まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 第十七話:【( ФωФ)は逃げられないようです】 前編

2 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:38:03 ID:WtRCp44I0

【前回のお話】

兄者が色々と大変だった。
(今回の話とはあまり関係有りません)

【主要登場人物紹介】

( "ゞ) デルタ=S=オルタナ:魔術師養成所の生徒

ξ゚⊿゚)ξ ツン=D=パキッシュ:魔術師養成所の生徒、魔人

( ФωФ) ロマネスク=ガムラン:連合国軍大佐

【まとめ】

まぜこぜブーンさん ttp://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-entry-1231.html
(オムライスさん、文丸さんへのリンクもあります)

【今回の主役】

( "ゞ)「誰なの?」

ξ゚⊿゚)ξ「別に誰でもいいわ」

( ФωФ)「ではとりあえず我輩ということで」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

(;ФωФ)(不服なの?)


3 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:40:18 ID:WtRCp44I0

≪溶明、紅色の中、二人の人物が椅子に座っている≫



 血染めの部屋で美しき鬼が嗤う。

l从・∀・ノ!リ人「久しぶりじゃな、ロマネスク」

( ФωФ)「……ここは?」

l从・∀・ノ!リ人「全く、底抜けに愚かじゃのう。これほど血を貰っても飲みきれんわ」

( ФωФ)「貴様――今まで、何をしていた?」

l从・∀・ノ!リ人「ふん! 以前にも言ったがな、儂のことを貴様などと呼ぶでない。儂の名前は――」

 ほんの少し、雫が垂れるほどの時間を置いて。

l从・∀・ノ!リ人「――妹者、じゃ。他の何者でもない。忘れてくれるなよロマネスク、儂の"元"主よ」



≪溶暗≫

4 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:42:04 ID:WtRCp44I0

 悠久の時を超えるものは、愛ではなく。



( ・∀・)悪魔戦争のようです



 第十七話:【( ФωФ)は逃げられないようです】 前編

5 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:44:41 ID:WtRCp44I0

 もう目を覚ましたくないと思った。
 このまま深い闇の中に、果てのない漆黒の中に沈んでもいいと思った。

 それでも光明は無遠慮に訪れる。
 望む望まぬに関わらず、覚醒が脳神経細胞の混沌に秩序をもたらす。

ξ゚⊿゚)ξ

 彼女の目にまず映し出されたのは、一様に白く無表情な天井であった。
 気怠い身体に重力が感じられ、ツン=D=パキッシュは、自分がどこかに横たわっていることを知る。

『目覚めたようだね』

 穏やかな声がして、その声の主がツンの顔をのぞき込んだ。

(´・ω・`)「予想よりも回復に時間がかかったけれども、気分はどうだい?」

 ハの字眉の男。清潔そうな白衣を身にまとい、緩い笑みを浮かべている。

ξ゚⊿゚)ξ「ここは……?」

(´・ω・`)「連合国軍、ケノル駐屯地だよ。僕の名前はショボンだが、ドクターと呼んでくれてもいい」

 男は一度ツンの視界から消え、何やらゴソゴソと物音をたてている。
 しばらくして戻ってきた彼は片手に一枚の紙を携えており、それをツンの眼前で広げた。

(´・ω・`)「見えるかい? ここがキャグレイ自由都市群。その中、ケノルはこの辺だ」

6 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:47:16 ID:WtRCp44I0

(´・ω・`)「君は魔人だね? いや、返答は不要。無駄は極力省いていこうか」

 ツンの反応を待つこともなく、ショボンは早口でまくしたてる。

(*´・ω・`)「みっともないと思うかもしれないが、僕は今すごく高揚していてね。笑ってくれてもかまわないよ」

 「魔人! 魔人は良いものだ。人間と悪魔の良いとこどりだ。奇跡の存在と言える」

 「そもそも人間と悪魔の違いは様々あるが、もっとも大きいのは肉体の構造なんだよ」

 「悪魔は人間の魔力を借りて具現化できるが、その肉体は仮初めのものにすぎない」

 「肉体を維持するためには人間の魔力が不可欠であり、単独で人間界に存在し続けることは不可能」

 「ところが魔人は、悪魔と同等の能力を持ちながら、人間の肉体を有している!」

 「これがどれだけすばらしいことか、君にはわかるかい?」

 「むろん戦力としても申し分ないが、生物学的にも魔術学的にも異常な現象のかたまりなんだ」

 「魔人を忌避したりタブー視する者も多いが、僕に言わせれば全くナンセンスなやつらだよ」

 「魔物や呪品を用いた研究には限界がある……」

 「人類の進歩のためには、もっともっと魔人を研究していかなければ!」

7 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:50:12 ID:WtRCp44I0

 そこでツンは不思議なことに気づいた。自分の四肢を、全く動かすことができない。
 驚き、目で見て確かめようとするが、頭も上を向いたまま固定されており微動だにしない。

ξ゚⊿゚)ξ「えっ? ……何ですか、これ?」

(´・ω・`)「説明が前後してしまったね。ここはケノル駐屯地内の実験所、僕の解剖室だ」

ξ゚⊿゚)ξ「か……」

(´・ω・`)「君は今から僕に解剖されるんだ。心配しなくていいよ、君の死は人類史の偉大な糧となる」

 理解できない言葉の羅列がツンの思考を押しつぶす。

ξ;゚⊿゚)ξ「……解剖? ちょっ、ええ!?」

(´・ω・`)「うーん。君の声は嫌いじゃないけど、気が散るから塞がせてもらうね」

 ショボンの手が迫り、ツンの口には柔らかな布が押し込まれた。
 その上から猿轡を噛まされ、完全に声が殺される。

ξ;゚-゚)ξ「――――!! ――ッ!」

(´・ω・`)「麻酔を使った方がスムーズに進むんだけどね」

 ショボンは口元と頭に布を巻き、カチャカチャと様々な器具を手元に用意している。

8 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:53:21 ID:WtRCp44I0

(´・ω・`)「君の魔力を抑えるために使った毒属性魔法が麻酔魔法に干渉してしまうからさ。
     まあ、同時に痛みに対する反応の記録もできるし、ちょうどいいと言えばいいかな?」

 なんとか逃れようとツンは必死にもがいたが、自由に動かせるのは手足の指先と眼球くらいであった。

(´・ω・`)「君が纏っていた冷気は、抑制できない魔力の副作用だよ」

 ショボンは手に大きな鋏のような器具を持っている。
 それが何に使われるものか、今この状況に至っては、ツンには察することができた。

 鋏がツンの首もとに添えられる。鋼の冷たさが少しだけ体温を奪った。

(´・ω・`)「まずは正中線に沿って切開……の前に、外観の記録が先か」

 皮膚と布の間に鋏が差し込まれ、一つながりの簡素な服が切り裂かれていく。
 数秒の後には完全に服が取り払われ、ツンの肌理細やかな肌が余すところなく露わになった。
 浮き出た鎖骨、乳房から下腹部へのなだらかな起伏、その先の薄い陰りまでが外気に晒される。

ξ゚-゚)ξ「――――!!」

 羞恥心と恐怖で歪む顔を取り繕うこともせず、ツンは目の前の男を睨みつける。

(´・ω・`)「特に異常は無し。外観年齢の割に乳房の発達が小さいものの、個体差の範囲内か」

 被験体の反応を意に介さず、淡々と記録を続けるショボン。

(´・ω・`)「では次、露出していない部分を」

10 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:55:28 ID:WtRCp44I0

『やめろ!!』

 激しい勢いで解剖室のドアが開き、長身の男が転がり込んできた。

(#ФωФ)「ショボン! 貴様、何をやっているのであるか!」

(´・ω・`)「おや、ロマネスク=ガムラン大佐。見ての通り、今から魔人の解剖をするところだけど?」

 鋏を剃刀に持ちかえてツンの肌に近づけるが、ロマネスクがその手を掴む。

(#ФωФ)「即刻やめろ」

(´・ω・`)「痛いなあ。大佐、知ってるとは思うけど僕には少将相当の権限が与えられているんだよ。
     君の言葉は忠告でありこそすれ、僕に対する強制力を一切持っていないはずだ」

