まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ('A`)メリー・クリスマスのようです

304名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:20:00 ID:r6Zwjnl.0
 
('A`)メリー・クリスマスのようです




12月25日。

クリスマスの朝を俺は特に変わったこともなく迎えた。

('A`)「あ、そういや性の六時間のことすっかり忘れてた」

性の六時間にはネットの掲示板で顔も知らない同類たちと傷を舐めあうつもりだったのに。

('A`)「昨日疲れててすぐ寝ちまったしなー……」

溜まった仕事を処理し、家に着いたのは昨夜11時ごろ。
疲れ果てて帰宅した俺はシャワーを浴びるとすぐに眠り込んでしまっていた。

('A`)「なんか最近学生時代に比べて無茶がきかなくなってきたな……」


こんな時、誰か労ってくれる彼女でも居てくれたなら――。


心に僅かに浮かんだその考えを、軽く頭を振って払いのけた。


305名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:21:44 ID:r6Zwjnl.0
 
スーツに着替えて外に目を向ければ、窓ガラスを猛烈な吹雪が叩いていた。

('A`)「うわ、すげー吹雪いてるし……めんどくせぇ」

『ホワイトクリスマス』という言葉が俺は何より大嫌いだ。

生まれてこのかた27年、ずっと国内でも屈指の豪雪地帯で過ごしてきた。
当然、雪の負の側面は嫌というほど知り尽くしてる。

『ホワイトクリスマス』? 「ロマンチック」だぁ?

テメェらこの辺の轟々と吹きすさぶ風と前が見えない程の降雪の中でもそんな寝言ほざけるのかコラ。
恋人とでも抱き合いながら吹雪のお外で最低でも二時間はたっぷりと雪のロマンチックさとやらを堪能してから出直してこいと言いたい。


(;'A`)「……って、もうこんな時間じゃねーか! 会社に遅れる!」

ふと壁の時計に目をやると、とっくに家を出てないといけない時刻になっていた。
マズい、誰に向けるでもない怒りなんか沸き上がらせてる場合じゃなかった。

置いてあった食パンを何も付けずに口の中にねじ込むと、表面が撥水加工されたコートを着込み、頼りない安物の傘を片手に急いで家を出た。

306名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:23:30 ID:r6Zwjnl.0

(;'A`)「くあー、寒ィ……」

吹き付ける風は重力を無視してみぞれを横合いから思い切り叩きつけてきた。
横から来るのではコートと傘でカバーし切れない部分も出てくる。スラックスはみるみるうちに氷雪に染まっていった。
 
会社までは徒歩約15分。
間違いなくこのスラックスはそれまでには使いものにならなくなるだろう。

まぁ社内の自分のロッカーに替えのスーツはあるから別にどうでもいいっちゃいいのだが……。

(;'A`)「やっぱ寒ィよ……」

そこにたどり着くまでの15分、濡れた衣服で寒風にさらされることに違いはない。
ギシギシと今にもヘシ折れんばかりにたわむ傘の柄を握りしめ、確実に体温を奪われながら一歩一歩猛吹雪の中を進んでいく。


(;'A`)「あー、やっと着いた……。結局20分もかかっちまった」

暖房のきいた社屋に入り、やっとひとごこちつく。

すぐにロッカー室で替えのスーツに着替え、今まで着ていたそれをビニール袋に適当に押しこむ。
水分を含んだ布の塊はけっこう重たかった。

('A`)「ま、ちょうどクリーニングどきだったしな。ちょうど良かった――と、考えよう」

適当に自分を慰め、今日も今日とてつまらない仕事を処理しにデスクへと向かった。

307名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:26:01 ID:r6Zwjnl.0

昼休み。
 
('A`)「お、この『サムゲたん風地中海サラダラーメン』、結構アタリだな」

俺は休憩室に備え付けのテレビを見つつ、すぐ向かいのコンビニで買ったカップ麺をすすっていた。

( ・∀・)「うーす。あれ、ドクオ一人?」

そう言って入ってきたのは同期のモララーだった。

('A`)「おーす。まーな、お局様をはじめ女子社員様達は今日はお休みだよ」

多趣味で社交的、顔も悪くない――まぁ、端的に言えば『リア充』に分類されるような奴だった。
かと言って俺みたいな非リアにも分け隔てなく接するあたり、俺よりもずっと人間が出来ている。

