まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 草、のようです

157草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:08:33.43
※※※

ここはブーン系小説シベリア図書館の敷地に整えられた庭園。

荘厳な重さを感じる建物の合間、中庭で草木の手入れに勤しむあなたは、体内時計が午後三時前後になったので、小休止をとることにした。

金属のパイプを溶接して作られた、三本足で約三メートルある脚立から、決して油断することなく降りたあなたは、枝葉を落とすための鋸を腰に括った鞘へとしまい、手袋を外す。

  _、_
( ,_ノ` ) ふう。一通り終わったな

埃を払い、汗を拭いながら一旦中庭を離れて自動販売機でスポーツドリンクを購入した、あなた。

再び中庭へ戻ると、自身が手入れするベンチに腰を落ち着けた。

何の気なしに見上げた空は青く、冷たい気候特有の静謐な空気がもたらす透明感に、あなたの心は凪ぐ。


158草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:12:37.45
  _、_
( ,_ノ` ) …もう、六年か

ハハ ロ -ロ)ハ なにがです?

不意に、あなたは話しかけられた。

彼女は図書館職員、名はハロー。

あなたの同僚である。

  _、_
( ,_ノ` ) いやな、そういえば、もう六周年を迎えていたなあと

ハハ ロ -ロ)ハ ああ…今年も、記念行事は無かったですものね

あなたの勤める此処、ブーン系小説シベリア図書館では、毎年何かしらの催しを企画したり。

図書館設立の日を祝って記念行事を行ったのだが、今では記念祭の立案すらもされなくなっている。

それを、あなたは。

  _、_
( ,_ノ` ) ククッ…だというのに、だ。思っていたより、寂しくない

ハハ ロ -ロ)ハ ふふふ。妙なものですね

159草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:14:21.11
あなたはソレを、良しとした。

これは、あなたがシベリアの住人であることが関係している。

ブーン系小説という、端から見ればひどく狭い遊び事であるジャンルが、今こうしてシベリアという最果ての地に根付いているのは、ひとえにシベリア住民の厚意によるものだ。

あらゆる過去を受け入れ、あらゆる者が流れ着き、あらゆる痛みを知っているシベリア。

そこにすむ人々が厳寒のなかで育む気質は、あなたの感性に大きな影響を及ぼしたのだ。

もっとも、独りだろうと祭りを実行する程の気概が無い、自分自身への嫌味と皮肉が多分に込められてもいる。

160草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:18:03.64
  _、_
( ,_ノ` ) 離れた人の気持ち、俺にも良くわかる、館長だって…

ハハ ロ -ロ)ハ そうですね。そして、だからこそ、此処を離れない

  _、_
( ,_ノ` ) なんだ、解っているじゃないか

ハハ ロ -ロ)ハ フフーン、私だって此処の職員ですもの

  _、_
( ,_ノ` ) フムン、確かに。失礼な考えだったな

あなた達が微笑み合っていると、丈夫な生地のエプロンを着け、長い髪を後ろにまとめた女性が駆け寄ってきた。

川*` ゥ´) 毎度ー、お届けに参りました!

  _、_
( ,_ノ` ) おお、きたか。いつもすまないな

川*` ゥ´) なーに、御得意様ですからね

  _、_
( ,_ノ` ) そういえば、ハインもドクオの為に、よく行ってるんだって?

川*` ゥ´) ええ、部屋に飾るお花を買いにね…にししっ、まるで新妻さね

161草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:19:41.71
  _、_
( ,_ノ` ) はっはっはっ!そりゃあ、良い

梱包された、自動車のオイルのような缶をひとつ受領したあなたは、早速梱包をほどき中身を確認する。

それを眺めていたハローは怪訝な顔であなたに訊ねた。

ハハ ロ -ロ)ハ 農薬ですか。でも、まだ沢山ありますよね?

倉庫に備蓄があることを指摘されたあなたは、よくぞ訊ねていただきましたと言わんばかりに、とても愉しげな表情で答えた。

  _、_
( ,_ノ` ) ふっふっふっ。こいつぁ、タダの農薬…じゃあ無い!

ハハ ロ -ロ)ハ 特別製ですか?

