まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ( ゚∋゚)いつしか日常になったようです

204名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:20:14 ID:qD6sAA6s0



( ゚∋゚)いつしか日常になったようです



鳥羽クックルの朝は、妻の作った朝食から始まる。
昨日食パンにオムレツとシーザーサラダ、ヨーグルトが並んでいた食卓には、
白飯と味噌汁、あじの開きとキュウリの香の物が並んでいる。

( ゚∋゚)「いただきます」

3日に一度は洋食で、残り2日は和食。

( ゚∋゚)モグモグ

向かいの席に妻の姿は無い。
妻はクックルよりも早く職場へ向かうのだ。
今頃彼女は満員バスに揺られてうとうとしている頃だろう。

( ゚∋゚)カチャカチャ

やや冷めた朝食を食べ終え、食器を洗い、

( ゚∋゚)「いってきます」

誰もいない家に向かってクックルが呟く。
ここまでが鳥羽クックルの朝の日常風景である。


205名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:21:00 ID:qD6sAA6s0
( ・∀・)「主任、おはようございます」

( ゚∋゚)「おはよう。随分嬉しそうじゃないか」

( ・∀・)「うへへ。分かりますか?」

(*・∀・)「実はぁ、嫁さんが弁当作ってくれたんですよ!」

( ><)「いつものことなんです!」

(*・∀・)「でも、中身は毎日違うんだぜ?」

( ><)「当たり前なんです!毎日焼きうどん弁当だったら僕だって怒るんです!」

( ・∀・)「ミセリは焼きうどんなんて田舎臭いもん作らねえよ」

(#><)「キー!焼きうどんを馬鹿にするんじゃないんです!」

( ・∀・)「ほれ見ろ独身のビロード君。これがウチの嫁さんの料理だ!」

(#><)「焼きそばじゃねーか!焼きうどんと変わんないんです!」

(#・∀・)「んだと?焼きうどんと俺の嫁さんの焼きそば一緒にすんじゃねーよ!」

(#><)「俺の嫁さんって付いてたらなんでもいいんだろ!昨日は焼おにぎりだったんです!」

(#・∀・)「忙しいビジネスマンを気遣ってどこでも食べれる焼おにぎりにしてくれたんだよおおおおお!」

(#><)「絶対オカズ作るの面倒だっただけなんです!」

(#・∀・)「言わせておけばこの独身童貞野郎! !」

(#><)「毎日毎日弁当の自慢話聞かされる独身童貞野郎の身にもなれえええええええ!!!」

206名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:23:07 ID:qD6sAA6s0

若手の社員同士の争いもまた、鳥羽クックルの日常である。
そういえば、以前はクックルの妻も弁当を作ってくれていた。
妻が出かける直前に、クックルに弁当を手渡ししてくれていた。

------------------------------

(゚、゚トソン「はい。お弁当」

( ゚∋゚)「お、ありがとう。いつも助かるよ」

大きめの二段重ねの弁当箱は、緑の巾着袋で包まれている。
受け取ると、快い重さがクックルの両手に収まった。

(゚、゚トソン「トマトを入れたんでちゃんと食べてくださいね」
 _,
( ゚∋゚)「」

(゚、゚トソン「そんな嫌な顔しないでください。サバの竜田揚げもいれましたから」

(*゚∋゚)「本当か?」

(゚、゚トソン「クックルは本当に魚が好きですね。夕飯はキスの天ぷらにしますか」

( ゚∋゚)「よし。今日は残業しない」

(゚、゚トソン「今日も、でしょう?」

(゚、゚トソン「じゃあ、行ってきますね」

( ゚∋゚)「いってらっしゃい」

------------------------------


苦手な食べ物が多かったクックルだが、妻の弁当を食べているうちに何でも食べられるようになっていた。
おかげで外食に誘われても、昔のように食べられないからと断ることが無くなった。
いつからか外食の回数は増え、妻も仕事が増えたので今はもう弁当がクックルに渡されることはない。
いつしか妻の弁当は、クックルの日常では無くなっていた。


(#・∀・)ギャーギャー(><#)


