まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

 スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | CM(-)


 / ゚、。 /上司が死んだ村について調べるようです -1-


 -1- -2-
5 名前:90 :2011/05/21(土) 20:33:48.23 ID:7m74Cvuw0
 ■ 序 【――軍事国家ヴィップの発明品――】


『MA-7』という機械が、三年前に発表された。
三メートルほどの直方体が胴体部分であり、その側面から突き出した四本の腕と、
底面から四本の脚が生えた不恰好な機械だ。
鉄色の巨大なカニやクモの類に酷似していて、開発に携わった人物たちもそう思っていたのか
『Machine Actually(現に機械)』との名前を冠した。

『MA-7』の性能はまさに魔法とも言うべきもので、照準を合わせた者の脳裏に浮かんだもの
を瞬時に作り出し、その場に出現させるというもので、開発当初からの計画通りに進み、一台
出来上がったので、世界的に発表した、ということらしかった。

魔法じみた最先端の科学にいくらの開発費用がいくら注ぎ込まれたのかは知る由もない。
しかし、製作者が、

「将来的に商品開発できるよう研究を進めている」

と声明していることから、この研究が成功する見込みは高そうに思われる……。

そうやって締めくくられた記事の後に、色々な人が反応を寄せている。



7 名前:90 :2011/05/21(土) 20:35:51.18 ID:7m74Cvuw0
「漫画家や小説家の脳内で完結している物語をその機械が全て綴ってくれるということだよな。
 これはもしかしたら毎週VIPPER×VIPPERが掲載されるで」

なんていう娯楽に喜ぶ声や、

「面白い物語さえ考えてしまえば、あとはこの機械が全部やってくれるのか。
 プロもアマチュアも関係なくなる時代が来るでこれは。値段によっては退職して漫画家になるわ」

一儲けを目論む声や、

「発明したところが、世界の覇権を握ってるヴィップだから、一般に流通するのは何十年、何百
 年後だよ」

と、言った現実的な意見まであり、見るものを楽しませた。

記事を読み終えたダイオードは、

/ ゚、。 /(自分が生きている間に、自分の手元に置かれることはないだろうな)

もう一度記事を読み直してから、そのページを閉じた。


10 名前:90 :2011/05/21(土) 20:38:55.55 ID:7m74Cvuw0
 ■ 序・二 【――湖の消失――】


四年ほど前に、とある発展途上国のとある村の近くにある、とある湖が干上がった。

現在のその場所は、一面、泥土が広がっている。
不可思議であることは魚の一匹も――ごみや海草でさえも――湖の跡地に残っていなかったのだ。

世界中で起きている温暖化の影響だとか、水不足の惑星に住む宇宙人が持っていった、などと、
騒ぐ人間もいたが、そうでないことが数ヵ月後に判明した。現地の住民の話を聞くことができたのである。

話す内容はこうだ。

まず、三日前まではいつも通りの状態であったらしい。
釣りをしたり、子供たちが水を汲んだり遊んだり、といつもの日常の一部に組み込まれていた。


13 名前:90 :2011/05/21(土) 20:43:08.98 ID:7m74Cvuw0
その翌日、水位が半分程度にまで減ったという奇怪な事態が起こった。
人々はざわついてはいたが、生活飲料が不足するなどの深刻な事態には程遠かったので、
それほど、真剣に対策を練ろうなどとは露も考えていなかった。
何か事件が起こるたびに開かれる談合が行われることもなかった。

しかし、尋常ではなく慌てた様子で、村から少し離れた場所にある高い丘から駆け下りてきた
男が来てから、心境は反転する。男は、息も絶え絶えに自分が見た光景について伝えると、
村人は血相を変えて丘の上へと走り出した。

そうして絶句する。

湖の中心に巨大な渦が発生していたのだ。環状した水は穴の中へと流れていく。
このことに悲鳴を上げる女性がいて、祟りだと生贄を準備し始める男性がいた。
村長がなんとかその場を宥め、自分たちでは解決できない問題だと判断し、先進国へとこの件を告げた。

そして、翌日に湖が無くなった。


19 名前:90 :2011/05/21(土) 20:47:54.62 ID:7m74Cvuw0
 □ 一 【――ダイオードとホライゾン――】

ダイオードは新聞記者だ。今年で入社して二年目となる。
仕事にも慣れ始めてきており、同期との仲も良く、至って平和な日常を過ごしていた。

強いて言えば、学生時代に比べて、ややだらしなくなってきた自分の身体が最近の悩みであり、

/ ゚、。 /(帰り道にあるスポーツジムにでも通おうかな)

そう考えていた日頃、上司のホライゾンが殉職したという知らせを、編集長から聞いた。
ホライゾンと言う男は初老にも関わらず、この世の不思議が大好きであった。
そのためか、不可思議なミステリーを取り扱った記事を任されており、
今回も怪異を追って、四年前に湖が枯渇したという異国へと飛んだのだ。

ホライゾンが取材へと向かったのは、三ヶ月前のことではあったが、
ダイオードは彼の所作を簡単に思い出せる。
膨らんだお腹を揺らして笑う上司が亡くなってしまったとは信じられず、噛み付くように詳細を聞いていた。

