まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 世界を救う秋のようです

758世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:03:38.79
夕暮れ時の秋である。

シベリアにも秋がある。

此の地に移住して、もう何度目の秋になるんだったか。

無駄に広い少々特殊な図書館の雑草狩りを終え、此の地では比較的良く見られる、頑丈で厳めしい建築様式の本館に囲まれた中庭で一息ついていると。

('A`) お疲れさまでーす

図書館職員の1人がやってきた。

  _、_
( ,_ノ` ) おう、お疲れ様。どうしたドクオ

('A`) ギコさんから、上等な葉が入ったんで渡して欲しいって

  _、_
( ,_ノ` ) ギコが?すまねえな

('A`) いえ、渋沢さんには御世話に成ってますんで

  _、_
( ,_ノ` ) むしろ俺のが世話になってるさ

かつて、俺は彼の部下だった。階級の問題である。
今の仕事につく際は便宜を図ってもらった。世話になりっぱなしである。


759世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:06:56.06
('A`) それでは、お疲れさまです

  _、_
( ,_ノ` ) ああ、お疲れ様

汚れた作業服のままに、私物を纏めたリュックを肩に背負い。
ドクオから渡されたギコのプレゼントを手に、雪が無い季節しか使う気になれない自転車をこぐ。

高い高い夕映えの空、肌寒さすら感じる風。

小さい頃から変わらずに、どこの地域でも、秋という季節は心地良く…そしてちょっとばかし、切ない。

  _、_
( ,_ノ` ) おっ?

図書館から自宅のアパートまでの僅かな道中、もう何度通ったか忘れた煉瓦敷きの通りに、うずくまっている人影。
めったにあることではない為、自然と車輪を止めた。

  _、_
( ,_ノ` ) おい嬢ちゃん、風邪ひいちまうぞ

のそりと顔を上げた少女は、俺を見るや不機嫌そうだった面を急に明るくさせた。

(*゚∀゚) ねえ!ねえねえ!

  _、_
( ,_ノ` ) うん?

760世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:11:03.77
(*゚∀゚) 貴方は神を信じますか?

可愛らしい服と容姿と声のくせ、頭はまともじゃないらしい。いきなり聞くことか?

(*゚∀゚) ねえ、信じますか?

  _、_
( ,_ノ` ) いや、信じねえよ

(*゚∀゚) やった!

なにがだよ、いや本当に何が。
ここがシベリアでよかったよ、通行人が全然いないからな。

  _、_
( ,_ノ` ) お、おう?

(*゚∀゚) ふむふむ

妙に鼻息を荒くした彼女は俺の周りをぐるぐる回りながら観察を始め。

(*゚∀゚) よっ…と

  _、_
( ,_ノ` ) …痛くないのか?

自転車の籠に、尻から無理矢理乗り込んだ。

761世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:19:16.34
(*゚∀゚) さあ、出発したまえ人間よ!

  _、_
( ,_ノ` ) …あ、はい

気の触れてしまった人間は何人も見てきたが、ここまで積極的に絡んでくるやつは初めてで。
少しばかり、この非日常を楽しんでいる自分がいた。

  _、_
( ,_ノ` ) さて、家に着いたわけだが

(*゚∀゚) うむ、くるしゅーないぞよ

そうかそうか、前の仕事柄、整理整頓は完璧だからな。
片付いた部屋というのは良いものだろう。
着替えを終えて、冷蔵庫から新鮮なミルクを取り出し、鍋で暖め蜂蜜入りのコップに移す。二人分。

  _、_
( ,_ノ` ) ホットミルクだ、飲むと良い

(*゚∀゚) かたじけない

762世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:21:52.92
葉を楽しむのは、またの機会にするとして。彼女の対面に座り、自己紹介。

  _、_
( ,_ノ` ) 渋沢だ

(*゚∀゚) ツーです

  _、_
( ,_ノ` ) …

(*゚∀゚) …

ははは、こやつめ気が合うわ。

  _、_
( ,_ノ` ) なんで、あそこに居たんだ?

(*゚∀゚) エネルギーが切れちゃったから、休んでた

  _、_
( ,_ノ` ) お腹が空いているのか?

(*゚∀゚) そりゃあもう…だからさ、人間

  _、_
( ,_ノ` ) うん?

