まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ξ゚⊿゚)ξ11月の靴下のようですlw´‐ _‐ノv

257名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:09:48 ID:hJlkGhic0

ξ゚⊿゚)ξ「……」

商店街の途中、普段はなかなか入らないおしゃれな靴下屋さん。
とにかくカラフルで、やたらファンシーなソックスが棚に並んでいる。

小さな店内にそれなりに人がいて、学校帰りの学生たちの若々しいエネルギーが充満していた。
一人スーツ姿の私はやや浮いていて、ちょっと居心地が悪い。

こんなお店や可愛らしい雑貨店に、私はいつまで居られるのだろう。

ξ゚⊿゚)ξ(ハッ!)

ξ;゚⊿゚)ξ(いかんいかん……)

私は靴下選びに集中し、雑念や学生たちが交わす懐かしいような会話をシャットダウンする。

ふと目にとまったのは、何かの怪獣の足を模したスニーカーソックスだった。
ピンクの無地の靴下に、フェルト製の白いトゲトゲがつま先に縫われている。

それを履いたシューの姿を想像して、思わず私は笑ってしまった。

ξ゚ー゚)ξ(ふふ……)

ξ゚⊿゚)ξ(今年はこれで決まりね)


258名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:11:02 ID:hJlkGhic0

年に一度、私とシューは靴下を贈りあう。
やっぱり私たちも、きっとまだまだ若いのだ。



ξ゚⊿゚)ξ11月の靴下のようですlw´‐ _‐ノv
   
 
    
  
 
   
,

259名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:12:03 ID:hJlkGhic0

11月も始まり、寒さも一段と本格的になってきた。

温かかった靴下屋さんの店内との温度差で、外は一層冷ややかに感じる。
商店街を行き交う人々も、どこか肩をすくめて帰路を急いでいるように見えた。

買った靴下をバッグにしまおうとした手を、冷たい風が撫でる。
私は毛糸の手袋を取り出してからバッグを閉じた。

スーツ姿に似合う手袋を探そうと毎年考えているのに、気付けばこのやぼったい手袋のまま冬が終わっている。
靴下を贈りあう私とシューのイベントも、もう何年続いたのだろうか。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ξ゚⊿゚)ξ(靴下じゃなくて、手袋だったらよかったのに)

ξ゚⊿゚)ξ(……なんて思ったのは、ものぐさね)

261名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:13:09 ID:hJlkGhic0


高校2年の秋のことだったと思う。
お互い部活に入っていなかった私たちは、放課後の隅を一緒によく散歩した。

教室をオレンジ色に染める夕焼けと、誰かが開けたままにした窓から入る風の冷たさを未だに覚えている。
私はおのずと窓を閉め、そこから外に広がるグラウンドと下校する誰かの背中を眺めていた。

lw´‐ _‐ノv「……11月11日は靴下の日なんだって」

ξ゚⊿゚)ξ「ふうん」

シューは、近くのイスに行儀良く座ってそんなことを言った。
黒板の方を眺める彼女の細い目が、実際には何を見ているのか私には分からない。

ξ゚⊿゚)ξ「私は、ポッキーの日の方が印象あるけど」

lw´‐ _‐ノv「ポッキー?」

ξ゚⊿゚)ξ「1が並んでいて、ポッキーみたいでしょ」

lw´‐ _‐ノv「それなら、キリンの首の日もそうなるよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「……誰がキリンの首を祝うのよ?」

