まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

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 川 ゚ -゚)は演じていたようです


1名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:00:54 ID:/h1osZvI0

少女はずっと演技をしていた。




2名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:04:34 ID:/h1osZvI0

 * * *

春。
別れの季節を経た後の出会いの季節。
空は私達のささやかな門出を祝うような憎らしいくらいの晴れ模様。

絶好の新学期日和である。

クラス替えが行われて、二年目ではあるが教室は初々しい雰囲気で満ち満ちている。
去年の今頃にこの高校に入学したのだなぁと思うと何故だか感慨深い。

新鮮な空気にぼんやりしていると、教壇に立った小柄な女性が一つ、咳ばらいをした。

*(;‘‘)*「え、えー、私がですね、今年一年の皆さんの担任になりました、」

*(;‘‘)*「へ、ヘリカル沢近でっす!よろすくお、お願いしますっ!」

真新しいスーツに身を包んだ担任がカチンコチンになりながら自己紹介をした。
スーツを着ているというかスーツに着られているというか、なんというか微笑ましい。
その威厳のない姿に、学生達はくすくすと笑った。
顔を真っ赤にして肩をすくめているヘリカル先生は、
学生たちの緊張をほぐすという意味ではいい仕事をしたと思う。

*(;*‘‘)*「わわわ、私の事はもういいですねっ!じゃ、みなさん、よろしくっ!」

慌ただしい進行である。


3名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:13:10 ID:/h1osZvI0

名前の若い順から立ち上がって自己紹介をする。
元気ハツラツ、おっかなびっくり、内輪笑い狙い、ぶりっ子、自然体。
十人十色だ。

*(‘‘)*「じゃあ次、どうぞ」

前の男子が席に着き、私の方を見て先生が微笑んだ。
そうか、もう私の番だったかとゆっくり立ち上がり、話す内容を構築させる。

ξ゚⊿゚)ξ「元1-9の津出玲(つでれい)です」

その他、前の人達に倣って適当にかいつまんで自己紹介を短めに済ませる。
私は少し飽きてきていた。
他の学生もそうなのか、やや内容が短めになっているのを私は汲み取った。

パチパチと半ば義務的な拍手を浴びる。
どうせ内容なんて一か月も経てば誰も覚えていないのだから、
悪目立ちすることがないよう無難に終わらすのが吉だ。

そんな気だるい空気を気にすることなく、ヘリカル先生は笑顔で次々と進めていく。

*(‘‘)*「じゃあ、次ねー」

ある女子の番になった。

瞬間、春のにおいが窓から吹きこみ、教室を撫でていった。


4名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:16:37 ID:/h1osZvI0


川 ゚ -゚)「七尾空(ななおそら)です」


女子にしては高い位置から発される、よく通る少し低い声。
曲がることなく真っ直ぐに立つ、凛とした姿。
整った素顔を隠すように風に靡く、黒い長髪。

川 ゚ -゚)「隣県から引っ越して、今学期からこの高校に通うことになりました」

静かだった教室が"引っ越し"というワードに反応してざわつきだす。
顔にかかった髪を耳にかけ、綺麗な白い首が露わになった。
伏目がちで、物憂げで、ミステリアスな要素を備えた陰のある表情。

ξ゚-゚)ξ「……」

何気ない立ち振舞いやその動作に、未知の転校生に対して言い知れぬ感情を抱いた。

決して彼女の持つ、私の持ち得ない何かに対する嫉妬ではない。
ただ純粋な憧れ、それに興味や好奇心といった類の感情。

そうして私の受けた衝撃は、ぐるぐると私の中を駆け巡り声へと変換され、
やがて口から飛び出す。

ξ゚⊿゚)ξ「きれい……」


5名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:19:32 ID:/h1osZvI0

川 ゚ -゚)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ

彼女が、先生が、クラスメイト皆が私を見た。
馬鹿みたいな感想を述べた記憶が蘇り、顔が赤くなるのがわかった。

ξ;*゚⊿゚)ξ「ななな何でもない!!です!!」

どっとクラスメイトが笑う。
新学期初日に受けてしまった羞恥に耐えられず、縮こまって俯く。

一体何を口走っているのだ。
これじゃあ女の子に興味のある変態と勘違いされてしまうのではないか。
違う、断じて違う。そんなはずはない。ただ、あの子が綺麗だと思っただけで―――


笑われても、それでももう一度、転校生の存在を確かめようと顔をあげた私は、見た。



私だけが見た。


.


