まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 -3- ∬ _ゝ )にぶんのいちのようです( <_  )


 ※作者注 グロ注意
104名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:30:39 ID:Ha2pCARoO
陽は毎日登ってくる。
時間は毎日流れている。



あの日においてけぼりにされていても。









今日とてそれは変わらない。


.


105名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:33:21 ID:Ha2pCARoO



∬´_ゝ`)「妹者、そろそろヘリカルちゃんを迎えにいかないと遅刻するよ」


壁掛け時計が7時23分を指している。
学校まで妹者の足で約20分。
8時まで余裕を持って行くならそれそろ出ないと危ない時間だ。


l从#・-・ノ!リ人「むぅ…わかってるのじゃ!今行こうと思ってたのじゃ!」


茶碗を持ったまま妹者がむくれた。
残っていたごはんと玉子焼きを乱暴に口に放り込むと、食器をテーブルに放置して椅子の背にかけていたダッフルコートを羽織る。
そして、すぐ脇に置いてあったランドセルと手提げをむずりと掴んだ。
パタパタとスリッパを盛大に鳴らし玄関に向かって猛進する。
いつもならここで行儀作法にしこたま厳しい母者の怒声が飛ぶのだが、幸い今日は早番の仕事に出掛けてすでにいない。
私も片付けを後回しにしてあるものを手に取ると、妹者の後をゆっくりとした歩幅で追いかけた。

106名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:35:42 ID:Ha2pCARoO
妹者が靴を履いたところで追いつくと、サンダルを履き一緒に玄関を出る。
サンダルから覗く爪先から全身に冷たさが伝播した。
体温との落差にぞわりと鳥肌が立つ。


∬´_ゝ`)「あ、妹者ちょっと待って」


門のところでぶすくれたまま行こうとする妹者を呼び止める。
乱れてしまっている髪を手櫛で直してあげて、白くてもふもふのイヤーマフを耳にセットした。
最後にそれとお揃いの手袋も手にはめさせる。
どちらも誕生日にプレゼントして以来、ずっと妹者のお気に入りのものだ。


∬´_ゝ`)「今日は格別に冷えるらしいからつけていきなさい」


ね?と顔を覗き込むと、一瞬で膨れていたほっぺが萎んだ。
代わりに可愛らしい照れた笑顔が戻ってくる。
機嫌が直って安心した。
私も笑って、促すように妹者が背負っていたランドセルをぽんっと叩いた。


∬´_ゝ`)「はい、いってらっしゃい」

从O*・∀・*O人「ふふ、あったかいのじゃ!姉者ありがとうなのじゃ!いってきまーすなのじゃぁー!!!」

∬;´_ゝ`)「ああっ、そんなに走らないの!帰りに誰かと遊んでくるならちゃんと電話しなさいねー!」


近所中に響くような声に少しびっくりする。
ご機嫌になり過ぎたみたいだ。
手袋をはめたばかりの手を大きくを振り、白い息をつきながら小走りで門を出ていく。
整えたばかりの髪がふわふわと動きに合わせて揺れていた。
角を曲がって姿が見えなくなるまで見守る。
よくある朝の光景だった。



ただ。





一緒に見送ってくれる弟者がいないだけ。


.

107名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:38:36 ID:Ha2pCARoO
妹者が無事に出ていったのを見届け、家に戻る。
両親は仕事、妹者は学校。家中ががらんと静まり返って物音ひとつしない。
自覚した途端に、対人用に入っていたスイッチがオフに切り替わり始めた。
身体が鉛を詰め込んだみたいに一気に重くなる。
ずるずると鈍い動作でどうにか台所に向かうと、テーブルに残った食器を片付ける。
洗う、拭く、しまう。事務的に作業を淡々とこなす。
最後まで引きずられないよう無心になるよう努めた。


なのに。


ガチャンッ!


∬;´_ゝ`)「…っあ!」


うっかり洗いかけの妹者の茶碗を洗い桶に落としてしまう。
幸い欠けはしなかったが、予想外の出来事だったせいで張り詰めていた感情が少し綻んでしまった。
気持ちを押さえていても、どんなに意識を違うところに飛ばそうとしても、自分が出す音以外聞こえない状況下では限界がある。
段々と一点を残してぼんやりと霞んでいく。


最後の一枚をしまい終える頃にはもうほとんど傾いていた。


.

