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 おれを救った秋のようです

795おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 20:59:19.99
今年の秋、不思議な少女(多分)との縁を得た。

物好きなことに彼女は、俺と話をするため時には時間空間を越えて会いに来る。それは良い、純粋に喜ばしい。
だがこの状況はよろしくない。

そもそも彼女はどうして毎回、俺の仕事場へ来るのかと。
直接家に来いよ、と言っておかなかった事を、凄まじく後悔した。

('A`) 渋沢さん、渋沢さん

  _、_
( ,_ノ` ) なんだ

('A`) 最近ですね、貴方に関する変な、噂がですね、ありまして

  _、_
( ,_ノ` ) ほう、気になるな、どんな内容だ

('A`) 勤務時間後どうみても未成年な若い女性を、何度も家に連れ込んでいる、というものです


796おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:01:45.72
  _、_
( ,_ノ` ) はっはっはっ、なるほどそいつは、笑える話だ

(*゚∀゚) あははっ

          _、_
ダキツキ (*゚∀゚) ( ,_ノ` )

('A`) …どうみても

  _、_
( ,_ノ` ) おい笑えよ

('A`) えっ

  _、_
( ,_ノ` ) ドクオも笑い飛ばせ、こんなくだらない、根も葉もない、与太話なんかよ

('∀`;) …ハハッ

797おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:06:27.42
  _、_
( ,_ノ` ) なあ、ドクオ、そんな噂を真に受けるような奴じゃあ、ないよな?

('∀`;) えっ、あの、でも、そちらの方は先程渋沢さんの頬に…

  _、_
( ,_ノ` ) 気のせいだ

('∀`;) あっはい…なるほど娘さんですか

(*゚∀゚) えっ、そうだったの?

('∀`;) …

  _、_
( ,_ノ` ) そうだ、だから笑え

('∀`;) アハ、アハハハ…では、自分は仕事に戻らせていただきますんで

  _、_
( ,_ノ` ) おう、お疲れ様

798おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:09:23.38
随分と日が短くなり、陰陽織り混ざった秋特有の見事な夕映えに見守られながら。

人気のない短い距離の帰り道、自転車籠に尻から収まった彼女を運ぶ。

ロマンスの雰囲気など欠片もないが、まあ、当たり前だ。

(*゚∀゚) おー、なんか花が並んでるー

誰が植えたか、煉瓦敷きの道の花壇には、咲いたコスモスが揺れていた。金木犀の後を継ぐかのように。

  _、_
( ,_ノ` ) 綺麗だと思うか?

(*゚∀゚) ううん、キレイじゃない

  _、_
( ,_ノ` ) そうか、お前さんからすれば、醜いか

799おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:12:30.57
(*゚∀゚) ちがうよう、可愛いの

  _、_
( ,_ノ` ) ははっ、そうか。そいつは失礼した

自宅に着いてからも、そんな、他愛ない会話をして、紅茶や菓子や、料理なんかを振る舞って。
隣ではなく、対面に座るような距離感でもって、未知との会合に興じた。

(*゚∀゚) …

  _、_
( ,_ノ` ) …

カーペットの上にふたりならんで寝転がっていると、本当に、彼女が俺と同じ人間に思えてくる。

彼女と出逢ってから、まだ大した日数を経ていないけれど、彼女がやってくるのを楽しみにしている自分がいた。
まったく年甲斐のない話で俺は、とっくに人生の後半に差し掛かったというのに。

俺は、こんな青臭い時間に魅了されてしまったようだ。

(*゚∀゚) …渋沢さん

  _、_
( ,_ノ` ) うん?

800おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:15:47.62
(*゚∀゚) 私ね、もう会いに行けないかも知れない

ぎちりと、心が軋む。

  _、_
( ,_ノ` ) それはまた、どうして?