編集長が、苦々しい表情で答えを返す。
  _、_
( ,_ノ` )「行方不明になり、一ヶ月が経過した。詳細はまったくの不明だ。
      死体も上がっていないらしいが、壊れたカメラと血に塗れた腕章が見つかった。
      我が社ではそれらを遺品として引き取り、遺族へと手渡そうと思っている」

編集長の言葉が信じられない。
  _、_
( ,_ノ` )「本当に、惜しい人を亡くした」

と、目を伏せる。


25 名前:90 :2011/05/21(土) 20:53:03.24 ID:7m74Cvuw0
彼を悼み、社内の誰もが悲しみに暮れていた。
泣き崩れた男性社員がいることから、
ダイオードはどれほどホライゾンという男性が愛されていたかを再認識した。

しかし、ダイオードはどうにも涙を流せなかった。
それどころか、変に気持ちが作用してしまい、

/ ゚、。 /(悲しむ妻子がいなくて良かった)

や、

/ ゚、。 /(まあ、あの性格じゃあ結婚は無理かなあ)

なんて、眉を寄せて苦笑すらしていた。


葬儀は三日後に行われた。
生死の判別もはっきりとはわからず、さらに、死体のないまま行われる葬儀は誰に、
どこに、祈れば良いのか上手く解釈できず、ダイオードはただぽかんと口を開けていた。


27 名前:90 :2011/05/21(土) 20:54:09.66 ID:7m74Cvuw0
彼女のそんな様子を見た同僚や別部署の上司が声を掛けてきたが、
ダイオードはそこでも返答に詰まり、ただ曖昧に頷いただけだった。

「ホライゾンさんと君は、血が繋がっているかのような仲の良さだったものなあ」

そう、言葉にする人もいれば、

「口も利けないくらいにショックを受けているんだ」

と、勝手に判断する人もいた。
誤解が巡り回り、ダイオードは一週間の休暇を手にすることとなった。

彼女は働くことが好きであったので、休暇を拒んだのだが、無理矢理に取らされてしまった。
  _、_
( ,_ノ` )「ゆっくり休んでくれ」

自分にだけ告げられた言葉は、差別以外の何でもないではないかと彼女は憤ったが、
それすらも精神的に負荷がかかっているためだと思われてしまい、不本意ながら受給することにしたのだ。


32 名前:90 :2011/05/21(土) 20:58:01.31 ID:7m74Cvuw0
 □ 二 【――青空――】

休日の扱い方がわからない。
学生時代から勉強漬けであったダイオードには、
これまでに強制的に取らされた余暇など存在していなかったのだ。
趣味なども特になく、必要である事柄にだけ心血を注いでいた。

そして現在、彼女に必要な事柄は暇を潰せる仕事だった。
仕事について何か調べろと言われれば調べ上げるのだが、何の目標も指示もない。

そんなわけで、朝起きて、することが無く、また布団に潜る。
昼に目が覚めてしまい、仕方なくテレビを操作してチャンネルを回してはみるが、
何にも興味をそそられなかった。

目に映ってはいるが頭が認識していない。

/ ゚、。 /(電気代の無駄ね)

電源を落とそうとリモコンに手を伸ばした途端、番組の構成が切り替わる。
笑い声が響く暖色な空気が、画面に映し出された画像によって、冷えて、荒涼とし始めた。

ダイオードは手を止める。
それは紛れも無く、ホライゾンが亡くなったという国の映像だった。
不意打ちの衝撃に身体が固まる。そのまま視線が釘付けとなった。
目に映るものを記憶していく……。荒んだ大地、細く伸びた木、砂埃のカーテン……。


35 名前:90 :2011/05/21(土) 21:03:39.01 ID:7m74Cvuw0
場面が切り替わり、特集が終わる。
発展途上国の情景を目の当たりにした余韻が番組スタジオに染み渡ったが、
次の瞬間にはもう賑やか雰囲気に包まれていた。

/ ゚、。 /(なるほど、テレビ番組のコーナーの一つだったのね)

ダイオードは理解して、そして頭の中で先ほど解説されていた出来事を反芻する。
マイクを持ったレポーターが話している場面から、中継は開始されていた。

爪'ー`)y‐「軍事国家ヴィップがこの国へと調査に入りました。
       この国って、普通、カメラを入れてもらえないんですよ。
       我が番組が、全世界で初と言えるのではないでしょうか。
       あ、しかし、すぐに止められてしまいました。仕方がないので近くの村で過ごしましょう。
       観光地として栄えているようですね。それじゃあ、このへんで」

という、結局はただの観光として訪れたとわかる取材風景だったので、得るものはほとんどなかった。

ホライゾンについては一言も触れられていなかった。
当たり前といえば当たり前で、それを求めることはお門違いだとわかってはいたが、
ダイオードは胸のうちに穏やかではない感情を感じた。ジャーナリスト一人がなんだっていうんだ。
世界中がそう言った気がした。少なくとも、ダイオードの耳には聞こえたのだ。
命を懸けても、お前たちの感心すら向けられないというのか。

目標が定まったら、あとは進むだけ。
ダイオードがこれまで生きてきた中で、何か事を行う際の方針の一つがそれだった。
フェルマーの原理とは比べ物にならないが、通常の人間に比べて、遥かに手際がいいことは間違いなかった。