108名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:40:28 ID:Ha2pCARoO
今度は棚から朱色の丸盆を取り出す。
仏飯器にごはんをよそって、仏茶器にお茶を入れ、お盆の上に置くと歩き出した。
時々振動で漆塗りの表面を滑る仏器を落とさないよう、慎重に歩を進める。
たった数メートル離れた目的地に辿り着くのも、言うことを聞かない身体では一苦労だった。
ぴったりと閉じられた扉。
深呼吸をひとつ、私はそっと仏間の鍵穴に鍵を差し込む。
かちゃり、狭い世界の開く音がした。
重く感じる戸を引いて、足を踏み入れる。
正面に真っ先に見えた笑顔の写真。



【(´<_` )】



おはよう、弟者。



今日は一段と冷えるね。



夜から雪になるかもしれないんだって。



∬´_ゝ`)「…………」






どんなに話しかけたって、所詮独り言だ。


.

109名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:42:54 ID:Ha2pCARoO
部屋にはいるとすぐに内鍵を閉め、目覚まし時計に手をかけた。
アラームを妹者の授業が終わる時間にセットする。
あの一件があっても、私は仏間にずっと入り浸るのをやめなかった。
妹者の発作の理由はわかっている。それならば起こさないよう慎重になればいい。
人として最低な自覚はあっても、中毒を起こした思考は躊躇を軽く凌駕して勝手に身体を動かしてしまう。
ごはんとお茶を供えて、短くなった蝋燭を真新しいのに取り替えて火をつける。
線香を一本、半分に折って長香炉に横たえた。



∬´_ゝ`)



揺蕩う、灯り。


燻る、白煙。


溢れ返る、記憶。


ずくんと、痛む頭。



∬ _ゝ )



今日も愛おしいあの子への。








長い長い懺悔が始まる。


.

110名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:44:17 ID:Ha2pCARoO
近頃は弟者を訪ねてくる人はほとんどいなくなってしまった。
これではいけないと、アルバムをありったけ大量に持ち込み、生まれた時からの思い出をずっと弟者に話しかけていた。
楽しかったことばかりが詰まった写真たち。
直視すると、全身ひどい痛みに襲われた。
でも、懐古すればいつでも弟者に会える。
それ以上に弟者から取り上げた日々を後悔した。
板挟みの想い。
本当の比重はどちらに向いているのか、自分でもわからなくなる時がある。


∬ _ゝ )「これ、退院の時だ…。弟者、未熟児ですごく小さくて…しばらく保育器に入ってたんだよね」


積んであった山から一冊手に取って一番最初のページを開く。
そこには病院の玄関先で母者に抱かれた赤ちゃんの弟者がいた。
私は父者に抱かれ、弟の退院を喜び笑っていた。


.

111名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:45:25 ID:Ha2pCARoO



∬ _ゝ )「ほら、初めて立った時の写真。母者たちにじゃなくて真っ先に私に向かってきたんだって。しかも頭ごっつんしてさ、二人で大泣きしちゃってるよ」


写真の下のコメントにそう書いてあった。
掴まり立ち、そして一歩踏み出した弟者。そこに見切れている私。
次に頭同士がぶつかったせいで目を真ん丸にしているきょとん顔が。
最後に顔中これ以上ないくらい真っ赤にして、大口を開けて泣きべそをかいている二人が一連で貼られている。


.

112名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:49:02 ID:Ha2pCARoO



∬ _ゝ )「母者…あんまりいたずらが過ぎたからって、幼児を柱から紐で繋ぐとかないわぁ…」

∬ _ゝ )「しかも……二人して満面の笑顔とか…もっとないわぁ…抵抗しなさいよ私たち…」


何か二人でやらかしたのだろう。
家で一番太い柱に浴衣の帯らしきもので犬のように繋がれている。
お仕置きをされているくせに、無垢な表情で楽しそうに顔を見合わせていた。
小さい小さい弟者。
小さい小さい私。
いつも一緒に写っていた。
いつも一緒、離れたことなんてない。


∬ _ゝ )「これ年中さん、だったかなぁ…?桃太郎役、モラくんと取り合いになったの覚えてる?大喧嘩しちゃって大変だったなぁ」

∬ _ゝ )「ランドセル、色が私のと違うって6年間密かに根に持ってたの、実はショボくんに聞いて知ってた」

∬ _ゝ )「3年生の最後のリレーのアンカーでブーンを抜いて一位になって…それからだよね、もて始めたの…」


ぎちんっ、ぎちんっ。
ざざざっ、ぎしっ、ぎっぎっ。
ざわざわ、ページを捲るたびに身体中が五月蝿い。

113名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:51:16 ID:Ha2pCARoO



五月蝿い。


五月蝿い。


ああ、うるさいよ。



∬ _ゝ )「………ラブレター、ずぅーっと来るからこっそり捨てるの苦労したなぁ…」


∬ _ゝ )「……あー…ストーカーみたいで気持ち悪いよね?知られてたら絶対嫌われたんだろうなぁ……」


爪に軋む畳は、底に貫通しそうなぐらい抉れている。
赤茶や赤黒い斑点で汚れて、見るに耐えない色をしていた。
私はそれ以上に汚い。
絵の具を全色混ぜたみたいにぐちゃぐちゃで、得体の知れない汚い存在。



きもちわるい。



おぞましい。


.