なんでまたコイツがクリスマスに出勤なんてしてるんだ。

( ・∀・)「今日は平日だ。社会人にクリスマスもクソもあっかよ」

('A`)「そりゃそーだ。つーか、むしろなんで女性陣がみんな休みなんだ」

( ・∀・)「なんか社長夫人の絵の展覧会だったか何かがあってそっちに行かされてるんだと」

('A`)「ふーん、流石よく知ってるねぇ」

( ・∀・)「女子社員の友達から聞いたんだよ」

('A`)「そりゃ女性社員と事務的会話以外したことのない俺へのあてつけか」

( ・∀・)「かもな」

308名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:27:28 ID:r6Zwjnl.0
 
('A`)「ケッ。どーせ俺は昨日も今日も予定なんてありゃしませんよーだ」

( ・∀・)「そいつぁお気の毒。彼女くらい作れよ」

('A`)「『よし、彼女作ろう!』で作れたら苦労してねーよ。お前には分からんかもしれないけどさ」

( ・∀・)「ま、精々頑張れよ。独りで過ごすクリスマスほどみじめなもんはないぜ?」

('A`)「余計なお世話だ馬鹿野郎」

へいへいサーセン、と言い残してモララーは休憩室から出ていった。


テレビでは女性アナウンサーがカップルだらけの通りで何かを喋っていた。
デートにオススメの名スポットか何かを紹介しているらしかった。

「恋人と過ごさなければ人にあらず」とでも言うかのような口ぶり。
画面の向こうの晴れた首都の風景が、余計に俺を苛立たせた。


('A`)「独りで過ごすクリスマスほどみじめなもんはない、か……」

モララーが去り際に吐いていった台詞が、やけに心に刺さった。

俺の小さなつぶやきは、窓を叩く風と雪の音に埋もれて消えていった。

309名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:29:28 ID:r6Zwjnl.0

昼下がり。

取引先との打ち合わせの為に、俺は街を走っていた。
と言っても今度は社用車での移動だから、風雨に苦しむことはない。

ゆるやかに流れていく街の景色。
朝よりはだいぶ風も雪も弱まっているらしい。

赤信号に捕まり、ゆっくりと車を止めた。
ふと道端に視線を移せば、合羽を着た小学校低学年くらいの子供が傘をさす母親に手をつながれて歩いていた。

子供がつないだ手とは逆の手で大事に抱えてる箱はケーキだろうか。

('A`)「クリスマスケーキ、か……もう何年も食ってねぇな」

そういえば実家にいた頃は毎年食べていたが、就職し一人暮らしを始めてからはとんとご無沙汰だ。

('A`)「と言ってもけっこう高いんだよな、ケーキって……。一人で食っても味気ないし」

('A`)「――恋人でもいりゃ、買ってたのかもな」

信号が青になる。

車を発進させながら、まだ点灯されていないイルミネーションで飾られた街路樹を眺める。

寒空に佇む木々は、何故だかやけに色がくすんで見えた。

310名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:31:29 ID:r6Zwjnl.0
 
午後五時。

会社に戻った俺は、残っていた仕事を片付けていた。

('A`)(けっこう良いペースだな。この分なら今日はそう残業しなくても良さそうだ)

