まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 「日本を舞台に中世っぽい戦記ものをやりたかったようです」


96 :VIPがお送りします :2013/10/21(月) 09:26:33.44 ID:ZzVxOTSE0
暇だから没ネタ投下すっかな

99 :VIPがお送りします :2013/10/21(月) 09:54:03.65 ID:X1FbAg7o0
>>96
あくしろよ


100VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:00:24.20 ID:ZzVxOTSE0
「日本を舞台に中世っぽい戦記ものをやりたかったようです」


 人間という生き物は、本質的には決して他者と相容れる事などないというのが私の考えだった。

 しかし、それは単に私自身による過ぎた思い込みであるのだと―――
 あるいは間違いであって欲しいとさえ願った時期も確かにあったのだ。
 皮肉にも、かつての私の考えこそが正しかった事は、図らずも証明されることとなるのだが。

 他者とは、なにも種からして異なる生き物ばかりを指している訳ではない。
 同じ環境に住み暮らし、同じように知能を持った人間でさえもが、いがみあい、奪い合う。
 自らを霊長の長とうそぶきながら、知性を持ち増長した猿たちは、退化の一途を辿っていったのだ。

 それに比べて、野を駆け巡っていた動物、草花、昆虫や微生物すら――どれもが善良な種に思える。

 彼らは縄張り争いの為に命を賭けて戦う事もあったが、すべては糧を得るため、種の存続のため。
 人間のように、意味も持たず他の命を奪う事は決してしない。闘争の全ては、後世を見据えての事だ。

 みな誰もが、何かを遺す為に。

 足を持たないものは他の生命の力を借り受けて、またあるものは過酷な環境に自ら適応して。
 そうして、種の保存こそを生きる意味と見出していたであろう彼ら動植物達は、
 自然の用意してくれた環境の中で時に淘汰されながらも、学び、生き抜く術を掴みとっていった。

 我々とは、真逆だった。




101VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:02:56.89 ID:ZzVxOTSE0
( ´∀`)「現存では、おそらく最後の写真かな」

 ディスプレイに映された美しい自然の風景を眺める内、思わず笑みがこぼれた。

 この星のどこで撮影されたものか、誰が撮影したものかも分からない。
 ただ綺麗だと感じて保存しておいた、デスクトップの片隅に残された画像ファイル。
 それのタイムスタンプには確かに、旧西暦でいう”2036”が刻まれていた。

 時計の針が止まる以前の写真だ。

 全てのネットワークと隔絶された、恐らくこの世で最後の端末。
 それを操作して、石英ガラス製のプレートに画像データを文字通り”直接”書き込む。
 さしずめ、億年単位で保存の効くフォトフレームというところか。

 後世の人類へ向けたメッセージを託す事の出来る、文字通り唯一の記憶媒体。
 最後の1つだというのに―――私は、あえてこうして残そうとしていた。

 現物となんら遜色のない、3Dモデルとしての寸分たがわぬ入出力から、
 30桁以上のパスワードの解析というプロセスをも、平行していくつも同時に行える演算処理能力。
 
 そんな多くの機能を備えるにしてはとてもスリムなその端末が、やがて声を発した。

川 ゚ -゚)”データのロードが完了しました”


102VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:04:33.54 ID:ZzVxOTSE0
 CO-0、Type-L22、バーチャル・コンソール。
 面倒なので私は”クール”と愛称を設定し、以来そう呼ぶようになった。
 話し言葉一つを緻密に聞き取り、マザーの問題検出及び修復から、モーニングコーヒーのサービスまでこなしてくれる。

 元々無機質ではあるが、更にノイズが混じっている為、乾いたような声質の人口音声。
 これは端末に内蔵された音声出力機器のどこかに問題が生じているためだ。

 さりとて、私はそうなる前までの”彼女”にもよく世話になっていた。
 まるで長年連れ添った女房のような存在であるクールに、私はいつものように気さくに謝意で応えた。

( ´∀`)「あぁ、ありがとう」

川 ゚ -゚)”待機中……メディアをセットして下さい”

( ´∀`)「まぁ待ってくれ……少しだけ、チェックをさせておくれ」


103VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:06:58.52 ID:ZzVxOTSE0
 言って私は、引き出しから取り出した板状の物体をこんこんと、二度ほどげんこつで軽く叩いてみる。

 うん――まるで劣化はない。
 それどころか、私のやわな拳が叩いたところで、ろくに大きな音も響かない。
 当然だ。人間の寿命など比べ物にならない耐久性を持つ、超がつく高性能記憶媒体なのだ。