38 名前:90 :2011/05/21(土) 21:07:20.51 ID:7m74Cvuw0
インターネットと街の書店で件の国のことについて二日間ほどかけて調べ上げると、
会社に電話をして出張許可を申請した。
編集長は初めのうちは、戸惑い、渋ってはいたが、
最後には彼女の熱意に押し切られてしまい首を縦に振ってしまった。

ダイオードは必要な書類を整理して持ち出すために、一度会社に立ち寄ることになった。

整理整頓の途中、ふと、ホライゾンの机があった場所を見た。
上司の机は今やもう片付けられており、
寄せ合った机が綺麗に長方形を作っていたというのに、端の部分が欠けてしまっていた。
一人の人間がここから消滅してしまったことを改めて思うが、やはり、ダイオードには実感が沸かなかった。

心配と不安で一杯の視線を浴びながら必要な書類を纏め終わる。
次に出立の挨拶を告げに編集長の下へと向かった。
編集長はまだ苦い顔をしていて、腕を組んで唸っている。

/ ゚、。 /「それじゃあ、行ってきます。一週間ほどで帰国しますので」
  _、_
( ,_ノ` )「本当に気をつけてな。危ないことをするんじゃないぞ?」

/ ゚、。 /「大丈夫ですよ。何も危険な地帯じゃないんですから。それに、私は半ば観光で行きますから」
  _、_
( ,_ノ` )「うん。そうか。それもいいな。行ってらっしゃい。おみあげよろしくな」

/ ゚、。 /「畏まりました」

帰宅するとスーツケースを引っ張り出して衣服と書類を詰める。
入りきらないと思われるほどに詰める。
次回開けたときにビックリ箱にようになるだろうな、とダイオードは嘆息しながらなおも詰め込んだ。


41 名前:90 :2011/05/21(土) 21:12:05.42 ID:7m74Cvuw0
翌朝、まだ暗い時間から彼女は家を出発した。
タクシーを拾って空港に行って、飛行機に乗って二日間空を飛んで異国の地に降り立つと、
案内してもらうと約束していた現地の人間と合流した。
挨拶を交わした後、最近の情勢を聞きながらバスを待った。

<ヽ`∀´>「ショウジキな話ネ。かなりブッソウだから、気をつけてネ」

現地を案内してくれる、ナビゲーターが小さな声で切り出した。

/ ゚、。 /「どうしてですか?」

<ヽ`∀´>「ホラネ。アノネ。大きな声じゃ言えないんだケド。あのヨソの国のグンジンたちがね……」

/ ゚、。;/「軍人? 軍人が来ているの?」

<;ヽ`∀´>「アレ? 言葉マチガエタ? メイサイ服で、テッポウ持ってて……」

/ ゚、。 /「いえ、合っています。まあ、行けばわかりますので」

砂と土で薄汚れたバスが到着する。二人は乗り込み席につく。
窓の外の景色は近代的なものから、開けた大地となり、どんどんと色が失われていった。

/ ゚、。 /(自室の画面の向こう側に、今、私は居るんだな)

砂埃が吹き上げられて、バスの後を追っていく。
眩んでしまいそうなほど、鮮やかな青空が頭上に広がっていた。
それだけは、ダイオードの国よりも色彩が深くあった。


48 名前:90 :2011/05/21(土) 21:17:36.40 ID:7m74Cvuw0
 □ 三 【――凛として咲く花の如く――】

村に到着したのは昼間だった。真上から照りつける太陽により、汗が止まらない。

/ ゚、。 /(下調べにより気候を把握してはいたけれど、まさかこれほどとは)

ダイオードはまず宿の確保をして荷物を置いた。
腰まである長い髪を結い上げて頭頂で纏めると、水色のシャツとハーフパンツに着替える。
そして、この国で使用されている言葉が記された辞書、紙、ペンをバッグに入れて、腕章をしてから村へとくり出した。

やはり、自らの足で村を歩き回るのがいいだろう。
村の地形、湖までの距離、何がどこにあるか、精確に把握しておくに越したことはない。

ダイオードは首を回して景色を楽しみながらも、ホライゾンの件があるため、気を引き締めていた。
周りを見渡す限り、想像していたような、藁葺きやバラック小屋が立ち並んでいるということはなかった。
インターネットやテレビ放送で見た景色はスラム街さながらであったが、湖が無くなったことにより人々は潤ったらしい。

<ヽ`∀´>「ホラ」

ふと、ナビゲーターが指を突き出した。

/ ゚、。 /(ふうん)


54 名前:90 :2011/05/21(土) 21:21:47.39 ID:7m74Cvuw0
その先を追うと、迷彩服に銃器を担いだ男がいた。同じような仲間と共に笑いながら歩いている。
道の真ん中を歩く彼らを見て、村人たちが眉をしかめて迷惑そうな視線を送っていた。
道の端から、店の中から、とその数はとても多く感じられた。

<ヽ`∀´>「ミンナ、アイツらに困ってル」

/ ゚、。 /「なるほど。なるほどなあ」

ダイオードは彼らの後をつけることにすると決め、ナビゲーターにその旨を伝えたが、
それは了承されなかった。仕方がないので一人で行うことにしたが、どうにもナビゲーターが引き止める。