( ФωФ)「大佐ではないと言ったら?」

(´・ω・`)「は?」

 ショボンがロマネスクの顔に目を向ける。
 身長差のせいで、年下であるロマネスクを見上げるような格好になった。

( ФωФ)「今朝内示があった。本日付けで我輩は少将に昇格したのである」

(´・ω・`)「……おや、それはおめでとう。しかし、それでも対等な立場だろ?」

( ФωФ)「しかり。だが、我輩をあまり怒らせると貴殿にも不幸な状況が訪れるぞ」

( ФωФ)「この基地の非公開な支出金――その総額と内容を、うっかりその辺で話しかねない」

11 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 22:58:29 ID:WtRCp44I0

(´・ω・`)「なるほどね……」

( ФωФ)「ウォルクシアにでも知られれば、軍上層部も貴殿の切り捨てを考え始めるだろう」

 顔と頭に巻いていた布を取り払い、ショボンは剃刀をツンの横に置いた。

(´・ω・`)「腕を治してあげたのに。恩を仇で返すとはこのことだよ」

 恨めしそうな目でロマネスクを見た後、彼は静かに部屋を出ていった。
 白衣の背中を見送り、ロマネスクは解剖台に目をやった。

( ФωФ)「少しじっとしていてくれ」

 解剖台に付属している拘束具がツンの体に食い込む力は相当なものであった。、
 懐から小さなナイフを取り出し、苦労しながらロマネスクは拘束具を外していく。

 五分ほど経過し、最後の拘束具が床に落ちて金属音を立てた。

( ФωФ)「……よし、外れたである」

ξ゚⊿゚)ξ「あ……」

( ФωФ)「大丈夫であるか? 数日間寝たきりであったから、無理をせず……」

13 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:01:17 ID:WtRCp44I0

ξ゚⊿゚)ξ「あの……」

( ФωФ)「?」

 何か言いたげなツン。その顔は薄く紅に染まっていた。

ξ゚⊿゚)ξ「何か……着るものを……」

(;ФωФ)「あ。あぁ!」

 あたふたと辺りを見渡すが、そうそう都合のよい衣服など転がっているわけがない。
 仕方なくロマネスクは自分の外套を脱ぎ、ツンにかぶせて身体を覆い隠した。

( ФωФ)「申し訳ない、きちんとした服を部下にすぐ持ってこさせるである」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、その、すみません……」

( ФωФ)「いや、こっちが悪いのだから謝る必要はない。あのショボンという男には我輩から話しておく。
     申し遅れた、我輩はロマネスク=ガムラン――連合国軍大佐、ではなく少将である」

 今日からな、とロマネスクは付け加えた。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、あたしはツン=D=パキッシュです。連合国軍……少将」

 ツンにとってはにわかに信じ難い、というか全く意味がわからないことだらけであった。
 どうして自分がここにいるのか。それを知りたかったが、口からは関係ない疑問がこぼれた。

14 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:04:06 ID:WtRCp44I0

ξ゚⊿゚)ξ「ずいぶんお若い少将ですね」

( ФωФ)「うむ……ここ最近の戦争激化により、人員整理も大きく動いていてな」

 おそらく史上最年少であろう――と、ロマネスクは心中で呟く。
 もちろん名誉に思わないわけではないが、単純に喜ぶわけにはいかない、と考えていた。
 少将の席が空いたという事実には、プラズマン中将の死が関与している。

 ロマネスクは左腕をさする。ツンが破壊したはずのそれは、傷一つなく繋がっている。

( ФωФ)「『ユグドラシル』の記憶はあるか?」

ξ゚⊿゚)ξ「『ユグドラシル』……」

 ぐるぐるとツンの脳内を情景が駆け巡る。
 『守り人』、ハインリッヒ、熱帯夜、リワリの滝、デルタ、モララー。

ξ゚⊿゚)ξ「あたしは……そう、ハインリッヒに吹き飛ばされて……それで」

( ФωФ)(ハインリッヒ?)

 その名には意味がある。希代の『科学者』である彼女は、やはりあの場にいたのだ。
 しかし、ロマネスク達が『ユグドラシル』と接触した際、彼女の姿はなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「その後……その後は、思い出せない」

( ФωФ)(「吹き飛ばされた」か。それで、上空から彼女が降ってきたのであるな)

15 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:07:38 ID:WtRCp44I0

ξ゚⊿゚)ξ「ロマネスク少将、どうしてそれを? 何かご存じなのですか?」

( ФωФ)「ああ……我輩もズーパルレにいたのであるが――」

 さてどうするか、とロマネスクは思索を巡らせる。
 あの時は知らなかったが、彼女は魔人である。魔力を封じているとはいえ、無用な刺激は避けたい。
 魔人の能力は感情の高ぶりに呼応して発揮されるのだ。

 インクレクで彼女が暴走した原因は、おそらく、彼女の手で少女を殺害してしまったことだろう。
 肉体的な消耗に加えて精神に多大な負荷がかかることで、彼女のうちに眠る枷が外れたのだ。

 ……というのは、ショボンがロマネスクに語った憶測をそのまま引用しただけだが。
 どうやら、暴走時の記憶は消えてしまっているらしい。

( ФωФ)「倒れている君を見つけ、保護したのである」

 とにかく、少女の死には触れられない。それに繋がる手がかりも与えてはならない。

( ФωФ)「その時点で君が魔人だと判明してな。あいにく、近くに魔人を治療できる施設はなかった」

( ФωФ)「ショボン=フレットレス……あの男であるが。あれでも魔人研究の第一人者である。
     治療するためにここに連れてきたが、先刻は申し訳ないことをしてしまった。すまない」

 頭を下げるロマネスク。虚実織り交ぜた説明だが、肝心な部分で嘘は言っていない。
 実際は、このケノル駐屯地に着くまでツンが魔人だとは考えていなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「い、いえいえ! そんな、少将さんが、あたしなんかに謝らないでください!」

16 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:10:28 ID:WtRCp44I0

(#ФωФ)「いや……よりによって解剖などと……言語道断!!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ひっ」

 怒気をはらんだ声にツンは身を縮める。
 ロマネスクに声を張り上げているつもりはないが、その巨体というだけで迫力が並ではない。

(#ФωФ)「全く……我輩がいなければどうなっていたことか……全く……」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、あの。一緒に誰か、保護されてませんか?」

( ФωФ)「ん?」

ξ゚⊿゚)ξ「モララーと……デルタが、一緒にいたんですけど」

( ФωФ)「いや。我々が発見できたのは、君だけである」

ξ゚⊿゚)ξ「そうですか……」

( ФωФ)「うむ。しかし、きっと再会できるであろう。尽力を約束する」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがとうございます」

( ФωФ)「しばし、この部屋で待つがよい。すぐに服と部屋を用意させよう」

 もちろん女性の兵士にな、とロマネスクは微笑みかけた。

17 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:13:11 ID:WtRCp44I0

 解剖室を後にし、ロマネスクは薄暗い廊下を歩いている。

( ФωФ)(外套がないと少し冷えるである)

 季節は夏だが、キャグレイ自由都市群は全体として標高が高い国である。
 気温の日較差が大きく、朝夕は秋のように冷え込むことが多い。

 内務部に顔を出してツン=D=パキッシュの世話を指示した後、兵士宿舎に向かう。
 自分の外套を取りに戻るためだったが、途中で思い直して行く道を変えた。

( ФωФ)(確か、もう意識を取り戻しているはずであったな)

 かつ、かつ、と廊下に軍靴の音が響く。

( ФωФ)(あれだけの怪我をしながら、全く生命に支障が無いとは驚いた)

 それも若さか――と、連合国軍史上最年少の少将は呟いた。

 彼が立ち止まった扉には、小さな文字が書かれた板が貼りつけてある。


 『デルタ=S=オルタナ』


 ノックをすると、中から控えめな返事が聞こえた。

18 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:15:44 ID:WtRCp44I0

( "ゞ)「……どうも」

 デルタはベッドに横たえていた上体を起こし、軽く会釈をした。
 殺風景な部屋には家具と呼べるものはほとんどなく、簡素なベッドとサイドテーブルのみが設置されている。

( ФωФ)「すまない。起こしてしまったであるか?」

( "ゞ)「いえ、眠ってはいませんでした。あなたは……少将殿ですか」

 ロマネスクの肩に光る階級章を見て、言う。

( "ゞ)「ようやくまともな話が聞けそうですね。ここに来る兵士は皆、ロクに喋らないので」

( ФωФ)「それは申し訳ない。いや、実のところほとんどの兵士は事情を知らないのである」

 座れるような椅子が無く、仕方なくロマネスクは立ったまま話を続ける。

( ФωФ)「君をここに搬送したのは、我輩ともう一人の部下だけであったのでな……」

( "ゞ)「最初から説明して頂けますか。まず、ここはどこなのか」

( ФωФ)「あ、ああ」

 少年の視線と口振りに、ロマネスクは言い表せない迫力を感じた。
 怪我はショボンによって治されているとはいえ、体調が万全であるとは言いがたいはずだ。

( ФωФ)(魔人の少女と同じくらいの年頃に見えるが……)

19 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:18:13 ID:WtRCp44I0

( ФωФ)「――というわけである」

 ロマネスクの部隊がインクレクにいた理由だけを避け、あるがままを説明した。
 もちろん、ロマネスクによる視点のみであるために、物語としては些か論理性に欠ける。

( "ゞ)「そう、ですか……」

 デルタにとってはそれで十分であり、ここに至るまでの事情をほぼ把握できた。

( "ゞ)(ツンが魔人……言われてみれば、彼女の不思議な部分はそれで全て説明がつく。
     それにしても、しぃが死んだっていうのは……いや、彼が嘘をつく意味もないか……)

