まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 第十八話:【( ・∀・)は立ち上がるようです】 前編

188 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 14:50:51 ID:sutmVm360

 草木も眠る丑三つ時。

o川*゚ー゚)o「たん、るる、ら、たりらー」

 夢見心地で彼女は唄う。
 何者も恐れず、何者にも怖れられず。

o川*゚ー゚)o「ららるらるららー♪」

 その歌声はか細く、闇に沁みゆくように消えていく。

 地べたに座り込んで唄う彼女の姿は、この夜においては異様なものである。
 瞳には稚児のような輝きがあるが、実年例は二十代、あるいは三十代であろうか。
 少女と言っても刀自と言っても納得させてしまうような、なにか不思議な空気を纏っている。

 彼女が見上げる先には、白く、威圧的で、大きな建物。窓にはいくつか火が灯っている。
 ここは中庭だ。四方を建物に囲まれたこの空間は、彼女の処遇を暗示しているようでもある。

o川*゚ー゚)o「うふふ」

 彼女は笑う。
 曇天の夜空、星月も失せ、確かなものは己のみ。いや、それすらも。


189 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 14:55:38 ID:sutmVm360

 ここはウォルクシア――国立癒療院『ノウトレア』。


 ( ・∀・)悪魔戦争のようです


 第十八話:【( ・∀・)は立ち上がるようです】 前編


.

190 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 15:05:10 ID:sutmVm360

 『癒士』について説明しよう。
 癒士とは、癒属性魔法の扱いに長けた魔法士の俗称である。
 資格や免許が存在するわけではない。人を助く志をもって人々を治療する者は皆そう呼ばれている。

 癒属性魔法の習得は他の属性よりも難しいと言われている。
 そもそも魔法とは、多少なりと自然の摂理をねじ曲げるものであるが、癒属性ではそれが顕著なのだ。
 治療には、死に向かう生命を救うことには、それなりの知識、経験、才能、そして代償が伴う。

 魔術の素養を持つものは多いが、癒士の数は少ない。
 小さな町や村には専属の癒士どころか入院施設も無いのが普通である。

 国立癒療院『ノウトレア』。それは生と死が集うところだ。

 この施設はウォルクシア南部、ズーパルレとの国境付近に位置し、多数の患者が入院している。
 常駐する癒士は二十人ほどであり、普段彼らはノウトレアで患者の治療にあたっているが、
 時には国王の命により世界各地に派遣されて仕事をこなすこともある。

 このような癒療院は各国に設置されている。
 だが、やはり大国ウォルクシアのそれが人員・設備ともに最高の質だと言われているようだ。

/ ゚、。 /

 『癒士』、ダイオード=メタル。

 アロウカでの上位天使との戦闘を終え、散り散りになった養成所教師陣のうち、
 彼女はノウトレアで多忙な日々を過ごしているのであった。

191 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 15:14:07 ID:sutmVm360

『起床時間を五分過ぎています、ダイオード嬢』

 厳格な、しかし控えめな声が再度ダイオードの耳朶を震わせた。

/ ゚、、 /「む……」

 重い瞼を開く。

/ `、、 /スヤァ

 閉じる。

『嬢。そうやって時間を浪費するから仕事がなかなか終わらないのですよ』

/ `、。 /

『結果、就寝までもが遅くなり負の連鎖を形成するのです。嬢。起きてください』

 声はダイオードの耳元で主張を続ける。

/ ゚、。 /「ん……わかった。起きる。起きるよ」

 そう言って、ダイオードは半身を起こした。欠伸を噛み殺して伸びをする。
 側の窓を覆うカーテンを開くと、強い日差しが、整頓されていない室内を照らした。

192 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 15:19:07 ID:sutmVm360

 ベッドの脇、白い机の上。散乱する文房具や書類に混じって奇妙なものが置かれていた。
 緻密な模様が刻まれた細長い木製の箱――それは、掌に乗るほどの小さな棺桶である。

