まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 (*゚∀゚)新説・赤ずきんのようです


作者注※微グロ注意

2 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:01:16 ID:4LUPyG2Q0
夕日が差し込む部屋の中に私はいる。

私は書き続けていた。
部屋の片隅にある机の上でノートに向かってペンを走らせていた。

「……」

静寂が部屋を包む。
聞こえる音はペンが紙に擦れる音のみ。
緊張感さえ漂うような、そんな静けさがあった。




3 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:02:11 ID:4LUPyG2Q0
しばらくその調子で書き続けていた私は、ペンを止めた。
そのままペンを置き、ノートを閉じる。

「ふぅ……」

私は一つ息を吐くと、立ち上がって窓の外を見つめる。
太陽の眩しさは気にならなかった。
目を細めることなく外の景色を眺めていた。

夕日が私の体を照らしている。
私の顔も、着ている服も、赤く染まっている。

そんな私の姿を、壁に立てかけられた鏡が映し出していた。


4 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:03:04 ID:4LUPyG2Q0
私は鏡の方を向いた。




「……赤ずきん」




たった一言。そう、呟いた。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


6 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:03:45 ID:4LUPyG2Q0

 ―― (*゚∀゚)新説・赤ずきんのようです ――


春。
厳しい冬を乗り越えた生命が活動を再開する季節。
木々の隙間から小鳥たちが顔を出している。

(*゚∀゚)「ふんふふーん♪」

私は鼻歌を歌いながら森の間にある道を歩いていた。
手にはお菓子の入ったバスケット。
服装は半袖の赤いワンピースの上に白いエプロンドレス。
そして頭には頭巾をかぶっておばあちゃんの家に向かっているところだ。

(*゚∀゚)「日が暮れる前におばあちゃんの家に行かないと。
     寄り道をしなければすぐに着くかな」

頭の中でそう目算を立てて、大好きなおばあちゃんの元へと歩く。


7 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:04:42 ID:4LUPyG2Q0

おばあちゃんの家は森の奥にある。
私の家からはそれほど遠くないのだが、時間が時間なので寄り道をすると暗くなってしまいそうだ。

(*゚∀゚)「ん?」

しばらく歩いていると前から誰かが近づいてくるのが見えた。
背が高く、頭には耳が、お尻の部分には尻尾のようなものが見える。

∧∧
(,,゚Д゚)

狼だ。
狼がこっちに近づいてくる。


8 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:05:33 ID:4LUPyG2Q0

私は――。



(*゚∀゚)「こんにちわ!」

大声で挨拶をした。
世間では狼は怖い存在だって言われている。
だけど私はそうだとは思っていなかった。

∧∧
(,,゚Д゚)「こんにちわ」

狼の方も丁寧に挨拶を返してくれる。
どうやらいい人(?)のようだ。

挨拶を交わし、そのまま横を通り抜けようとする。


9 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:06:22 ID:4LUPyG2Q0

∧∧
(,,゚Д゚)「ちょっと待って、お嬢さん」

(*゚∀゚)「はい?」

不意に狼に呼び止められる。

∧∧
(,,゚Д゚)「今から何処に行くのかな?」

(*゚∀゚)「えっと、おばあちゃんの家です」

「向こうの方の」と言って、私は森の奥を指差す。

∧∧
(,,゚Д゚)「ふむ……」

狼は思考するように少し俯いて黙り込んだ。
そして、再び口を開く。


10 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:07:13 ID:4LUPyG2Q0

∧∧
(,,゚Д゚)「おばあさんに何かプレゼント持って行ってあげたいと思いませんか?」

狼がそんな提案をしてきた。

(*゚∀゚)「プレゼントですか? でも、このお菓子がプレゼントのようなものですし……」

∧∧
(,,゚Д゚)「しかし、おばあさんはお菓子を持っていくことを知っているのではないですか?
     もう少し驚きを与えるようなプレゼントをあげたいと思いませんか?」