262名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:14:31 ID:hJlkGhic0

ξ゚⊿゚)ξ「靴下だって、同じ理由でその日が記念日なんでしょ、きっと」

lw´‐ _‐ノv「そうなんだ……」

ξ゚⊿゚)ξ「知らないけどね」

lw´‐ _‐ノv「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

会話が途切れ、私はまた窓の方を向いて、帰る人たちをぼんやりと目で追った。

特別気が合うわけでも、何か共通点があるわけでもないと思う。
それでも何故か、私たちはよく同じ時間を過ごしていた。

lw´‐ _‐ノv「ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「うん?」

lw´‐ _‐ノv「ツンは、いつも同じような靴下を履いてるよね」

ξ゚⊿゚)ξ「これ? だいたいそうでしょ、色決まってるんだから」

ξ゚⊿゚)ξ「シューだってそうじゃない」

lw´‐ _‐ノv「私はほら」

263名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:15:53 ID:hJlkGhic0

シューは机を押して、イスに座ったまま両足を前に伸ばす。

同級生の脚を注意して見る機会なんて、ほとんどない。
どぎまぎしたのを隠すように、平静を装って彼女の揃えた両足を上から下に眺める。

すぐさまおかしなことに気が付いた。
彼女が履いていたのは学校指定の靴下ではなく、白のルーズソックスだった。

ξ;゚⊿゚)ξ「えぇっ!?」

lw´‐ _‐ノv「JK的にも一度は履いてみないと、と……」

私たちの高校では、靴下は黒か紺色で指定されている。
白の靴下、それもルーズソックスなんて履いていたら、授業中や今まで気付かないはずがない。

ξ゚⊿゚)ξ(いつの間にか靴下を履き替えた……?)

ξ;゚⊿゚)ξ(いや、意味が分からない)

lw´‐ _‐ノv「あんまり似合ってない」

lw´‐ _‐ノv「自分で言うのもなんだけど……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……先生に見つかったら怒られるよ」

lw´‐ _‐ノv「そのときは、ひとつよろしく」

ξ;゚⊿゚)ξ「いや、何をよ?」

264名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:16:58 ID:hJlkGhic0

lw´‐ _‐ノv「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

lw´‐ _‐ノv「……そうだ」

lw´‐ _‐ノv「靴下の日を記念してさ、その日に靴下をプレゼントするよ」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ、誰に?」

lw´‐ _‐ノv「ツンに」

ξ゚⊿゚)ξ「貰えるなら貰っとくけど、そういうイベントなの?」

ξ゚⊿゚)ξ「靴下の日」

lw´‐ _‐ノv「ううん」

lw´‐ _‐ノv「お祝いするの私たちだけだよ、きっと」

265名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:18:51 ID:hJlkGhic0


ξ゚⊿゚)ξ「あっ、すみません……」

思い出に浸かっていて、前を歩いていた人と思わずぶつかりそうになる。
私は反射的に謝り、男の人は無言で頷いた。

ξ;゚⊿゚)ξ(危ない危ない)

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ξ゚⊿゚)ξ(今度の靴下の日も、もう来週か……)

ξ゚⊿゚)ξ(そろそろシューから連絡がくる頃ね)

駅まで続くこの商店街は、私自身が高校生の頃よく通ったものだ。
新しいお店も知らないうちに増えていて、記憶よりもずっと清潔で綺麗に輝いている。

267名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:20:51 ID:hJlkGhic0

学校の帰りにシューと立ち寄ったクレープ屋さんが懐かしい。
オレオのクッキーが入ったクレープを、彼女はよく注文していた。

今ではそこは漫画喫茶の入り口になっていて、日暮れの空をバックに店名がライトアップされている。
看板の横を通り過ぎながら、私は少し寂しい気持ちになっていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

シューが私をどう思っているのか、私にはよく分からない。
きっと友達だったよね、と切なくも確かめるように考えられるのは高校生の頃までだった。

いつだか彼女がポツンと言った言葉を覚えている。

「ツンに弱いところを見せたくない」

あるいは彼女が時折見せる意味深な言動は、そのためなのかもしれない。
けれど私には、その言葉自体の意味がよく分からなかった。

高校を出た私たちは別々の進路をとり、しだいに会う機会も減っていった。
そんなつもりはないのだけれど、何となく距離を感じるようになったのは、そうして過ぎた時間のせいだと思う。

時々私は、時間を好きになれない。

それでも靴下の日の数日前には必ずシューから連絡があり、私たちは靴下を交換した。
それは数少ない楽しい時の一つだった。

268名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:22:17 ID:hJlkGhic0

ξ゚⊿゚)ξ「……」

駅のホームで電車を待つ。
帰宅すれば、もう明日を待つための生活だ。

テレビを見ながら夕飯を食べ、会社の資料を整理して、それから眠る。
数年後の自分のイメージは、何も浮かばない。

私は自分が臆病な人間であることを、よく知っている。
求められれば答えられるのに、自分から何かをするのには酷く勇気がいる。

思えば、去年の靴下の日もそうだった。
私とシューは駅で落ち合い、チェーン展開の居酒屋で過ごした。

シューがくれた靴下は、スーリヤ寺院だとか何とかいうインドのお寺がプリントされたものだった。
下地はピンクやイエローの色合いが混ざり、やたら派手で、とても履けたものではない。