久しぶりに早く帰れるかも、という期待がさらに手を早めた、そんな時。

(´・ω・`)「鬱田くん」

(;'A`)そ「はいっ! え、ショボン課長?」

声をかけてきたのはショボン課長だった。

(´・ω・`)「話がある。ちょっと一緒に会議室まで来てくれ」

(;'A`)「は、はい……」

ショボン課長の後ろを歩きながら、俺は必死で頭を巡らせる。

ショボン課長が声をかけてくる時は、大抵がお小言と相場は決まっている。
けど、ここ最近怒られるようなヘマをした覚えはない。

てことは、まさか……。

いやいやいや、待ってくれ。
この歳でハロワ通いなんて願い下げだ。

いやでも、もしそうだったらまずは失業保険の申請を――。

311名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:32:47 ID:r6Zwjnl.0
 
(´・ω・`)「鬱田くん」

(;'A`)そ「は、ひゃいっ!」

気が付いたら、俺と課長は会議室のパイプ椅子に腰掛けていた。

いつの間にやら目的地に着いていたらしい。

(´・ω・`)「じゃあ、早速だけど本題に入ろうか」

(;'A`)「はい」

ゴクリと生つばを飲み込む。

まさに固唾を呑んで見据える中、ショボン課長はゆっくりと唇を開いた。


(´・ω・`)「おめでとう。君の昇進が決まった」


(;'A`)「…………えっ?」


飛び出したのは、思ってもみなかった言葉だった。

312名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:34:03 ID:r6Zwjnl.0

(´・ω・`)「昇進だよ。ちょっと時期はずれだけどね」
 
('A`)「……昇進? 俺が、ですか?」

(´・ω・`)「ああ。年明けの初仕事付けで正式に昇進だ。来春からは部下も付く。勿論給料も上がるよ」

('A`)「は、その、……ありがとうございます」

(´・ω・`)「ああ、おめでとう。どうだ、この後お祝いに呑みに行かないか。勿論私の奢りだ」

('A`)「え、ええ。ありがとうございます」

(´・ω・`)「あ、でも今日はクリスマスだったな。もし予定があるなら……」

('A`)「いえ、大丈夫です。行かせて頂きます」

(´・ω・`)「そうか、なら仕事が片付き次第行こう。あとどれくらいで終わりそうかな?」

('A`)「多分、もう10分くらいで……。あ、でも行く前に一旦家に帰ってもいいですか? 途中でクリーニングも出さなきゃですんで」

(´・ω・`)「勿論構わない。では先に駅前のいつもの店で待ってるよ」

('A`)「ありがとうございます。では失礼します」


深々とお辞儀をして、俺は会議室を出た。

313名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:35:18 ID:r6Zwjnl.0
 
残っていた仕事は5分ほどで片付いた。

荷物を手早くカバンに詰め、ロッカーから濡れたスーツを押し込んだビニール袋を回収して会社を出る。

いつの間にか風と雪は止んでいた。


サクサクと雪の薄く積もった歩道を歩く。

足取りは軽い。

少しの間を置いて、ようやく喜びが胸の内からふつふつと湧き上がり始めていた。

.

314名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:37:04 ID:r6Zwjnl.0
 
そうだ、俺は何を悲観していたんだ。

クリスマスに恋人と過ごさなければいけないなんて、誰が言い出した?

クリスマスに一人の奴は良い事が起こらないなんて、誰が決めた?

クリスマスを恋人と過ごさない奴は楽しい気分でいてはならないなんて、誰が思い定めた?


辺りはすっかり暗くなっていたが、雲の切れた地平線近くの空はまだうっすらと紅さを湛えていた。

歩く大通りの街路樹はイルミネーションが輝き、きらびやかに街を飾っていた。

家に着いたら、前祝いにとっておきのワインを、一杯だけ呑もう。

つまみには、ちょっと前に貰った高級なナチュラルチーズがピッタリだろう。ワインとチーズのマリアージュだ。

気持ちはどんどん高揚していった。こんなに楽しい気分で帰宅するのは、どれくらいぶりだろうか。

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315名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:38:45 ID:r6Zwjnl.0
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なんのことはない。

結局、クリスマスをつまらなくしてたのは、他ならぬ自分自身だったのかもしれない。


だったら今、俺は心からこの言葉を言おう。





('∀`)「メリー・クリスマス」






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316名も無きAAのようです :2012/12/25(火) 21:39:59 ID:r6Zwjnl.0
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世界が止まって見えるのは、僕らが心を止めたとき

僕らが心を動かせば、世界はいつでも踊りだす












('∀`)メリー・クリスマスのようです

                   終わり



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(ヽ'ω`) ブーン系鬱祭りのようです
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1352205445/304-



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