確かにおばあちゃんは私がお菓子を持っていくことを知っている。
だからと言って、この他に何のプレゼントを与えたらいいのだろう。

∧∧
(,,゚Д゚)「お嬢さん。実はこの道から森の方へちょっと入ったところにお花畑があるのです。
     そこで花を何本か摘んで持っていけばおばあさんが喜ぶと思いますよ」

(*゚∀゚)「えっ? そうなんですか!?」

森の中にそんな場所があるとは知らなかった。
いつもちゃんとした道を通っている私が気付かないのも無理はないかもしれないが。


11 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:07:55 ID:4LUPyG2Q0

∧∧
(,,゚Д゚)「よかったら私が案内しましょうか?」

狼の提案に私は頷く。
ちょっと花を摘みに行くだけだし、それほど時間はかからないはずだ。

∧∧
(,,゚Д゚)「では行きましょう」

私はずれていた頭巾の位置を直しながら、狼の後ろについて森の中へと入った。


12 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:08:53 ID:4LUPyG2Q0

森の中は思いのほか賑やかだった。
小鳥のさえずりや虫の鳴き声、風が木々を揺らす音。
それらがまるで音楽を奏でているように聞こえた。

森の演奏に聞き入っていると、前を歩く狼がこちらへ話しかけてきた。

∧∧
(,,゚Д゚)「あなたはこの世で一番重要なものって何だと思います?」

(*゚∀゚)「えっ?」

私はいきなりの質問に戸惑った。
考えが上手くまとまらず、なんとも曖昧な返事をしてしまう。

(*゚∀゚)「えーっと、すいませんよく分からないです……。
     『愛』とかかな……?」


13 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:09:40 ID:4LUPyG2Q0

∧∧
(,,゚Д゚)「ははは。正直に答えてくれたらいいんですよ。
     私はね、なんだかんだで『お金』だと思っていますよ」

(*゚∀゚)「お金……」

正直ドキッとしてしまった。
私も一番に出てきたのが『お金』だったからだ。
ただ、卑しい女だと思われるのも嫌だったので考える振りをしていただけだった。

∧∧
(,,゚Д゚)「お金はこの世の中を動かしている源なんです。
     これがなければ、人は生きていけない。
     生きるために最も重大なものだと思いますよ」

(*゚∀゚)「最も重大なものですか」

∧∧
(,,゚Д゚)「そうです。『最も重大な源』とでも言っておきましょうか」

最も重大な源……。
英文を直訳したときのようななんともいえない違和感のある単語だった。


14 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:10:22 ID:4LUPyG2Q0

私は「何でこんな質問を?」と聞こうとしたが、
狼に「着きましたよ」と言われたので質問は掻き消されてしまった。

狼の向ける目線の先を見てみる。

(*゚∀゚)「うわっ、すごい!」

そこにはお花畑があった。
しかし、それは私の予想以上に広大なものだった。
約50m四方ぐらいの開けた場所に白い花が咲き誇っている。

(*゚∀゚)「この花は何ですか?」


15 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:11:15 ID:4LUPyG2Q0

∧∧
(,,゚Д゚)「これはラベンダーですね」

(*゚∀゚)「ラベンダー? ラベンダーって紫じゃ……」

∧∧
(,,゚Д゚)「通常よく見るラベンダーは紫色が多いですが、白色の品種もあるんですよ」

へーっ、と私は狼の知識に感心しながら花を見つめる。
なるほど、確かに私の知っているラベンダーと色は違うが、形はよく似ている。

∧∧
(,,゚Д゚)「どうですか、綺麗でしょう? 何本か摘んだらどうですか?」


16 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:12:07 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「うーん……」

私は少し逡巡した。
自然に生えているものとはいえ、勝手に摘み取ってもいいものだろうかと思ったからだ。

でも、おばあちゃんの家で綺麗に飾ってあげるからいいだろうと言い訳をして、
結局私はラベンダーを一本摘み取った。

(*゚∀゚)(もう何本か採ろうかな)