( ФωФ)「逆にこちらから訊きたいこともあるのだが、よろしいか?」

( "ゞ)「ええ、そうおっしゃるだろうと思っていました」

( ФωФ)「君達は何者であるか?」

( "ゞ)「魔術師養成所の生徒ですよ。僕とツン、そしてモララー君は」

( ФωФ)「モララー。モララー=ロードネスか」

( "ゞ)「どうしてその名を?」

( ФωФ)「あ、いや……まあ、有名なのである」

( "ゞ)「……連合国軍としては、気にかかる名前というわけですか」

21 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:21:48 ID:WtRCp44I0

( ФωФ)「心配しなくともよい。監視をつけていたりするわけではない」

( "ゞ)「まあ、彼に限ってその必要は無いでしょうね。危険分子にはほど遠い存在ですし。
     それで、そのモララー君はどこにいるんですか? 一緒に保護されてますよね?」

( ФωФ)「いや。我々が発見したのは君たち二人だけである」

( "ゞ)「そうですか。では」

 デルタはベッドから体を下ろし、ふらつきながら立ち上がろうとする。

( ФωФ)「ちょ、ちょっと待った! どこへ行くつもりであるか!?」

 ロマネスクに肩を掴まれ、ベッドに押し戻される。

( "ゞ)「どこって、モララー君を探しに行くんですよ」

( ФωФ)「探しに行くって……その体でか? そもそも、とても徒歩で向かえる距離ではないぞ!」

( "ゞ)「だったら何ですか? 軍が探してくれるとでも?」

( ФωФ)「それは……」

( "ゞ)「ありえませんよね。そもそも、僕達をここに連れてきたのだって保護が目的ではないはず。
     ツンの監視と、僕達が貴方達の情報を漏洩しないように口止めするためでしょう」

 ロマネスクが目を見開く。デルタの指摘は的を射ていた。

22 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:25:20 ID:WtRCp44I0

( "ゞ)「連合国軍があのインクレクを訪ねた理由、先程は話してくれませんでしたね。
     あの平和で何もない村に来たのは何故です? それも、将校直属の部隊が」

( "ゞ)「おそらくは『守り人』……『ユグドラシル』に端を発するのでしょう」

( ФωФ)「それ以上語らない方がよい。我輩も捨て置くことはできなくなる」

( "ゞ)「ええ、僕が推測するのはここまでです」

 肩に置かれたロマネスクの大きな手を振り払い、大きく咳込むデルタ。

( ФωФ)「無理をするな。まだここに来て数日しか経っておらん」

( "ゞ)「数日も、ですよ。モララー君が生きていたとしても、もう数日経ったんです」

( ФωФ)「……ならばなおさらである。仮に彼が重傷を負っていた場合、もはや命はあるまい。
        しかし、今なお生きているのであれば、必ずや誰かの看護を受けているはずである。違うか?」

( "ゞ)「……確かに、その通りです」

( ФωФ)「今は体を休めるべきである。それに、ツン=D=パキッシュはまだ意識を取り戻していない」

 息をするように嘘をつくようになったな、と思った。昔は、嘘や誤魔化しなど必要ないと考えていた。
 プラズマン中将が死ぬまでは。

( ФωФ)「監禁するつもりはない。しかし、今出ていく意味が無いことを理解してくれ」

24 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:29:30 ID:WtRCp44I0

 ロマネスク少将が出ていき、取り残されたデルタは溜息を吐く。
 扉には鍵がかけられている。建前はああ言っているが、自分を帰らせるつもりなど無いのだ。

( "ゞ)「……まあ、確かにズーパルレに行く手段も無いか」

 ごろんとベッドに寝転がる。無味乾燥な天井に視線を泳がせてみる。


 それにしても、あの少将――嘘をつくのがずいぶんと下手だ。


 彼はツンのことをフルネームで呼んでいた。デルタは「ツン」としか話していないにも関わらずだ。
 モララーはともかく、ツンは有名であるとは言いがたい。フルネームを知っているはずはない。
 知り得るとしたら本人に訊く以外ありえないだろう。

( "ゞ)「……ツンはもう目覚めていて、会話ができる」

 しかし、それを隠す理由はなんだろうか? 帰したくないというだけでは説明がつかない。
 自分とツンが接触すること――あるいは、会話することを望んでいないのか。何故?

 それ以上は考えられない。手がかりが少なすぎて、推理どころか想像もうまく働かない。

 何かを得るには自分の手で、危険を冒してでも、掴みとらなくてはならないのだ。

 ……幸い、鍵開けの魔法はデルタが最も得意とするところである。

25 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:32:19 ID:WtRCp44I0

【基地内の一室】

 その部屋には、およそ意味の分からないものが整然と並べられていた。
 肉の塊。小さな石の欠片。濁った液体。光を放つ茸。眼球。骨格標本。獣の剥製。
 あるものは瓶に詰められ、あるものはシャーレに保管され、あるものは天井から吊り下げられている

(´・ω・`)

 部屋の中央に佇んでいるのは、ショボン=フレットレス。
 この基地の責任者であるシャキン=フレットレス中将の実弟にして、連合国陸軍兵器開発部の代表である。

(´・ω・`)ハァ

 溜息を漏らしながら、彼は小瓶を振る。中の液体をシャーレに移し、蓋を閉め、魔法で密閉する。
 たくさんのシャーレの山に一つ追加し、手を布で拭う。

(´・ω・`)「ロマネスク=ガムラン」

(;ФωФ)「おっ」

 扉を開け入ってきたロマネスク。振り向きもせずに声をかけてきたショボンに驚き、立ち止まった。

(´・ω・`)「この部屋は無菌室なんだ。ノックもせずに入ってきたら汚染されるじゃないか」

(;ФωФ)「……それは、申し訳ないである」

27 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:35:08 ID:WtRCp44I0

(´・ω・`)「いいよ別に。もうウイルスの封入は終わったし、後で滅菌しておくから……。
      科学が無い世界での研究は大変だけど、魔法はこういう時本当に便利だよね」

 何のウイルスだろうかとロマネスクは思ったが、聞いても理解できないので口にはしない。

(´・ω・`)「僕が生やした腕の調子はどうだい」

( ФωФ)「良好である。一度無くしたとは思えないくらいだ」

(´・ω・`)「勝手に動いたり、爪が緑になったりしてない?」

(;ФωФ)「えっ、いや……その可能性があるのか?」

(´・ω・`)「今大丈夫なら問題ないと思うよ。実験は成功だ」

(;ФωФ)「実験……我輩は治療を頼んだはずだが……」

(´・ω・`)「あのね、いくら僕でも肩から先の腕を1日で生やすなんていう治療は無理だよ。
     よかったじゃないか。結果的に君は元通りの腕を手に入れ、僕は貴重な実験データを手に入れた」

 それで、とショボンはロマネスクの顔をのぞき込む。

(´・ω・`)「その恩を忘れて僕の研究の邪魔をした少将殿が、何の用?」

( ФωФ)「その件である。ツン=D=パキッシュでの実験を、認めよう」

29 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:38:24 ID:WtRCp44I0

(´・ω・`)「へえ」

( ФωФ)「ただし、人道的な実験に限る。我輩と本人に許可をとった上ならば行ってもよい。
        この条件が呑めぬならば彼女との接触を一切禁ずることになるが、どうであるか?」

(´・ω・`)「その条件でいいよ。何もできないよりはマシだ」

 口の端を歪ませて笑うショボン。

(´・ω・`)「堅物かと思ったら、なかなかどうして柔軟じゃないか。見直したよ」

( ФωФ)「取引である。代わりに、これを調べてほしい」

 懐から何かを取り出し、ショボンに手渡した。
 それは妖しく輝く紫紺の石。揺らめく光は、心臓に似た拍動をしているようにも見える。

( ФωФ)「我がガムラン家に代々伝わる『血魂石』というものである」

(´・ω・`)「綺麗な石だね……」

 ロマネスクは『血魂石』にまつわる話を、かいつまんでショボンに伝えた。
 上位天使のこと。プラズマン中将のこと。そして、美しい吸血鬼のこと。
 いくら時間が経っても剥がれ落ちない、脳裏に焼き付いたあの日の記憶。

 ショボンは静かに、ロマネスクの目を見つめて耳を傾ける。

30 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:41:17 ID:WtRCp44I0

(´・ω・`)「なるほどね。プラズマン中将の戦死は、そういう事だったのか」

( ФωФ)「知らなかったであるか?」

(´・ω・`)「詳細はね……まあ、そんなことより、非常に興味深い事象だよ!」

 ショボンは『血魂石』を矯めつ眇めつ眺める。

(´・ω・`)「『潜界』を伴わない悪魔との契約。つまりは『儀式』や『外法』と呼ばれる方法。
     いくつか先例はあるけど、契約者本人から話を聞くことができるとは思わなかった」

 その口調は次第に熱を帯びてゆく。

(*´・ω・`)「『儀式』の利点はね、手順さえ間違えなければ自信の力量と関係なく契約できることだ。
     その『ヴァンパイア』にしても、恐らく君の魔力にはふさわしくない強力な悪魔だっただろ?
     正式な契約ではない故にリスクを負うことになるが、それを補って余りある素晴らしい奇跡だ」