114名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:52:41 ID:Ha2pCARoO



∬ _ゝ )「………びっぷ、ゆうえんち、だ」


ジェットコースター。
メリーゴーランド。
お化け屋敷。
コーヒーカップ。
ここの乗り物は全部一緒に制覇した。


∬ _ゝ )「……あ……かんらんしゃ」


あの遊園地の観覧車は作りも景色も世界一だと謳われていた。
ゆっくり円を描いて回る木目調の大きな車輪、小さくてカラフルなゴンドラ。
てっぺんにいる時は青空が本当に近くて、少し手を伸ばしただけで触れられるんじゃないかと錯覚するほどだった。
そんな高さなのに、ふざけてちょっと揺らすと怒られた。
さらにふざけてその顔を写真に収めようとカメラを構えてみれば、レンズ越しに弟者が不敵な笑みを作る。
それじゃ意味がないと膨れて見せれば、反対にカメラを奪われみっともない顔がデータに刻まれた。
不細工に写っていても、やっぱりどこか楽しそう。



ずっと、楽しかったね。



ずっと、楽しいことだけでいられたらと願っただけなのにね。



当たり前を欲しがっただけ。



何の罪があったと言うのだろうか。



ああする以外に。



私たちは。


.

115名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:53:28 ID:Ha2pCARoO








【(´<_` )】








.

116名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:55:41 ID:Ha2pCARoO
遺影の弟者はいつでも笑う。
微動だにもせず、じっとじぃーっと笑っている。
顔色を変えず、表情を変えずただただ笑う。
もう、どこにもいないんだ。
私が殺したから当然だ。
あの日、冷たい冷たい水の底に置き去りにした。
あの子が繋いだ白色の約束を、勝手に振りほどいたのは私だ。
泣きたい。
今すぐ声を上げて、心の底から泣いてしまいたい。
そんなの、考えるだけで間違ってる。
泣いていいと弟者が許したか。
一言たりとも届かない謝罪で何を許されたというのだ。



許さない。



∬ _ゝ )「………お、とじゃ?」



許さない。




許さない。




許さない




責め立てる谺は鳴り止まない。
一回二回と繰り返される度、胸がギリギリと締め上げられる。
瀬戸際に追い詰められていく精神。
重圧に押し潰され耳を塞ぎ、目を瞑った。
真っ暗よりもずっと深い闇が一面に広がって。
とぷん、身体があの黒い水に浸かっていく。


.

117名も無きAAのようです :2013/01/09(水) 23:58:10 ID:Ha2pCARoO



ず、ずっ、…ざががっ…。



ずずっ、ざ…ずざっざがざざ…ずさざっざぁ…っ。




ざざ…ずっ…ぎっ……ずっ、ず…。


肉を引きずる音が部屋中に聞こえる。


(メ゚<_%"。.)


傷だらけの弟者が睨んでいる。
より肉がどろりと溶け、一層骨が剥き出しになり、弟者の身体は日に日に腐敗が進んでいた。
私が手間取っているせいで、弟者が崩壊から解放されないのだ。


ごめんなさい、ごめんなさい。


ひたすら頭を地になすりつけて謝る。
裸足の足が頭を目一杯踏みつけた。
皮膚に砂利が食い込んで、じわじわ裂ける感触がする。
これは序の口だ。
弟者が感じた悲しみや怒りには到底届かない。

118名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:01:01 ID:eym1uNSYO



俺から簡単に逃げる程度にしか愛してなかったんだろう?
こんな言葉、何の足しにもならないじゃないか。
忘れたいんだろう?
あの日の水の冷たさを、苦しさを、全て忘れてしまいたいんだろう。


ぼたり、崩れた死肉が頬に伝う。
低い声で問われて、力一杯かぶりを振った。


違う、そんなはずない。
私はあの日を一生忘れない。
忘れないからここにいる。
弟者だけを愛してるからここにいるんだよ。
ほら、見て?これが証。


約束の小指を慌てて千切って目の前に差し出す。
それを弟者は一瞥しただけで床に投げ捨て足で踏み潰した。


そうだ。忘れるなんて絶対に許すものか。
こんなもので何が証明出来る。
たかが小指一本で俺を騙すつもりか。


再びかけられた冷たい声音。
傷だらけの手にぎらりと構えられる大きな赤い鎌。


わかっている。
何があろうと弟者が、愚かな罪が私の中から消えることはない。
でも、信じてほしい。
愛しているよ。
永遠に弟者が大好きだよ。


首に突きつけられた鎌。
切っ先が食い込み、血が筋になって落ちた。


.