私はもう一本摘み取る。

もう一本。

そしてもう一本。

私は花を摘むのに夢中になっていた。
手の中にはあっという間にラベンダーの花束ができていく。


17 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:15:15 ID:4LUPyG2Q0

完全に時間を忘れて没頭していた。

ラベンダーってもっと他の色もあるのかなとか、花言葉ってなんだっけとか、
どうでもいいことを考えながら摘んでいると、気付けば辺りは薄暗くなっていた。

(*゚∀゚)「やばい……」

一瞬でそう感じた。
おばあちゃんの家に行かなければいけないのに、こんなことに夢中になってる場合ではない。


18 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:15:55 ID:4LUPyG2Q0

私は帰ろうとして狼に声をかける。
しかし、一緒に来たはずの狼がいなくなっている。

(*゚∀゚)「先に帰っちゃったのかな?
     森の中に女性を一人で置いていくなんて酷いよ」

確かに世間の評判通り狼は悪い生き物なのかもしれない。
私はそんな考えを巡らせる。
ただ、今はこれからどうするかということを考えなければいけないだろう。


19 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:16:44 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「とりあえず元の道に戻らないと……」

困ったように頭を掻くとジャリッ、と音がした。
手のひらを見てみると土で汚れている。
まさかと思い、頭巾を外してみると土の汚れがくっきりとついて目立っていた。

(*゚∀゚)「うわー」

よく見るとスカートの裾の部分も汚れている。
これは帰ったらすぐに洗濯しないといけないだろう。

(*゚∀゚)「というか正直、お風呂に入りたい……」

なんて愚痴ってみたものの、今は意味がない。
私は摘み取ったラベンダーを集める。
その白色を見ていると、純粋なものを汚してしまったような背徳感に襲われた。
それと同時に、私自身の心も汚れてしまったような錯覚にも襲われる。

(*゚∀゚)「いやいや、こんな感傷に浸ってる場合じゃないって」

私は気合を入れるようにしっかりと頭巾をかぶり直して、急ぎ足で歩き出した。


20 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:17:25 ID:4LUPyG2Q0

森は夜になると姿を変える。
小鳥たちのさえずりも、木々の隙間から溢れる木漏れ日も、ここからは消える。

(*゚∀゚)「はっ……はあっ……」

私は走っていた。
最初のうちは早歩きぐらいの早さだったが、
辺りが本格的に暗くなってきたので急いで森を抜けようと考えたからだ。

(*゚∀゚)「はあっ……森が途切れてる。この先が元の道かな……?」

足を進めると、開けた場所に出た。
どうやら元の道に戻ってこられたようだ。

(*゚∀゚)「おばあちゃんの家はこっちのはず……」

そこからしばらく道なりに進んでいく。

息が切れて、もう歩こうかと思ったところで、家の明かりらしきものが見えた。
近づいてみると、まさしくそれはおばあちゃんの家だった。


21 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:18:23 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「やっと着いた……!」

私は安堵した。
それと同時に疲労が込み上げてくる。

やっぱりお風呂に入りたいな、と思った。
走ったせいで体中から汗が噴き出ている。
早く中に入って休ませてもらおうと、私はノックをしてドアを開く。

(*゚∀゚)「おばあちゃん、こんばんわー」

大きな声で挨拶をした。しかし、返事はない。


22 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:19:10 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「こんばんわー。遅れてごめんねー……」

留守なのかな、と私は考えたが、電気がついてるのにそれはおかしいだろう。
しばらく玄関で考えて、少し悪い予感がしてきたところで、

「いらっしゃい、こんばんわ」

そう声が返ってきた。

「こんばんわ」と改めて挨拶を返して、私はその声の方へと向かう。
どうやら声は奥の寝室から聞こえてきたようだ。

(*゚∀゚)「部屋に入るね?」


23 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:19:53 ID:4LUPyG2Q0

私は寝室へのドアを開く。
中に入った瞬間は誰もいないのかと思ったが、よく見るとベッドが膨らんでいる。
全身がすっぽりと布団に収まっていて、顔がよく見えない。

「よく来たね。こっちへおいで」

おばあちゃんが私に声をかけた。
私はその声に違和感を覚える。

(*゚∀゚)(おばあちゃんの声じゃない……)

実際は最初に「こんばんわ」という声を聞いたとき、すでに違和感はあった。
しかしその時は、おばあちゃんが風邪を引いていて声がかすれているだけだと思っていたのだ。
だが、改めて聞いてみると、明らかにいつものおばあちゃんの声ではない。


24 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:20:41 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)(というか、これ狼の声だよね……?)