 棺桶の蓋は少し開いており、中から青白い顔が覗いている。

【+  】ゞ゚)「おはようございます」

/ ゚、。 /「うん」

【+  】ゞ゚)「良い天気ですね。本日の回診は午後からです。午前中にはカルテ整理と会議の予定」

 かの者こそが『可逆存在』『反転する分子』『逆巻く悪魔』など数々の異名を持つダイオードの使い魔、
 名高き上級悪魔『マクスウェル』である。

/ `、、 /スヤァ

【+  】ゞ゚)「そこから寝ないでいただきたいのですが」

/ ゚、、 /「オサム、ならば私の代わりに寝てくれるか……」

【+  】ゞ゚)「私に睡眠は必要ありません」

/ ゚、。 /「全くおもしろくない……いや……すまぬな。もう目が覚めた」

【+  】ゞ゚)「喜ばしいことです。今日も患者たちのために身を粉にして働きましょう」

195 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:01:03 ID:sutmVm360

 備え付けの洗面台で顔を洗い、髪を梳かし、服を着替える。
 ルーチンと化したはずの一連の作業を、ダイオード=メタルは手順を思い出しながら行う。

 白衣の裾に腕を通したところで、部屋のドアがノックされた。

/ ゚、。 /「どうぞ」

 ドアが開くが早いか、勢いよくなだれ込んできたのは一人の中年男。

(*´∀`)「ダイオード先生ぇぇぇぇ!!」

/ ゚、。 /「おっと」

 ダイオードにひらりとかわされ、モナー=カノンタの熱い抱擁は空を切った。
 そのまま箪笥に激突し、外套掛けを引き倒し、めちゃくちゃに物をまき散らしながら倒れる。

【+  】ゞ゚)「おや? モナー先生ではありませんか。久しいですね」

 机の端からオサムが下を覗く。

( ´∀`)「ああオサム……恋に生き、愛に死す男の物語を……後世に」

( ´Д`).∵; ガハッ

【+  】ゞ゚)「血を吐かれました」

/ ゚、。 /「心の底から、無視して仕事に行きたい。わかるか? オサム」

【+  】ゞ゚)「お気持ちお察しいたします」

196 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:07:18 ID:sutmVm360

( ´∀`)「いやぁ、ダイオード先生直々の治療が受けられるとは、まさに怪我の功名だモナ」

/ ゚、。 /「いいから早く話せ。何故そなたがここにいる?」

 モナーの額に手を当てて魔法を発動しつつ、ダイオードが問う。
 自動書記のペンが忙しく走り回り、モナーの話を紙面に書きとっている。

( ´∀`)「えーと、そう。ズーパルレまでたどり着いて、それから――――」



***********************************



( ・∀・)「……どうして先生がここに?」

( ´∀`)「こっちのセリフだモナ。モララー君。どうしてここに……」

 『ユグドラシル』の根城から脱出したモララーの目前に現れたのは、モナー=カノンタその人であった。
 湿度高いジャングルの熱気に囲まれ、二人はしばし呆然としていた。

( ・∀・)「う……」

 ふらりと揺らめき、膝をつくモララー。

( ´∀`)「貧血モナ?」

( ・∀・)「いや……これはさっきの……」

 魔力の消費。本人すら知らぬことだが、『シルヴァ』の召喚による負担は未だに大きかった。
 ユグドラシルの助けを得てなおも癒えぬ、重苦しい疲弊感がモララーにのしかかっている。

(;´∀`)「ちょ、モララー君? 大丈夫!?」

 ついに彼は地に倒れ伏してしまった。
 同時に、どこからか重い地響きが大地を揺らす。

197 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:15:55 ID:sutmVm360

( ・-・ )「先生、結局なにが起きているかはわからないが避難を……」

 草むらをかき分けて若い男が現れ、倒れているモララーを見て顔をしかめた。
 男は片手にナイフを、もう片方の手に大きな蟹の死骸をぶら下げている。

( ・-・ )「誰だいこれは」

( ´∀`)「モララー君だモナ。ウチの生徒」

( ・-・ )「生徒? 何故こんなところに」

 再び地面が揺れ、二人は顔を見合わせた。

( ´∀`)「シーン君、とにかくここは危なそうモナ」

( ・-・ )「ああ、宿に戻ろう。この生徒は僕が背負っていく」

 そう言って、蟹の死骸をモナーに投げ渡す。

( ´∀`)「……この蟹は?」

( ・-・ )「『星枯蟹』だよ。今日の晩飯にしようと思って」

( ´∀`)「今日もまた魔物モナ……?」

( ・-・ )「この蟹は変わっていて、植物の果実内に卵を産むんだ。幼生は果実を少しずつ食べ、食いつくすと同時に成体になるんだけど、その果実の大きさに個体のサイズが影響される。この大きさだとスイカか何かに寄生したんだろう。普通の蟹ならば川や海で育つところを、果実の水分を代わりにして育つわけだ。メスは成体になってからも脱皮ごとにサイズが大きくなるがオスは生涯このままで」

(´∀` )「さぁぁって帰ろう! モララー君をよろしくモナ」

( ・-・ )「メスの方が身が大きく卵も食べられるために食用に向いているとされるが、オスはオスで精巣を含む内臓が珍味とされており、ズーパルレ北部の特産品である『ガンショウ』は元々『蟹漿』あるいは『蟹精』と呼ばれていたらしく」

198 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:19:43 ID:sutmVm360

 翌日、モララーは柔らかな布団の上で目を覚ました。

( ・∀・)「おう……」

 手で顔をこすって、違和感に気づく。左手薬指に輝く銀色の指輪。

( ・∀・)「…………」

(ヽ´∀`)「目が覚めたモナ?」

( ・∀・)「モナー先生。なんかゲッソリしてないすか?」

(ヽ´∀`)「魔物の目玉を生で食わされるという体験をすれば君もこうなるモナ」

 辺りを見回す。どうやら、ここは宿屋の一室のようであった。
 気だるさは未だ体に残っており、夢を見ているような浮遊感がある。

( ・-・ )「起きたかい」

 木製の扉を開き、シーン=ルドガーが顔を見せた。

( ・-・ )「モララー、メシは食えそうか?」

( ・∀・)「あー、たぶん大丈夫」

( ・-・ )「そりゃ良かった。君にも蟹料理を食わせてやろう。食堂で待っている」

199 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:25:52 ID:sutmVm360

( ・∀・)「あの人、確か先輩の……」

( ´∀`)「シーン=ルドガー君だモナ。ここはシックシィという街の宿屋で、僕たちが借りた部屋モナ。
      率直に聞くけど、モララー君はどうしてズーパルレの――それも『守り人』の近くにいたモナ?」