6名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:21:44 ID:/h1osZvI0




川 ゚ー゚)





それまで鉄面皮だった彼女が、微笑みを浮かべているのを。










          川 ゚ -゚)は演じていたようです


.


7名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:26:22 ID:/h1osZvI0

 * * *

新学期一日目正午。

授業はまだ始まっていないため、私は帰りの電車に揺られていた。
真新しい制服を着た新一年生が楽しげに、これからの高校生活について喋っている。
私はイヤホンをつけて、静かに窓の外を眺める。

ξ゚-゚)ξ「……」

そういえばあの子、どこかで見た顔だったな、とふと思い返す。

私の通う"武雲高校"。
中学生の時に聞いた評判を総括すると、"可もなく不可もない高校"。
その評判は入学した私が納得したぐらいなのだから間違いではない。

飛び抜けて偏差値が良いだとか、優れた成績を修める部活があるわけではない。
それ故、長年勤める教師は、文武両道を謳う偏差値の高い進学校を羨み、学生へと伝播する。
学校全体が"どうせ一番にはなれないんだから"とどこか諦念した雰囲気が蔓延している。

秀才になりきれない秀才、ヤンキーになりきれないヤンキー、オタクになりきれないオタク、
スポーツマンになりきれないスポーツマン、ギャルになりきれないギャル。
凡人になりきれない凡人。

そんな中途半端な人間が集まり、有象無象へと教育される。
……私が言えた義理ではないのだが。


8名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:28:37 ID:/h1osZvI0

そして、その有象無象の中に突然現れた。


            川 ゚ -゚)


クリアな実体を持つ別の世界の化物のような存在。

シンプルな立ち振舞いながら強烈な印象を残した彼女。

そんな人間を私は、見たことがある?


 * * *


ξ゚⊿゚)ξ「気のせいよね」

ζ(゚ー゚*ζ「何がー?」

ξ゚⊿゚)ξ「や、何でもない」

ζ(゚ε゚*ζ「何よーぅ!気になるじゃん!!」

ξ゚⊿゚)ξ「何でもないったら」

ζ(゚ε゚*ζ


9名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:32:27 ID:/h1osZvI0

ξ゚⊿゚)ξ「ほら、ドラマ始まるわよ」

ζ(゚ロ゚;ζ「わっ!もうそんな時間!?急げ急げ!」

我が妹、鈴(すず)はふわふわした髪の毛を揺らし、ばたばたと共同部屋を出ていく。

ξ;゚⊿゚)ξ「……几帳面すぎるだけなのかしら」

見るも無残に荒らされた私のベッドのシーツを整える。

年子の鈴は同じ高校に通っている。
入学試験と言う名のハードルを、のらりくらりと跳び越えた私と違って、
鈴は全力疾走で助走し、なんとか、えいやっと跳び越えられた。
簡単に言うと私は天才肌で、あの子は努力家。

努力家故に、有象無象にも馴染め、人に好かれる。
天才肌故に、有象無象に―――

ξ゚-゚)ξ「……」

ζ(゚ロ゚*ζ「おねーちゃんも見ようよー!」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたがぐしゃぐしゃにしたこれ直したらね」

ζ(゚ー゚*ζ「へーい」


10名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:35:10 ID:/h1osZvI0

鈴が見ているのは"教育のカタチ"という、学校を舞台にしたドラマだ。
十年以上前から続く人気ドラマシリーズである。
シリーズによって、舞台となる学校は小中高のどれかになり、タイトルの頭に言葉がつく。

現在放送中のシリーズは"支配者の教育のカタチ"という名前だ。
鬼教師が受け持った小学生達を、その親もろとも恐怖で支配し、
全国学力テストでトップを目指すというぶっ飛んだ内容になっている。

毎度ぶっ飛んでいるため、ファンの新規参入・途中退場が激しいシリーズとしても有名である。
最近のシリーズには正直ついていけていない。

テレビには、鬼教師の素行を問題視した保護者により緊急懇談会が開かれ、
鬼教師と太ったパンチパーマの保護者が向かい合っている姿が映し出されている。
初めは軽い言い争いだったのが、今では一触即発の距離の睨みあいだ。
そしてさあ、どうなる、というところでCMに切り替わった。