私は気づいてしまった。
これはさっきまで一緒にいた狼の声によく似ていると。

(*゚∀゚)(でも、なんで狼がこの家にいるのかな?)

理由を考えつつ、周りの様子を調べてみる。
すると、ベッドの上にいる狼であろう人物のお腹が膨らんでいることに気付いた。

(*゚∀゚)(まさか……)

最悪の展開が頭をよぎっていた。


25 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:22:22 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)(おばあさんは狼に食べられてしまったんじゃ……!)

私は一瞬、頭の中がパニック状態になった。
どうすればいいのだろうか。
頭が真っ白になって思考ができない。

「どうしたんだい?」

狼であろう人物――いや、もう狼で確定だろう。
狼は私がなかなか部屋の奥に来ないことを怪しんだのか声をかけてくる。

(*゚∀゚)「ごめんなさい。ちょっとぼうっとしてしまって。
     今、そっちに行くね」


26 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:23:22 ID:4LUPyG2Q0

狼に一歩、また一歩と近付く間にどう行動したらいいかを考えていた。
このまま何もしなかったら確実に私も食べられてしまうだろう。

私はふとテーブルに目をやる。
そこにはティーカップとティーポット、そしておばあちゃんが常備している睡眠薬があった。
おばあちゃんは不眠症で、お医者さんからもらった薬を飲んでいつも寝ているからだ。

(*゚∀゚)(とりあえず眠らせるか?)

咄嗟にそう思って、私は行動に移す。

(*゚∀゚)「おばあちゃん、よかったら紅茶でも飲まない?」

狼は少し悩んでいるようだ。
私は手に持っていたラベンダーをテーブルに置きながら返事を待っていた。


「いただこうかねぇ」


狼はそう言った。


27 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:25:03 ID:4LUPyG2Q0
私はさっそく台所に行ってお湯を沸かす。
紅茶の葉を入れたティーポットにそのお湯を注ぐ。
いつもだったら蒸らすところだが、一刻も早く狼を眠らせなければいけない。

ティーカップに紅茶を入れて、睡眠薬も入れる。
睡眠薬が溶けるまでかき混ぜてから、その紅茶を狼へと差し出した。

(*゚∀゚)「どうぞ」

私は狼が睡眠薬に気付かないかとドキドキしていた。
しかし、狼は油断しているのか、すぐに紅茶に口をつけた。

その後は狼が眠るまでの間、できるだけ話し続けていた。
今日ここに来るまでに起こった出来事が主であったので、
話の内容を知っている狼は退屈そうだった。


28 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:25:54 ID:4LUPyG2Q0

やがて、狼が静かになった。

(*゚∀゚)「おーい」

呼びかけてみても反応はない。
完全に眠りに落ちているようだ。

さて、ここからどうしようか。
とりあえず、お腹の中にいるおばあちゃんを助け出さないと。

(*゚∀゚)(お腹を切り開くしかない……かな?)

狼を眠らせようと画策している間にいろいろと考えていたが、やはりそれしか方法はない。
だけど、どうやって……。


29 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:26:46 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)(ん?)