 「そもそも『潜界』は何のために行われるのか?」

 「現在のような『潜界』の体制が築かれたのは、新暦150年頃のことだと言われている」

 「それまで契約がどのように行われていたのかは定かではないけれど、『儀式』に近い形式だろう」

 「悪魔によって異なる手順が必要な『儀式』に、統一規格の『潜界』がとって代わった」

 「実際、『潜界』は便利だけどね。今まで天使に対抗できているのは『潜界』のおかげだし」

31 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:44:19 ID:WtRCp44I0

( ФωФ)「どうして『儀式』が廃れたのであるか?」

 ロマネスクの質問を受け、ショボンの顔はますます興奮で輝いた。

(*´・ω・`)「それが不思議なところなんだ。何故だかわからないが、『儀式』を今に伝える文献はほとんど無い。
     各地の伝説伝承、あるいは一子相伝の秘術として残されているのみで、生きた技法ではないんだよね」

( ФωФ)「ふむ。とにかく、もう一度この石を起動させる方法を調べてほしい」

(´・ω・`)「了解。一度破棄した契約の再締結は前例がないものの……『儀式』は特殊な契約だ。調べる価値はある」

( ФωФ)「頼むである。貴殿の不穏な行動も、報告は差し控えよう」

(´・ω・`)「それはありがたい。今後も、お互いに有益な存在でありたいものだね」

( ФωФ)「……では、失礼する」

 笑顔には応えず、硬い表情でロマネスクは無菌室を辞した。
 残されたショボンは彼の背中を見送り、紅の石を机の上に置く。
 先ほどまでの明るい喜色は消え去り、今、ショボンの顔には冥い悦びが満ちていた。


 ――そして、部屋の外で二人の会話を聞いていた者がいる。

32 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:47:48 ID:WtRCp44I0

( "ゞ)

 デルタは、ゆっくりと研究室の扉から耳を離した。
 すぐ側の通路に身を隠し、息を潜めてロマネスク少将をやり過ごす。

( "ゞ)(少将はしばらく僕の部屋に来ないだろうけど、流石にそろそろ戻らないとまずいか)

 この辺りの区画には主要な部署が設けられていないらしく、通路の人通りは多くない。
 幸運なことに誰にも見つからずここまで来られたが、これ以上の長居は余計なリスクを増すことになる。

 薄暗く湿った空間をゆっくりと、静かに、デルタは歩き始める。
 体調は万全ではない。筋肉も少し衰えているらしい。歩を進めるだけで全身が軋む。

( "ゞ)「はぁ……はぁ、ひどいな、まったく……」

 十メートルほどで息が上がってしまった。石壁に手をつき、呼吸を整える。

( "ゞ)(ツンは……彼らの口振りでは、まだ大丈夫だ。酷いことをされるわけではない)

 だが、それもいつまで続くかわからない、とデルタは苦々しく思う。

( "ゞ)(あのショボンとかいう男、少将の指示におとなしく従っていられるとは思えない。
     その少将にしたって、良心の呵責を超える何かがあれば迷いなくツンを売るかもしれない)

 一刻を争うほどの事態ではないが、のんびりと構えていられる余裕もない。
 どうするのが最善なのか、デルタの頭脳をもってしても、容易にはたどり着けぬ解であった。

33 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:50:22 ID:WtRCp44I0

( "ゞ)(……まずい、人が来た)

 長い通路の先、微かに灯りが揺らめき、小さな影を落とした。
 この距離ならば姿形までは確認できないだろう。急いで引き返そうと、デルタは振り向く。

( "ゞ)「!!」

 身体が硬直する。
 振り向いた先、交差点に長い影が伸び、かつかつと足音が近付いてきていた。

(;"ゞ)(……不覚だ。油断してた。もっと気を張っていれば……)

 そんなことを考えても仕方ない、とデルタは思考を巡らせる。
 ここで誰かに見つかっても、何事もなくやり過ごせるか? それは楽観的に過ぎるだろうか。

 脱走が露見すれば、二度とこの基地内を自由に行動することはできなくなると考えた方が良い。

(;"ゞ)(……しかたない)

 デルタのすぐ側に鉄製の扉があった。開錠の魔法をかけ、手で押してみると少し内側に開いた。
 逡巡の暇はない。重い扉を押し開け、身体をねじ込むようにして中に進入した。

 彼は気付かなかったが、扉の上部には小さな板が貼り付けてある。
 『解剖室』と、その板には表記されていた。

34 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:53:42 ID:WtRCp44I0

ξ゚⊿゚)ξ「あっ」

( "ゞ)「あっ」

 部屋の中にはツン=D=パキッシュがいた。

 彼女は質素な布製の衣服を手に持っている。どうやら、着替えの最中であったらしい。
 片方の腕を袖に通している以外には何も身に纏っていない状態で、硬直している。

( "ゞ)「えっと……」

 後ろ手に扉を締め、デルタは言い訳を必死に探す。

(;"ゞ)「違うよ?」

ξ゚⊿゚)ξ「何が?」

 デルタの視線を気にも留めないように、ツンは腰の帯紐を結んで着替えを済ませた。

「せめて目を逸らせや!!!」
         ξ#゚⊿゚)ξつ)"ゞ)・:∴「うごっふ!!!」
                 メシャア

35 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/15(火) 23:57:15 ID:WtRCp44I0

 なんとか誤解を解き(裸体を目撃したことは誤解でも何でもないのだが)、ツンを落ち着かせて、
 簡易ベッドに座らせた。デルタ自身は冷たい床に腰を下ろし、コンクリートの壁に体重を預ける。

( "ゞ)「病み上がりの体に君の鉄拳はこたえるよ……」

ξ゚⊿゚)ξ「あたしだって病み上がりみたいなもんよ」

( "ゞ)「それにしちゃ、素晴らしい動きだったけどね……」

 はあ、と大きく息を吐いた。
 元気そうなツンの姿を見て、少し気が抜けてしまった。

ξ゚⊿゚)ξ「なんでここにいるの? 少将さんは、あたししか保護してないって……」

( "ゞ)「へえ、そんなことを? 僕には、君がいると教えてくれたけどな」

 まあ、まだ目が覚めてないと聞いてたけど――と、デルタは笑う。

ξ゚⊿゚)ξ「嘘だったの? じゃあ、もしかしてモララーもここに!」

( "ゞ)「うーん、可能性はあるけど、たぶん彼はいないんじゃないか?」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしてそう思うわけ?」

( "ゞ)「モララー君がいるなら、何かしら騒ぎが起こってるはずだからね」

36 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:00:32 ID:ODWv9E8E0

( "ゞ)「……少将に聞いたよ。ツン、君は『魔人』なんだね」

ξ゚⊿゚)ξ「……そう、聞いちゃったの」

( "ゞ)「どうして今まで言ってくれなかったんだ?」

ξ゚⊿゚)ξ「言えると思う?」

 ツンの双眸が正面からデルタを捉える。
 その瞳は冥く、怯えか恐れか、心情を読みとれない色である。

ξ゚⊿゚)ξ「魔人がどれだけ差別され弾圧されてきたか、知らないわけじゃないでしょ」

( "ゞ)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「幸いなことにあたしの能力は、一目でわかる特徴として現れるものじゃなかったわ。
      それでも、この体質が原因で色々あったし、あからさまではなくとも家族に疎まれたし……。」

ξ゚⊿゚)ξ「『エル・ディアブロ』って言う上級悪魔があたしの体と融合してるんだけどね。
      父親がそれの召喚に失敗して、死んで、悪魔はあたしに取り憑いて魔人になった」

 ツンの言葉は途切れず、淡々と紡がれてゆく。

ξ゚⊿゚)ξ「そりゃ和やかな家族にはなれないよね、父親を殺したのはあたし――のようなもんだし。
      むしろ、殺さないでいてくれただけでも、感謝すべきなんだろうと思ってるわ」

37 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:03:31 ID:ODWv9E8E0

( "ゞ)「僕は。いや、僕とモララー君は、君を恐れたりはしないよ」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。でも、恐れてくれたほうがいいって場合もあるのよ?」

ξ゚⊿゚)ξ「あたしに近付かなければ――あたしに傷つけられることもない」

 デルタはロマネスクの話を思い出していた。
 インクレクの少女、しぃは死んだ。ツンの目の前で、ツンの手によって。
 ツンの能力はコントロールを失えば簡単に人を殺しうる。それはおそらく事実だ。

ξ゚⊿゚)ξ「制御できないあたしの力は、いつか友達を傷つけてしまうかもしれない」

( "ゞ)「確かに君はそれだけの能力を持ってるんだろう。でも、それがどうしたんだ?」

ξ゚⊿゚)ξ「え?」

( "ゞ)「誰だって人を傷つけることができる。力があるとかないとか、関係ないさ」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