( ・∀・)「ん……もともと修行で来たんですけど、色々あってですね」

( ´∀`)「――昨日、『ユグドラシル』が破壊されたモナ」

( ・∀・)「えっ?」

( ´∀`)「その反応を見ると、『守り人』の正体は知ってたモナ? なるほど」

 ぐるぐるとモララーの頭は混乱する。

(;・∀・)「破壊って、なぜ? 誰に?」

( ´∀`)「心当たりは?」

(;・∀・)「まさか、ハインリッヒ……いや、でもなんでだ?」

( ´∀`)「ハインリッヒ。『科学者』ハインリッヒ? ふむ……」

( ・∀・)「先生は何か知ってるんですか?」

( ´∀`)「いろいろ知っているけど教えられないモナ。ま、モララー君は考える必要のないことモナ」

( ・∀・)「えー、なんすかそれ」

200 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:32:04 ID:sutmVm360

( ・∀・)「そーいや、デルタとツンが一緒にいたんですけど、知りません?」

( ´∀`)「はぐれたモナ? うーん、無事だといいけど……探しには行けないモナ。
      実は、『ユグドラシル』が破壊され、周辺の魔物が急に活発に行動し始めたモナ」

 おそらく、『ユグドラシル』から周囲の地盤に供給されていた魔力が途絶えた影響だろう、とモナーは説明した。
 わずか1日しか経過していないが、その被害は凄まじく、ズーパルレ国軍が総力を挙げて鎮圧に乗り出す事態となっている。

( ´∀`)「インクレク村は壊滅したモナ。村人は全員行方不明、おそらくは全員死亡」

( ・∀・)「……そんな」

( ´∀`)「二人が心配なのはわかるけど、捜索は軍人に任せたほうがいいモナ」

 魔術士養成所にも連絡しておくから、とモナーは付け加える。

( ・∀・)「……まあ、そうっすね。あの二人ならきっと何とか生き延びてるはず」

 楽観的に考えようと己に強いた。今の自分にできることは無い。
 心配や後悔でなく、今やらねばならないことが何かあるはずだと。

( ´∀`)「さて、じゃあごはんを食べに行くモナ。素材はともかく、シーン君の料理はなかなかのもので――」

 立ち上がろうとしたモララーの体がふらつく。

( ・∀・)「おっと、なんだこりゃ」

 モナーが肩を貸し、心配そうにモララーの脚を見た。

( ´∀`)「立てないモナ? どこか怪我を?」

201 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:37:44 ID:sutmVm360

( ・∀・)「いやー、特にどこも痛くはないんですが……」

 ふと、モナーに支えられた左腕を見る。指には銀の輪。

( ・∀・)「こいつのせいか?」

( ´∀`)「結婚指輪? モララー君、君は未成年では? これは職員会議モナ!」

(;・∀・)「いやいやいや! 違うんですよ、いつの間にかハマってて抜けないんです」

( ´∀`)「抜けない? どれどれ」

(・∀・;)「ちょっ、無理、んぎぎぎっぎぎぎ! 抜ける! 指が!」

( ´∀`)「ひねってみるとか」

(・∀・;)「のああああああ先生! 先生! 顔に似合わず握力がすごい!」

( ´∀`)「これ、肌と一体化してるような感じモナ」

(;・∀・)「ええ、力ずくで試す前に気づいてほしかったですそこに……」

( ´∀`)「まさか、『呪品』?」

 召喚者による制御を失った悪魔が生物に取り憑けば『魔物』、人間に取り憑けば『魔人』となる。
 時に悪魔は生命を持たぬ物品を拠り所にすることもあり、その場合は『呪品』と呼ばれている。

 呪品は人知れず埋もれている場合がほとんどだ。世界中にどれほどの数が存在するのか、定かな研究はされていない。

202 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:45:18 ID:sutmVm360

( ・∀・)「呪品ってこういうもんなんですか?」

( ´∀`)「そりゃそれぞれ違うモナ。でも、いつの間にか外れなくなってるというのは怪しい」

( ´∀`)「うーん、呪品に詳しい人と言えば……ダイオード先生……」

( ゜∀゜)「はっ!!」

 かっ、とモナーは細い目を見開いた。

( ・∀・)(めっちゃツバ飛んだ)