(´・ω・`)「おーい。そろそろ朝礼初めてもいいか?」

207名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:24:59 ID:qD6sAA6s0
(´・ω・`)「クックル君、企画書出来たかい?」

( ゚∋゚)「午前中には仕上がります」

(´・ω・`)「プレゼン前に目を通したいから早めにな」

( ゚∋゚)「承知しました」

( ・∀・)「主任、コレ通ればボーナス出ますよ!ボーナス貰って嫁さんになんか買ってあげましょう!」

( ゚∋゚)「うーむ」

( ・∀・)「ああ、何買ってあげようかな?寒いからマフラー?そういえば新しい化粧品欲しいって言ってたなあ。
 あ、でも先月フレンチのレストランに行きたいって……ミセリ、欲しいものいくつあるんだろう?」

( ><)「そんなもん数えるよりお前のミスを数えるんです!」

( ><)「ほれ!この書類、漢字間違いまくりなんです!」

(;・∀・)「うげ、マジかよ」

( ><)「浮かれてる新婚よりしっかり者の独身の方が頼りになりますよね!主任!」

( ゚∋゚)「おいビロード見積書の計算方法違うぞ。全部やり直せ」

(;><)「ぎええええええええ!」

( ・∀・)「wwwwwwwwww」

208名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:26:54 ID:qD6sAA6s0
------------------------------


(゚、゚トソン「プレゼント?」

( ゚∋゚)「ああ。初めて企画が通ったんだ」

(゚、゚トソン「それでボーナスが出たんですね」

( ゚∋゚)「何か欲しいものはないか?」

(゚、゚トソン「特には」

( ゚∋゚)「無欲だなあ」

(゚、゚トソン「いえ、そうじゃなくて」

(゚、゚トソン「貴方が私に買ってきてくれるものなら、なんでもうれしいですよ」

------------------------------

( ゚∋゚)カタカタ

鳥羽クックルの日常で、妻に何か買ってやることはない。
妻はあまり装飾品の類には興味はない。何に興味があるのかクックルは良く知らない。
しかし、そろそろ結婚記念日だった気がする。
ボーナスが出たら妻に花でも買って帰ろう。

209名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:29:01 ID:qD6sAA6s0



( ><)「お昼なんです!」

( ・∀・)「なんとか仕上がりましたね」

( ゚∋゚)「ああ。うまく通るといいが……」

( ・∀・)「他の企画は1本しかないそうですからね。それに勝てれば……」

( ><)ノノ「さあさ!うまく通るようにまずは腹ごしらえなんです!」

ノ(;゚∋゚)「わかったから押すな」

ノ(・∀・;)「やめろお!俺はミセリの弁当を食べるんだあ!」

212名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:31:14 ID:qD6sAA6s0

食堂


( ・∀・)「お前本当に焼きうどん食べるのな」

( ><)「これが一番美味しいんです!」

( ・∀・)「昨日も一昨日も焼きうどんじゃん」

( ><)「ここの食堂は毎日焼きうどんの出来にバラつきがあるんです!毎日違った味が楽しめるんです!」

( ゚∋゚)(それは食堂としてどうかと思うが……)

