いている。


( ゚"_ゞ゚) 「内藤くん、一時、悪夢にうなされてる時がありましたね」

イ从゚ ー゚ノi、 「ああ、ありましたね」

( ゚"_ゞ゚) 「あれはなんだったんでしょうか?」

イ从゚ ー゚ノi、

イ从*゚ ー゚ノi、 「…ぷふっ」


 すると、金野がなにかを思い出したような顔をして吹き出す。
それをみた治は、「あ、もしかして」というような顔をした。


(;゚"_ゞ゚) 「えーっと…」

(;゚"_ゞ゚) 「…クーのしわざでしたか?」


151 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:26:39 ID:aPbQ9guc0

イ从*゚∀゚ノi、 「あたりwwwwwwいや、ほんとにそうかはしらないけどさwwwwww」

イ从*゚∀゚ノi、 「とにかくさwwwww十人の空が乗っ取ろうとかやめようとかざんざんケンカしまくってて
         それが内藤の夢にでてたらしいwwwww内藤がみてた空を殺す夢ってwwwww
         自分同士のどつきあいだったんだってさwwwwwww」


(;ノ"_ゞ-) 「…愚妹でもうしわけありません。あと、ここ病院ですよ」


 棺桶は、内藤の『中』にいたなんかのせいで、肋骨にひびがはいり、そのまま入院した。
幸い、命にかかわることはなく、一週間もすれば退院もできるそうだ。


イ从゚ ー゚ノi、 「しかし、不思議なものだ」

( ゚"_ゞ゚) 「といいますと?」


152 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:27:47 ID:aPbQ9guc0

 金野は、自分の頭を叩きながら、頭の中にいる『彼』のことを言った。


イ从゚ ー゚ノi、 「ワシにも、モララーみたいな奴がいるが、まぁ、多重人格の一種だ」

イ从゚ ー゚ノi、 「―――しかし、内藤の頭になぜか、十人分の空と、犯人がいた。
        これは、ワシが一から人格から挙動まで想像して作ったモララーとは全く違う」

イ从゚ ー゚ノi、 「十人分の空と一人分の犯人の人格と記憶。どこからやってきたんだろうなぁ」


 と、金野はわざと大袈裟に不思議がるようにした。
しかし、棺桶は腑に落ちないような顔をして、さらりと言ってのける。



( ゚"_ゞ゚) 「? 幽霊だからじゃないですか?」


 ピクリ、と金野は体を強張った。
彼女は、オカルト小説家でもあるが、オカルトのようなものは実在しないと考え続けていた人物であった。

 しかし、いまので彼女はとうとう観念したのか、
うなだれて愚痴をいうように呟いた。


153 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:28:30 ID:aPbQ9guc0

イ从´д`ノi、 「……………」

イ从;´д`ノi、 「……だから困ってるの」

( ゚"_ゞ゚) 「??」








イ从;´д`ノi、 「ワシのオカルト小説が、ノンフィクションになっちまいそうで」



 金野は、頭の中にいるモララーが高笑いしたような気がした。


154 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:29:31 ID:aPbQ9guc0




( ^ω^) 「にげろー!!」




 『ニゲロー』  『出口はあっちだよ』 『ちがうよそっちは罠だよ!』 『オニイチャーン』

 『あんた達黙ってよ!内藤さんこまってるでしょ!』 『なんだとテメー必死なんだよこっちは』

 『ケンカやめてー』 『キャッキャ』 『あ、ちょうちょ』 『落ち着いておジュースでも飲まない?』


( ^ω^) 「黙れよ小娘どもがッお!!」


 内藤はあちこち取材していたらいつのまに憑いてきた、小娘どもに一喝をくれてやりながら
逃げていた。後ろからはトンネルの中にいた、よくわかんない存在が迫ってきた。


 ドドドドドド

三 ┏(  ┓…皿…)┓ コームースーメークーワーセーロー!


( ^ω^) 「あいつ小娘いってるお!!お前らのこと言ってるお!!
       もうおまえら分離してあいつらに食わられるお!!」


155 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:31:34 ID:aPbQ9guc0

( ^ω^) 「あいつ小娘いってるお!!お前らのこと言ってるお!!
       もうおまえら分離してあいつらに食わられるお!!」


 『ニゲロー』 『なんだとふさげんなー』 『やだー』 『オニイチャァァァン!』

 『死ねッ!』 『やりやがったなお前!』 『だからケンカやめてー』 

 『キャッキャッ』 『いま、ちょうちょみたよー』 『ジュース飲みたい』



( ^ω^) 「小娘ども覚えてろおッ!!!」


 内藤は、必死に逃げまくっていると、トンネルの向こうに光が見えた。
ここで、一旦足を止めれば、あの妖怪にこの小娘達を引剥してくれるかもしれないと思ったが


( ^ω^) 「あーんもう!!」


( ^ω^) 「てめぇら全員、今夜のレポート作り協力しやがれお!!!」


156 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:32:20 ID:aPbQ9guc0





                 『ハーイ』






( ^ω^) 「おい」

( ^ω^) 「あと九人、なぜ黙ったお?!」


157 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:33:11 ID:aPbQ9guc0

 内藤は、そのままトンネルの向こうに走った。
その途中に、青い蝶々が一匹、みかけたような気がした。





( ^ω^) 「願わくば」

( ^ω^) 「モララーがみた青い蝶でありますように!!」





 どういう意味だ、という小娘たちのブーイングを受け取りながら、
内藤は、そのままトンネルの光の向こうへ、走り去った。


158 名前:名も無きAAのようです :2012/06/17(日) 00:34:10 ID:aPbQ9guc0




















 川 ゚ -゚)ノシ    お し ま い



川 ゚ -゚)  ゆめみてしねるようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1339679630/



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