/ ゚、。 /「何?」

やや尖った口調で彼女は言った。

<;ヽ`∀´>「ヤメておいたほうがイイよ。アブナイよ。何をされるかわからないヨ」

/ ゚、。 /「大丈夫。大丈夫よ。貴方はもう宿に帰ってもいいわ」

ナビゲーターの胸を手のひらで押して、ダイオードは軍人たちを追った。背後からの声は、一切無視する。


57 名前:90 :2011/05/21(土) 21:24:07.98 ID:7m74Cvuw0

 □ 四 【――腐れ外道の蝉時雨――】

周囲が騒がしくなっていく。繁華街に近づいているのだ。
ダイオードは注意深く周囲の建物を覚えながら足を進める。
ここで迷子になり宿に帰れなくなったなんてものは、笑い話にもなりやしない。

どうやら、軍人たちは昼食を食べるようだった。食堂へと入っていった彼らの背中を追う。
ダイオードも空腹を感じ始めていたので、丁度いいと何か口に入れることにした。

言葉が通じるかどうか不安であったため、あらかじめ辞書を出しておいたが、
メニューにはその商品の写真が印刷されていたためどうにか対応できた。
ホットドッグのようなものを注文してから、軍人たちに視線を移す。

彼らは下卑た笑い声を立てていた。その中の一人が給仕係の少女に何かを言っている。
少女は顔を真っ赤にさせて俯いていた。やがて店主らしき髭面の男が現れて軍人たちを嗜める。
すると不意に立ち上がった一人が髭面の男を殴り飛ばした。

/ ゚、。 /(なるほど。酷い。これは酷いわ)

食堂内に悲鳴が響き渡った。髭面が倒れこんで、寄りかかったテーブルが倒れた。
テーブルの上に並んでいた様々な料理が床にぶち撒けられる。テーブルについていた客の悲鳴。
続いて、料理の上に軍人の足が乗せられる、そのまま髭面を指差し何か怒鳴り始めた。
席についている客たちが恐怖に染まった表情で、ただ、見ていることしかできなかった。

/ ゚、。 /(接触したほうがいいな)


60 名前:90 :2011/05/21(土) 21:27:44.05 ID:7m74Cvuw0
ダイオードは長く溜め息をつき、立ち上がった。

/ ゚、。 /「あー……ちょっといいかな?」

彼女の声に軍人たちが振り向いた。

/ ゚、。 /「あー……通じてるかな? 私の言葉、わかる?」

不慣れな現地の言葉を使い、話しかけてみるがどうにも通じていないようだった。
軍人は顔を真っ赤にしていて、そのまま大声で叫んだ。

(#^Д^)「Ah? Who are you!?」

激昂しているのか、彼は現地の言葉を使用せず普段使い慣れている母国の言葉を用い始めた。
ダイオードは目を輝かせる。イントネーションやボキャブラリーを駆使して、何とか接点を保とうじゃないか。

/ ゚、。 /「ん、そっちならわかりますよ。んん、よし、そっちで話してくださいね」

(#^Д^)「なんだよ、誰だよお前。この俺に何か用か?」

/ ゚、。 /「いや、何。ええと……私と一緒に食事してくれないかしら?」

ダイオードの言葉の後、静寂が一瞬食堂内に満ちた。
数秒後、対峙している軍人が「本当に?」と口に出した。彼と一緒にいた軍人たちも目を見開いている。

/ ゚、。 /「駄目ですか?」

(;^Д^)「いやっ……いや、そんなことないぜ」

/ ゚、。 /「そう、じゃあ、よろしくね。ほら、足をどけてくださいな。私、早く食事がしたいんですのよ」


68 名前:90 :2011/05/21(土) 21:33:21.01 ID:7m74Cvuw0
ダイオードの言葉に素直に従う軍人を見て食堂内は唖然とし、
髭面と給仕係の少女はテーブルを起き上がらせてから掃除を始めた。
遠まわしに、給仕相手に侘びを入れるようダイオードが言うと、軍人は素直にも頭を下げた。
そのことにまたもや食堂内から音が消えた。

/ ゚、。 /「ねえ。貴方たち、名前は? 私はダイオードっていうの」

テーブルは四人がけで、軍人たちは三人いる。
騒いでいる軍人が一人で座っていたので、隣の空席に座り込んだ。

( ^Д^)「あ、ああ、俺はプギャーだ」

と、店主に狼藉を働いた軍人が言った。続いて対面の二人が自己紹介をする。

('A`)「俺はドクオ」

/ ,' 3「僕はスカルチノフ」

やせ細った軍人が無愛想に言って、細い目をした軍人が続けた。

会話をしていると、やがて料理が運ばれてきた。
テーブルの上に処狭しと並べられた料理の数に驚きながら、少しずつ彼らの警戒をほぐしていった。
食事中にも少しずつ会話を交わして情報を入手していこう。腕章を触りながら、とダイオードは心に決める。