(*゚∀゚) ちょうだい

突然、ツーの背後から、ぬらりとした触手が二本現れて。

763世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:25:04.42
  _、_
( ,_ノ` ) ほう

俺の両腕に絡み付いた。

(*゚∀゚) あれ?

けどこの触手、てらてらとした外見通りに、とても良く滑る。あっさりと抜けられた。

  _、_
( ,_ノ` ) あ、先にホットミルク飲んで良いか?

(*゚∀゚) うん、わたしもまだ飲んでないし。いただきまーす

ふう…美味い。
触手は粘液を分泌しているわけではないようで、ホットミルクに、飛び散ったとろみが加えられる、といった事態は回避された。よきかな。

  _、_
( ,_ノ` ) うむ…さて

(*゚∀゚) ごっはっん!ごっはっん!

彼女の背中の触手がうねうね、うねうね。再度伸びてくるも掴んで…滑った。

  _、_
( ,_ノ` ) まあ、その、なんだ。吸盤とかって大事だと思うぞ

蛸とか烏賊とか。
吸い着いたり、爪食い込ませたりするからこそ、掴めるものもある。

764世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:31:35.27
(*゚∀゚) あっれー?渋沢さん、さては能力者だな!

  _、_
( ,_ノ` ) とりあえずそれで良いからさ

(*゚∀゚) うん?

  _、_
( ,_ノ` ) ツーちゃん、何者?

(*゚∀゚) ナマモノです

  _、_
( ,_ノ` ) …やるね、キミ

(*゚∀゚) へっへっへっ

  _、_
( ,_ノ` ) 海から来た感じ?

(*゚∀゚) ううん、ある意味海かな

彼女は上を指さした。触手も上を指している。
ところで服の背中側は無事なのか?

765世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:39:05.16
  _、_
( ,_ノ` ) ツーちゃんの好きな食べ物って何かな?

(*゚∀゚) ミトコンドリア

お腹いっぱいになるのか、それ。

(*゚∀゚) むしろ人間の食事は効率が悪すぎて…

よく解らないが、まあ本人が言うのならそうなのだろう。

  _、_
( ,_ノ` ) どうやって食べるのかな?

(*゚∀゚) なめとる

細胞を削り取る感じかな、痛そうだ。

(*゚∀゚) だから渋沢さん、なめさせて。わたし、渋沢さんを味わってみたいんだ

  _、_
( ,_ノ` ) 場合によっては快諾したんだがねえ、だめ。

代用できる物は無いのかな?

(*゚∀゚) んーと、この家だとね…椅子!

  _、_
( ,_ノ` ) うそん…

766世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:46:05.03
嘘じゃなかった。

(* ∀ ) んっ…アッ、はぁ…んむっ…

非常に扇情的な体勢で我が家の椅子の突起部を頬張る彼女。
椅子に絡み付く触手は知らんが、絵面はどうみても違法だ。

まあ表面のニスなどを舐めとるというのだから仕方ない。

(*゚∀゚) ぷはーっ!ごちそうさま!

すっかり表面が禿げ上がり、地の木が見えている椅子ができあがった。

  _、_
( ,_ノ` ) そういえば、ツーちゃんはどうして来たんだい?

(*゚∀゚) 景色を楽しんでたら船が座礁しちゃってさー、衝撃で投げ出されちゃった。まあ救命胴衣ちゃんと着けてたから平気だったんだけど

救命胴衣ってすごい。
宇宙(おそらく)で投げ出されたって平気なのか。
救命胴衣という名のパワードスーツか?

767世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 15:49:35.15
  _、_
( ,_ノ` ) 助けは呼べる?

(*゚∀゚) 適した場所があればねー

  _、_
( ,_ノ` ) 探すの手伝おうか

(*゚∀゚) えっ良いの?

  _、_
( ,_ノ` ) もちろん

触手が左右に振られる。まるで犬の尻尾だ。


―――――――


彼女の言う条件に合致した、適した場所、とやらには心当たりがあった。
仕事でボロボロになってしまったトラックを運転し、すっかり暗くなった街を走る。

ふと、助手席の彼女が言う。

(*゚∀゚) さびれてないけど、さみしい街だね

768世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:02:31.65
  _、_
( ,_ノ` ) そうか?