  _、_
( ,_ノ` ) そう!コイツはとある国で農業や漁業に勤しむ傍ら、音楽活動もする団体がプロデュースした逸品でな。業界じゃ、すこぶる評判が良い

162草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:23:14.60
早速あなたは、その農薬を希釈する。

そして鼻歌と共に霧吹きへ移し、庭園の中心部へと歩く。

ハハ ロ -ロ)ハ ねえ、渋沢さん

  _、_
( ,_ノ` ) おう、なんだ?

あなたの後をついてくる彼女は、苔と飛び石で足を滑らせないよう慎重に歩きながら、つねづねの疑問をいよいよ口にした。

ハハ ロ -ロ)ハ 中庭は…いえ、図書館の敷地内はどこもきちんと整備されているのに。どうして、そこだけ草ぼーぼーなんです?

あなたは、今まさにむかっている庭園の中心部…黒こげ煉瓦に囲われた、背の低い草が無秩序に伸びる所について問われた。

  _、_
( ,_ノ` ) そういや、話してなかったか

あなたは至極当然の疑問であるなと思い、足を止めて語り始める。

  _、_
( ,_ノ` ) この草と、この瓦礫はな。忘れたいほど嫌だが、忘れたくないほど喜ばしくもある思い出なんだ

163草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:27:25.41
ハハ ロ -ロ)ハ と、言いますと?

あなたは一度深呼吸をしてから、語り始めた。

  _、_
( ,_ノ` ) かつて、此処は廃墟と化した。それは聞いてるな?

ハハ ロ -ロ)ハ 館長から、けど、詳しくは…

  _、_
( ,_ノ` ) そうか。まあ、当時は俺も職員ではなかったから、今度詳しく聞いておけ…簡単に言うとだ、廃墟と化した原因は猛烈なブリザードでな

  _、_
( ,_ノ` ) 此処だけならまだしも、シベリア全土にまで被害が及んでしまった。だから、皆が避難してから、火を放ったんだ

  _、_
( ,_ノ` ) しかしそれでも尚、クソったれブリザードは消えず。シベリアの恥曝しと成り下がった事に耐えられなくなって、止めにダイナマイトで破砕した

ハハ ロ -ロ)ハ この瓦礫は、じゃあ…

  _、_
( ,_ノ` ) 当時の物だ。もっとも、今の躯体の一部も、再利用した部分はあるぞ

人体には無害な農薬を、丁寧に振りかけるあなたの背中に、彼女は寄り添うような音色で言葉をかけた。

ハハ ロ -ロ)ハ どうして、そこまで、できたんですか

  _、_
( ,_ノ` ) うん?

164草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:33:05.59
ハハ ロ -ロ)ハ 此処でなくとも良かったのに、何でわざわざ、苦しい方を選べたんですか…私なら、できなかった。私と、皆さんと。いったい何処に差があったというんですか?

『廃墟のこだまは俺の言葉を復唱してくれるからね   詩人にとっちゃ最高の栄誉だろ?』

  _、_
( ,_ノ` ) ないさ、そんなもの

ハハ ロ -ロ)ハ でも

  _、_
( ,_ノ` ) ある日のことだ。滅び去った廃墟に、詩人が詩を染み込ませ、俺がその姿をボンヤリ眺めていたら、男が独り現れた

『w植えるお。』

  _、_
( ,_ノ` ) 彼は、ひたすらに、荒廃した大地で緑を育んだ。草を植えた。彼なりに意地を見せたんだ
  _、_
( ,_ノ` ) 最初は冷めた目で見ていたよ、だが…何というか…彼から、何かが伝わってきてなぁ

ハハ ロ -ロ)ハ ?

  _、_
( ,_ノ` ) それは言葉にするには難しく、しかし言葉を使わずとも感ずる物だ

『何をしても、何をしなくても。   自分の存在を示せない。   そんな男だった。』

ハハ ロ -ロ)ハ そんな事が伝わるということは、やはり、どこか差があるように思えてしまいます

165草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:36:50.63
  _、_
( ,_ノ` ) 当時はそうだったのかもしれん、しかし今では君も、俺も、持っているはずなんだ

  _、_
( ,_ノ` ) だから、俺達に差などという無粋なものは存在しないんだよ

『だから、この場所に生きる緑に。   アナロジーを感じたのかも知れない。   誰にも知られず、生きる緑に。』

あなたは今でも覚えてる、彼の…いや、彼らの意地を。

  _、_
( ,_ノ` ) それで…そう、とにかく彼は見事、灰色だった地面を緑に変えて、それに触発された者達が自然と集まり、此処に再建された

ハハ ロ -ロ)ハ だから、この場所は…

  _、_
( ,_ノ` ) そういうことだ。こんな思い出があるんだ、絶やすには惜しいだろう?