71 名前:90 :2011/05/21(土) 21:35:38.77 ID:7m74Cvuw0
□ 五 【――TELL ME BABY――】


/ ゚、。 /「ねえ、あなたたちの仕事を見学させてもらうことってできないのかしら?」

目の前の料理をあらかた平らげてから、ダイオードはそうやって切り出した。

( ^Д^)「それは、できないと思うぜ。規則がかなり厳しいからな。
      そもそも、俺たちの仕事すら企業秘密なんだ」

ダイオードは胸中で舌打ちをする。仕事内容すら聞き出せないのなら、潜入のしようがないじゃない。
指先で机を二回叩いてから、口を開く。横を向いたまま、プギャーへと続いて話かけた。

/ ゚、。 /「不思議なんだけど、どうして銃器を手にしているの? 湖の件について調べてるんでしょう?
      どうして、学者じゃなくどうして軍人である、あなたたちがここに派遣されたの?」

('A`)「だから、言えないって。何度も聞くなよ」

正面から声が飛んできた。振り向くとドクオがダイオードをじいと見つめていた。
相手の目を真っ直ぐ見る、幼子のような動作であったが、
それが意思の固さと拒絶の反応であることに彼女は悟った。
冷水を浴びせられたかのように身体が冷え、思考が止まる。

/ ,' 3「本当のところは僕たちもよく知らないんだよね。下っ端だからさ。
    今日も上官に怒鳴られちゃってさ。困ったよ」

剣呑になった空気を察したのか、スカルチノフが笑い混じりにそう言った。


73 名前:90 :2011/05/21(土) 21:37:09.07 ID:7m74Cvuw0
ダイオードは食卓に着く前のことを思い返す。
給仕係をからかい、店主らしき男を殴り飛ばしたプギャーのことを。
軽薄で考えが浅そうと判断して近寄ったのだが、やはり軍人であり、
取り巻きもいることから、そう簡単にはいかないようであった。

/ ゚、。 /「なるほど。わかったわ。どうもありがとう」

自分の分の代金を机に置いて立ち上がったダイオードの腕をプギャーが掴んだ。

/ ゚、。;/(くっ――質問しすぎたか……?)

彼女が怪訝そうに首を回すとプギャーはポケットから紙を取り出し、ペンで何かを書き込んだ。

( ^Д^)「俺の泊まってるホテルの名前と部屋番号だ」

/ ゚、。 /(……)

( ^Д^)「夜に寂しくなったらいつでもおいで」

/ ゚、。*/「……ふふ。今夜、窺うかもしれないわ。そうね……私が訪れたらノックを四回するわ。
       とっておきのサービスをしてあげますから、ノックの音が四回聞こえたら目隠ししてからドアを開けてくださいね。
       そして、その場でむちゃくちゃにして欲しいの。どんなに抵抗しても、あなたの好きにしていいわよ。
       ただし、決して声はださないでくださいましね。私、一度、そういうプレイしてみたくて」

( ^Д^)「こりゃあとんでもない変態さんだな。ああいいぜ、期待してるからな」

紙を破り捨てそうな衝動に駆られたが、何であるにせよ情報は多いほうがいい。
精一杯平生を装い、ダイオードはその場を後にした。紙はポケットにねじ込んでおいた。


78 名前:90 :2011/05/21(土) 21:39:50.14 ID:7m74Cvuw0
 □ 六【――争いを前に辞書を片手に――】

ダイオードが湖へと続く道を歩いているとすぐに軍人に止められた。
食堂での三人の反応からして、ジャーナリストだということを告げると、
なおさら都合が悪くなるに違いないと判断した彼女は、自分はただの観光者だと言い、
この先に何があるのかと尋ねてみた。

だが「湖」との答えすら得られずひたすら、

「帰れ。近寄るな」

の一点張りであった。仕方なく、彼女はその場を後にする。

湖を見下ろせるという丘も同じであった。
丘の頂点はおろか、すこし傾斜がかかりはじめた場所あたりからもうすでに、柵で包囲されていた。
現地の言葉と、軍人らの母国語で「立入禁止」と赤色で大きく書かれていた。

柵の高さはダイオードの身長ほどであり、乗り越えようと思えば乗り越えられたが、
柵の内側や近辺に見張りの軍人はいるのは火を見るより明らかであったので、ここでも踵を返すこととなる。

/ ゚、。 /(あまりにも厳重すぎやしないか?)

彼女は一度街へと戻り、考えを整理しようと努めた。
バッグから紙とメモを取り出し、自らが知り得る地理を書き込む。地図と、自分で歩き回った知識の総集だ。


81 名前:90 :2011/05/21(土) 21:40:43.31 ID:7m74Cvuw0
大きな外周の湖があり、その東に村がある。
村の南半分が怪異を調べに訪れた者たちの懐で栄えた、食堂などのある繁華街だ。
泊まる予定の宿もそこにあり、バス亭も賑わう地点から少しだけ離れた場所にある。
北半分にはバラック小屋がぽつりぽつりとあるだけで、面積のほとんどは土と草で覆われており人通りも少ない。
最奥に高い丘があることも人が寄り付かない原因の一つだろう。
広い空き地を利用して遊ぶ子供の影すら見なかった。急速な成長に置いていかれた地であるとも言えた。

/ ゚、。 /(酷い軍閥ね)