(*゚∀゚) たくさんのお家も、大きな建物もあるのに、なんだか静かだし、人間はあんまり見かけない

  _、_
( ,_ノ` ) それが売りのひとつなんだよ

(*゚∀゚) なにそれ、賑やかな方がイイじゃん

  _、_
( ,_ノ` ) はっはっはっ…俺も昔は、そうだったさ

(*゚∀゚) 歳をとれば分かるの?

ひょこひょこ、触手が運転の邪魔にならない程度に動く。疑問符でも表現しているのだろうか?

  _、_
( ,_ノ` ) 分かるかもしれない、けど、尚更賑やかな方が好きになるかもしれないな

(*゚∀゚) なにそれ…人間って、やっぱり不思議

769世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:05:21.69
  _、_
( ,_ノ` ) 俺からすれば、君が不思議さ

(*゚∀゚) ふうん

話す間にトラックは街を抜け、郊外へ…なるほど、言われてみれば郊外なのに街と大差なく感じる。

  _、_
( ,_ノ` ) 人や物があるだけが、賑やかさとは限らない

(*゚∀゚) ほぇ?

  _、_
( ,_ノ` ) あれを見てみな

示したのは、明らかに人為的な生え方をしている、大量の樹。
人工の森には所々に、暗くなってから訪れたらしい人が持つ、電気ランタンの薄明かり。

(*゚∀゚) 畑?

  _、_
( ,_ノ` ) いいや、あれは違う。ただ、ある日誰かがあそこに、樹の苗を植えた。そして大切に育てた

770世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:09:08.00
(*゚∀゚) あんなにたくさん、独りで植えたの?

  _、_
( ,_ノ` ) 1人じゃなかった。始まりに植えたその人を見て、1人、また1人、同じように植えていき、同じように育てた

(*゚∀゚) 友達があつまったの?

  _、_
( ,_ノ` ) その人達は殆どが、互いを知らない。見ず知らずの人達が、同じような行いをしたに過ぎない。
自分が植えた苗の隣に、誰かが植えに来ても、声をかけたりしなかった人も多い

(*゚∀゚) なにそれ、わけわかんない

  _、_
( ,_ノ` ) ほんとにな。けれど、そうやって育まれた樹は千に届き、今も時折誰かが世話しに訪れる

(*゚∀゚) …

彼女はガラス越しに遠ざかる人工の森を眺め続けた。

  _、_
( ,_ノ` ) 確かに、此の地は寂しいんだろう、けれど、賑やかでない、とは言い切れない。ああやって形作られる賑やかさ、というのもあるのさ

771世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:13:55.40
(*゚∀゚) うーん

  _、_
( ,_ノ` ) それに、祭りの時は凄いぜ、毎回大盛況さ

(*゚∀゚) そうなんだ…

話が途切れてから少したつと、助手席から寝息が聞こえてきた。
まったく無防備だがそれは、普通の人間であればの話。

なるべく丁寧な運転を心がけ、出発してから40分ほどになり、目的地が見えてきた。

  _、_
( ,_ノ` ) おーい、ついたぞ

目的地である、かつて強制労働所の監視に使われていた、古い鉄塔のすぐ前でトラックを停め、彼女を起こした。

(*゚∀゚) おぉー!

  _、_
( ,_ノ` ) どうだ?

(*゚∀゚) ばっちし!

772世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:16:58.29
言うやいなや、触手を鉄塔に突き立てた。…当たり前のように鋼鉄へ食い込んだけど、それ意外に強力なのか。

(*゚∀゚) うーん

触手が脈動している。何かを、送り込んでいるのだろうか、なかなかにグロテスクな光景だ。

(*゚∀゚) よし、おっけー!連絡がとれた、助けを呼んだよ!

  _、_
( ,_ノ` ) よくわからんが、そうなのか

触手が引き抜かれたあとには、何の穴も開いていない。つくづく不思議である。

(*゚∀゚) 助けが来るまで、車で待ってて良い?

  _、_
( ,_ノ` ) どのくらい待つんだ?

(*゚∀゚) んー、30分くらい

  _、_
( ,_ノ` ) 良いぞ、乗りな

(*゚∀゚) あんがとー

触手を振り振り、再び乗り込んだ彼女は、俺を真っ直ぐ見つめる。

773世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:23:54.06
(*゚∀゚) ね、ね、渋沢さん

  _、_
( ,_ノ` ) うん?