166草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:40:40.24
ハハ ロ -ロ)ハ そうですけど、そうですけれど…草は、草ですよ

  _、_
( ,_ノ` ) ああ

ハハ ロ -ロ)ハ 今は渋沢さんや私達がいますけど、いつかきっと忘れられ、枯れ果てます

  _、_
( ,_ノ` ) うん

ハハ ロ -ロ)ハ それでも、渋沢さんは、続けるんですよね…?

虚しさを恐れる、まだまだ若い彼女に、あなたは伝えたいと思った。

かつてのあなたが、自分自身に言い聞かせたように。

  _、_
( ,_ノ` ) そうだな、ひょっとしたらすぐにでも忘れ去られるかもな。今の俺達にいつまでも残す術は無い

虚無とは憎むべき敵でなく、ただ飲み下すべき感傷なのだと。

  _、_
( ,_ノ` ) だが、それがどうした。人間は今この瞬間しか生きれない、未来にひとっ跳びして先に行くことも、過去に戻って今までの人生を全否定するのも叶わない。瞬間に生きて、気付けばいつのまにか果てている

あなたは、しかし、それを上手く説明することができない。

何かしらの上手い喩えも浮かばない。

口惜しい、強く思う、けれども。

168草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:49:03.40
  _、_
( ,_ノ` ) でも、だからこそ俺達は、希望があれば生きていられる

それでも、支離滅裂になったとて、あなたは言わずに居られない。

  _、_
( ,_ノ` ) いまこの瞬間に、情報を永久に残す術が確立するかもしれない。この瞬間、誰かが図書館のいままでを保存しようと思い立つかもしれない

  _、_
( ,_ノ` ) 子供みたいなクソ理屈だが、そっちのほうが希望が持てるのならば…どうでも良いさ、ソレを信じる

ハハ ロ -ロ)ハ …ふふっ

  _、_
( ,_ノ` ) そうだろ、そうだろう、おかしいだろう。気持ちは良く分かる

ハハ ロ -ロ)ハ すみません、でも違うんです。以前ドクオさんも同じような事を仰っていたそうで…それが、なんだか嬉しくて

  _、_
( ,_ノ` ) ほう?

『 ('A`) 他人にとって俺の人生は所詮、千年どころか死後数年で跡形も無くなる代物だろうけど…
『ひょっとしたら覗き見好きな誰かさんが、今までとこれからの全てを、覚えていてくれるかもしれない』
…そう考えると怖さが薄れるよ 』

  _、_
( ,_ノ` ) そうか。アイツがなあ、そんな事を…

ハハ ロ -ロ)ハ 言った後、館長にからかわれて。ドクオさん、すっごく恥ずかしくなったそうですよ

169草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 22:59:10.67
  _、_
( ,_ノ` ) はっはっはっ!ドクオらしいなぁ…でも、まあ、同意できるよ。男はみんな、誰しもロマンを抱くもんさ

ハハ ロ -ロ)ハ そうなんですか、じゃあアサピーさんも…あら?

(*゚∀゚) 渋沢さーん!

  _、_
( ,_ノ` ) フムン、噂をすればなんとやら

あなたは、元気良く跳んできた彼女をしっかり抱き止めた。

一見あどけなく、可愛げな彼女を人類で一番良く知るあなたは、じゃれつく彼女こそ、ドクオの願いに一番近い事を知っている。

  _、_
( ,_ノ` ) なんせ。どこかの誰かさん達は、俺達を知っていたんだからな

(*^∀^) えへへ、渋沢さ~ん

ハハ ロ -ロ)ハ あらあら、うふふ

希望を呟いたあなたも、いずれ消え去る。

それでも良いと、あなたは庭を整え続ける。


……もしも、もしも今、此処にある物語が永久的に遺るとしたら。
今の人類が亡びたあとで、遠い所からやってきた生き物が、遺された物語に触れたりしたら。
そんな、若かりし日のあなたの想像さえも、ひとつの物語、ひとつの世界にしてしまえる此処はブーン系小説シベリア図書館。
詞として咲かせる夢幾つ。

170草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 23:02:01.21
※※※


ζ(゚ー゚*ζ 館長、いかがされました?