( ´∀`)「よし、『ノウトレア』に行くモナ! 生徒のためという理由があればダイオード先生も断れまい!」



****************************



( ´∀`)「というわけモナ」

/ ゚、。 /「……では、私に用があるのはロードネスなんだな? そなたは出てゆけ」

( ´∀`)「ひ、ひどい! 凶暴になった魔物を倒しつつ、時には食べつつ、ここまで三人で艱難辛苦……」

/ ゚、。 /「なんにせよ回診は午後だ。ほら、その辺で遊んでいるがいい」

203 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:51:03 ID:sutmVm360

 モナーを追い出した後、ダイオードは机上の紙に目をやった。
 すでに自動書記は終了している。綺麗に並べられた文章を読み返しながら、オサムの棺桶を拾い上げた。

/ ゚、。 /「どう思う? オサム」

【+  】ゞ゚)「奇特ですが悪い人ではないと思いますよ」

/ ゚、。 /「あの阿呆について意見を求めたのではない」

【+  】ゞ゚)「これは失礼。『呪品』についてですか」

 棺桶を白衣の胸ポケットにしまいこむ。オサムの声は、ダイオードの内側に染み込むように響く。

/ ゚、。 /「呪品というのは人間から隠れたがるものだ」

 記録紙を机の引き出しに投げ込む。

【+  】ゞ゚)「慧眼なるダイオード嬢の言うとおり」

/ ゚、。 /「人間に危害を加えるものならば、既にロードネスは死んでいるはず」

【+  】ゞ゚)「取り憑いて移動することが望みなのではありませんか?」

/ ゚、。 /「寄主を歩けなくしておいて、か」

【+  】ゞ゚)「ふうむ。まあ、呪品の意志など考えるだけ無駄かもしれませんがね」

204 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 16:55:28 ID:sutmVm360

【ノウトレア・一般病室】

( ・-・ )「……遅い。モナー先生はなにをやってるんだ」

( ・∀・)「さあ……」

 ベッドに寝かされたモララーの脇で、腕組みをしたシーンがうろうろと歩き回っている。
 すぐにダイオードを呼んでくると出ていって1時間は経つが、モナーはまだ戻ってこない。

( ・-・ )「ちょっと探してくる。おとなしくしてなよ」

( ・∀・)「うーい」

 病室に一人取り残され、モララーはため息を吐いた。

( ・∀・)(あの先輩なんか苦手だなー)

 出会ってから数日、モナーら二人とともに旅をした。
 彼らは概ねモララーに対して好意的であったが、何か隠しているような空気を感じることがあった。
 そもそもなぜズーパルレにいたのか、その理由さえ彼らはついに明かさなかった。

 警戒されているのだろうか、と考えたこともあったが、結局なにもわからないままノウトレアに到着した。

( ・∀・)(ま、悪い人ではなさそうだな。メシうまいし)

 料理がうまい者は信用せよ。思春期男子には鉄則である。

205 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 17:01:39 ID:sutmVm360

 がらら。

( ・∀・)「あ、戻ってき……?」

 病室に入ってきたのは、シーンでもモナーでも、そしてダイオードでもなかった。

o川*゚ー゚)o「うふふ」

 その女性は簡素な服に身を包んでいる。モララーが着せられたものと形状は同じである。
 ただ、モララーの服は茶色であるが、女性の服は黄色であった。

o川*゚ー゚)o「あなた、名前は?」

 めちゃくちゃこっちのセリフだ、とモララーは思った。

( ・∀・)「……モララー=ロードネス」

o川*゚ー゚)o「ロードネス? うふふふ! 素敵ね。私はキュート。かわいい名前でしょう」

( ・∀・)「はあ」

 キュートと名乗る女は踊るようにゆらゆら揺れながら、視線はモララーの顔に定めている。

( ・∀・)(なんだよこいつやべえよ……こえぇよ……)