( ・∀・)「主任もまた焼き魚定食ですか」

( ゚∋゚)「魚が変わるから飽きないんだ」

( ><)「僕はあんまり焼き魚好きじゃないんです。煮魚の方が好きなんです」

( ゚∋゚)「食べてるうちに、案外美味しく感じるようになるもんだ」

( ><)「大人になってからの嗜好って変わらなくなるんじゃないんですか?」

( ゚∋゚)「俺は結婚してからトマト食べられるようになったぞ」

( ><)「ええ!?」

( ゚∋゚)「食わず嫌いが多くてなあ」

(;・∀・)「主任のそのガタイで言われても説得力が……」

( ゚∋゚)「いや、本当に」

( ・∀・)「奥さんの料理で食わず嫌いが治ったってことですか?」

(;゚∋゚)「ま、まあそんなとこだ」

( ><)「ちくしょう独身は僕だけなんです!!」

( ・∀・)「今更wwwwwwwww」

213名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:33:10 ID:qD6sAA6s0


(#・∀・)「ちっくしょう!もう一息だったのに!」

モララーがビールジョッキの底をテーブルに叩きつける。
ウエイトレスがしかめ面をしてモララーを一瞥したが、すぐに客の注文を取りに行った。

(´・ω・`)「仕方ないさ。予算も収益見込みも向こうの方が上だったからね。残念だが、次また頑張ろうじゃないか」

( ・∀・)「課長……」

( ><)「奢りなんですか?」

(;´・ω・`)「いや、それは次に企画が採用されたらね……」

( ;∀;)「うわああああああん」

( ゚∋゚)「どうしたモララー」

( ><)「出た!いつもの泣き上戸が始まったんです!」

( ;∀;)「お゛、お゛れ、ミセリにボーナス出たよって言ってやりたかったよおおあおおあお」

(´・ω・`)「あーあー。モララー君大丈夫かい?」

( ;∀;)「だめでずうううううああう」

(;´・ω・`)「そのようだね」

( ;∀;)「お゛お゛お゛お゛んごめんよおおおおおミセリイイイイイイ」

( ><)「うるさいんです!これでも喰らえなんです!」

( ><)ノバシィ

(  ∀ )「」

( ゚∋゚)「お、おいモララー?」

(  ∀ )シーン

( ><)「ふん」

(;´・ω・`)「おお……しかしビロード君はいつもモララー君に厳しいね」

( ><)「AA商事のアイドルを奥さんにしたんです。これぐらい妥当なんです」

214名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:34:19 ID:qD6sAA6s0
ビロードは鼻息荒くジョッキを煽る。
一息でジョッキを飲み干し、ぷはと息を吐く。
童顔な見かけによらず、彼はかなり酒に強いらしい。

( ><)「あの様子じゃ、すぐに子供ができるんでしょうね」

( ゚∋゚)

(´・ω・`)「そうだねえ。彼のことだから、きっとデスクに家族の写真を飾るんだろうな」

( ><)「なんか今からムカついてきたんです!」

( ー∀ー)zzz...

( ><)「てい!とう!」

(;´・ω・`)「やめなさいって」

215名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:35:28 ID:qD6sAA6s0
------------------------------

(゚、゚トソン「…………」

( ゚∋゚)「トソン……」

(゚、゚トソン「どうして」

( ゚∋゚)「……」

( 、 トソン「どうして……」

( ゚∋゚)「……」

クックルが病院に駆けつけたときには、ベッドの上の妻は同じ言葉を繰り返していた。
流産だったそうだ。
妻は一命を取り留めたが、子供は助からなかった。
後に、医者からもう子供が望めないことを聞かされた。
自分の妻へかける言葉が見つからなかったことを、クックルは生涯忘れないだろう。
今でも命日には、名前のない位牌に向かって線香を供えている。

------------------------------

( ><)「そういえば、主任のおうちにはお子さんは?」

( ゚∋゚)「いや、いない」

( ><)「ふうん……。最近はそういう夫婦も多いんです?」

(´・ω・`)「ビロード君!飲もうじゃないか!!共に独身の夜を楽しもう!」

( ><)「うおおおおおお人生の師よおおおおおおお!!!!!」

216名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:36:57 ID:qD6sAA6s0
(´・ω・`)「そろそろお開きにしようか」

( ><)「二軒目行くんです!」

( ><)「課長!キャバレー行きましょうキャバレー!」

(´・ω・`)「あ、いつもの店でいいなら行こうか」

( ><)「主任はどうします?」

( ゚∋゚)「俺は帰るよ」

( ><)「ですよね」

(´・ω・`)「お疲れ。ゆっくり休んでくれ」

( ゚∋゚)ペコリ

(´・ω・`)「僕、席空いてるか確認しとくから、ビロード君はモララー君を駅まで連れて行ってやってくれないか?」

( ><)「アイアイサー!」

( -∀-)「うーん、ミセリー。ミセリー」

( ><)「ほれ、行くんです」

グイグイ(((( ><)ノノ(;-∀-)ヤメロッテオスナッテ

217名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:38:23 ID:qD6sAA6s0
( ><)「やい。色男」