(*゚∀゚) 神を信じて居ないんだよね?

  _、_
( ,_ノ` ) ああ、そうだ

(*^∀^) ふふふ、よかった。わたし嬉しいよ

  _、_
( ,_ノ` ) どうしてだい?

(*゚∀゚) 神は、わたしたちの敵だから

  _、_
( ,_ノ` ) ほう?

(*゚∀゚) 渋沢さんが信じていたら、殺さなくちゃいけなかったんだ

  _、_
( ,_ノ` ) 剣呑だなあ、どうして殺さなくちゃいけないんだい?

(*゚∀゚) 神はね、人間のいう信仰を補給システムとして構築したんだ。信じる者がより多い星は、より優秀なエネルギープラントとして機能する

774世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:29:38.49
  _、_
( ,_ノ` ) ほほう、そいつは凄い。だから潰すわけだ

補給を絶つのは、どこの戦いでも行われる方法なのか。

(*゚∀゚) でもね、わたしたちは、信仰している人間を感知できるわけじゃないし、システムの稼働状況だって、信仰している人間の数がプラントとして機能する値に達しているのかを、調査しないと判断できない

  _、_
( ,_ノ` ) だから直接訊いたのか?

ちょっとアバウトすぎやしませんかね。

  _、_
( ,_ノ` ) 片っ端から、潰していくわけには、いかないのか?

(*゚∀゚) それやると、動物愛護団体がうるさくって…

  _、_
( ,_ノ` ) …この星は?

775世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:33:37.68
(*゚∀゚) …住人をランダムに複数人選出して行われるアンケートがあってさ。
ここら辺の担当であるわたしが、船から落っこちちゃったから中断してたらしいけど。
渋沢さんの事、回答を含めて報告したから、アンケート終了

不意に、寄り添ってきた。触手が太股に這わされ、手に手を重ねてくる。

(*゚∀゚) 基準値に満たず、システム稼働中とは認められない、だってさ。
あと1人信じていたら、基準値を満たしていたぞって、笑いながら言われちゃった…ねえ、渋沢さん

  _、_
( ,_ノ` ) なにかな?

(*゚∀゚) 優しくしてくれて、ありがとう。エネルギー不足で機能が低下していたわたしを、助けてくれて、ありがとう

  _、_
( ,_ノ` ) 御礼を言われるようなことじゃないさ

776世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:36:48.28
(*゚∀゚) ホットミルクと椅子のニス、美味しかったよ

  _、_
( ,_ノ` ) そいつは良かった

(*゚∀゚) わたし、もっとお話したい

  _、_
( ,_ノ` ) 俺もさ

ところで、こんなに近寄って、汗臭くないのだろうか?俺はまだシャワーを浴びていないのだけれど。
などと考えていたら、頬を、ちろりと、彼女の舌で舐められた。いや一応帰ったときに顔は洗ってあるけどさ。

(*゚∀゚) …覚えたよ。これで位置情報も得られる

  _、_
( ,_ノ` ) …たいしたもんだな

(*゚∀゚) それじゃあ、わたし、行くね

  _、_
( ,_ノ` ) ああ、達者でな

彼女は勢い良くドアを開け放ち、駆けだしてすぐ振り返った。

(*゚∀゚) すぐ会いにいくからねー!!

777世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 16:42:23.88
今までで一番元気良く、触手が振られる。ついでと言わんばかりに手も振っていた。

  _、_
( ,_ノ` ) 楽しみにしてるぞー!!

次は上等な葉で、美味い紅茶を淹れてやろう。
なんて考えながら、手を振り替えしていたら。

  _、_
( ,_ノ` ) うおっ!?

まばゆい、ひかりが。


―――――――


  _、_
( ,_ノ` ) ……

時計の音が、やたらと良く聞こえる。気が付けば、俺は部屋に座っていた。
体はやけにさっぱりしていて、もしやと思い浴室を確認。俺は既に、シャワーをすませているようだ。
外に出て、トラックがあり鍵もかかっていることを確認。車内には何ら変化がない。
戻って、鍵をかけ、椅子を確認した。ニスがすっかり禿げている。
俺の頭もいつかこうなってしまうのだろうか。

779世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 17:03:06.39
  _、_
( ,_ノ` ) あっ

思い出して、流しに向かう。

洗われたカップがふたつ、乾かされていた。空になった鍋が置いてあった。

  _、_
( ,_ノ` ) …夢では、なかったか

彼女の姿や声を思い返しながら、そういえば。
すぐ会いに来るらしいが、彼女にとっての、すぐ、とはどの程度の時間なのだろう、と不安になる。

  _、_
( ,_ノ` ) 死ぬ間際に来られたら、流石に茶を出してやれんな

  _、_
( ,_ノ` ) ……ん?