( "ゞ)「恐ろしいのは力じゃなく、それを行使する人格だ――って、誰の言葉だったか。知ってる?」

 デルタが笑うと、ツンも相好を崩した。

ξ゚ー゚)ξ「あんたって、やっぱり、ちょっと変」

( "ゞ)「そう? 今、僕、変なこと言ったかな……」

39 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:06:38 ID:ODWv9E8E0

ξ゚⊿゚)ξ「で、これからどうするの?」

( "ゞ)「どうしようね。とりあえず君に会うことが目標だったけど、その先を考えてない」

 先ほど盗み聞きした内容を考えれば、デルタとツンの身は今のところ安全である。
 モララーの行方を捜し求めるにしても、まずは何から始めればいいのか。

ξ゚⊿゚)ξ「連合国軍に知り合いもいないし、ウォルクシアに帰るのも難しいわね……」

( "ゞ)「うーん……ん? あ、いるじゃないか、知り合い」

ξ゚⊿゚)ξ「え、うそ、いるの?」

( "ゞ)「ほら、養成所の先生達だよ。今は連合国軍の所属になってるはずだ」

ξ゚⊿゚)ξ「あー! そっか、ダイオード先生達ね」

 ダイオード=メタル。モナー=カノンタ。ビロード=デス。そして、兄者。
 4人の教師は、上級悪魔と共に徴兵されている。

ξ゚⊿゚)ξ「でも、連絡がとれるかしら?」

( "ゞ)「なんとか方法を考えるよ。とにかく、君と僕が既に接触していることは隠して……」

 不意に口をつぐみ、デルタは部屋の扉に目を向ける。

ξ゚⊿゚)ξ「?」

41 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:10:29 ID:ODWv9E8E0

 こん、こん、と控えめな音が響いた。扉がノックされている。

ξ;゚⊿゚)ξ「!」

 おろおろと慌てふためくツンを横目に、デルタの行動は素早かった。
 落ち着いて隠れられる場所を探し、床に伏せて簡易ベッドの下に這い潜ったのである。

( "ゞ)「ツン、冷静に。予め知っていなければ僕に気付く可能性は低い」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん」

 ぎい、と鉄扉が開く音。

( ФωФ)「失礼するである」

( "ゞ)(ロマネスク少将……)

 デルタは顔をしかめる。
 ちょうど話題にしていただけに、ツンが妙な反応をしないか心配になった。

( ФωФ)「すまんな、そんな粗末な服しかなくて」

ξ゚⊿゚)ξ「い、いえ! その、今は別に寒くないので……」

( ФωФ)「『ギフティヒ・ハルト』が効いているのであるな」

 毒属性魔法『ギフティヒ・ハルト』。経口摂取した者の魔力を封印する毒薬である。
 かつてツンがケルベロスに対して使用した魔法が、今はツンの体を縛っている。

42 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:13:00 ID:ODWv9E8E0

( ФωФ)「申し訳ないが、ここにいる間はその魔法を解くわけにはいかないのである」

ξ゚⊿゚)ξ「はい……仕方ない、ですね」

( ФωФ)「まあ、生活に支障が出るわけではないと思うが……ん?」

『失礼します』

 若い兵士が部屋に入り、ロマネスクとツンの顔を交互に見比べる。

『……よろしいでしょうか?』

( ФωФ)「構わん、我輩に何か用であるか?」

『ええ。来客があります、ロマネスク少将』

( ФωФ)「我輩個人にか?」

『ええ、シャキン中将が不在である現在、少将殿が責任者だと伝えたところ、それで構わないと。
 それと……向こうから指名があったので、ショボン氏にも同席していただくことになります』

( ФωФ)「? いったいどんな客であるか」

『用件は聞いていませんが、お名前は承っております』


『ハインリッヒ=ハイヒルズ=クラシカ。ええ、あの「科学者」です』


.

43 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:15:42 ID:ODWv9E8E0

【ケノル駐屯地・総合事務棟・第1応接室】

 応接室の中央には大きな机と、椅子が4つ置かれている。

从 ゚∀从「キッド、その辺の物に触るんじゃねェよ」

 椅子に座り長い脚を組んでいる女は、こめかみに指を当てて苦言を呈した。
 銀髪をかき上げると、長い耳飾りと首の鎖が擦れあってしゃらんと音を立てる。

 『科学者』ハインリッヒ。彼女は気怠げに、しかしどこか楽しそうに男を見ている。

 男。そう、この応接室にはもう一人の人物。

ミπ`-)「別にいいだろーが。俺に指図するなよ」

 ハインリッヒの言葉に噛みついた浅黒い肌の男は、手に持っていた砂時計を棚に戻した。
 男の身なりだけをみれば、薄い衣服に短髪という身軽そうな格好であるが、腰には短剣を三本差している。
 それだけではなく、背には長剣を二振り背負い、脚にも何本かの投擲ナイフが装着されていた。

ミπ`-)「あとな! 何度も言ってるけど、俺のことをキッドと呼ぶのをやめろ」

ミπ`-)「N=キッド=M=ジンラグ=フロア、と、ちゃんと本名で呼べよ」

从 ゚∀从「なげェ。キッド、いいから座れってよォ」

 キッドと呼ばれた男は、舌打ちしつつ椅子に腰を下ろす。がしゃん、と武器が鳴る。

44 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:18:05 ID:ODWv9E8E0

ミπ`-)「あー暇暇暇暇! ヒマすぎんぞ、なんだこの時間? 待たせすぎだろ!」

从 ゚∀从「あのな、頼むから大人しくしててくれ。オレ達は喧嘩しに来たわけじゃないだろ?」

ミπ`ー)「場合によってはそうなるかもしんねえって、ハイン、お前も理解してるくせに」

 キッドは白い歯を剥き出して獰猛な笑みを見せ、ハインリッヒは口元を歪める。

从 ゚∀从「ま、そうなったらよろしく頼むわァ」

ミπ`ー)「任せとけや」

 ハインとキッドは会話を止め、部屋の入り口に目を向けた。
 軍靴の音と共に応接室に入ってきた二人の軍人――ロマネスクとショボン。

( ФωФ)「お待たせしたである」

 ロマネスクが会うのは初めてだった。しかし一目でわかる、ハインリッヒ=ハイヒルズ=クラシカ。
 派手な格好、肉感的な肢体、その容姿からは想像できない激烈な魔力と気性を持つ女。

( ФωФ)「シャキン=フレットレス中将は不在でして。我輩はロマネスク=ガムラン、陸軍少将であります」

(´・ω・`)「僕はショボン=フレットレス、少将権限付き研究者です」

从 ゚∀从「ご丁寧にどうも。ハインリッヒ=ハイヒルズ=クラシカです、こっちは付き人のキッド」

( ФωФ)「付き人?」

45 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:20:13 ID:ODWv9E8E0

ミπ`-)「N=キッド=M=ジンラグ=フロア。俺を呼ぶのならそう呼べ」

( ФωФ)「N=キッド=M……えっと?」

从 ゚∀从「ああ、気にしないでくださいなァ。キッドで構いません、いわば用心棒です」

 用心棒という説明は、多少なりとも納得のいくものであった。
 この男――青年と少年の間くらいの年頃だろうか――帯びている武器の量が尋常ではない。

 形式的に握手を交わし、全員が椅子につく。

( ФωФ)「それで……ハインリッヒ殿の用事は、如何なるものでありますかな」

从 ゚∀从「まず一つ感謝の意を伝えておこうと思いましてねェ」

( ФωФ)「感謝?」

从 ゚∀从「えェ――ありがとうございます、ロマネスク少将」


从 ゚∀从「『守り人』を破壊してくれて」


( ФωФ)「!!」

47 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:22:15 ID:ODWv9E8E0

从 ゚∀从「結果的にオレのミスがうやむやになって、本当に助かりましたよォ」

( ФωФ)「……貴女の目的も、我輩と同じであったか」

从 ゚∀从「奇遇ですねェ。ウォルクシアと連合国軍が、同じ目的で、同時刻同地点にいるなんて」

( ФωФ)「おそらく、互いの任務が意味することは正反対であろうがな」

 ロマネスクは胸中に苦いものが広がっていくのを感じた。
 ハインリッヒ、そしてその上にあるウォルクシアには筒抜けになっているのだ。
 ズーパルレでの作戦行動、その内容に加えて、実行者がロマネスクであるということまでも。

(´・ω・`)「あれは君が、というか軍がやったことだったのか。ずいぶん騒ぎになっているけど」

( ФωФ)「機密情報である。口外はしないでくれ」

ミπ`-)「安心しろよ! この事を知ってるのはウォルクシアでも数人だ」

 キッドが笑う。他の三人は笑わない。

从 ゚∀从「まあ、ズーパルレや周辺国が知ったら怒るでしょうねェ。そりゃもう烈火のごとく。
      元々『守り人』のおかげで栄えてきた地域と言われてますし、実際既に被害が出ている」

(´・ω・`)「なるほど。そっちにしてみれば目的は達成できたし、連合国軍を脅す材料ができたわけですね」

从 ゚∀从「脅しだなんて。ちょっとしたお願いを聞いていただければ秘密は守りますよ」

48 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:24:12 ID:ODWv9E8E0

( ФωФ)「それは、貴女個人の? それとも、ウォルクシアの意志としてであるか?」

从 ゚∀从「鋭い質問ですねェ。まあ、それはご自由に推察していただいて構いませんが」

( ФωФ)「……まあ良かろう。それで、頼みとは」

从 ゚∀从「とある人物を引き渡して頂きたい。すなわち」


从 ゚∀从「ツン=D=パキッシュ、『魔人』を」


 ロマネスクは確信する。これは取引ではなく、明確な脅迫だ。

( ФωФ)「……いつ、どこで?」

ミπ`-)「寝ボケてんのか? 今日、今すぐに、この場で、俺の目の前でに決まってんだろ」

( ФωФ)(上層部の判断も待てぬというわけか)