o川*゚ー゚)o「あなた、魔術が使えないの?」

( ・∀・)「は? なんでそれを知ってんだ?」

o川*゚ー゚)o「うふふ! 大丈夫よ大丈夫。あなたはいずれラプラスの声を聞くことになるわ」

206 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 18:28:37 ID:ep8phqC60

( ・∀・)「『ラプラス』?」

 その名前はモララーでも知っている。睥睨する悪魔『ラプラス』。
 世界のすべてを見通す力をもつとされる上級悪魔だが、『純白の円周率』以降具現化した記録はない。

o川*゚ー゚)o「そうよ。私にはラプラスの声が聞こえるの。たとえば……」

/ ゚、。 /「キュート!」

 キュートの背後に、いつの間にか険しい顔をしたダイオードが立っていた。

/ ゚、。 /「また脱走したな。一般病棟に近づくなと何度言わせるんだ」

o川*゚ー゚)o「脱走だなんて。ちょっとお散歩していただけよ」

/ ゚、。 /「とにかく自分の部屋に戻れ」

o川*゚ー゚)o「はあい」

 不服そうに頬を膨らませ、キュートは裾を翻す。

o川*゚ー゚)o「また会いましょう、ね。うふふ」

/ ゚、。 /「早く行け」

 キュートを追い出し、勢いよく扉を閉めた。

207 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 18:35:00 ID:ep8phqC60

( ・∀・)「お久しぶりです。ダイオード先生」

/ ゚、。 /「こんな形で再会するというのはあまり嬉しくないな、ロードネス」

 長身を折り曲げて椅子に座り、モララーの顔をのぞき込むダイオード。

/ ゚、。 /「そなた、キュートと何か話したか?」

( ・∀・)「いや、特には」

/ ゚、。 /「そうか。気にしないでくれ。あの女性は……端的に言えば、発狂している」

( ・∀・)「ああ……まあ納得しました」

 病室の窓の外には中庭があり、楡の木の豊かな葉が風に揺れていた。
 中庭の向こう側には隔離病棟が存在し、その一画に精神病患者が収監されているとダイオードは説明する。

( ・∀・)「普通にここに来てましたけど」

/ ゚、。 /「隔離病棟から出られるはずはないのだが、何故かあの女性だけは毎日のように脱走している」

( ・∀・)「いいんですか? それ……」

/ ゚、。 /「当然、よくない。しかしどんな対策をしても無駄ときているので、みな諦めている」

208 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 18:39:49 ID:ep8phqC60

/ ゚、。 /「あまり時間がない。手短にいく」

 モララーの左手を取り、その銀色の指輪に目を細める。

/ ゚、。 /「これをどこで入手した?」

( ・∀・)「わかりません。えーっと……なんか気絶してて、目が覚めたらくっついてて」

/ ゚、。 /「何故気絶を?」

( ・∀・)「長い話なんですけど……、えっと、とある人に魔法でぶっ飛ばされて、上空で気絶しました。
      それで目が覚めたら、飛ばされる前の場所に戻ってて、あ、俺一人で。飛ばされたのは三人で」

/ ゚、。 /「全く意味不明だが、その記憶がない期間に何かあったのだろうな」

 ダイオードは胸ポケットから小さな、手に乗るほどの棺桶を取りだす。
 その蓋が少し開き、血色の悪い顔がぬっと出てきた。

【+  】ゞ゚)「お初にお目にかかります。私は上級悪魔『マクスウェル』、名をオサムと申します」

( ・∀・)「あ、こりゃどうも。モララー=ロードネスです」

 予想外の丁寧な挨拶に、つい敬語で返すモララー。

【+  】ゞ゚)「指輪を見せてください」

209 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 18:44:21 ID:ep8phqC60

 しばらく指輪の表面をじっと眺めていたオサムは、不思議そうにつぶやく。

【+  】ゞ゚)「この指輪からは私の魔力を感じますね」

( ・∀・)「え?」

/ ゚、。 /「どういうことだ?」

【+  】ゞ゚)「私自身にも理解しかねます。このようなものは初めて見ました、それは間違いないのですが。
       どうやら、以前に私が手を加えたもの……それにまた、何か別の作用が働いているようです」

 オサムの言葉は要領を得ず、歯切れが悪くて申し訳ないと謝罪した。

/ ゚、。 /「害はありそうか?」

【+  】ゞ゚)「しいて言えば、彼の魔力を大量に消費しているらしいということでしょうか」

/ ゚、。 /「ならば、それだけでも少し緩和してやろう。本格的な診察は明日だ」

 時間がないのでな、とダイオードは薄い笑みを浮かべた。

( ・∀・)「緩和……できるんですか?」

【+  】ゞ゚)「私の辞書に『不可逆』はありません」

 『マクスウェル』の強大な魔法がモララーに働きかける。
 決してダイオードが言うことはない、その力が代償を伴うものであるとは。

211 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 18:50:29 ID:ep8phqC60

 翌日の昼に再診することを約束し、ダイオードと使い魔は去っていった。

( ・∀・)「お、立てる」

 久々に自分の脚で大地を踏みしめることができた、その感触をじっくりと味わう。
 少し筋肉が衰えてしまったのか、やけに体が重く感じる。

( ・∀・)(リハビリがてら散歩にでも行くか……)

 どこに何があるのか全くわからない。だが、腹が減っている。腹が減っては戦ができぬ。
 別に戦に向かう用事もないモララーではあるが、とりあえず何か食べるものを求めて病室を出た。