またもや軍人を中心に騒動が起きようとしている様子を見て、ダイオードは嘆息した。
今度の舞台は果物店だった。店頭に並んだ果実を掴み上げ、代金も払わずに齧りついたというのが今度の設定らしい。
ああも過剰に暴力をちらつかされていては村人は恭順するほかないな、と、声を荒げる軍人を見て思う。
経済的に豊かになったのは宜しいが、精神的に荒んでいくのは間違いない。
そのうちに村内でも抗争が起きるのではないか。
彼女がそう思っていた矢先、一際大きな声が響いた。
軍人のものではない、若く、力強い声だった。

(#,,゚Д゚)「お前らいい加減にしろよ! フザけてんじゃねえぞ! 金を払えよ!」

店の奥から上半身に何も着ていない若者が出てきた。他の住民よりも肌の色がいくらか薄い。
小麦色の肌、短く切り揃えられた髪、均整のとれた肉体。
背格好から判断できる年齢は少年と青年の中間地点と言ったところであった。
軍人に対して何一つ臆することなく、反抗の言葉を並べ立てる。

ダイオードは立ち上がり、騒動を中心にして輪を作っている村民の一人へと声をかけた。
バッグから辞書を取り出しておく。

/ ゚、。 /「チョットイイデスカ?」


84 名前:90 :2011/05/21(土) 21:43:34.98 ID:7m74Cvuw0
片言になっていることは承知であったが問題はない。伝わればいい。
聞き取ることだけはある程度できるようにしていたし、
わからなかったりしたら「すいません、お願いします」と辞書で示してもらうよう促せば問題はなかった。

(;><)「はい?」

喧騒に心配を抱いている表情のまま、ダイオードへと向き直った。

/ ゚、。;/「ええと……アノ……」

次の言葉がわからず、辞書を捲る。
目的の単語を見つけると、相手へと辞書を開き、指で押さえた。それを繰り返して文章を作る。

/ ゚、。;/「"あの 男 いつも こんなこと する?"」

(;><)「ああ……やつらはいつもなんです。食堂で料理を床に捨てたり、
      宿の女の子を無理矢理襲ったり……まるで、ケダモノそのものなんです……」

その返答にダイオードは首を横に振った。この否定を示す動作は全世界共通なのだろうか。
なんて考えながら、再び辞書を捲る。

/ ゚、。 /「"果物店 から でてきた ほうの 男"」

一度のやりとりに時間がかかりすぎるな、とダイオードは勉強することを心に決めた。
喧騒は今、互いに暴言を投げかけている場面であった。
一歩も引かない若者に対して、尊敬の眼差しと心配の眼差しと、
ここで溜められたフラストレーションが自分に向けられたらどうするんだ、という敵視の眼差しが、
ごく少量ではあるが向けられていた。


85 名前:90 :2011/05/21(土) 21:44:59.02 ID:7m74Cvuw0
( ><)「ん? ああ。ギコのことですか。そうですね。
      その場にギコがいるときに、ああいうことをされたらいつも出てくるんです。
      宿だろうがバス亭だろうが道端だろうが、今みたいになるんですよ。まあ、台風みたいなものですね」

と言葉を切ってから、続けた。

( ><)「今は、横暴な軍人が村中にいるでしょう?
      だから、大体いつもどこかでギコは言い争いをしてるんです」

ダイオードは頷いた。それからその村民は、今気がついたという口調で呟きを続いた。

( ><)「……あれ? そういえば、最近こんな言い争いを見なかったんです……。
      騒ぎはいつも通り起こっていたのに……。ギコがいない場所で起こっていただけですかね……?」

ダイオードは礼を言うと、人ごみを掻き分けて騒動の中へと歩き始めた。暴言の応酬の果ては、決まって暴
力が待っている。そうなるともう、女の身である自分では止められないと判断したのだ。会話した村民が何か
言うのが聞こえたが、ダイオードの耳はその言葉を聞き取らなかった。


87 名前:90 :2011/05/21(土) 21:46:18.56 ID:7m74Cvuw0
 □ 七 【――ギコ――】

 近寄ると、ギコと呼ばれていた若者の身体に傷が多いことに気がついた。
頬が腫れていて、肌の色からわかり辛いが青痣をいくつか身体に作っている。
真っ赤な顔をした軍人がこちらを向いた。ギコもダイオードへと向き直る。生還な顔つきをしていた。

/ ゚、。 /「ちょっといいですか?」

口にする言葉は、軍人の母国語だ。ギコは眉を寄せてダイオードを睨む。意外に身体が大きなことに圧倒さ
れたが、彼に背中を向けて軍人へと向けて言葉を続けた。

/ ゚、。 /「さっき湖付近に集合、という召集がかかっていましたが、こんなところにいて大丈夫ですか?」

そう言うと軍人は一瞬硬直したが、お構いなしに噛み付いてきた。

(#´ー`)「なんだよお前。邪魔すんじゃねえ! それに召集時間まではまだ時間がある! 嘘をつくな!」

/ ゚、。;/(失敗か)