(*゚∀゚) 大きな戦いがあるんだ

彼女と出逢ったのは、元々敵との争いの一環であり、彼女が参加するのも当然なのだろう。

(*゚∀゚) 私ね、もっと渋沢さんとお話したい

  _、_
( ,_ノ` ) 俺だってそうさ

(*゚∀゚) だから、消されないように、がんばるね

801おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:19:59.20
彼女は身体を起こすと、俺にのし掛かるような体勢になって、頬をぺろりとなめてきた。

いつもの笑顔を浮かべる彼女の頬に手を添えて、俺は願う。

  _、_
( ,_ノ` ) ああ、死ぬんじゃないぞ

俺は前の仕事の都合上、知っている。
どんなに勇ましく、どんなに優秀で、どんなに慕われた奴であろうとも…戦場では呆気ない。

そこにドラマツルギーもヒロイズムもロマンチシズムすらもなく、些細なミスや些末な不幸で死んでしまう。
だから願わずにはいられない。

どんな戦いなのか知らない、何をもって彼女の死となるのかすらも知らないが。

  _、_
( ,_ノ` ) また、会いに来てくれ

(*゚∀゚) うん

とにかく、生還を。

802おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:24:15.41
 
 
※※※※※

ますます昼間が削られて、コスモスは散り、虫の音など無い。
久しぶりに心から願った夜から、二週間が経っている。

彼女は未だ、現れない。

( ^ω^) お疲れ様でございますお

  _、_
( ,_ノ` ) おや、館長殿

( ^ω^) 帰り支度の邪魔をしてしまいましたかお?

  _、_
( ,_ノ` ) いいえ、片付けは済んでいますし、帰る前に一息ついていただけですので、全然大丈夫ですよ

( ^ω^) そうですか、なら良かったですお

館長の手には、暖かい珈琲と紅茶の缶が握られていた。

( ^ω^) 実は僕も一息つこうと、こうして中庭に居るんですお

  _、_
( ,_ノ` ) では、そこのベンチにでも座りませんか?

( ^ω^) ええ

804おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:29:11.28
空の色は夜なのに、雲は黄金色に照らされた、物悲しい夕映え。

しばしふたりで眺めていると、館長が口を開いた。

( ^ω^) 綺麗ですおね

  _、_
( ,_ノ` ) ええ、とても

( ^ω^) 極東には、女心と秋の空、という諺があるそうです。
それは女性の気難しさを、不安定な天候に例えたものだそうですが
…こんな空を見ていると、不安定故の美しさを例えたように思えますお

  _、_
( ,_ノ` ) ほほう、詩的ですな

ポエマー( )とはお見逸れしたな。いやべつに嗤いはしないけど。

( ^ω^) いやあ、お恥ずかしいことに、秋はどうも感傷的になってしまいまして

  _、_
( ,_ノ` ) いえ、わかりますよ。秋というのは、不思議なものですね

( ^ω^) ええ、けれども渋沢さん。貴男が落ち込んでいる理由は、季節だけではないのでしょう?

805おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:32:51.66
  _、_
( ,_ノ` ) …なぜ、私が落ち込んでいると?

( ^ω^) ドクオが言っておりました、最近頻繁に渋沢さんを訪ねていた少女が表れず、元気がないと

  _、_
( ,_ノ` ) ははっ、そんなことは……ありませんよ

( ^ω^) そうでしょうか…渋沢さんにとって、その少女というのは、どんな存在なんですかお?

  _、_
( ,_ノ` ) …そうですねぇ

顎に手をやり、考える。

  _、_
( ,_ノ` ) 失いたくない存在、ですね

( ^ω^) ほう

806おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 21:35:48.64
  _、_
( ,_ノ` ) 私は、昔に手に入れた様々なものを、置いてきたり忘れてしまったりしていますから
…彼女くらいは、日常の中に留めておきたいのです
…私には、何も出来ないのですがね

( ^ω^) それは…

  _、_
( ,_ノ` ) いえ、きっと、館長の考えているような感情ではありませんよ…では何かと問われても、答えは無いのです

それは、恋だの何だのという類のものではない。

そもそも彼女は地球人類ですらない。
うっかり過去に飛んでしまうような、俺からすればとんでもない存在だ。
にもかかわらず、受け入れてしまったのは何故だろう?