ζ(゚ー゚*ζ「ねえねえ知ってる?おねーちゃん」

ξ゚⊿゚)ξ「何よ?」

デレがソファに座り、四角いクッションの角で私をつつきながら尋ねる。

ζ(゚ー゚*ζ「あのねあのね、私達が子どもの頃のシリーズで、"百合ちゃん"っていたでしょ?」

百合ちゃん。
その名前を聞いて、ブラウン管の中のあの子の姿を思い出す。


11名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:39:11 ID:/h1osZvI0

ξ゚⊿゚)ξ「そういえばいたわね」

ζ(`ー´*ζ「そーんなこと言って、おねーちゃんしっかり覚えてたでしょぅ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「う」

痛いところを突かれた。
鈴がニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる。

ζ(`ー´*ζ「百合ちゃん大好きだったもんねー」

ζ(`ー´*ζ「セリフのマネずっとしてたの、私覚えてるよん」

鈴が勢いづいて当時の私のマネをしようとしている。
そう直感し、慌てて話を戻す。

ξ;*゚⊿゚)ξ「ま、まあまあいいじゃない、で?百合ちゃんがどうしたのよ?」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、そうそう!その百合ちゃんとね」

ξ゚ー゚)ξ

話題逸らしに成功した。
単純でかわいい妹め。


12名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:41:24 ID:/h1osZvI0

ζ(゚ー゚*ζ「今シリーズに出てる準主役のキャラが同じ名字なんだって」

ξ゚⊿゚)ξ「へー」

気づかなかった。
というか、気づいても偶然でしょで片づけていただろう。

ζ(゚ー゚*ζ「そのキャラはね、百合ちゃんと年の離れた妹だっていう裏設定があるんだって」

ζ(゚ー゚*ζ「詳しいトモダチが教えてくれたの」

ξ゚⊿゚)ξ「ふーん」

ζ(゚、゚*ζ「あ、すっごいどうでもよさそうな顔」

ξ゚⊿゚)ξ「実際どうでもいいし……裏設定知っても……ねぇ」

ζ(`皿´*ζ「えー、なに、私教えゾンじゃーん!ひっどーい!」

どうどうと宥めているとCMが明けた。

緊迫した懇談会、主要キャラの表情が順番に映される。
そして突如部屋のドアが開いた。
小学生にしては長めの髪を後ろで束ねた少女がキッと大人たちを睨んでいる。

『恥ずかしくないのか!!』

拙くも突き刺さる言葉が少女の口から繰り出される。


13名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:44:41 ID:/h1osZvI0

少女の名札には"内藤優"と書かれている。
そうか、この子が件の。
百合ちゃんと姉妹だという裏設定はここで活きてくるのか。
作中名言されたわけでもないから、気づいた人へのファンサービスだろう。
そう言えば百合ちゃんも、イジメっ子に対して『恥ずかしくないのか』というセリフをよく使っていた。

一つを思い出せば、様々なことが芋づる式に思い出される。

"弱者の教育のカタチ"の舞台は今回と同じく小学校。
いじめの横行するクラス、主犯は小学生ではなく、実は普段は弱々しい担任だったというオチだ。

その話の主役格として、いじめっ子達を毅然とした態度で糾弾し、
いじめられていた子達を優しく明るい笑顔で包み込むキャラがいた。
そのキャラは、制作側が用意した等身大のヒーローとは言え、
"稀代の天才子役"と呼ばれた子の演技のおかげもあり一躍大人気になった。

それが百合ちゃんこと、"内藤百合"だ。

まだその表情まで鮮明に思い出せたことに少し私は驚いた。
しかしそれも当然か、と思いなおす。

確かに、同い年のあのキャラが、あの子役が好きだった。大好きだった。憧れていた。
悪を悪と正々堂々と呼べ、それでいて誰にでも平等に接し、愛される人柄。

あの、悪に対する冷たい表情。

あの、人を包み込む暖かな――― 笑顔。
.


14名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:45:52 ID:/h1osZvI0










           .,;,.;;:;ー゚)









.


15名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:47:27 ID:/h1osZvI0

ξ゚⊿゚)ξ「ん?」

何かが重なった。

あのキャラ、いやあの子役の笑顔と誰かの笑顔。

最近見た誰かの笑顔。

誰?