 廊下の窓から指す陽光が、白を基調とした壁や床の清潔さを際だたせている。

 癒士か看護士か、白衣を着た人間と何回かすれ違った。

( ・∀・)「えーと」

 「談話室・食堂 → 」という表示に従い、角を曲がる。

 そこで、よく知る顔を見た。

( ^Д^)「ちょwwwwwモララーwwwwww」

( ・∀・)「おっと、幻覚だ」

( ^Д^)「ざっけんなww正真正銘の俺だわwww」

212 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 18:55:10 ID:ep8phqC60

( ><)「モララー君!?」

( <●><●>)「おや。なんとも奇遇デス」

 続いてスカートスーツ姿の女性と、巨大な黒い鎧。
 談話室のソファに座っていたのはプギャー=アコロ、ビロード=デス、そして悪魔エリゴスであった。

( ・∀・)「ビロード先生にワカッテマス? なんでここに」

( ><)「この癒療院を護衛してるんです。連合国軍のお仕事です」

( ^Д^)「俺はその手伝いっつーか、バイト? 腕っ節を見込まれてな」

( ・∀・)「荷物持ちか? それとも薪割りかな?」

(#^Д^)「あ? んだコラ転がすぞテメー穀潰しのカスが」

         バチバチ
(#・∀・)――:`.*、´――(^Д^#)
         バチバチ

( ><)「やめなさい!」

( <●><●>)「馬鹿二人が出会うとこうなるのはワカッテマス」

213 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:05:47 ID:ep8phqC60

( ・∀・)「護衛って。ここ、そんなに危ないんすか?」

 ソファに座り、テーブルに置いてあった夏蜜柑の皮を剥きながらモララーが問う。

( <●><●>)「ズーパルレとの国境が近いこともあり、比較的魔物が多い地域と言われていマス。
        このごろ魔物の動きが活発になっているという情報も入っているようですしね」

 魔物が活発に。おそらく『ユグドラシル』消滅の影響だろう。

( ><)「それに、もうすぐ連合国軍がここに重要な患者を移送してくるそうです」

 より一層念入りに警備を固めるべし、とビロードが派遣されてきたのだという。
 プギャーはその話を聞きつけ、雑用係として無理矢理ついてきた。

 魔法士であるビロードおよび上級悪魔であるワカッテマスは、軍人であれば将官級の扱いである。
 それほどの人材を単なる警備に充てるとは、患者とはいかなる要人なのであろうか。

( ><)「誰かはわかんないんですが、おそらくダイオード先生に診てもらうんだと思います」

( ・∀・)「へえ、それはな」

( ^Д^)「そうでもなきゃ軍の施設で治療するだろ、ウォルクシアに連れてきやしねえよw」

(#・∀・)「今俺が喋ってただろ? お前がここに入院するか? コラ」

( ^Д^)「はっww自分の格好見てから言えやっww病人ww」

.∵:(^Д⊂(<●><●> )=-
  ドグシャア
.∵:(・∀⊂(<●><●> )=-

214 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:10:18 ID:ep8phqC60

 モララーも、ここに至るまでの経緯と、モナー・シーンが共に来ていることを話した。
 それを聞いて顔をしかめたのはプギャーであった。

( ^Д^)「ここで同窓会でもやるつもりか? せっかく学校が休みなのによ」

 彼の隣でワカッテマスは両手を肩の高さに上げ、首を横に振った。
 彼の顔面が表情を作れるようになっていたならば、おそらく不機嫌な顔を見せていたのだろう。

( <●><●>)「正直に言いマスと、あの二人は好きじゃありませんね」

(;><)「こら! ワカッテマス、やめなさい」

( <●><●>)「礼を失した発言であることはワカッテマス」

 まあわからなくもないな、とモララーは内心でつぶやく。モナー=カノンタ。シーン=ルドガー。
 悪い人たちではないと思う。しかし、何か相容れぬものを抱えているように感じたことも事実だ。

( ^Д^)「モナー先生? あの人はなんつーかアレだよな、小物犯罪者顔。薬物系の」

( ・∀・)「気持ちはわかるがド直球な罵倒はよせ」

( ><)「あなたたち、教師である私の前でよくそんな話ができますね?」

( <●><●>)「彼の『ベヒモス』に喰われても助けマセンよ」

215 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:17:10 ID:ep8phqC60

( ・∀・)「そういや、さっき初めてダイオード先生の使い魔を見ましたよ」

( ><)「オサムですか。彼は小さくて可愛らしいんです」

 ワカッテマスが主の方に向き直り、何事か言いよどみ、黙った。

( ・∀・)「話には聞いてましたけど。『マクスウェル』といえば超有名ですよね」

( ^Д^)「お前でも知ってるくらいになww」

( ・∀・)「お前もな」

( ><)「そうですね。ダイオード先生自身が素晴らしい癒士ではあるんです」

 にこにこと嬉しそうな顔でビロードは言う。

( ><)「それに加えてオサムの能力は――控えめに言っても反則級のものですからね」

( <●><●>)「肉弾戦なら私が勝つことはワカッテマス」

( ><)「どうして張り合うんですか?」

( ^Д^)「そんな凄いコンビが、どうしてうちで保健医なんてやってたんすかね」

( ><)「人にはそれぞれ都合や歴史というものがあるんです」

216 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:22:02 ID:ep8phqC60

 夏蜜柑のかけらを口に放り込むと、爽やかな甘酸っぱさが口に広がった。

( ・∀・)「ビロード先生って、専門は魔法のほうですよね」

( ><)「そうですね。召喚術はどちらかといえば苦手なんです」

( ・∀・)「それなのに、どうしてワカッテマスと契約できたんですか?」

 魔術士は魔法士と召喚術士の二種に大別される。
 養成所でもそれぞれに専門学科が設置されており、どちらかに重きをおいて修得していくことになる。
 優れた魔法士であるビロードが、さらにソロモン72柱の上級悪魔と契約していることは、控えめに言っても異常であった。