その日の別れ際、私は名残惜しくなったのに何も言えなかった。
この後カラオケに行こうとか、何とか言えばよかったのに。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

言いたいことを素直に言える人が羨ましい。
シューも決して、そういうタイプの人間ではないように思う。

269名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:23:13 ID:hJlkGhic0

ξ゚⊿゚)ξ(もしかしたら)

ξ゚⊿゚)ξ(似てるのかな、私たちって……)

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ξ゚⊿゚)ξ(そんなわけないわね、うん)

ふと浮かんだ思いを一瞬で考え直し、私はスマホを手に取った。
少なくとも私は、ベランダに米を撒いて集まったスズメを眺めてたりはしないのだ。

画面に新着メッセージの通知があり、アプリを開く。
シューからじゃないかななんて何となく思うも、企業からの広告メールだった。

適当にアプリを開いては閉じ、電車が来るのを待つ。
ホームのスピーカーから、遅延のアナウンスが聞こえる。

しばらく躊躇い、やがて私は意を決し、発信ボタンを押した。

270名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:24:04 ID:hJlkGhic0

ξ゚⊿゚)ξ]「……もしもし」

lw´‐ _‐ノv]「もしもし。……おお、ツン」

ξ゚⊿゚)ξ]「今、大丈夫?」

lw´‐ _‐ノv]「うん。ツンから電話するなんて珍しいなあ」

ξ゚⊿゚)ξ]「た、たまたま思い出したのよ」

lw´‐ _‐ノv]「……あっ、もうそんな時期?」

ξ゚⊿゚)ξ]「うん。来週の水曜日」

lw´‐ _‐ノv]「仕事が終わったら、ツンの最寄り駅に向かうよ」

ξ゚⊿゚)ξ]「分かった。お店探しとく」

lw´‐ _‐ノv]「うん」

ξ゚⊿゚)ξ]「……で、最近どうなの?」

私は、そんなことを自然と口にしていた。
すぐに切っても良かったのだけれど、何となくまだ話していたかった。

271名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:25:11 ID:hJlkGhic0

lw´‐ _‐ノv]「ずいぶん忙しい。すっかり参りました……」

lw´‐ _‐ノv]「ツンは?」

ξ゚⊿゚)ξ]「とくには変わらず、かな。なんとかやってるわよ」

lw´‐ _‐ノv]「ときどきツンが別次元にいるように思う。私よりずっと強い」

ξ゚⊿゚)ξ]「……」

lw´‐ _‐ノv]「……」

lw´‐ _‐ノv]「もう来週かあ……」

ξ゚⊿゚)ξ]「だね」

lw´‐ _‐ノv]「ちゃんと忘れずに靴下持ってきてね」

ξ*゚⊿゚)ξ]「だれに言ってるのよ。シューこそ」

lw´‐ _‐ノv]「よし、素晴らしい靴下を用意したから期待してて」

273名も無きAAのようです :2015/02/14(土) 18:26:29 ID:hJlkGhic0

それからしばらく他愛のない話しをして、電車の到着とともに電話を切った。
扉が開き、乗り込んだ私を温かい空気が包む。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

久しぶりに聞いたシューの声は、変わらず落ち着いていた。
けれど、参りましたなんて素直に弱音を吐くなんて、シューも変わった。

バッグの中の靴下を思い浮かべる。

何となく私たちのことが分かった気がする。
シューと私はやはり、どこか似ているのだろう。

特別何かがあったわけでもない。
けれど私は、心が弾んでいた。

ξ*゚ー゚)ξ「……」

靴下の日が楽しみだ。
誰かの愚痴を聞くのはうんざりだけれど、シューの愚痴なら延々と聞いていられそうだ。

世界で私たちだけのお祝いに、私は心から感謝する。



おわり


★☆★ マイナーカップリング祭り専用スレ ★☆★
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