その時、私の目線は棚の上に向いていた。
本が立てかけられたりと雑多に物が置かれている棚の上。
そこには一本のカッターナイフがあった。

私はゆっくりと棚へ近づくと、カッターナイフを持ち上げる。
カッターナイフは思ったよりもしっかりした作りで、刃はかなり大きかった。

(*゚∀゚)(これを使って切り開こう……)

私は刃の部分を外へと出そうとレバーを押し上げる。
カチカチと音を立てて刃が剥き出しになった。
刃が錆びている様子はなく、どうやら使えそうだ。


30 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:27:29 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)(……)

私は緊張した面持ちで狼へと近づいた。
改めて狼に声をかける。

やはり狼は起きる様子はなさそうだ。

(*゚∀゚)(ぐっすり眠ってる……)

私は布団をめくり上げる。
そこには狼の大きくなったお腹があった。

私は一つ間を置く。

深呼吸。深呼吸。

(*゚∀゚)(大丈夫。落ち着いてやればできるはず)


31 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:28:14 ID:4LUPyG2Q0

カチカチと押し出した刃をお腹に当てる。
そこで当然というべきか、私は躊躇した。

(*゚∀゚)(誰かを呼んできた方がいいんじゃないの?)

そんな考えが浮かんできた。

しかし、事態は一刻を争うのだ。
私がやらなければいけない。
おばあさんを助けなければいけない。

何かに縋るように私は強く祈りを込めて、お腹を一気に切り裂いた。


32 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:29:29 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)(……?)

血が飛んでくることを覚悟して目を閉じていた。
しかし、顔に何かが当たった感触はない。

目を開いてみると、そこにあったのは赤い線が描かれたお腹だった。
傷は浅かったようで、破線のようにぽつぽつと血が浮かんでいる。

どうやら結局、私は躊躇してしまったようだ。

(*゚∀゚)(でも、これで踏ん切りがついた。
     やっぱりお腹を切り裂いてでもおばあちゃんを助けないと)

私は再びお腹に刃を当てる。

今度は、絶対に躊躇しない。
そう強く思って、傷口に沿うように刃を動かした。


33 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:30:11 ID:4LUPyG2Q0

瞬間。血が噴き出してくる。
普通の人だったら驚いていただろう。

しかし、今の私に迷いはない。

私は傷口をこじ開けるように何度も切り裂いた。

何度も。

何度も。

血が顔を濡らしていく。
全身には斑点のように血が付着している。


34 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:31:23 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)(おばあちゃんを……おばあちゃんを助けるんだ……!)

切り裂いていくたびに、目の前の物体がぐちゃぐちゃと不快な音を立てる。
繰り返しているうちに何をやっているのか自分でも訳が分からなくなってきた。

それでも、刃を動かすことだけは止めない。

(*゚∀゚)「はあ……はあ……」

腕に疲労を感じてきた。
もうそろそろいいだろう。

(*゚∀゚)「中身を確かめないと」

カッターナイフを傍らに投げ捨てる。

狼のお腹の部分はもう原型を留めていない。
私は血生臭い狼のそれに顔を近づける。


35 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:32:53 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「えっ?」

内部は血に塗れていてよく見えなかったので、私は思い切って手を突っ込んだのだが、
そこに人が入っているような感触はなかった。
ただ、機能を停止した臓器が横たわっているだけだったのだ。

(*゚∀゚)「いない……」

そんなはずはないと、私は裂いた部分を手で掴み、力いっぱい横に引っ張った。
傷口がさらに開いて、血が流れ出てくる。
しかし、やはりそこには何者の姿もなかった。

(*゚∀゚)「なんで? おばあちゃんはどこにいったの!?」

私がしたことは何の意味もなかったのか。


36 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:33:36 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「おばあちゃんを助けようとして、狼が悪者だと思い込んで……。
     私が間違っていたの? そんなわけ、ない」