(#´・ω・`)「そんなことはできない!」

 顔を紅潮させたショボンが勢いよく立ち上がる。その目には怒りが満ちていた。

(#´・ω・`)「ようやく手に入れたサンプルだぞ! 今後、生きた魔人のデータが手に入る機会などないんだ!」

49 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:26:40 ID:ODWv9E8E0

ミπ`-)「うるせえなあ。お前の都合なんか知るかよ、殺すぞ」

从 ゚∀从「ちょっと黙れ、キッド。それにショボンさんも落ち着いてくださいよォ」

 張りつめた空気の中、涼しい顔でハインリッヒが二人を制止する。

从 ゚∀从「同じ学究の徒として、研究を妨げられる気持ちは痛いほどわかりますよ。
     代わりと言っちゃァなんですが、オレが持ってる『魔人』のデータを提供します」

( ФωФ)「なに?」

从 ゚∀从「正確に言えば、ウォルクシア科学庁に蓄積されている数百年分のデータになりますがねェ」

(´・ω・`)「そ……それは、本当に?」

(´・ω・`)「科学庁の高官でなければ自由に閲覧することができないデータを、くれるというのかい?
     連合国軍に所属している、ウォルクシア人ですらない僕に、科学庁のデータを?」

ミπ`-)「夢のよう、か? その頬っぺたに風穴空けて確かめてやろうか」

从 ゚∀从「黙れって。とにかくまァ、『魔人』以外のデータも欲しいだけ差し上げますよ」

 ショボンが急に黙り込み、損得の算用を始めたのが全員にわかった。
 ロマネスクにとってみれば、この交渉を受け入れることでの弊害は特になく、
 感情的な部分を除けば、むしろ拒否することはありえないと考えている。

50 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:30:33 ID:ODWv9E8E0

 ややあってショボンが首を縦に振り、ロマネスクは胸をなで下ろした。

(´・ω・`)「……仕方ないかあ」

( ФωФ)「うむ。引き渡しは認めよう。しかし、彼女をどうするつもりなのであるか?」

从 ゚∀从「まァ、ウォルクシア王にしてみれば、連合国軍に強すぎる力は不要って考えなんですなァ」

ミπ`-)「どうも最近、お前らは不穏な動きをしてる感じだからな」

(´・ω・`)「それはお互い様じゃないか?」

从 ゚∀从「はは。さて、取引は成立したことだし、ここにツンを連れてきてもらえますか?」

( ФωФ)「手配させよう……そういえば、もう一人保護している少年はどうする?
        どうやらツン=D=パキッシュと共に行動していたようであるが」

ミπ`-)「もう一人?」

( ФωФ)「ああ。デルタとかいう……ハインリッヒ殿はご存知ではないかな」

从 ゚∀从「デルタか。うーん……知り合いではありますよ」

ミπ`-)「おいおい、二人も連れてく余裕あんのかよ?」

从 ゚∀从「ないよなァ。だが、ツンの精神安定には使えそうな気も――」

53 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:34:18 ID:ODWv9E8E0

ミπ`-)「ん?」

 キッドが急に天井を見上げた。その眉間には微かに皺が寄っている。

从 ゚∀从「どうした?」

 ハインリッヒの問いには答えず、キッドは四方の壁に視線を向けていく。

( ФωФ)(なんだこいつ)

 ぐるりと見回した後で、キッドはハインリッヒの顔を見据えた。

ミπ`-)「やべえぞ。ハインリッヒ」

从 ゚∀从「何がだよ」

ミπ`-)「天使だ。天使が来てる。すごい数だ……俺達、囲まれてるぜ」

从; ゚∀从「はァ!?」

(;ФωФ)「なんだと!?」

『ロ、ロマネスク少将!!』

 応接室の扉が勢いよく開け放たれ、数名の若い兵士が中になだれ込んできた。

54 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:36:31 ID:ODWv9E8E0

『第三監視室より報告です、駐屯地北側に下位天使を多数確認!』

『こちら第二監視室より、南側山間部の連絡トンネルが崩落しました! 三本全てです!』

(;ФωФ)「なっ……!」

(;´・ω・`)「北と南を押さえられたか、まずいね。実質的に退路を断たれたってことだ。
      どうしてそんな状況に至るまで気付くことができなかったんだ? 防衛機構は?」

『魔法で結界を張っている最終防衛線までは、まだ突破されていない模様です』

『しかし、それ以外の物理的な防衛機構は全て、一瞬の内に破壊されたようです』

(;´・ω・`)「そんな馬鹿な、五つの兵士詰所と三層の常設塹壕が一瞬で?」

从 ゚∀从「並々ならぬ事態だなァ……」

( ФωФ)「とりあえず現状の把握である。残存兵力と指令系統の確認、応援の要請を急げ」

『はっ!』

 最高指令であるシャキン中将の不在。この基地にとっては非常に大きな隙であると言える。
 ロマネスクは焦燥を抱くと同時に、鼓動が高鳴るのを感じた。
 これは危機である以上に好機だ。昇格直後に戦果を上げられれば、上層部に好印象を与える。

ミπ`-)「しかしよお……わざわざこの基地を包囲して、何がしたいのかわかんねえな」

57 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:40:37 ID:ODWv9E8E0

【ケノル駐屯地・西監視棟】


 西監視棟の最上階は六階であるが、その上部に小さな四角い建屋が付随している。
 全体として細長い監視棟の先端に位置するそれは、さながら蝋燭に灯る炎のようにも見えた。

 今、その小屋の窓がいくつか開け放たれる。

 黒い鳥のような姿をした悪魔――『ヤタガラス』が、窓枠にとまり空を見上げた。
 けぇっ、と一声上げて、数羽の悪魔が羽ばたき、伝言を持って飛び立ってゆく。

 伝令の内容は応援を求める声明。ロマネスクの指令により発された救援要請である。
 最も近い基地でも百キロ以上の距離があるものの、『ヤタガラス』ならば数十分で到達する距離だ。


 『ヤタガラス』たちが、それぞれほぼ同時に、眼下の異常を捉えた。

 それは、地に横たわる黒い蛇。静かに眠る濁流。明瞭な境目のない奈落。

 どれも正確な表現ではない。

 それは、基地を取り囲む、天使たちの軍勢であった。

 途轍もない数の天使――おそらくは下位天使であろう――が、ぐるりと円形に鎮座しているのだ。

58 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:43:21 ID:ODWv9E8E0

 『ヤタガラス』のうちの一羽は目撃した。

 天使の軍勢が少しだけ蠕動し、一画から光が放たれた。

 光を放ったのは何者なのか、そもそも光の正体は何なのか、彼らに認識することはできない。

 一瞬の後、空を数条の光線が駆け抜ける。
 その軌跡には『ヤタガラス』が―― 一羽残らず、捕捉されていた。

 音も立てずに悪魔は蒸発する。痛みも苦しみもなく、消滅した。



 地上。
 巨大な下位天使たちがざわざわと囁きを交わしている。

|  ^o^ | げきつい しました

|  ^o^ | やりました やりました

( ∴)

 異形の群の中、一人だけ、人間の形をした者が佇んでいる。
 その天使は鉄仮面で顔を覆っており、表情を窺い知ることはできない。

59 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:45:25 ID:ODWv9E8E0

【中央棟・司令室】

『少将、放ったヤタガラスは全て潰されたようです』

( ФωФ)「そうであろうな。ここからもあの光が見えた」

 報告を受け、ロマネスクは顔をしかめた。

( ФωФ)「つまり、応援は呼べないということか……」

(´・ω・`)「『ダンタリオン』が予知してれば可能性はあるけど、ま、期待はできないか」

 兵士を下がらせると、司令室には重い空気が満ちた。

(´・ω・`)「……包囲から十五分。攻撃してこないということは、我々の殲滅が目的ではない」

( ФωФ)「おそらくは。かといって、他に何の目的がある?」

(´・ω・`)「わからないよ。そういうのは僕の専門じゃない」

( ФωФ)「『科学者』にでも聞いてみるか?」

(´・ω・`)「それは良い案だけど、彼女ら、どっかに行っちゃったからね。あんまり動かれると困るんだけど」

( ФωФ)「監視をつけてあるとはいえ、その気になれば簡単に無力化されそうである」

60 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:47:16 ID:ODWv9E8E0

(´・ω・`)「しかし、向こうに動きが無いとこちらも対応に困る」

( ФωФ)「うむ。結界の補強と兵士の武装は終了したが、攻め込まれる方向すら不明では配置できん」

(´・ω・`)「どうも天使らしくないっていうか、ねえ」

 ショボンは口元に手を当てて考えている。

(´・ω・`)「まさか正々堂々と戦争しようってわけじゃないだろうし」

( ФωФ)「考えても仕方ないである。とにかく今やれることを……、入ってくれ」

 ノックの音で会話を中断する。若い兵士が姿を見せた。

( ФωФ)「良い知らせであると嬉しいが」

『……なんとも言えません。先ほど、正門横の石柱にこの鉄の板が撃ち込まれました』

 兵士が差し出したのは、手のひらよりもすこし大きな、薄い鉄板。
 そこには小さな字で数行の文言と、人間の顔がはっきりとした輪郭で描かれている。

( ФωФ)「『我が名はゼアフォー=サンダルフォン』『人間たちに一つの機会を与える』
     『この人間を引き渡せ』『十分後にこの人間を渡せば、我々は立ち去ろう』」