ダイオードは小さく息を吐いた。失敗したので、別の手段へと思考を切り替えて、歩み寄る。

(;´ー`)「近寄るな! 来るな! なんだお前!」

軍人の根は小心者のようで、周囲から恐れられる存在である自分に向けて、大胆不敵に歩み寄ってくる女の
存在が信じられなかった。慌てふためく軍人の前で、ダイオードはポケットから一枚の紙を取り出した。

/ ゚、。*/「これ、私の部屋番号と電話番号ですわ。
       あなたが気に入ったので、良かったら今日の夜お越しくださいな。色々としてみたいことがありますの」


88 名前:90 :2011/05/21(土) 21:47:52.48 ID:7m74Cvuw0
状況が理解できず目を見開いた軍人にもう一度「お願いします」と紙を突き出した。
やがて軍人はダイオードを上から下まで値踏みする視線を向け、舌で唇を舐めた。

( ´ー`)「仕方ないな。お前に免じてこの場は許しておいてやる。
      で、俺がそっちに行ったら……わかってるだろうな?」

/ ゚、。*/「ええ、もちろん」

( ´ー`)「ならいいんだよ。忘れるなよ」

/ ゚、。*/「ただし、条件がありますの」

( ´ー`)「何だ、言ってみろ」

/ ゚、。*/「必ず、ノックを四回してくださいな。そして、その後に目隠しをしてください。
       合図はノックを四回、そして目隠しですよ。わたしの方からとっておきのサービスをしてあげますわ。
       あなたはわたしにされるがままです。ホテルのみんなに聞こえたら恥ずかしいから声はださないでくださいね。
       きっちり護って下さらないと、私、ドアを開けませんから。しっかりお願いしますね」

( ´ー`)「了解した」


93 名前:90 :2011/05/21(土) 21:49:27.18 ID:7m74Cvuw0
軍人が背を向けて歩いていく。人ごみが彼の通路を作った。
そのまましばらく遠くなっていく背中を見ていたが、ある瞬間にそれらは全てダイオードに向けられた。
歓声が上がり、輪が小さくなって彼女に口々に言葉が投げかけられた。
ほとんどが賞賛の類であり、相手の軍人も気を良くしたらしい、と、
誰もが理解していたので敵視されることもなく、彼女は一躍人気者になった。

(,,゚Д゚)「悪い。みんな、ちょっとどいてくれ」

ダイオードを胴上げせんばかりに熱狂する村民を掻き分けて、ギコがダイオードの目の前に立った。

(,,゚Д゚)「なんなんだ、アンタは一体」

予期せぬ乱入者に訝しむのは当然だ。
ダイオードとギコの背丈は頭一つほども違うので、
上級生が揉め事を起こした下級生を叱りつけているかのような印象を受けた。

落ち着き払ったダイオードはゆっくりとバッグへと手を入れ、辞書を取り出した。


95 名前:90 :2011/05/21(土) 21:51:29.63 ID:7m74Cvuw0
 □ 八【――質問――】

/ ゚、。 /「ちょっと君にに聞きたいことがあるのよ」

(,,゚Д゚)「はあ……」

服を着せて、ギコを宿に招待した。理由はいくつかある。
まず初めに、対話に時間がかかりすぎること。
相手にも自分にもストレスがかかり、長く会話することが億劫になってくる。
次に、街中で話して誰かに聞かれることを避けたかった。
最後に、昼食がホットドッグじみたものだけでは足らず、
宿で出る夕食までは時間があったため、道中の露店で食べ物を購入した。
それを落ち着いて食べる場所を確保したかったのだ。

以上が、ダイオードがギコから情報を聞き出す以前に整えるべき状態だった。

(,,゚Д゚)「というか、そんなに食べるんですか……?」

/ ゚、。 /「今日は歩いたからね。まあ、仕方ないわ。仕方ない。
      異国の料理って口に合わないと思っていたのだけど、意外といけるわね」

先述の一つ目は通訳者であるナビゲーターが宿に帰っていることが前提であったが、彼は言われた通りに宿に戻っていた。
反して、二つ目は彼がいることによって通過できないが、構わず実行するつもりだった。
三つ目はナビゲーターの存在に関係がない。
ナビゲーターを介した会話も少々の時間がかかったが、辞書よりは遥かに効率は良かった。

/ ゚、。 /「一つ食べる?」


97 名前:90 :2011/05/21(土) 21:52:55.45 ID:7m74Cvuw0
袋一杯に詰めた食べ物で、
ダイオードとギコの両手が塞がるほどにまで買い込んだそれらのうちの一つを取り出して、向ける。
食べ物は温かく、食欲をそそる香りがした。

(,,゚Д゚)「いや、要らないです。果物屋でご馳走になってきたんで」

/ ゚、。 /「そう。じゃあ、ちょっとだけ食べるから。ちょっとごめんなさいね」

串に刺さっている何かの肉をほうばると、ダイオードはあっと言う間に平らげてしまった。
その間、ナビゲーターとギコが何かを話し合っている。内容はただの世間話であった。

どうしてダイオードと知り合ったのか、などのことだ。
そして、会話の内容からギコが十九歳であることが判明した。
この国での成人の判定はいくつか知らなかったが、もう子供扱いされる年齢ではないことは確かであった。