( ><)「ミセリちゃんを不幸にしたら許さないんです」

( ー∀・)「……お前またそれ言うのな」

( ><)「僕はしつこい男なんです」

( ・∀・)「だからミセリにフられたんだよ」

( ><)「わかってるんです!!」

218名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:39:33 ID:qD6sAA6s0


深夜


「いつ帰る?」

妻からのメールを見ても、クックルはまっすぐ帰らなかった。
いや、まっすぐ帰れなかったと言うべきか。
帰路の途中に屋台があったのだ。
食欲をそそるスープと脂の香りに誘われて、クックルはいま屋台の席に座っている。

( ゚∋゚)「ラーメン」

( "ゞ)「あいよ」

愛想のない中年男が応じる。
寡黙な中年男の代わりに、屋台の席をラジオが盛り上げる。
一昔前の歌謡曲は、クックルには聞き覚えの無い曲だった。

( "ゞ)「お客さん」

( ゚∋゚)「?」

( "ゞ)「ガタイいいですね」

( ゚∋゚)「はあ、どうも」

愛想がない割には不思議な話しかけ方をする店主だ。


( "ゞ)「お待ち」

妙にネギの多いラーメンだ。
真ん中にネギが鎮座し、メンマやらチャーシューやらは丼の端の方に追いやられている。
見慣れない光景にやや戸惑いながらも麺を箸を持ち上げてすすると、

( ゚∋゚)「うまい」

世辞ではない。
コシのしっかりした麺に、豚骨ベースの醤油味のスープが良く絡んで、
香ばしさと絶妙な塩加減を醸し出している。

( ゚∋゚)(今度トソンも連れてこよう)

家から近いこの屋台を、クックルは気に入った。
カウンターの向こうを見るに、屋台にしては酒も充実している。
飲みに来るのもいいのかもしれない。

( ゚∋゚)「ごっそさん」

219名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:40:48 ID:qD6sAA6s0
日付が変わって少ししたころクックルは帰宅した。
既にリビングは真っ暗で、ドアの隙間から漏れるオレンジ色の光が、寝室に小さな麦電球だけが灯っていることを伝える。
妻は壁際を向いて眠っている。
これもクックルの日常だ。
モララーの奥さんはこんな時間でも起きていて、モララーを待っているのだろうか。

( ゚∋゚)フー

鳥羽家は共働きで、お互い疲れているのだ。
仕方がないことだ。
クックルは自分にそういい聞かせ、スーツを脱いでパジャマに着替えた。
シャワーは明日浴びればよいだろう。今日はもう疲れたので眠ろう。
クックルには日常というほどではないが、こういうことが時々ある。

酒を飲み過ぎたせいだろうか。強い喉の渇きを覚える。
台所の蛍光灯を灯すと、ラップに包まれた刺身の盛り合わせが浮かび上がった。

( ゚∋゚)「……?」

妻は自分だけでこんなに豪華な盛り合わせを食べていたのだろうか。
いや、妻はあまり派手な物を好まない。
こういったものは何か祝い事があるときくらいしか買わないはずだ。
訝しげにラップの中をのぞき込んで見るも、手が付けられた様子はない。

( ゚∋゚)「……………?」

自分の誕生日ではない。妻の誕生日は夏だ。
では、誰のための?



(;゚∋゚)「そうか、今日は」


結婚記念日。
近々結婚記念日だとは薄々気づいていたが、よもや今日とは思わなかった。
クックルは思わず椅子に座り込む。
眉間に皺を寄せて考えてみても、この状況を謝る手段を思いつかなかった。

リビングに飾られた時計の秒針だけが、暗い部屋に広がっていく音を立てていた。

220名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:42:15 ID:qD6sAA6s0
いつしか日常になったようです(゚、゚トソン