   『 川 ゚ -゚)  』

( ФωФ)「誰だ?」

62 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:51:03 ID:ODWv9E8E0


【中央棟・三階通路】

从 ゚∀从「なァいいだろ、ちょっと見るだけだって。な!」

『な! じゃない。無理に決まってるだろ。扉に触るな!』

『ショボン氏は少将と同じ権限を持ってるんだ、我々の首が飛んでしまう』

从 ゚∀从「そこをなんとかさァ~」

 通路の一画、「研究室」と記された扉の前で、ハインリッヒと二人の兵士が言い合いになっている。
 ハインがショボンの研究室に入ってみたいと言い出し、監視役が当然のように却下しているのだった。

 一人、輪に入らないキッドは壁にもたれ、口論の様子を眺めていた。

从 ゚∀从「ちゃんと礼はするよ?」

『礼?』

『バカ野郎、惹かれてんじゃねえ。クビどころか殺されるかもしれんぞ』

『そ、そうだよな。そもそもこの扉は施錠されていて開けようが……』

 兵士がそう言って扉を押す。軋みながらも、扉はゆっくりと内側に開いた。

从 ゚∀从「奇遇や奇遇、鍵かけ忘れたみたいだな?」

63 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:53:14 ID:ODWv9E8E0

『なんで開いてるんだ……』

从 ゚∀从「今こんな状況だろ、もうすぐ大規模な戦闘になるかもしれねェ。いや、きっとそうなる。
      誰かがちょっと入ったってバレやしねェさ。まァ、これはほんの気持ちってことで」

 ハインリッヒは何枚かの紙幣を取り出し、兵士たちの手に強引に握らせた。

『しかしなあ……』

ミπ`-)「あー面倒くせえ、こうしようぜ。俺とハインは両手を後ろに回す。あんたらがそれを掴む。
     これで何か盗んだりできないだろ? それで妥協できないなら、上司よりも先に俺が怒るぞ」

 キッドが両手を腰の剣に添え、兵士たちを睨みつける。

『ま、待て待て、わかった。見るだけだぞ』

『……まあ、開いている扉だ、少しならいいだろう』

从 ゚∀从「さすが話がわかるゥ!」

 そのようなやりとりを経て、ハインリッヒとキッドはショボンの研究室に堂々と踏み入ることができた。
 ……当然ながら、その名を世界に轟かす『科学者』。これは全て計画通りの出来事である。

ミπ`-)(これでいいんだな? ハイン)

从 ゚∀从(あァ、頼むぜキッド。手筈通りに)

64 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:55:36 ID:ODWv9E8E0

【基地内の一室】

 質素な部屋。デルタに与えられた部屋と同じように、ベッドとサイドテーブル以外には何もない。
 ベッドに寝かされているのは一人の女性である。眠っている彼女の顔や首には包帯が巻かれており、
 布団や衣服に隠れている部分にも、恐らくたくさんの傷が残っているのだろうと思われる。

川 - )

 名はクール=フォン=アイリッシュ。連合国軍中尉である。

(´・ω・`)「少し前に壊滅した大隊の唯一の生き残りだよ、クール中尉は」

( ФωФ)「ああ……デミタス大佐の。全滅と聞いていたが」

(´・ω・`)「全滅でも語弊は無いさ。彼女も再起不能だから」

 ショボンは淡々と話しながら、テーブル上のカルテを取る。

(´・ω・`)「軍属の病院じゃ手に負えないから僕のところに運ばれてきたんだけど、大変だったよ。
     生きてるのが不思議なほどの重体でね、骨をくっつけるだけで丸一日かかったんだ」

( ФωФ)「今はどのような状態なのであるか?」

(´・ω・`)「意識不明。回復の見込みたたず。簡単に言えば植物人間だね」

66 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 00:58:10 ID:ODWv9E8E0

( ФωФ)「ふむ」

(´・ω・`)「現代の癒術ではこれが限界だよ。『マクスウェル』ならなんとかなるかもしれないけど」

( ФωФ)「逆巻く悪魔『マクスウェル』か。確かに彼ならば不可能ではないであろうが……。
        それは置いておこう。何故、天使が彼女を差し出すように要求しているのか」

(´・ω・`)「これは予想だけど。彼女は何か、天使側の重要な情報を握っているんじゃないかな」

( ФωФ)「なるほどな。我々の駆逐よりも彼女一人を確実に消したいというわけであるか。
        我々を全滅させるという手段も、彼らは選ぶことができるはずだが……」

(´・ω・`)「自軍に被害を出したくないんだろうかね」

 静かに眠っているクール中尉。
 顔色は悪いが、ただ単に眠っているようにしか見えない。

(´・ω・`)「さて、じゃあ人員を呼んで担架を運ばせよう」

( ФωФ)「え? ……天使側の要求を、呑むのか?」

(´・ω・`)「何か反対する理由でも?」

( ФωФ)「人道に悖る」

(´・ω・`)「……ロマネスク少将、それは冗談で言ってるんだよね?」

67 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:01:04 ID:ODWv9E8E0

(´・ω・`)「この基地にいる千人単位の命を、一人の命で救えるならば、安いものだろう?」

( ФωФ)「命は数の問題ではない。我輩は、認められないである」

(´・ω・`)「いくら君が僕と同等の立場だとしてもだね、ここの兵士は僕の方の命令に従うよ。
     君の部下は、あの竜使いの若者ただ一人だけだ。多勢に無勢にもほどがある」

( ФωФ)「…………」

(´・ω・`)「ふふん。君、プラズマン中将のことがトラウマになっているんだろう? 違うかい?
     自分を守るために誰かが死ぬという事実に耐えられないんだ。馬鹿みたいだね!」

 ロマネスクは黙ってショボンを睨みつける。

( ФωФ)「……口論の暇はないである。どうしても中尉を差し出すというのであれば、我輩が阻止する」

 向けられた敵意に対して、しかしショボンは、軽薄な笑みを返す。

(´・ω・`)「それにしても、君はなかなか良いことを言うね」

( ФωФ)「え?」

(´・ω・`)「命は数の問題ではない、か――確かにそうだ」


(´・ω・`)「一人死んでも、千人死んでも、僕の心は痛まない」

68 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:05:03 ID:ODWv9E8E0

【ケノル駐屯地・正門】

( ∴)

 鉄仮面の天使が力強く立つのは、駐屯地正門前の石畳。
 粘土細工の類人猿に似た下位天使が二体、彼の両脇を固めている。

( ∴)

 鉄仮面とローブに覆われた姿からは、その内に秘められた真実を見抜くことはできない。

 彼の者こそが、ゼアフォー=サンダルフォン。

|  ^o^ |「われわれ 通訳します ぜあふぉー様 お話をしませんので」

|  ^o^ |「多機能言語ソフト内蔵 汎用型ブームFⅡ です 今後ともよろしく」

 担架を押すロマネスクが正門に到着すると、下位天使が揃って口を開いた。
 醜い口から発せられる言葉は、他種の下位天使に比べれば幾分か流暢なものであった。

( ФωФ)「今後ともは、よろしくしたくないものであるな」

|  ^o^ |「ただ一人 交渉の場に赴いて頂き ぜあふぉー様は感謝されています」

|  ^o^ |「上位天使 セブンスフィアが一領域 ゼアフォー=サンダルフォン様 名乗られています」

69 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:07:17 ID:ODWv9E8E0

 セブンスフィア。上位天使。
 これで、ロマネスクが対峙した上位天使は、トソン・ヒート・ギコに続き四人目である。

( ФωФ)(短い人生に四人もの上位天使に遭遇するとは、我輩の悪運も類稀なるかな)