俺は、とある記憶を思い出し、身体中鳥肌が立つ。

  _、_
( ,_ノ` ) まさかっ!?

大慌てで、古いフォトアルバムをひっぱりだす。
退色し、埃っぽいそれを未だに持って置いて良かった。

震える手で、ページをめくり。

780世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 17:07:28.12
  _、_
( ,_ノ` ) …ああ

子供の頃、ちょうど今くらいの季節に、故郷で撮った写真に見入る。

  _、_
( ,_ノ` ) まったく、不思議なやつだとは、思っていたがな

俺が子供の頃、迷い込んだ森の中で出逢い、助けてもらい、そのまま日が完全に沈むまで遊んだ年上の少女が居た。

彼女は可愛らしい声で話しかけ、可愛らしい容姿で笑いかけ、可愛らしい服を翻して、俺と遊んだ。

彼女は喉の渇いた俺に、何処から取り出したのか、水筒に入っていたミルクを飲ませてくれた。
暖かくて、甘くて、ほんのり蜂蜜の味がした。

  _、_
( ,_ノ` ) そうか…そうか

彼女は別れ際に、俺を優しく撫でた。
恥ずかしくてついつい、ふりほどいたら、こんどは抱き締めて頬を舐められた。

彼女は涙を流しながら、恥ずかしさで固まった俺にかまわず何度も、ありがとう、と囁いた。

俺は帰り道、押しつぶされそうな程の何かを自覚して。
思えば、あれが初恋だ。

781世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 17:11:10.34
  _、_
( ,_ノ` ) ふむん…律儀なやつだな

時間の流れが違うのか、 「すぐ」の意味が違うのか、そもそも概念が違うのか、それは解らない。
けれども彼女は確かに、会いに来たのだ。

  _、_
( ,_ノ` ) …達者で、な

やれやれ、どおりで俺は秋になると、ちょっとばかり切なくなるのか。
これは、どうやら死ぬまで変わりそうにない。


―――――――


季節は秋である。

シベリアにも秋があって、心地の好い風がながれ、空は高くて、それはとても過ごしやすい季節で。

しかしちょっとばかし、年甲斐もなく、切なくなる。

少々特殊な図書館の、頑丈な建物に囲まれた中庭で、1日の作業を終えた俺は仕事道具を片付けていた。

そこに、予期せぬ来訪者。

(*゚∀゚) やっほう…

  _、_
( ,_ノ` ) …あれ?

782世界を救う秋のようです@転載は禁止 :2014/09/15(月) 17:15:02.07
3日ぶりの再会である。…いや良いけど、早いな。

(*゚∀゚) いやー実は昨日会いに行ったんだけどさ、ちょっとしたトラブルで時間ずれちゃったんだー

  _、_
( ,_ノ` ) ああ…それで、昔の俺に会ったのか

(*゚∀゚) うん

  _、_
( ,_ノ` ) はっ…はははっ、とんだオチだ

彼女は触手を隠したままで、俺に寄り添ってきた。

作業着も体も汚れているのだが色々と、気にしない性格なのだろうか?ぺろりと、彼女の舌が頬をなぞる。

(*゚∀゚) お話、しよ?

  _、_
( ,_ノ` ) 喜んで


実りの季節と、人は言う。
収穫の秋というやつだ。

俺は農家でないから、あまり実感がなかったが、なるほど確かに、おもしろい縁を手にすることができた。

今年の秋は、良い秋だ。




( ^ω^)ブーン系小説シベリア図書館のようです★51
http://mastiff.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1391693128/758-

支援イラスト 創作板感想スレ>>984
boonpic2_1563.jpg
[ 2014/09/18 23:00 ] シベリア | CM(1)


これはクトゥルフか
いいな
213 : :2014/09/23 20:47 [ 編集 ]
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