鳥羽トソンの朝は、洗濯から始まる。
全自動の洗濯機に洗濯物と洗剤を入れ、蓋を閉じる。
スイッチを入れたら、すぐさま朝食の準備に取りかかる。

昨日食パンにオムレツとシーザーサラダ、ヨーグルトを並べた食卓には、
白飯と味噌汁、あじの開きとキュウリの香の物を並べた。

向かいの席に並べた夫の分の朝食は、きっと彼が食べる頃には冷めているだろう。
鳥羽トソンは今朝も1人で朝食を食べる。
昔は差し向かって朝食を食べていたものだ。

------------------------------

( ゚∋゚)「今日は鮭の塩焼きか」

( ゚∋゚)「うまい」

( ゚∋゚)「よく焼けてる」

( ゚∋゚)「家事、大変じゃないか?何か手伝おうか?」

( ゚∋゚)「うーん、大丈夫だって言うなら甘えてしまうが……」

( ゚∋゚)「つらくなったら言ってくれ。手伝うから」

------------------------------

会話をしたのもまた昔の話だ。今の鳥羽トソンの日常ではない。

(゚、゚トソン モソモソ

(゚、゚トソン カチャカチャ

朝食を終えると、自分で使った分の食器を洗う。

(゚、゚トソン「いってきます」

そしてまだ寝室で眠っているであろう夫に向かって小さくつぶやく。

221名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:43:59 ID:qD6sAA6s0

(-、-トソン ウツラウツラ

(゚、゚トソン ハッ

人の少ない朝のバスで、うとうとする。
後ろから二番目、左奥の席に座るのがトソンの日常である。
いつからそこに座りはじめたかは覚えていないが、いつの間にかそれが日常になっていた。
会社に着くまで、窓の向こうを流れていく景色を見る。
ここまでが鳥羽トソンの朝の日常風景である。

(゚、゚トソン(今日は結婚記念日だから早めに帰らなくちゃ)

会社近くのケーキ屋でケーキを買って、家の近くのスーパーで刺身を買って。
トソンにも仕事があるのであまり手の込んだものは作れない。
今日はこの2品で祝って、明日の休みに改めて何か手の込んだものを作ろう。

------------------------------

(;゚∋゚)「うお!?ずいぶん豪華だな」

( ゚∋゚)「結婚記念日はいつもの夕飯と違うなあ」

( ゚∋゚)「いつもの夕飯もうまいぞ」

( ゚∋゚)「あ、ケーキ買ってあったのか」

(;゚∋゚)「いや、俺も帰りがけに買ってきて……」

(;゚∋゚)「あー、チーズケーキ……」

(;゚∋゚)「ああ。俺もチーズケーキ買ってきた」

(;゚∋゚)「似たもの夫婦なのか……?」

(゚ー゚トソン

------------------------------

前の結婚記念日の時を思い出す。
あれは結婚何年目の時だっただろうか。
トソンはケーキを買い物のリストから削除して、次のバス停で降りるために停車ボタンを押した。

222名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:45:24 ID:qD6sAA6s0
(゚、゚トソン「おはようございます」