 ロマネスクが押してきた担架は、布がかぶせられているものの、人の形に膨らんでいた。

|  ^o^ |「その担架 要求した人物 ですか?」

|  ^o^ |「引き渡してください」

( ФωФ)「その前に確認させてくれ。彼女を渡せば、貴殿らはこのまま立ち去るのだな?」

( ∴)

|  ^o^ |「疑義を抱くのは 当然ですが さんだるふぉんの名に懸けて 本当です」

|  ^o^ |「なぜ その人物 要求するのか それは言えませんが」

( ФωФ)「うむ」

 ロマネスクは頷く。元より、向こうの意志を疑ってはいない。
 天使軍の力量は圧倒的であり、わざわざ策略を巡らせる必要もないのだから。

( ФωФ)「よかろう。持っていくがいいである」

70 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:09:40 ID:ODWv9E8E0

|  ^o^ |「それでは 交渉成立ということで」

|  ^o^ |「お互いに 有益な取引が できて うれしく思います」

( ФωФ)「是非もない。合理的に考えれば最適解は自明である」

 ニ体のブームが前に進み、担架を抱え込んだ。
 ロマネスクは一歩引き下がる。


( ФωФ)「――だが、人間は時として不合理な選択をする」


|  ^o^ |「え?」

 素早くロマネスクは後退し、大剣を構える。
 切っ先を相手に向ける通常の構えではなく、鎬を向けて盾のように。

 その時、担架に乗せられていた物体が爆ぜた。

|  ^o^ |「な」

 閃光と黒炎が溢れだし、天使たちを呑む。同時に、幾千もの鋭い破片が飛散し、天使の肉体を切り裂いた。

71 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:11:56 ID:ODWv9E8E0

 灼熱に焼かれ、爆風に千切られ、金属片に貫かれ、二体の汎用型ブームFⅡは即死する。

(;ФωФ)「ぐっ!」

 後退していたとはいえ、その爆発はロマネスクの身にも及ぶ。
 大剣を盾にして防御するものの、いくつかの破片が身体に突き刺さり、風圧で吹き飛ばされた。
 何回か地面を転がってから手をついて勢いを殺し、剣を杖代わりに立ち上がる。

 これが人間側の答え、ロマネスクとショボンの策略であった。

( ФωФ)(覚悟していても……やはり痛いな)

 肩と太股から異物を抜き取るロマネスク。苦痛で顔が歪む。

 あちこちから騒々しい音が聞こえてきた。爆発を狼煙として、基地から第一陣の部隊が打って出たのだ。
 ロマネスクの役目は、この場に上位天使を釘付けにして、命令を与えさせないことである。

 砂塵と煙が薄れ、視界が明瞭になっていく。

( ∴)

 その向こう。上位天使ゼアフォーが、ブームの臓物や肉片に囲まれて立っていた。

(;ФωФ)「無傷……」

72 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:14:02 ID:ODWv9E8E0

 その衣服こそ血の色に塗れているが、外傷があるようには見えない。
 無感情で無機質な鉄仮面がロマネスクを見据えている。

( ФωФ)「上等である」

 大剣を振るい、心を奮い立たせる。

( ФωФ)「少しだけ付き合ってもらおう、ゼアフォー=サンダルフォン」

( ∴)

 ゼアフォーが頷く。それは、彼が初めて見せた反応であった。

 衣服がはだけ、ゼアフォーの腕が露出する。細い腕にはびっしりと紋様の刺青。

( ФωФ)「!?」

 言いようのない恐怖にロマネスクの皮膚が粟立った。
 そして――ゼアフォーが、初めて、言葉を発する。


( ∴)「『構築』」


 それは、古の魔法。
 世界の七領域を司る者にのみ許された、法則を書き換える力。

73 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:16:23 ID:ODWv9E8E0

【中央棟・司令室】

(´・ω・`)「……始まった」

 大きな爆発音。開戦の合図は、基地全体に響きわたった。
 今頃は、先陣を切った百人余りの兵士達が、天使軍に向け疾駆しているはずだ。

 司令室にはショボンに加えて数人の将校、そしてハインリッヒとキッドが詰めている。

『第一突撃隊は接敵後反転し、囮となって第二実験場および第三実験場に向かいます』

『第二隊は遊撃が主な役割、多数の悪魔を召喚し突撃隊の機動を補助します』

(´・ω・`)「うん。良い作戦だ。さすがにロマネスク少将は戦いに慣れてるなあ」

从 ゚∀从「実験場て、なんです?」

(´・ω・`)「ウォルクシアにはあまり知られたくないんだけどね……」

 渋々ハインリッヒに説明するショボン。

(´・ω・`)「この基地には兵器開発部の試作品を評価するための実験場がいくつかあるんだ。
     現在、第二と第三には魔導地雷がいくつか埋まっている。それを利用するのさ」

ミπ`-)「地雷ぃ?」

从 ゚∀从「初耳ですね、どんな機構を使ってるんですか?」

74 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:19:34 ID:ODWv9E8E0

(´・ω・`)「基本は貴女が開発した技術だよ、ハインリッヒ嬢。魔法の保存と再生さ」

从 ゚∀从「囮で誘い込む……ということは、敵味方を区別して起爆するんですか?」

(´・ω・`)「いや? そこまでの技術はない。単純に、踏まれたら爆発するだけ」

ミπ`-)「へー、そりゃ楽しそうだな」

从 ゚∀从「特攻隊ってわけですか」

『天使の方が図体が大きく、数も多い。地雷を踏むのはヤツらの方だ』

『無論、癒士班も常に待機させている。負傷兵の搬送は第五隊に任せている』

从 ゚∀从(……あの大軍相手に、負傷者を運び出す余裕なんてあるのかねェ)

 ハインリッヒだけではない。連合国軍の人間も、理解してはいる。
 この戦いは――無傷では勝てない。

 むしろ、大きな犠牲を払わなければ、勝てない。

ミπ`-)「ようし、俺たちも出撃するか。いいよな?」

(´・ω・`)「……まあ、構わないけど。人手は足りてないし」

(´・ω・`)「頼むから死なないでくれよ。責任問題になるから」

75 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:22:32 ID:ODWv9E8E0

 司令室を後にし、ハインリッヒとキッドは通路を歩いている。
 時折、がちゃがちゃと装備を揺らす数人の兵士とすれ違う以外には、静かなものである。
 二人にはもう監視役は付いていない。余分な人員が割けない状況になったのだろう。

从 ゚∀从「ッたく、こうなるなら苦労して盗んでくる必要もなかったなァ」

ミπ`-)「おいおい、そんな大声で喋っていいのかよ?」

从 ゚∀从「皆さんお忙しいから平気だろ、っと、すいませんねェ」

 大きな盾を山のように積載した台車が前方からやってきた。
 二人は壁際に身を寄せて、巨大な台車とすれ違う。

从 ゚∀从「キッド、お前はロマネスク少将のところへ行け。いい機会だし上位天使を見てこい」

ミπ`-)「いいぜ、そう言うのを待ってたんだ。んでもハインはどうする?」

从 ゚∀从「ツンを探す。この騒ぎでうやむやになる前に確保しねェとな……」

ミπ`-)「そういやそれも目的だったな。つーか、俺ら、無事で帰れんのか?
     あれか、いざとなったらハインの瞬間移動で脱出すりゃあいいのか」

 ハインの瞬間移動。その魔法は、先日『ユグドラシル』の下で行使されたものである。
 科学者は、インクレク村からウォルクシアまで二千五百キロ余りを一瞬で移動してみせた。

76 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:24:44 ID:ODWv9E8E0

从 ゚∀从「無理」

ミπ`-)「なんでだよ。石持ってくんの忘れたってんじゃないだろ」

从 ゚∀从「あの魔法は莫大な魔力を要求するんだよ、オレとお前じゃ全然足りねェ」

ミπ`-)「どれくらい移動できる?」

从 ゚∀从「せいぜい百から二百メートルだなァ」

 使えねえ、とキッドは唾を吐き捨てる。しかし、その表情に苛立ちはない。

ミπ`-)「とりあえず俺は――サンダルフォンとかいう天使を殺しに行くか」

 キッドは通路の窓を開け、枠に足をかけて身を外に乗り出す。

从 ゚∀从「おい、もう行くのか?」

ミπ`ー)「兵は神速を尊ぶ、だろ? お前が教えた言葉だぜ、ハイン」

 そのままキッドは枠を乗り越えて五階分の高さを落下した。
 ハインリッヒは窓から外を見下ろすが、既にキッドの姿はそこにない。

从 ゚∀从「お前のは神速っていうか拙速なんだよ、キッド」

 さて、とハインは背伸びをする。

 戦いは始まっている。そして、やるべきことがたくさんある。

77 ◆BR8k8yVhqg :2014/07/16(水) 01:28:57 ID:ODWv9E8E0

≪溶明。二人の会話は途切れず、空白を埋めている≫


l从・∀・ノ!リ人「儂の本当の名を、本当の声を知りたいか?」

( ФωФ)「いや、我輩にとってそれは重要ではない」

l从・∀・ノ!リ人「ああつまらん奴じゃ。後で教えてくれと泣いて請うても知らんぞ」

 赤い、小さな舌をちろりと動かす。

l从・∀・ノ!リ人「それでは、そろそろ始めようかのう。おいロマネスク、我が主よ、よろしいか」

( ФωФ)「是非もあるまい」

l从・∀・ノ!リ人「よかろう――振り落とされるでないぞ、今日の宴は少々荒っぽいからの!」


≪溶暗≫


 第十七話:【( ФωФ)は逃げられないようです】 前編 了


( ・∀・)悪魔戦争のようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1405431357/



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