( ><)「うーん……」

 困ったように使い魔を見やると、鎧の黒騎士は鷹揚に頷いた。

( <●><●>)「教えてもいいと思いマス」

( ><)「そうですね。ワカッテマスは元々、別の人が契約していたところを、私が引き継いだのです」

( ^Д^)「別の人?」

( ><)「ええ」

 ビロードはその名を告げる。

( ><)「リカーナ=ロードネス……『反逆者』。モララー君の叔父です」

217 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:26:16 ID:ep8phqC60

(;・∀・)「えっ、っぷ!」

 口の端からこぼれ落ちかけた蜜柑を手で受け止め、改めて口に放り込む。
 咀嚼し、飲み込んだ。しかし、事態はまだ飲み込めていなかった。

(;・∀・)「リカーナ? 嘘だろ、おい! ワカッテマスが!?」

(;^Д^)「こりゃマジでビビった、あの『マッドロード』がね……」

( <●><●>)「短い間デスが、確かに仕えていましたよ。彼にとっては多くの使い魔の一人でしょうが」

 リカーナ=ロードネスは多数の上級悪魔を従えていることで知られていた。
 一説によれば、当時の連合国軍が保有する兵力を彼一人で凌駕していたとも言われている。

 しかし、『反逆』が露見して連合国軍に追われた際、彼はただ一体の悪魔も召喚しなかった。
 もしも十全の状態でリカーナが迎え撃っていたならば、簡単に討伐されはしなかっただろう。

( ><)「彼は秘密裏に、世界中の友人たちに自分の悪魔を引き継いでいたようなんです」

( ・∀・)「どうしてそんなことを?」

( ><)「わかんないんです」

 彼は自ずから死期を悟り、自分の想いを遺そうとしたのだろうか?
 それとも、別の思惑から至った行動が、結果として彼に死をもたらすこととなったのだろうか?
 答えを知るものはいない。

 リカーナがどのような悪魔を使役していたのか、詳細に伝える資料が存在したことはない。

218 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:31:32 ID:ep8phqC60

( ・∀・)「あれ、ちょっと待ってくださいよ、リカーナが死んだのって俺が産まれる前ですよ。
      そのときビロード先生何歳ですか? 卒業まで『エレメント』しか扱えなかったと言ってましたよね」

( ><)「10歳くらいでしたか。別に嘘を言ったわけではありませんよ、
      ワカッテマスを人前で初めて具現化したのは卒業した後でしたから」

( <●><●>)「あまり早く世に出すぎると、リカーナとご主人様の関係が勘繰られると思ったのデス」

 ワカッテマスの心配も結果的には杞憂であった。
 人類に対する反逆の罪で処断されたリカーナであるが、その関係者まで共謀の罪に問われはしなかったのだ。

 彼が犯した罪の重さに比すれば、これは不当に穏やかな裁定であったと言わざるをえない。
 その裏には、非情で冷徹な策謀の糸が、蜘蛛の巣のように綿密に張り巡らされていたことは間違いない。
 果たしてリカーナ=ロードネスは巣の主か。それとも網に絡め捕らわれた哀れな獲物だったのか。