ζ(゚ー゚*ζ「おはようございまあす」

(゚、゚トソン「今日も元気ですね」

ζ(゚ー゚*ζ「元気が私のとりえなんで!」

(゚、゚トソン「それじゃ、今日もやりましょう」

ζ(゚ー゚*ζ「はあい!」

トソンの仕事は事務が主な仕事だ。
渡された書類の数字をパソコンに分類しながら打ち込む。
これを夕方まで続けるのがトソンの日常だ。

ζ(゚ー゚*ζ「元気があればパソコンも早く打てる!」カタタ

気合い十分な部下だが、まだ仕事になれていないせいか、トソンより仕事は遅い。

(゚、゚トソン カタカタカタカタ

ζ(゚ー゚*;ζ「う」

ζ(゚ー゚*ζ「どうやったらそんなに早く打てるようになるんですか?」

(゚、゚トソン「経験、でしょうか」

ζ(゚ー゚*ζ「頑張ります」

223名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:46:22 ID:qD6sAA6s0



ζ(゚ー゚*ζ「ひえー。やっとお昼だあ」

ζ(゚ー゚*ζ「お弁当、お弁当と」

ζ(゚ー゚*ζ「ああん。トソンさん今日も外で食べるんですか?」

(゚、゚トソン「ええ」

ζ(゚ー゚*ζ「たまにはお弁当持ってきて一緒に食べましょうよ」

(゚、゚トソン「昔は、毎日作ってましたよ」

ζ(゚ー゚*ζ「え?今は何で作らないんですか?」

(゚、゚トソン「夫が外で食べるようになったもので」

ζ(゚ー゚*ζ「旦那さんにお弁当作ってたんですか?」

(゚、゚トソン「ええ。食わず嫌いの激しい人だったので。ついでに私のも作ってました」

ζ(゚ー゚*ζ「旦那さん、外でごはん食べられるようになったのはトソンさんのおかげですね」

(゚、゚トソン「そう……だと嬉しいですね」

嬉しいというのは半分嘘だ。
ある日、トソンは弁当を作らない日々が日常になったと気づいた。
外で食事をとれるから、もうお前の弁当はいらないと言われたような気がした。
もちろん、夫はそんな風に思っていないだろう。
それでも、何か心に穴が空いたようだった。

(゚、゚トソン「今日はコンビニでお弁当買ってきますから、一緒に食べましょう」

ζ(゚ー゚*ζ「ホントですか!?お茶入れて待ってます!」

224名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:47:33 ID:qD6sAA6s0
ζ(゚ー゚*ζ「トソンさんて働く女性って感じですよね」

(゚、゚トソン「そうでしょうか」

ζ(゚ー゚*ζ「旦那さんと仲良さそうだし」

(゚、゚トソン「最近は会話どころか顔を見ない日もあります」

ζ(゚ー゚*;ζ「ええ……」

(゚、゚トソン「顔を見ても、疲れてそうですしね」

ζ(゚ー゚*ζ「……ちょっと寂しいですね」

寂しい。
言葉に出すことはないが、そうなのかもしれない。
しかし、寂しいと言うことで、彼に負担をかけることにはならないだろうか。
彼の妻として、彼にこれ以上迷惑をかけたくはない。

(゚、゚トソン「そうかもしれませんね」

些細なプライドが、鳥羽トソンの本心からの発言を引き留める。
言えば今の日常は崩れてしまうだろう。

ζ(゚ー゚*ζ「ええー、私なら寂しいですよ」

素直にそう言えるデレを、トソンは羨ましく思った。

225名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:48:39 ID:qD6sAA6s0


(゚、゚トソン

鳥羽トソンは冷めた夕飯の前で待っていた。
夫は遅くなるときもある。
残業とか、飲み会とか。男の社会人は忙しいのだ。
「いつ帰る?」とメールを送ったが、今のところ返信はない。

(゚、゚トソン

リビングに飾られた時計の秒針だけが、一人しかいない部屋に広がっていく音を立てていた。

(゚、゚トソン フゥ

トソンは炊きあがった白米を炊飯器に戻し、おかずににラップをかけて家を出た。
刺身も海草のサラダも、一人で食べるには量が多すぎた。

特にどこかの店に行こうとしているわけではなかった。
なので、家の近くにあった屋台を利用させてもらうことにした。

226名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:49:43 ID:qD6sAA6s0
(゚、゚トソン「ラーメンを一つ」

( "ゞ)「はいよ」

あまり愛想のなさそうな中年の主人がトソンの注文に応じる。
主人といっても、他に店員も客もいない。
手持ちぶさたになったトソンは、店内を軽く見渡した。
赤い暖簾は少し汚れ、カウンターには拭いきれなかった油が橙色の電球の明かりを反射してテラテラと光っている。
屋台の柱骨には、「衛生管理者 関ヶ原デルタ」と書かれている。
文字にもスープが何かが飛んでいて、若干黒ずんで滲んでいた。
いかにも屋台、と言うべきか。

( "ゞ)「お客さん」

(゚、゚トソン「はい?」

( "ゞ)「一人ですか」

(゚、゚トソン「ええ。女性の一人客は珍しいですか?」

( "ゞ)「ええ」

会話は、そこで終わった。
どうにも男性と会話を続けるのは難しい。
返答の仕方が悪かったのだろうか。
トソンは僅かに気落ちする。

( "ゞ)「あいよ」

トソンの目の前にラーメンが置かれる。
妙にネギの多いラーメンだ。

(゚、゚トソン「いただきます」

コシのしっかりした麺に、豚骨ベースの醤油味のスープが良く絡んで、
香ばしさと絶妙な塩加減を醸し出している。
トソンは魚介ベースの方が好みだが、このスープはとても美味しい。

(゚、゚トソン「すごく美味しいです」

( "ゞ)「どうも」

今度は夫と一緒に来ます、と答えようとして口が止まる。
その代わりにごちそうさまでした、と言ってトソンは立ち去る。
最後に夫と外食したのはいつだっただろうか?
その時何を食べたのだろうか?