 この石英ガラス式ストレージメディアの厚みは手頃であり、およそ5~6cmというところか。
 本来であればパルスレーザーを照射し、内部にドットを形成していく事でデータを保管する。
 多層化された構造とはいえ、大昔のコンピューターと何ら変わりない、要は、0と1の組み合わせだ。

 だが、それをした所で、私の持つこの端末以外で、そのデータを読み込む事は不可能なのだ。
 だからこそ、私はあえて本来とは多少異なった使い道をする為に、色々と手間を踏んだ。

 コンパクト・ディスクに保存するデータの形式を少し変えてやるように、私はこれに画像を刻む。

 なにぶんとても繊細なマシンであるから、寸分の誤差も許されない。
 新たなプログラムを完成させてから導入に至るまで、試行錯誤の中でストックは全て使いきってしまった。

 だから、最後にこの1枚を残せた事に関しては運が良かったと言える。
 私の努力は報われ、光を通すこの媒体ならではの艶やかな色彩を表現する事が可能になった。
 一昔前の”アーティスト”と呼ばれたような連中ならば、きっと皆がこぞってこの技術を欲しがるに違いない。


104VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:08:12.98 ID:ZzVxOTSE0
川 ゚ -゚)”……待機中……メディアを――”

( ´∀`)「わかってるさ」

 彼女の言葉を遮るようにして、手にしたメディアを慎重にパルス照射装置の台座へセットする。
 まだ端末の片隅に眠っているあるデータを探し、あとはそれを装置へ送って読み込ませてやるだけ。
 残るそのたった2ステップの操作をこなせば、私は晴れて――お役御免だ。

川 ゚ -゚)”待機中……書き込み準備が完了しました”

 ぴっ タァーンッ

 その合図を確認した後、人差し指一本でエンターキーを入力した。
 ややあって、まるで患者を縛る手術台の様な台座に向けて、レーザーが照射されるアームの先端部が動き出す。

川 ゚ -゚)”照射を開始します……安全のため、装置より5m離れ、ゴーグルを着用して下さい”

( ´∀`)「心配には及ばないさ、もはや慣れたものだ」


105VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:09:28.23 ID:ZzVxOTSE0
 制御端末の真ん前に立った私は、瞳を奪われたかのように、ただ光景を見送っていた。
 後世へと伝える為の聖なる遺物を創り上げていく工程で、桃色に放射されるその光の束を。

 桃色だけではない、次第に、青や緑も。
 様々な色を用いて焼きこまれていくデータは、私の理想とする形でメディアに色彩を与えていく。

 極彩色の閃光。
 それは美しくも、虚しいばかりの光。
 私がこれを遺す事に決めたのは、単なる個人的嗜好からだ。
 
 ぼんやりと工程を眺めながら、ぽつり、彼女に質問を投げかける。

( ´∀`)「あと、どのくらいかな」

川 ゚ -゚)”……84秒です……”

( ´∀`)「そうかい、仕上がりが楽しみだよ」

 連日根を詰めたせいで、今では疲労がすっかり身体の底に沈殿している。
 こんな吹き溜まりでじっとしているよりは、少し身体を動かした方がましかも知れない。
 そう思い、完成を待つ間だけこの場を離れる事にした。


106VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:10:43.92 ID:ZzVxOTSE0
( ´∀`)「最後に、外を見せてくれるかい」

川 ゚ -゚)”………”

 シェルターのゲートは、もう開く事もない。
 完成したプレートは、ダストシュートから外へと排出せねばならない。

 タスクをこなしながら更なる仕事を押し付ける無礼な自分に対して、彼女は黙々と作業を続けつつも、
 言ったとおりの事をすぐにこなしてくれた。

 壁面に映しだされたのは、外壁に設置されたライブカメラからの映像だ。

 崩落したビルや、粉々になった看板の残骸。
 黄色い砂煙は這うように地を嘗め尽くしている。 

 そこから顔を出した赤土には高濃度の放射能が染み付き、ただ歩くだけの者をも蝕むだろう。
 人も、文明も、今や存在しているのか―――いないのか。

( ´∀`)「うん……ありがとう」

 今もこの惑星に残っている生物は、むしろ自分だけであればいいのにとすら思う。
    
 これが、見納めになるだろう。
 せめて最後は、穴が空くほどよく焼き付けておかねば。

 パルス照射装置が放つ音が仕上げの工程に入った時、若干の不快感が耳にまとわりついた。


107VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:15:31.66 ID:ZzVxOTSE0
 数百年、いや数千年語には言語体系すらもが変わっているかも知れない。
 いや、その頃にはこの星には生命が存在していない可能性の方がよほど高い。