( ^Д^)「前の主人のことなのに、えらくドライな感じなんだな」

( <●><●>)「……悪魔とは元来そういうものデス」

( ><)「まあ、そういう縁もありまして、私たちはモララー君に対して少し甘かったんですね」

( ・∀・)「えっ、甘かったですか? 身に覚えが……」

( ><)「何も召喚できなかったら進級できませんよ普通。それも召喚術学科で」

( ・∀・)「正論ッ」

219 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:37:35 ID:ep8phqC60

( ^Д^)「それで、魔法だけでなく召喚術も教えられるほどになったんですか」

( ><)「魔法は理論ですが、召喚術は感覚を理解することが大事なんです」

 上級悪魔を繰り返し具現化することは負荷の激しい筋肉鍛錬のようなものだ、と説明した。
 褒められた方法ではないが、確実に能力の向上につながる近道であると。

 会話にひと段落がつき、談話室には微睡みのような静寂が満ちた。

( ・∀・)「……リカーナは、なぜ『反逆』したんですかね」

 モララーの呟きが、水面に落ちた滴のように、各々の心情空間を波立たせる。

( <●><●>)「それを知る者は本人だけであると、ワカッテマス」

( ・∀・)「いや、他に誰か知ってる人がいるはず。『ユグドラシル』はきっと何か知ってると思うんですよ」

( ・∀・)「あ、でももういないんだっけか……」

( ><)「生前の彼を知る者に話を聞くのは良いですね」

 残念ながら私たちは力になれませんが、とビロードは付け加えた。

( ><)「リワリの滝以外にも、彼が修行したという噂のある場所はいくつかあります」

220 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:41:04 ID:ep8phqC60

 南の果て、禁断の島レトナの地底洞窟。

 天界に最も近い霊峰、不死鳥が棲むというオルゾフ。

 サムライの国にして排他的独立自治地域、ワコク。

 闇に飲まれた街レイバイン。

( ><)「単なる噂に過ぎないのかもしれませんが、私にはわかりません」

 それでも、ある程度の信憑性が見込めるものではあるという。
 少なくとも、リカーナが刻んだ足跡を辿ること自体に意味があるだろう。

( ><)「……本当は、私が行きたいと思っているところなんですが、モララー君に託しましょう」

( ・∀・)「そうなんですか? 一緒に行きます?」

( ><)「いえ、仕事がありますから。戦争が落ち着けばまた養成所に戻らないといけませんし。
      リカーナさんがワカッテマスを譲ってくれたのは、人類の繁栄に貢献しろということなんです」

( <●><●>)「私の力など如何様にも使っていただいて構わないのデスがね」

( ><)「彼について真実を知りたいという気持ちはあります。でも、それは私の役割ではない。
      ロードネスの血を受け継ぐあなたこそ、真実を知る資格と責任があると思うんです」

( ・∀・)(なんか規模の大きい話になってきちゃったな)

222 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:46:48 ID:ep8phqC60

( ・∀・)「ま、なんにせよ旅に出ようと思いますよ。やることもないし」

( ><)「誰か仲間はいるんですか? 一人では危険ですよ」

( ^Д^)「俺は行かねーからな」

( ・∀・)「頼まれても連れてかねーよバカ」

( ^Д^)「殺すぞ。デルタとツンはどうするんだよ?」

( ・∀・)「あー、そうなんだよな」

 二人は、特にデルタは、今まで当たり前のようにそこにいた存在である。
 不思議なものだ。ひとたび離れ離れになると、もう二度と会えないような気さえしてくる。

( ><)「連合国軍とウォルクシア政府には私が通告しておきましょう。幸い、私はどちらにも近しい人間です。
      状況が状況ですから、すぐに二人を見つけられるかはわかりませんが、何もしないよりはマシでしょう」

( ・∀・)「お願いします。ありがとうございます」

( ><)「モララー君はとにかく体を治してください」

( ・∀・)「や、特に何か悪くしてるわけじゃないんですけどね……」

 盛大に腹の虫が鳴き、ふと、食堂を目指していたことを思い出した。
 とりあえずビロードとワカッテマスに感謝の言葉を伝え、談話室を後にする。
 プギャーは無視だ。

223 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:50:11 ID:ep8phqC60

【中庭】

( ・-・ )「あまり座り心地はよくないね」

( ´∀`)「そうモナ?」

 シーン=ルドガーは無感情に言い、隣のモナー=カノンタはベンチの背板に体重を預けた。
 この中庭にいるのはベンチに座る二人だけであり、調和を乱すものは何もない。

( ´∀`)「それにしても。ダイオード先生に久々に会えてよかったモナ~」

( ・-・ )「幸せそうだ」

( ´∀`)「んふふ」

( ・-・ )「どこが好きなんだ?」

( ´∀`)「むしろ好きにならないほうがおかしくない?」

 シーンは長い脚を組み替え、腕を組んで唸った。
 それなりに短くない時間を共に過ごしても、この教師は底が見えない。

( ´∀`)「あえて言うならまあ……全部モナ」

( ・-・ )「向こうの方は、モナー先生を好いてはいないようだけど」

( ´∀`)「そう見える? ん? まだまだ素人モナ~わかってないモナ~」

( ・-・ )「罪悪感はないのか? 騙し続けていることに」

224 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:54:04 ID:ep8phqC60

 一陣の風が吹き抜け、足下の枯れ葉を転がしてゆく。

( ´∀`)「……別に騙しているつもりはないモナ」

( ・-・ )「つもりはなくとも結果的に、ということもあるだろう」

( ´∀`)「じゃあ、シーン君。言えるモナ? 大事な人にすべてを、包み隠さず」

( ・-・ )「……大事な人なんて、いない」

 教師は不満げに鼻で笑った。

( ´∀`)「なんにせよ、何も知らない方がダイオード先生のためだモナ」

( ・-・ )「先生。人類のために、と言うあの男に影響されすぎていないか?」

( ´∀`)「偽悪的に過ぎると言いたいモナ?」

( ・-・ )「もう少し本心をさらけ出してもいいと思うね」

( ´∀`)「友人の忠告として受け止めておくモナ」

 友人。この二人の年齢差を考慮すれば、やや違和感のある単語である。
 しかし彼らを結びつけるのは友情だ。これ以上なく、これ以下でもない。

 そしてその友情は、世界を壊すためにあるのだ。

 あるいは、世界を救うために。

225 ◆BR8k8yVhqg :2016/01/06(水) 19:55:08 ID:ep8phqC60


 ( ・∀・)悪魔戦争のようです


 第十八話:【( ・∀・)は立ち上がるようです】 前編 了


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引用元:( ・∀・)悪魔戦争のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1405431357/187-



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