私は再びカッターナイフを拾い上げる。
もう二度と動くことはない、人形のようにベッドの上に転がっている狼。
『それ』に向かって私はナイフを突き刺す。

(*゚∀゚)「温かい……」

再度飛び散った血に対して、私はそんな感想を抱いた。

果たして、狼の血が温かかったのか、私の肌が冷たかったのか。
願わくば私の冷たさのせいじゃなければいいなと思った。


37 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:34:28 ID:4LUPyG2Q0

私はおもむろに立ち上がった。
何か考えがあってそうしたわけではない。
本当になんとなく立ち上がったのだ。

(*゚∀゚)「鏡……」

私の目の前には鏡があった。
縦に長く楕円の形をした鏡が壁に掛けられていた。
鏡が映す範囲は狭く、私の姿は上半身しか映っていない。

(*゚∀゚)「ふふっ……血塗れだ」

思わず笑ってしまった。
私の身体は赤色のペンキを上からバケツで被ったみたいに真っ赤だったからだ。

顔も、腕も、服も。

そして、真っ白だったはずの頭巾も真っ赤に染まっていた。


38 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:35:14 ID:4LUPyG2Q0

そのまましばらく鏡の前でぼうっとしていた。

部屋の中には血とラベンダーの匂いが混ざり合って充満している。
ラベンダーの匂いを嗅ぐと少し落ち着いたような気がした。

(*゚∀゚)「お風呂に入りたいな」

血に塗れた体を見て、そんなことを考える余裕も出てきた。

やがて、時計の長針が一周しようかというとき、玄関のドアが開いた音がした。

(*゚∀゚)「えっ? 何?」

誰かが足音を立てて近付いてくる。

(*゚∀゚)「誰なの!?」

私は寝室の入り口を注視する。
そこに現れたのは片腕に銃をぶら下げた男だった。


39 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:36:34 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「猟師さん?」

そうか、物音に気付いて猟師さんが助けに来てくれたんだ。
瞬間的にそう思った。

私は彼の元へ行こうとする。

「う――な! けい――だ――!」

彼が大きな声で叫んだ。
何故かこんなに近くのはずなのに声が聞き取れない。


40 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:37:29 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「うご――? えっ、なんて言った――」

私は一歩足を踏み出した。
その瞬間――。


バンッ!


(*゚∀゚)「えっ?」

私の胸を銃弾が貫いた。


41 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:39:12 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「なん……で……?」

重力に引っ張られるように体が傾いていく。
それと同時に、右腕にある重さに気付く。

(*゚∀゚)(そういえば、ナイフを持ったままだったなあ……)

走馬灯なのか、さまざまな出来事が頭を巡る。
最後に思い浮かんだのはおばあちゃんの姿だった。

(*゚∀゚)(おばあちゃんを助けたかっただけなのに)

恨みのような思いが声にならずに消えた。


――そこで、私の意識は暗闇へと落ちた。


42 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:40:23 ID:4LUPyG2Q0

 ※ ※ ※ ※ ※ ※

もう何日待っただろう。
私の物語はまだ終わりを告げない。

待ってる間、書き上げた物語を読み返していた。


(*゚∀゚)「急いで書いたからこんなものかな」

これは私の最後の物語だ。
私の粗くささくれ立った人生には、これぐらいの物語がふさわしいだろう。


43 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:41:19 ID:4LUPyG2Q0

私は部屋を見回す。
部屋は真っ赤に染まっている。
天井も、壁も、どこを見ても赤色が私の目を覆った。

床に目を落とすと、そこには真っ赤な物体があった。


(,,゚Д゚)


それは虚ろな目をして横たわっていた。

猫田ギコ。
職業、作家。

この男が、私がこの物語を書くことになった元凶。


44 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:42:05 ID:4LUPyG2Q0

私はこの男のゴーストライターだった。

この男は私の才能を利用した。
私の弱みに付け入り、この屋敷で私を飼い、様々な物語を書かせた。
そして、新進気鋭の作家としてデビューし、名声を手に入れたのだ。

(*゚∀゚)「ふんっ」

私は猫田の腹を踏みつける。
腹に刺さったナイフがさらに深く突き刺さった。

(*゚∀゚)「あーあ、靴が汚れちゃったよ」

そんなの今更だよな、と私は一人笑った。


45 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:42:59 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「お金を手に入れようと思ってたんだけど、どうでもよくなっちゃったな」