( ^ω^) うーん、こういった想いは時として、言葉にしない方が良いのかもしれませんおね

809おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 22:03:18.67
 
 
※※※※※

ふと気が付けば、俺の背負っているモノは随分軽くなっていた。

親、兄弟、親戚、友人、知人、同僚、恋人。
人生のずっとずっと後半まで、かかわり合えると信じていた若い自分は、既に亡い。

みっともなくて情けない生き様の果てへと向かう今の俺は、タオルや着替えや日除け帽や手袋やらが詰まった鞄を背負って。
誰も待っていない自宅への短い道程を自転車漕いでなぞっている。

これを不幸だと呪っては、俺の隣で死んでしまった元同僚に贅沢だと呪われる気がする。
奴には家庭があった。
俺が殺した敵だって、色んなモノを背負っていた。

蘇らない以上は所詮己の悩みだが、それでも現状を嘆く気になれない。

  _、_
( ,_ノ` ) …たまには、歩くか



けどなあ、おまえら。

虚しさを感じるくらいは、赦してくれよな。

811おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 22:08:46.88
  _、_
( ,_ノ` ) やれやれ

人気の無い、煉瓦敷きの通り。

無感動に踏み締める其れを敷くのに、かつてどれほどの苦労があったのだろう。

最果ての地に追われた人々は、どれほどの犠牲を払って永久凍土を開拓したのだろう。

今も尚、この地を開拓し続けている人々は、最果てに何を視ているというのか。
俺には、わからない。

  _、_
( ,_ノ` ) ふう

柄にも無いことを考えていると、あっというまに帰り着いた。

まだ雪が無いから良いが、すぐに冬となるだろう、シベリアイエティとブリザードの季節。

厚く積もった雪道が堪えてしまう身体になってきた。
白髪だけになる頃には、最早通うだけで一苦労だろう。

貯蓄はあるが、それではあまりにも寂しい。

  _、_
( ,_ノ` ) …冷えるな

後ろ向きな思考は無理矢理中断、さっさと解錠、滑り込む。

813おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 22:12:14.56
 
 
 
 
 
(*゚∀゚) あ、おかえんなさーい
 
 
 
 
  _、_
( ,_ノ` )
 
 
 
 
 

814おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 22:16:07.25
(*゚∀゚) えへへー、どうだっお手製料理だぜっ!

  _、_
( ,_ノ`。)

(*゚∀゚) なんかね、上司がさ、たまには作って上げたらって言うからさー。
いやあ人間の料理ってメンドクサいんだね…どしたの?


青臭く臆病な自分は既に亡い。

だから俺は迷うことなく抱き締めることができた。

(*゚∀゚) し、し、しぶざわ…さん?

  _、_
( ,_ノ^。) …よかった

別に、俺は恋をしているわけでない。

俺は、彼女に好かれているわけでもない。

俺と彼女は全く違って、共通点なんざ殆ど無くて、互いの日常も本当の姿もしらなくて。

817おれを救った秋のようです@転載は禁止 :2014/10/07(火) 22:20:46.46
(*^∀^) あは…よし、よし

地球人ではない彼女が俺の頭を撫でるのだって、地球人のような意味などあるわけがなく。

おそらく、知識にあるから見様見真似でやっているだけなのだろう。

(*゚∀゚) また、お話できるね

だが、それでも良いと思うのは、空っぽな虚しさ故か、愛故か。

…きっとまだまだ、答えは出ない。

 終

※※※※※

関連・世界を救う秋のようです


以上、ありがとうございました。


( ^ω^)ブーン系小説シベリア図書館のようです★51
http://mastiff.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1391693128/795-

[ 2014/10/08 21:27 ] シベリア | CM(0)


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