記憶の靄を丁寧に払い、その顔を思い出す。




                 川 ゚ー゚)




ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ「あ」

ξ;゚□゚)ξ「ああああああああああああああああああああ!!!!!!」

ζ(゚皿゚;ζ「ひゃあああああああああああああああああ!!!????」


16名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:50:58 ID:/h1osZvI0

 * * *

川;゚ -゚)「……」

ξ゚-゚)ξ「……」

この武雲高校での生活が始まって二日目の朝。
今日も午前だけとは言え、授業が始まるから意気込んでいた。
そしてショートホームルームと一時間目の間の中休み。

私の目の前には染めた髪をくるくる巻いた、不良風の女子が仁王立ちしている。

中休みになってからずっと。
私は彼女の意図がわからず困惑していた。
いや、わからないのなら尋ねる他あるまい。

川;゚ -゚)「……あの……何か」

ξ゚⊿゚)ξ「家、どこ?」

どうやら知らない間に彼女の機嫌を損ねてしまったらしい。
そして家に殴りこみに行くから住所を教えろ、と。
なるほど怖い。

川;゚ -゚)「えー……っと、最寄り駅は倉佐久駅だが……?」

ξ゚⊿゚)ξ「私、美布駅」


17名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:54:00 ID:/h1osZvI0

またしても意図がわからず何も言えなくなった。

ξ゚⊿゚)ξ「簡単に言うと、武雲高校前駅から四駅で美布駅、その三駅向こうに倉佐久」

ξ゚⊿゚)ξ「わかった?」

川 ゚ -゚)「あ、ああ」

つまり、私と彼女の帰り道は途中まで一緒だと言いたいのだろう。

川 ゚ -゚)「……それで?」

ああ、高校ではあまり目立たず、細々と生活したかったのに。
こんな不良に目をつけられてしまうとは……。

ξ゚⊿゚)ξ

ξ^⊿^)ξ「帰りは一緒しましょう!!」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「へ?」

満面の笑みでそれだけ言うと、彼女は満足気に自分の席に着いた。

一体何なんだ。


18名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:56:02 ID:/h1osZvI0

 * * *

ξ゚⊿゚)ξ「あなた、百合ちゃんよね?」

川  - )  ゚  ゚

川 ゚ -゚)「違う、私は空だ」

ξ;゚⊿゚)ξ「嘘つくの苦手でしょ」

川;゚ -゚)「……」

お昼時の駅のホーム。
私達は並んで電車を待っていた。

不意打ち気味に気になっていたことを尋ねてみると、
思いのほかいい反応が返ってきた。
隣の転校生はどう返答したものかと猫背になり、言葉を濁らせている。

川;゚ -゚)「んー……そう、根拠はあるのか、根拠は」

ξ゚⊿゚)ξ「だって、"百合ちゃん"って言っただけで通じてるもの」

ξ゚⊿゚)ξ「"弱者の教育のカタチの百合ちゃん"でしょ?」

川;゚ -゚)

ξ゚⊿゚)ξ「あと、私の目と記憶は誤魔化せないわよ」


19名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 00:58:27 ID:/h1osZvI0

ξ゚ー゚)ξ「百合ちゃんを大きくしたら、ちょうどあなたみたいかなーって」

川;゚ -゚)「ぁぅ……」

そこまで転校生を追いつめると、観念したように溜息をついた。
意外と押しに弱いと見える。

川 ゚ -゚)「……君だけの秘密に、誰にも言わないと約束してほしい」

ξ゚⊿゚)ξ「!」

川 ゚ -゚)「私はもう、役者ではないし芸能界の人間でもない」

川 ゚ -゚)「……あれとは無縁に、静かに暮らしたいんだ」

ぽつりと、線路を見つめながら転校生は呟いた。

ξ*゚⊿゚)ξ「うん!絶対!安心して、口は固いから!!」

川 ゚ -゚)「それなら安心だな……」

私は舞い上がっていた。

幼い頃に見た、ブラウン管の向こうで輝いていた憧れのカタマリと、同じ高校に通うことになったのだ。
そして、あろうことか、そこにいる。


20名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 01:00:01 ID:/h1osZvI0

ξ゚⊿゚)ξ

ξ*゚⊿゚)ξ

川 ゚ -゚)「?」

ξ*>⊿<)ξ「~~~~!!!」

川;゚ -゚)「ど、どうした?」

ξ;*゚⊿゚)ξ「あ、いや、なんでも……」

タイムリーな話題故に、鈴に自慢したい。
目を大きく開き大声をあげて驚く鈴の顔が目に浮かぶ。

川;゚ -゚)「そんなにニヤニヤと……"きれい"発言といい、君はおかしな子だな」

ξ;*゚⊿゚)ξ「し、失礼ね!ちょっと口角があがってただけ!」

ξ゚⊿゚)ξ「それにどっちかと言うとあなたの方がおかしいわよ?」
  _,
川 ゚ -゚)「なに、私がか?……そうか?そんなに変か?」

眉をひそめ、口を尖らせて考え込む。
その姿すらも雑誌の表紙を飾れそうなほど綺麗だ。


21名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 01:02:04 ID:/h1osZvI0

私は当然抱くべき、一つの疑問をぶつける。

ξ゚⊿゚)ξ「どうしてそんな子が、こんな時期に引っ越してきたの?」

高校二年の時期に転校するのは珍しい。
親が転勤族なのだろうか。実家がこの辺りとか。
案外気まぐれとか、金持ちっぽい理由だったり。
それとも何か他の?