227名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:50:45 ID:qD6sAA6s0
家に帰っても、夫の姿は元よりメールも返ってきていなかった。

(゚、゚トソン フゥ

流石に疲れた。
自分一人で何を頑張っていたのだろうか。


料理の後に直したメイクを落としてベッドに潜り込む。
鳥羽トソンは時々、風呂に入る前に眠ることがある。
冷蔵庫に刺身をしまうのを忘れた。
まあいいか、とトソンはそのまま眠りに落ちた。
独りで眠るのもトソンの日常だ。
そして、鳥羽トソンの日常はその1日を終える。



そのはずだった。

228名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:52:11 ID:qD6sAA6s0

深夜

(゚、゚トソン「?」

ふと目が覚めると、リビングの明かりが戸の隙間から入ってきている。
隙間からリビングを除くと、夫が腕組みをして座っている。
スーツどころかコートすら脱ぎもせずに、黙って刺身を眺めていた。



(゚、゚トソン「おかえりなさい」

( ゚∋゚)「あ、おう…ただいま」

クックルが気まずそうに応じる。
トソンはいつも通りの表情でクックルを見ている。

(゚、゚トソン「夕飯は食べてきたんですか?」

( ゚∋゚)「……ああ」

(゚、゚トソン「そう、ですか」

(;゚∋゚)「トソン」

(゚、゚トソン「お疲れ様です。おやすみなさい」

(;゚∋゚)「トソン、待ってくれ!」

(゚、゚トソン「どうかしました?」

( ゚∋゚)「今日は、結婚記念日だったんだな」

(゚、゚トソン「ええ」

もう昨日になってしまいましたが、とトソンは時計をちらりと見やる。

229名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:55:12 ID:qD6sAA6s0
( ゚∋゚)「ええと……」

(;゚∋゚)「腹、減ってないか?」

(゚、゚トソン「何か買ってきたんですか?」

(;゚∋゚)「いや、スマン」

結婚記念日にケーキを買ってくれた夫はもういないのだろうか。
トソンの心に空いた穴に風が通る。

(;゚∋゚)「でも、もし腹減ってたらラーメンでも食いに行かないかと思って」

(゚、゚トソン「ラーメン?」

(゚、゚トソン「それは、赤い暖簾のラーメンの屋台ですか?」

( ゚∋゚)「ああ。家の近所に来てたーー」

(゚、゚トソン

( ゚∋゚)「トソン?」

そして些細なプライドは音を立てて、突然に決壊した。

(;、;トソン「うぁああああああぁあぅ」

(;゚∋゚)「どうした?トソン!?」

(;、;トソン「私、私も、クックルとそのお、お店に行きたいなっておも、てて」

(;、;トソン「でもっ、クックルは、ホントに私と行きたいのか、て、おもて」

(゚、;トソン「きゅ、に、ふあんに、なて」

(;、;トソン「うわああああああん」

230名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:56:21 ID:qD6sAA6s0
落ち着いたのか、トソンはいつもの調子で語り始めた。
ただ、まだ目は赤く、時々しゃくりあげながら細々と言葉を紡いだ。

