まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 ( ^ω^) ゾンデ棒 無題


33VIPがお送りします :2013/10/21(月) 00:42:12.56 ID:Ue15s9Zr0
 

( ^ω^)「ゾンデ棒、というものをご存知ですかお?」

(´・ω・`)「ゾンデ棒?」

( ^ω^)「ええ。ゾンデといって、雪山で仲間が遭難…例えば雪崩に埋もれてしまった場合、雪の中を突いて埋もれた人を探るための道具ですお」

(´・ω・`)「ほう」

( ^ω^)「登山家の基本装備の一つですお。今回お話しするのは、僕が大学の登山サークルに所属していた頃の、ゾンデ棒にまつわる話ですお」

(´・ω・`)「なるほど…それでは宜しくお願いします」

( ^ω^)「はいですお。あれは大学三年の──」

 




35VIPがお送りします :2013/10/21(月) 00:45:33.96 ID:Ue15s9Zr0
 
──
 

 あれは大学三年の時だった。

 僕達が通っていた大学の登山サークルは、基本的に雪山を相手にするのを禁じられていた。
 初心者の多い登山サークルでは、雪山だと非常に事故が多く、大学側も責任が取れないという理由だった。
 雪山に登ることを許されるのは、サークル恒例の年一回の卒業記念イベントとしてのみ。しかも、参加者は四年生と三年生に限るとのことだった。

 僕が初めて卒業記念の登山に参加した、三年の初春の頃。
 五人ほどしかいなかった四年生を送るために、ある雪山での登山を決行した。

 
( ^ω^)「皆さん、準備はよろしいですかお?」

 部長を務めていた僕の合図で、その登山は始まった。
 天気は比較的良かったと思う。雪は確かに積もっていたが、登るのがつらくなるほどでもなかった。


37VIPがお送りします :2013/10/21(月) 00:48:45.92 ID:Ue15s9Zr0
 登り始めてどれだけの時間が経った頃だろうか。
 五合目まで来たあたりで、異変が起きた。

 
('A`)「ふーっ、ふーっ…」

('A`)「……ん?」

 
 最初に発見したのは、同級生のドクオだった。
 列の前のほうを歩いていた彼は、急に目線を上に向けた。

 その直後。彼はおもむろに叫びだした。

(;'A`)「雪崩だ!!!」

(;^ω^)「!?」

 
 僕もすぐさま山頂のあたりに目を向けた。
 ドクオの言う通り、そこには勢いよく此方に向かってくる雪の群れが在った。

(;^ω^)「みんな!なるべく高い木に登るお!!」

 勢いはあったものの、大袈裟な雪崩ではなかったと思う。
 しかし、僕の声が響くと同時に、メンバー達は木に飛び移っていた。

 雪崩は木に登っていた僕達の下を通り過ぎ、すぐに止まった。


38VIPがお送りします :2013/10/21(月) 00:52:35.46 ID:Ue15s9Zr0
 完全に止まった雪の上に降り、すぐに全員の安否確認に入る。

 このとき、僕はすぐにメンバーが一人足りないことに気付いた。

 
(;^ω^)「…ギコさんは…?」

 全員が静かに顔を見合わせ、一人足りないことを理解すると、急に騒々しくなった。
 参加者である卒業生のギコさんが、その場にいなかったからだ。
 

(;^ω^)「み、みんな落ち着くお!ゾンデで雪の中を探すお!!ドクオ、警察を呼んでくれお!」

(;'A`)「わ…わかった!」
 
 僕は急いでバッグからゾンデ棒を引っこ抜き、それを組み立て、雪の中を一生懸命に突いた。
 周りのメンバーも同じく雪を突いていた。青ざめた顔をしている者もいれば、ギコさんの名を叫び続ける者もいた。

 
(; ω )「……」

 僕は無言のまま雪を突き続けた。
 ギコさんは僕が一年生の時から世話してくれた優しい先輩で、可愛い彼女がいて、大手に就職が決まっていた、僕の憧れの先輩だった。
 
(; ω )「………」

 涙で出そうになるのをこらえながら、僕はひたすらゾンデ棒を突き続けた。
 僕のゾンデ棒に人の感触があったのは、ちょうど警察が駆けつけてきた頃だった。

──


40VIPがお送りします :2013/10/21(月) 00:55:07.98 ID:Ue15s9Zr0
 
──

 

(´・ω・`)「……それで、ギコさんは?」

( ^ω^)「病院に搬送されて、翌日に亡くなりましたお」

(´・ω・`)「…それはお気の毒に」

( ^ω^)「ギコさんは人気者でしたから、僕を含める周りの悲しみようは大変でしたお」

(´・ω・`)「ギコさんの家族や恋人の方から、何か言われました?」

( ^ω^)「…少なくとも攻められはしませんでしたお。むしろ僕は感謝されてしまいましたお…大好きな山で死ねたから、ギコは幸せだ。ギコを見つけてくれてありがとう。って」

(´・ω・`)「……」

( ^ω^)「……そう言ってもらえるだけで、僕の悲しみも薄れはしましたお。ただ、僕は一つだけ、ものすごく後悔してることがあるんですお」

(´・ω・`)「それはどんな?」

( ^ω^)「…ギコさんを発見したとき、僕のゾンデ棒が、ギコさんの額を少し傷つけてしまったんですお」

 