(´・ω・`) なに、ちょっとコレがね


ζ(゚ー゚*ζ ああ、例の灰色の本ですか。それが何か?


(´・ω・`) いや、今し方頁が増えていたんで読んでみたら、向こうの図書館の人がだね。人は今しか生きれないのだ、と


ζ(゚ー゚*ζ はあ…それが何か、としか


(´・ω・`) でもさでもさ、デレ。なんだかそれが愉快でさ


ζ(゚ー゚*ζ 何故ですか?


(´・ω・`) この人の人生を物語として読んでる僕からしたら、このひとは過去にも未来にも生きていると言えるんだ。ええと、上手くは言えないのだけれどね…


ζ(゚ー゚*ζ (あ、また妙なスイッチがオンですか。あいかわらず、兄様は子供ですね)

171草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 23:04:53.84
(´・ω・`) これは、今し方追記された話だ。しかし、此方の此の本に書かれる
物事が起きた時間と、彼方の彼の図書館で本に書かれた物事が起きた時間が、同じとは限らない


ζ(゚ー゚*ζ (館長なのに、説明が苦手というのは、如何なものかと思いますよ。ミセリちゃんも呆れていましたし)


(´・ω・`) 仮に、この渋沢という人物が生きたのが、僕らの時間で今より過去の事ならば、向こうでは
過去のこの人がこちらの世界では今この瞬間に生きたことになる。未来なら、逆。


ζ(゚ー゚*ζ (そういえば今晩は、ミセリちゃんが御夕飯の支度をするのでしたね。大丈夫かしら?せっかくの美味しい魚が、炭に成らなければ良いのだけれど)


(´・ω・`) さらにこれが、向こうで彼が辿る前の人生を描いたものならば、彼はこちらですでに未来を生きた、存在を確定させているんだよ

172草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 23:07:29.07
ζ(゚ー゚*ζ 館長、館長


(´・ω・`) なんだい?


ζ(゚ー゚*ζ 分かりましたから、いますぐ仕事に戻って下さいまし


(´・ω・`) なんだい、やれやれ、忙しないね


ζ(゚ー゚*ζ 過去を見ながら今に生きるのではなく、未来の為の今を生きていただかなくては、私もミセリちゃんも、不安になってしまいます


(´・ω・`) それもそうか、確かに。僕らは今に留まれないのだものね


ζ(^ー^*ζ はい、館長


※※※


枯れては土に。
焼けては灰に。
咲いては色に。
満面の草、浮かべて集えシベリアン、飲み干せウォッカ。
此処は最果て、言葉の楽園、我らがブーン系小説シベリア図書館也。

173草@転載は禁止 :2016/02/18(木) 23:13:56.93
:勝手ながら原型とさせていただいた作品ならびにレス集(ブーン系小説シベリア図書館保管庫より)

【図書館マンからの、大事なお知らせ】 2010/08/06

廃墟の司祭(仮) 2010/10/23

廃墟の詩人(仮) 2010/10/23

( ^ω^)緑のようです 2010/10/25


廃墟~復興~復活祭 2010/10/19

―――――

:今回の投下と関連する自分が書いたもの

(-@∀@)とある眼鏡の蔵書目録のようです・SF(すこしふしぎ)版 2011/11/12

派生図書館群像のようです 2014/02/28

(´・ω・`)時を忘れて覗き見るようですζ(゚ー゚*ζ 2013/12/30

世界を救う秋のようです 2014/09/18

いつまで此処に居るんだお?のようです 2014/04/22

原作があるようです 2011/04/22

等。

174いやあ名無しってほんとにいいもんですね@転載は禁止 :2016/02/18(木) 23:15:31.29
以上

今更だけど六周年おめでとう


おやすみなさい

引用元:( ^ω^)ブーン系小説シベリア図書館のようです [転載禁止]?2ch.net
http://mastiff.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1446334277/156-

[ 2016/02/20 23:03 ] シベリア | CM(0)
[タグ] シベリア


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