(゚、゚トソン「もう子供ができないって聞いたとき、凄く落ち込みました」

(゚、゚トソン「あの時はクックルも口を閉ざしてましたし、私も口を開けませんでした」

(゚、゚トソン「凄く悲しくて、凄く悲しくて。でもクックルに謝れもせずに」

(゚、゚トソン「私、とても迷惑かけてしまって」

(゚、゚トソン「だから、これ以上クックルに迷惑をかけたくなくて、今まで以上に頑張ったんです」

(゚、゚トソン「料理とか、洗濯とか、仕事とか」

(゚、゚トソン「お母さんになれなくなった分、前よりいい奥さんにならなきゃって思ってたんです」

両手で包んだマグカップから、一口白湯を飲む。
そして、トソンは続ける。

(゚、゚トソン「迷惑かけないように、もっと家事を、もっと仕事と努力するうちに、貴方の顔を見る時間が減っていきました」

(゚、゚トソン「お弁当も作らなくなって、家事と」

(゚、゚トソン「これじゃ、ただの家政婦と何が違うんだろうって、思いました」

トソンは白湯をもう一度口に含み、ゆっくりと飲み込んだ。

(゚、゚トソン「私、いい奥さんになれてるんでしょうか。それともいい家政婦になってしまったんでしょうか」

震える声で、トソンがクックルに問いかける。
クックルはテーブルの上で指を軽く組んで、トソンの話をずっと聞いていた。

(-、-トソン「迷惑、かけていないでしょうか」

( ゚∋゚)「………かけてる、な」

( 、 トソン「…………」

トソンは静かにうなだれて、クックルから表情は見えなくなった。
覆い被さるマグカップの水面に、波紋が広がる。

231名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:57:54 ID:qD6sAA6s0

( ゚∋゚)「……俺はいい旦那ではない」

( ゚∋゚)「トソンがどうしたら喜んでくれるかとか、トソンにして貰って嬉しかったこととか、俺はその事をトソンに全く話してない」

( ゚∋゚)「考えてるだけで満足していたのかもしれない」

( ゚∋゚)「実際にトソンが苦しんでいることには全く気付いていなかった」

( ゚∋゚)「迷惑かけてるのは俺の方だ」

( 、 トソン「そんな、こと」

トソンがか細い声で否定しようとするのを、クックルが制す。

( ゚∋゚)「ある」

( ゚∋゚)「…………俺達、ダメな夫婦だよな」

( ゚∋゚)「考えただけで何かした気になってるダメな旦那と」

( ゚∋゚)「辛いのに辛いって言えないちょっとダメな嫁と」

マグカップを包むトソンの手を、そっとクックルの手が包む。

( ゚∋゚)「やっぱり、似たもの夫婦だったんだなぁ……」

( 、 トソン「う、うぅ」

( ゚∋゚)「ダメなところばっかり繰り返して、いつしかそれが当たり前の日常になって」

( ゚∋゚)「トソンがこんなに苦しくなってて」

(、 トソン「ク、クックルだって、わ、私と一緒じゃ、子供、クックル、大好きなの、に」

( ゚∋゚)「あー、子供な。確かに好きだよ」

( ゚∋゚)「だけど、トソン程じゃない」

( 、;トソン「あぅ、あぁ」

( -∋-)

目を閉じたクックルは、幸せそうな部下の顔を思い出していた。
そうか、だから彼はいつも幸せそうだったんだと気づいた。

232名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 20:59:19 ID:qD6sAA6s0

(;゚∋゚)「顔は上げないでくれ。多分いま顔が凄いことになっている」

( 、 トソン「ち、ちょっと見たい、です」

(;゚∋゚)「うーむ」

今度はクックルが俯いた。
暫くクックルが唸っていると、頭上から楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
顔を上げると、真っ赤な顔と目で幸せそうに笑うトソンと目が合った。

233名も無きAAのようです :2015/02/13(金) 21:00:21 ID:qD6sAA6s0

その日、関ヶ原デルタの屋台には珍しい客が二人と一組来店した。
一人目は一人で来た女性客。
ラーメンを一人前食べて帰った。
二人目はやたら大柄な男。
こちらもラーメンを一人前食べて帰った。

最後の一組というのは、二人で来たというのに一杯のラーメンしか食べなかった客だ。
しかもこの客は、二人して今日二度目の来店だったという。
腹がそんなに減っていないからと言い訳しながら、一杯のラーメンを二人で分けていた。
ほとんど寝間着姿のような女性客をコートで覆うようにする男性客。

あの二人はまた来るんだろうな、とデルタは確証なく感じた。

( "ゞ)「まいど」

手を繋いで歩く二人がみえなくなったころ、デルタは暗闇に向かって呟いた。
寒空に、星が瞬く夜のことだった。


★☆★ マイナーカップリング祭り専用スレ ★☆★
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