 この1枚で私は、失われた自然というものの美しさ。
 そして思い上がった人類が、いかに恥ずべき行いをしてきたかという事を伝えたかった。
 この死に絶えた大地を踏み歩く未来の若者たちに、警鐘を打ち鳴らしたい。

 全ての文明、生態系を滅ぼた張本人の一人である私が願うのは、おこがましいというものか。
 自分たち人間の愚かさに一度は打ちひしがれながらも、それでも私は、まだ甘い理想を抱いていた。

 もう一度だけ、人の真価というものに賭けてみたかったのだ。

川 ゚ -゚)『...書き込みが終了しました』

 イジェクトされたプレートを取り出すと、私は思わず感嘆のため息を漏らす。
 内に秘めやかな光を煌めかせながら、世にも美しい色鮮やかな風景を、丸ごと切り取ったかのよう。
 かつてこの星にも確かに存在していた、力強い自然の姿がそこにはあった。

 美しさに後ろ髪を引かれる思いをしつつも、私は極彩色のプレートをダストシュートへ放り込む。
 ものの十数秒で、あの荒廃した地表へと辿り着くことだろう。

 それがこれまでの人の愚かさの歴史を気づかせてくれる、何よりの証拠品となるはずだ。
 誰かが拾って、私からのメッセージに気づいてくれるといいのだが。


108VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:17:27.28 ID:ZzVxOTSE0
( ´∀`)「モララー博士が一発、そして毒島博士が一発……三発も余ってしまうのか」

 これもまた、今日までの破滅に一役買った、終末の担い手だ。
 たった三発の弾丸が遺されることで、数十年、数百年の未来を、再び同じものにするかも知れない。

 それならば、彼女にプレゼントする事にしよう。

( ´∀`)「それじゃあ、クール。
      お別れだよ。
      モニターから抜け出た君と、最後に熱い抱擁を交わしたかったな」

川 ゚ -゚)”………その命令は、登録されていません……インデックスをスキャンしますか?……”

( ´∀`)「ノーサンキュー」

川 ゚ -゚)”………ノーザン、で関連ワードをスキャン中……”

( ´∀`)「必要ないよ」

川 ゚ -゚)”………ヒッツ・ユー・ナイト、で関連ワードを―――”

 よれたスラックスの右ポケットに挟んでいたアンティークのリボルバー。
 それを取り出した私は、3回だけトリガーを引いた。
 間違えてはならない、4回ではなく、絶対に3回だ。


109VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:19:29.78 ID:ZzVxOTSE0
ノ; ゚ -;z”……致命的なエラーが発生……”

 クールの美貌は跡形なく歪み、乾いた音声にはますますのノイズが乗った。

 だが働き者の彼女のことだ。
 エラーの発生を連呼しながらも、発生した深刻な障害に対して原因を熱心に究明しているのだろう。
 次に自分は、その銃身を右のこめかみへと突き当てた。

; -。gij”……コード、-40821-B……fatal……error……”

 ゆっくりと親指でハンマーを引き倒し、そっとトリガーに当てた人差し指への力を、徐々に強めていく。
 この弾倉から弾丸が飛び出すのは実に2年ぶりの事だなと、毒島博士が存命だった頃を懐かしみつつ。

 だが、もうすぐ彼にも逢える。
 二人より一足先に旅立った、モララー博士にもだ。


110VIPがお送りします :2013/10/21(月) 10:22:35.30 ID:ZzVxOTSE0
( ´∀`)「”グッド・バイ”」

 私ももう燃え尽きてしまったのだと、二人には謝らなくてはならない。
 ”情熱とは、無限に汲み取る事の出来る泉ではなかった”

 そのような言い訳を用意していこうと思っている。


”……セーフモードにて命令実行……システムを緊急終了します……”

 最後に一度、瞬きをしてみた。

 満点の星空が目の前全てを覆い尽くしていた息を呑むほどの光景は、
 だが間もなく、闇黒に塗りつぶされるようにして、儚く舞い散っていった。


                           終わり
                           -NHK-
.



( ^ω^)ブーン系小説総合案内所のようです
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1382276747/

[ 2014/01/11 21:25 ] 総合短編 | CM(0)


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