最初は全てを奪って逃げるつもりだった。
だが、何処にいっても私の居場所はないだろう。
もう何もかも虚しくなっていた。

(*゚∀゚)「っていうか、私が欲しかったのは『おばあちゃん』だった。間違えた」

小さく「grandmother」と呟いて、私はまた笑う。

(*゚∀゚)「人間は生まれたときは真っ白なのに、いつのまにか違う色に染まってしまう。そういう生き物だ」
     私は染まった色がたまたま赤だっただけだ。うん」

一人納得するように頷く。


46 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:44:00 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「早く来ないかなー」

部屋の中をうろうろと歩く。
お菓子の時間を待ちきれない子供のように動き回った。

(*゚∀゚)「こんな血生臭い部屋早く出たいのにな」

部屋には血の臭いが漂っている。
当然、私の服にも血の臭いが付いており、この白いパーカーは真っ赤に染まっていた。

私は物語のようにラベンダーでもあればよかったなと思った。

(*゚∀゚)「猫田を裏切った私にはラベンダーがふさわしいしね」

我ながら上手いことを言ったなと思った。


47 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:44:49 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「そういえば……」

なんで私は気付かなかったんだろう。
物語を書くなら、必ずあるものなのに。

(*゚∀゚)「ふんふふーん♪」

私はさっそくノートを開いて書き記す。
頭がよく回っているのか、すらすら書くことができた。

(*゚∀゚)「よしっ」

書き終わった瞬間、玄関の方で音が聞こえた。


48 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:45:49 ID:4LUPyG2Q0

(*゚∀゚)「ん?」

誰かの声がする。
話し声からすると何人かいるようだ。

(*゚∀゚)「やっと来たか」

私は立ち上がり、死体に近付いてナイフを抜いた。

(*゚∀゚)「さあ、かかってこいよ!」

特に意味はないが気合を入れてみる。

玄関が音を立てて開く。
そこから入ってきたのは警官だった。

(*゚∀゚)(三人か、相手にとって不足はない!)


49 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:46:37 ID:4LUPyG2Q0

私は警官の方へ向かう。
警官は私の姿を見て少し狼狽えているようだった。

「動くな! 警察だ!」

警官のうちの一人がそう叫ぶ。
他の二人は入口が狭いからか、後ろで立ち往生しているようだ。

(*゚∀゚)(まったく……ありきたりなことしか言わないな……)

予想通りだったことに落胆しつつ、彼らの方へ近づいていく。


50 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:47:28 ID:4LUPyG2Q0

「う、動くな!」

同じ警官がまた叫ぶ。

(*゚∀゚)(お前はそれしか言えないのか)

私は半ば呆れながら、手に持ったナイフをしっかりと握り直す。
手に柄の冷たさが伝わってくる。


さあ、物語の終焉だ。


(*゚∀゚)(どうせ、こういう行動を取ったらこんな音が聞こえてくるんだろ?)

私はナイフを振り上げると同時に、こう言った。


51 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:48:16 ID:4LUPyG2Q0
 




    「バンッ!」






 ※ ※ ※ ※ ※ ※


52 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:49:08 ID:4LUPyG2Q0

<あとがき>


これは私の物語であり、赤ずきんの物語です。

私は間違ってなんかいなかった。
狼は悪者で、どんな物語でもいつも狼は策略を巡らせては主人公を困らせる。
確かにおばあちゃんはここにはいなかったけど、何もおかしな話ではなかったのです。


『正義はいつだって悪を滅ぼす』


そんな当たり前の話だったのです。


53 :名も無きAAのようです :2012/05/31(木) 22:50:03 ID:4LUPyG2Q0

私は狼に奪われた物を取り戻したかっただけ。
赤ずきんだって、きっと、そう。

私は赤ずきんと何一つ変わらなかったのです。

赤ずきんにはいろいろなお話があります。
これはその中の一つにしか過ぎません。


だから――これは『赤ずきん』の新説。


私が描き、私が望んだ、童話。



 ~fin~



(*゚∀゚)新説・赤ずきんのようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1338469235/

[ 2012/11/21 21:22 ] 短編 | CM(0)
[タグ] (*゚∀゚)


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