──


41VIPがお送りします :2013/10/21(月) 00:57:11.85 ID:Ue15s9Zr0
 
──

 

 それから半年が経った頃。
 ギコさんの事故から、僕達のサークルは雪山に登ることを完全に禁じられていた。
 しかし、サークル自体は存続していて、僕達は粛々ながら活動を続けていた。

 夏休み最後の登山活動の時だった。
 この日はバーベキューと野宿も兼ねたイベントにしようとのことで、僕達は河原のある位置まで登り、酒を飲みながら夜まで騒いでいた。

 バーベキューセットを片付け、テントを張り終えたところで、僕達はまた酒を飲み直した。
 寝床についたのは、確か夜中の2時頃だったと思う。

 
( ‐ω‐)スピー

( ^ω‐)「………ん」
 

 どれくらい寝たのかは知らないが、僕が突然目を覚ました時は、まだ夜中のようだった。
 周りは完全に寝静まり、静かな夜がテントを包んでいた。

 何となく寝返りをうとうと思い、体を動かそうとした時。
 僕は、金縛りに遭っていることに気付いた。


42VIPがお送りします :2013/10/21(月) 00:59:14.26 ID:Ue15s9Zr0
 
(;^ω^)(えっ!?え?嘘だお!!?)

 
 初めての体験に戸惑い、なんとか体を動かそうとする。

 しかし、体はピクリとも動かない。
 というより力が全く入らないような感覚だった。

 
(;^ω^)(誰か!!助けてくれお!!)

 声にならない声をあげる。
 頭の中で必死に叫び続けているうちに、僕はテントの外から何かが近づいてくるのを感じた。

 
(;^ω^)(あ、あわわ…)

 テントの外を見ようとするが、テントの天井に向いた目が全く動かない。
 ただ、何かの気配と足音らしき音だけが、ゆっくりとテントに近づいてくる。

 
(;^ω^)(や、やめてくれお…)

 その足音は、テントの入り口の前まで近づくと、急に止まった。

 その直後。
 黒い何かが、勢いよくテントの天井へと登り始めた。


43VIPがお送りします :2013/10/21(月) 01:01:12.32 ID:Ue15s9Zr0
 
(;゚ω゚)(~~~!!)
 

 僕は心臓が一瞬止まるのを感じた。

 僕の視界に現れた黒い何かは、よく見ると人間の男の影だった。
 目を逸らすこともできず、僕はその男の様子を黙って見ているほか無い状態だ。

 男はテントの天井に乗ったまま何か作業をしているようだった。
 直後、天井から何かが突き抜け、僕の腹の少し上で止まった。
 

(;゚ω゚)(!!?)

 見覚えのある、細長い棒。
 僕の腹の直前で停止したそれは、また勢いよく天井の上へと引き抜かれていった。

 間髪入れずに、また細長い棒が天井を突き破ってきた。
 今度は僕の胸のあたりでそれは止まり、また引き抜かれていった。

 
(;゚ω゚)(ゾ…ゾンデ…?)

 その細長い棒には、間違いなく見覚えがあった。

 ゾンデ棒。細長いそれが、天井を突き破って僕に向かってきているのだ。


45VIPがお送りします :2013/10/21(月) 01:03:13.77 ID:Ue15s9Zr0
 
 僕がそれをゾンデ棒と確信した直後、今度は僕の喉元の手前にゾンデが降ってきた。

 僕はその時、ようやく自分の状況が見えた。
 これは半年前の、ギコさんの事故に類似している。

 体の動かないギコさんに、迫り来る僕のゾンデ棒。
 そして僕はもう一つ、あることを思い出していた。
 あの時、僕はギコさんの額を傷つけてしまったのだ。
 ギコさんの家族には感謝されたが、ギコさん本人は僕に恨みを持っていたのだろう。
 ゾンデ棒で体を傷つけた、この僕に。

 だからこそ、僕はこの状況に置かれているのだ。
 ゾンデ棒を棒に振りかざす、ギコさんの霊によって。
 

(;゚ω゚)(あ…あ……)

 天井を突き破ったゾンデ棒が、今度は僕の鼻先で止まって、引き抜かれた。

 そして、ゾンデ棒は僕の額に降りてきた。
 天井を突き破っていた穴からその男の顔を見たとき、僕は意識を失った。

 

──


46VIPがお送りします :2013/10/21(月) 01:05:12.00 ID:Ue15s9Zr0
 
──

 

( ^ω^)「…翌朝、僕は普通に皆と一緒に目を覚ましましたお。不思議なことに、あれほど空いていた天井の穴は、一切消えていたんですお」

(´・ω・`)「ふむ…」

(´・ω・`)「……一つ、質問しても宜しいですか?」

( ^ω^)「何ですかお?」

(´・ω・`)「あなたが意識を失う前に見たという、その顔ですが…一体、ギコさんはどんな顔をしていたんですか?」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「……いえ、あれは…」


47VIPがお送りします :2013/10/21(月) 01:07:39.61 ID:Ue15s9Zr0
 
──

 

(  ω )

 

──

 

( ^ω^)「…僕、でしたお」

 

 

 

【おわり】



( ^ω^)ブーン系小説総合案内所のようです
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1382276747/

[ 2014/01/11 21:24 ] 総合短編 | CM(0)


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