川 ゚ -゚)「ん……まあ色々あってな」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、そうなの。……よくわからないけど、あなたも大変そうね」

何か他の理由らしい。
今は深く突っ込むのはやめておこう。

改めて彼女の顔を眺める。
彼女は恥ずかしそうに目線を逸らしているが、お構いなしだ。

"百合ちゃんが成長するとああなるんだろうな。きっと可愛いと言うより綺麗になるんだろうな。"
その当時の期待を成長は裏切らなかった。

意志の強そうな瞳、少し太い眉、小顔、少し乾燥した唇、程良い高さの鼻。いい匂い。
予想より少し陰のある表情は、誤差の範囲内だ。

完璧な美少女ではなく、一般的な欠点も少し持った庶民派美少女。
あのドラマで正義を掲げて弱者を守り、強者に立ち向かった百合ちゃんそのものである。


22名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 01:04:52 ID:/h1osZvI0

川;*゚ -゚)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……?」

川;*゚ -゚)「ど、どうかしたか?」

私は首を捻る。
これまでの彼女の表情を思い返す。

ξ゚-゚)ξ「随分と感じが違うのね……?」

私にはどうしても、今の陰のある表情から、
あの頃のような弾ける笑顔を想像することが出来なかった。
だから言葉が衝いて出る。

ξ゚⊿゚)ξ「百合ちゃんみたいに笑ってみて?」

川 ゚ -゚)「!」

はっと目を瞠る。
私の言葉に驚き、そして戸惑っている。

しまった、と思った。


23名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 01:06:39 ID:/h1osZvI0

頭の中で考えが巡る。

彼女は芸能界を、恐らくひっそりと引退した。
そのため子役という過去を伏せて、一般人として生きていくと決めた。
なのに私は"百合ちゃん"というキャラと彼女を重ねて見ていた。

そのことは彼女にとって、ひどく傷つくことだったのではないか。

ξ;゚⊿゚)ξ「あ……ごめん」

川 ゚ -゚)「いや……大丈夫だ。ただ……」

私の反省を余所に、徐々に驚きの表情は苦笑に移り変わった。

川 ゚ -゚)「あれは……演じていたんだ」

川 ゚ -゚)「笑顔を演じていただけなんだ」

川 ゚ -゚)「……私はもう演じない」

川 ゚ -゚)「演技はもう……しないんだ」

川 ゚ -゚)「すまない」


24名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 01:08:44 ID:/h1osZvI0

ξ゚-゚)ξ「そう……」


彼女は哀しそうな笑顔を見せた。

今にも涙を零しそうな、そして寂しそうな。

私がさせてしまったんだ。


ξ゚⊿゚)ξ「私、玲。津出玲よ」

川 ゚ -゚)「……知ってる。自己紹介、したじゃないか」

川 ゚ -゚)「七尾空。空でいい」

ξ゚ー゚)ξ「空。アドレス交換しよう?」

川 ゚ -゚)「……ん」


電車の到着を告げる構内放送。

ホームに駆け込んでくる人。

近くの踏切の警告音。

電車の走る音。
.


26名も無きAAのようです :2013/09/16(月) 01:11:40 ID:/h1osZvI0


ξ^ー^)ξ「私、あなたをきっと、笑顔にして見せるわ」

川;゚ -゚)「なっ……!!んな恥ずかし……!堂々と……っ!!」


いつもの私なら言うはずがない非現実的な臭いセリフ。

それでも私は言おうと思った。

言わなければならないと思った。


画面を挟んで向こうにいた"百合ちゃん"にではなく、今、目の前にいる"空"に。


ξ゚ー゚)ξ「これからよろしくね、空」

川 ゚ -゚)「!……ああ、こちらこそ、玲!」


電車が減速しながらホームへ入り、乗客たちを降ろす。
私達は二人で、ためらうことなくそれに乗り込んだ。




 第一話 おわり



川 ゚ -゚)は演じていたようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1379257254/



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