/ ゚、。 /「本題に入るわ。ナビゲーターさんとギコ君。ここでのことは他言無用でお願いね」

どうして彼女がそんなことに釘を刺してから会話を始めるのか、不可解に思いながらも二人は頷いた。

/ ゚、。 /「ギコ君、あなたはいつも街の軍人たちを言い争い……。
       というか、傷を見る限り殴り合いの喧嘩もしてるのかしら?」

(,,゚Д゚)「はい。……だって、あいつら酷いんですよあの時も……」

と、話を続けようとする彼をダイオードは止めた。
今聞きたいことはそんなことではない。

/ ゚、。 /「喧嘩がない日はある?」

(,,゚Д゚)「そりゃあありますよ。そんなに俺は血気盛んじゃないです」


103 名前:90 :2011/05/21(土) 21:55:19.19 ID:7m74Cvuw0
/ ゚、。 /「それじゃあ聞くわ。喧嘩がない日、あなたはどこにいるの?」

ギコの身体が竦み、視線を下に落とした。
ダイオードは彼がなんらかの情報を持っていると確信を得たが、
素直に答えてくれる様子がないので、さらに続ける。

/ ゚、。 /「村中に軍人はいる。軍人と出会うと貴方は喧嘩をする。
       喧嘩をしていないとき、あなたは村には居ない……ギコ君。
       あなた、喧嘩がない日は、どこで何をしているの?」

質問のはずが、いつの間にか不穏な空気となり、詰問へと変わっている。
ナビゲーターが通訳することを躊躇いがちになっていた。
ギコは何も言わない。

/ ゚、。 /「ここでのことは他言無用だと言っているし……。
       もし誰かが軍人たちに密告してもきっと信じてもらえないだろうから、大丈夫よ。
       それに、私はあなたの味方なの。安心して。大丈夫よ」

それでも頑なに口を閉ざしている様子から握っている情報は、小さいものではないと推測できた。
入手すれば大きな一歩を踏み出せるかもしれないと思うが、その足が重く、動かない。
まだ信用されていないのだろうか。それは当然だ。
出会ったばかりの見知らぬ異国のものに、何のメリットもなく、誰が、自分の秘密を話すものか。

/ ゚、。 /(別の誰かから、ギコ君の秘密を聞く……?
       いや、そもそも誰かに話しているのかしら?)


109 名前:90 :2011/05/21(土) 21:57:27.25 ID:7m74Cvuw0
別の手段をとろうかとも考えるが特に何も浮かばないので、
ダイオードは強引に押し進むことにする。彼女に今切れるカードは、これしかないのだ。
はっきりとした確信を持てない言葉の刀に、刃がついていることを信じて、振るう。

/ ゚、。 /「ギコ君。貴方、湖のことについて調べているわね」

<;ヽ`∀´>「!」

通訳する前にナビゲーターがダイオードを見た。
何かを言う前に、拒否を許さない口調で、

/ ゚、。 /「伝えて」

と言うと、彼は心ならずも伝えた。
これは自分の言葉じゃないんです。そうやって誰かに許しを請うかのような表情だった。
言葉を理解したギコの肩が一瞬震えて、

(;,,゚Д゚)「どうして……?」

見開かれた目でダイオードを見る。

ギコは困惑していた。

(;,,゚Д゚)(どうして今日始めて出会ったこの人に、にここまで自分がひたかくしにしていたことが露見したんだ?
     どうする……? 話してみるか? だめだ、軍人に伝えられたら、怪しまれてしまう。
     ただでさえアイツらに嫌われているのに、そうなると、殺されてしまうかもしれない。
     どうする。逆にこの女のことを密告してしまうか。『この人、湖について調べています』、と……。
     俺の言うことを信じてくれるか。だめだ。俺も調査できなくなるかも……どうする。
     どうすればいい……? ああ、くそっ。どうして……)


111 名前:90 :2011/05/21(土) 21:58:38.30 ID:7m74Cvuw0
ダイオードは辞書を手に取った。
とあるページを開いて軽く頷くと、逡巡しているギコに向けて自分の言葉で言った。

/ ゚、。 /「話して。そうしないと、私、考えていること、全部、軍人に言うわ」

(;,,゚Д゚)「……絶対に、誰にも言わないで下さいよ」

震えた声で、ギコがダイオードを見上げる。

/ ゚、。 /「大丈夫よ」

自分の口でギコに言ってから、言語を変えてナビゲーターへも言葉を続けた。

/ ゚、。 /「ねえ? ナビゲーターさんも大丈夫ですよね?
      他言すれば、私たち全員の身が危ないんですから、お願いしますよ。
      自分の一言で他人が死ぬのは嫌でしょう?」

<;ヽ`∀´>「ワカッタ。わかったヨ。話さない。話さないヨ」

/ ゚、。 /「はい。じゃあ、ギコ君。どうぞ」

(;,,゚Д゚)「……」

促された彼は、一度唾を飲み込んで、大きく息を吸い込んでから話を始めた。
ナビゲーターは息をついた。さあ、長話だ。骨が折れるぞ。



 -1- -2-
/ ゚、。 /上司が死んだ村について調べるようです
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1305977506/

[ 2000/11/23 00:00 ] ボス批評会 | CM(0)
[タグ] / ゚、。 /


コメントの投稿


 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。