119名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:03:22 ID:eym1uNSYO
忘れない。
愛してる。
一生、いっしよ…に…っ。


無言で睨まれ言葉を噤んだ。
いきなり顎を掴まれ口に鎌が押し込まれる。
許容範囲を優に超えた巨大な刃物を含まされたのだ。
途轍もない痛みと共に、切り取られた肉片とおびただしい量の血が口と鎌の端からボタボタと地面に垂れ落ちた。
必死に首を振り、震えながら刃を握り締め、どうにか取り去ってくれるよう弟者を見上げた。
血とは違う透明な雫がまぶたに降ってくる。
次の瞬間、懇願は聞き入れることなく罪が詰まった身体はバラバラになっていった。
真っ赤に、真っ赤に染まる視界。



∬ _ゝ )「……あ、…あぁあ…ぅえ…ひっ…あ゙ぁ゙ぁ゙…!」


震える腕でアルバムを抱き締めた。
散らばる四肢がじくじく痛い。
巻き散らかされた臓物がぬらぬら血を纏う。
みしり、みしり、私の全部が悲鳴を上げている。


でも誰より一番悲鳴を上げているのは。


誰より一番つらいのは。


何の罪もなく死ななければならなかった。






(メ;<_%"。.)







弟者に決まってる。


.

121名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:05:49 ID:eym1uNSYO





……ポーン!








∬ _ゝ )「うぁ゙…ぁぁぁ…うぐ…はっ、はっ、ぁぁあああ…あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙っ!」



.

122名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:07:08 ID:eym1uNSYO





…ーンポーン!








∬ _ゝ )「あ、あ、ああああ、うぁ…あ゙ぁぁぁ!」




.

123名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:07:56 ID:eym1uNSYO




ピーンポーン!




∬ _ゝ )「あ……ぁう……っ、あ…ぁ゙ぁ゙あ………あ゙が…?」



.

124名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:10:30 ID:eym1uNSYO



ピーンポーン!



∬ _ゝ )「あ゙ぁ゙…?うぁ、ぁ…ぁぃ…あ゙…」


繰り返し鳴らされる呼び鈴に、深淵を彷徨っていた意識が徐々に戻ってきた。


∬ _ゝ゚)「あ゙…は……だ、…れぇ……?」


幻が次々消えて、残されたのは私と仏間と呼び鈴の機械音。
なんとか視線を上げて時間を確認する。
目覚まし時計は10時41分を差していた。
まだまだ妹者が帰ってくる時間には程遠い。そもそも妹者がチャイムを鳴らすはずがない。
珍しくお客さんがきたのかもしれない。
まだ力の入らない手でどうにかアルバムを山に積み直す。
その時畳の引っ掻き傷が目に留まった。
血がついて気味の悪いそれを見咎められるのが嫌で、近くに置いてあった来客用の座布団で出来るだけ隠す。
おかしいところを何とか取り繕うと、重く鈍った身体を引きずって壁伝いに玄関に向かった。
いつもの何倍もの時間がかかってしまう。


その間に諦めて帰ってくれていればよかったのに。



ピーンポーン!



ピーンポーン!



ピーンポーン!



私が戸を開けるまで、チャイムはしつこくずっと鳴り続けていた。


.

125名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:15:01 ID:eym1uNSYO
ようやく到着して、よろつく動きで引き戸を開けた。
からからと乾いた音と共に、びりびりと刺すような空気が肌を撫でた。


( ・∀・)「やぁ、久しぶり。元気してた?」


そこにはさっき写真で幼い頃を見たばかりの幼馴染みのモラ君、モララーが立っていた。
会うのは何ヵ月ぶりだろうか。


( ・∀・)「元気、じゃあないみたいだねぇ…ひっどい顔してる」

∬;´_ゝ`)「…ぇ……は?」

( ・∀・)「コールタールみたいな顔色といい、パーツの均整が取れてない造形といい、全く見るに耐えないね。整形し損ねたのかい?」


会って早々これだ。
顔は並みのアイドル以上に整っているのに、相変わらず性格が底辺な奴だと思う。
そんな輩と何年も仲違いすることなく付き合ってきた私も、大したことを言えた義理ではないけれど。


∬;´_ゝ`)「……生まれつきこの顔ですが何か?まあ、くそ鬼畜イケメンのモララー様から見たらみーんなじゃがいも顔ですけどねぇ…」

( ・∀・)「なーんだ、嫌みが返せるなら大したことないね。そんなことよりさっさと家に入れてよ。僕を凍死させる気?」

∬;´_ゝ`)「…は?」


奥を指差されて一瞬言葉につまった。


.

126名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:17:32 ID:eym1uNSYO
確かにわざわざ家に来たのだから当然上がっていくのも当然予想出来た、はず。
今までだって普通に訪問を歓迎していた。
けれど今日は何故だか胸の奥が嫌な意味で揺さぶられた。
理由は全くわからない。でもどうしてもモララーを家に入れたくなかった。


∬;´_ゝ`)「…あ、え?何、入っていくの?見ての通り具合悪くて……くそ鬼畜様には即刻立ち去ってもらいたいんですが……」

( ・∀・)「お前ねぇ…こっちはお客様だつーの」

∬;´_ゝ`)「確かにそうなんだけど…ここ何日もまとも部屋片付け出来てないのね。腐海並みに散らかってて足の踏み場もないし…絶対無理なんだって…ごめん…」

( ・∀・)「ふーん……」


会瀬に浸り過ぎて身体に力が入りづらくなっているとはいえ、接客を出来ないほどではない。
部屋が汚いのなんて完全なる嘘だった。
じろじろと粗を探るように見られる。
粗末な嘘に騙されてくれることを祈りながら、モララーの無言の追求に素知らぬ振りを作る。
明らかに浅慮が過ぎた。
なんとかなるかと、聡いモララー相手に少しでも考えた時点で勝算なんて決まっていたのに。


( -∀-)「………ふぅ」

∬;´_ゝ`)「本当に…ごめん…」


瞳を伏せ、これでもかと思うほど重くため息をついた。
諦めてくれたかと思い、謝ったのもつかの間。



.

127名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:18:06 ID:eym1uNSYO




( -∀-)「……………妹者ちゃん」






楽しそうな声音が妹の名を呼んだ。


.

128名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:19:19 ID:eym1uNSYO
それだけで意味がわかった。
最終手段にその名前を口にしたのだと。


( ・∀・)「僕は口が軽いからねぇ…」


再び開いた双眼に射抜かれる。
びくりと背筋に電流が走る。
あからさまな反応にモララーはにたりと嫌な笑顔を浮かべた。
さらに念押しとばかりに、しーっと口元に指を一本立てて秘密なんだろうと煽ってくる。
冷たい汗が浮くのがわかった。
しまったと思っても、もう遅い。
弱味は晒されてしまった。
逆らえない。
抗えば確実に脅かされる。


∬;´_ゝ`)「脅すつもり?」

( ・∀・)「んー…まぁ、君に脅される要素があるならそうなんだろうねぇ」

∬;´_ゝ`)「……………人でなし」

( ・∀・)「どうとでも。ほら、さっさとそこを退いてくれないか。弟者に線香を上げたいし、いろいろ積もる話もあるからねえ…ふふ…」


力のない嫌みが虚しく脅迫の上辺を薄く撫でる。
ぐいぐいと強引に家に押し込まれて、二人の身体が収まったのと同時にピシャリと完全に戸が閉められた。


.

129名も無きAAのようです :2013/01/10(木) 00:20:44 ID:eym1uNSYO



何度でも言える。さっさと帰ってくれていればよかった。
話をせず、すぐにでも追い返しておけばよかった。
弱いなりにきちんと二人の間であの戸を隔てられていたら、きっと何も変わらなかった。
後悔は結局後ろからしかついてこないから後悔だ。
どう足掻いたって取り返しがつかない。
あの日壊れ止まった車輪は直らないまま回り出してしまった。
あちらこちらをひたすら傷つけて、出来てしまった亀裂はあとは流れに任せて広がってしまうばかり。
ぽろり、ぽろり、破片をばらまき膿爛れて朽ちていく。



だからといって。



今さら、どうしろというのだ。



三年前から。










もう、何もかも遅過ぎたというのに。


.


∬ _ゝ )にぶんのいちのようです( <_  )
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1356440553/1-



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