まぜこぜブーン

ブーン系まとめ

 スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | CM(-)


 ( ^ω^)デレはひいじいちゃんと20世紀を歩くようですζ(゚ー゚*ζ


387名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:39:44.60 発信元:175.104.235.7
ζ(゚ー゚*ζ

ひいじいちゃんが亡くなってから、今年で十三年になる。

そんなことを思い出したのは、大学で民俗学を専攻するコースを選択した二回生の春だった。


ひいじいちゃんの命日は20世紀最後の大晦日。息を引き取ったのは除夜の鐘も鳴りはじめ、あと数分で年が明けるというころだった。
1901年生まれ、享年は百歳だというのだから見事な大往生だろう。

私も一応病室には居て、ひいじいちゃんの臨終の瞬間には立ち会ったのだが……その時の光景はほとんど記憶にないというのが正直な所だ。

なにせその頃の私は小学校にあがったばかりで、事態もよく分からぬまま病院に呼び出されて慣れない夜更かしを強いられていたのだ。
そもそもその頃はひいじいちゃんとは年に数回会うくらいであり記憶自体わりとぼんやりしていて、なんとなくいつもにこにこしてるくらいの印象しか持っていなかったのだ。

今にして思えばなんとも曽祖父不幸なハナシだが、当時の私を誰が責められようか。


ただ、その大晦日の晩のことで、ハッキリと覚えていることがひとつだけある。



( ^ω^)



ベッドの上のひいじいちゃんの、いつもと変わらないしわくちゃの笑顔だ。

.




388名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:42:28.28 発信元:175.104.235.7
 
ひいじいちゃんは土地や家屋敷など、そこそこの財産を遺していったらしい。
ひいじいちゃんの奥さん、私から見ればひいばあちゃんにあたる人は私の生まれるとっくの前に亡くなっていた。

ひいじいちゃんの一人娘で、本来の遺産の相続人である祖母は、あらかじめ自身の遺産相続権を放棄していた。

从 ゚∀从「どうせ私も老い先短い身だ。冥土にお金は持ってけないよ」

そんなわけでひいじいちゃんの遺産はその三人の孫たち、すなわち私の父と二人の叔父に分与されることとなった。

すぐさま父と叔父たちで話し合いの席が持たれたが、結局、私の家が相続したのは額としてはわずかばかりのものだった。
後はひいじいちゃんの趣味だったカメラや鉄道模型、そして蔵書などだけ。
兄弟間でどんな話し合いがあったのかは知らないが、父が末っ子の三男であったことも影響したのかもしれない。

もっとも当時の私はそんな細かい事情や経緯などまったく解らず、ただぼんやりと「ああ、もうひいじいちゃんには会えないんだ」と思っただけだったのだが。


やがてそんなことも記憶の片隅にしまい込まれて時は流れ、気がつけば私は大学生となっていた。

.


389名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:44:59.39 発信元:175.104.235.7
 
そして今年の春、物置を整理していたときのこと。

ζ(゚ー゚;ζ「よっこいしょ、っと! あー、重たい……」

物置の隅の、ホコリをかぶったいくつかのダンボール。

ζ(゚ー゚*ζ「これは……ひいじいちゃんの本、かな?」

やけに重たいそれらの封を開けてみれば、そこにはかつてのひいじいちゃんの蔵書の数々がいかにも無造作に入れられていた。

ζ(゚ー゚;ζ「うーん、もうちょっと整理しないと……ん? なんだろ、これ」

ふとその中に、タイトルの記されていない数十冊もの本を見つけた。

ζ(゚ー゚*ζ「なんだろ、自費出版の本かなにかかな?」

適当にその中の一冊を手に取り、経年変化で黄ばんだページをめくる。パリパリという音とともに、僅かな古い紙の匂いが鼻孔をくすぐった。

ζ(゚ー゚*ζ「! これって……」


390名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:47:28.22 発信元:175.104.235.7
 
【昭和五十八年六月十九日 晴れ】

【書店に立ち寄り、数冊の書籍を購入する。道中、毒男と会ったため少々立ち話をする。来月に孫が生まれるとのこと。男の子だそうだ】
【夜、なんだか表が騒がしいと思い外を見ると浴衣姿の家族連れが。成程、今日はそこの神社で祭がある日だった】

【小生も幼い頃には祭を心待ちにしていたものだったが、今ではすっかり行く気力も失せてしまった】
【何より、祭など一人で行ってもつまらないものだ。もしハインやツンが居たならば――】


――――それは、ひいじいちゃんの日記だった。

二十歳の誕生日から書き始め、亡くなる当日に書き終えるまでのおよそ八十年。その一日一日が記された、日記だった。


ζ(゚、゚*ζ

私は物置の整理という本来の目的も忘れ、膨大な数のそれらを夢中で読み進めていった。

人の日記を無断で読むことに罪悪感が無いわけではなかったけど、興味に勝るものではなかった。
著者は十年以上前に亡くなった身内だ。曾孫の私が読んでも悪いということはないだろう。そう言い聞かせ、自分の行為を正当化した。
 


391名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:50:10.84 発信元:175.104.235.7
 
ζ(゚ー゚*ζペラ...

その日嬉しかったこと。悲しかったこと。楽しかったこと。苦しかったこと。

一ページ読むごとに、セピア色だったひいじいちゃんの笑顔に、色が着いていくような気がした。


ζ(゚ー゚*ζ「ふぅ。すごい量……」

Σζ(゚-゚;ζ「……あ、もうこんな時間!」

ようやく数冊を読み終えるころには、既にとっぷりと日が暮れていた。
無意識に点けていたらしい豆電球がわずかに吹き込む風を受けて揺れている。

ζ(゚、゚;ζ「いけない、ついつい夢中になっちゃった」

慌てて明かりを消し、物置を後にする。


その腕の中には、数冊の日記。

思えばこの時には、私のこの夏の予定は決まっていたのかも知れない。
 


( ^ω^)デレはひいじいちゃんと20世紀を歩くようですζ(゚ー゚*ζ


.


392名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:53:09.27 発信元:175.104.235.7
 

2013年、夏。

私は電車を乗り継いで、隣の隣の県のとある田舎町にやってきていた。

ζ(゚、゚;ζ「ひゃー、あっつい」

むせ返るような暑さと耳をつんざく蝉の大合唱。そして広い広い青空。
これでもかというくらいの田舎の夏だ。

錆びに錆びた駅名標がまた哀愁を誘う古びた駅舎と人の居ない駅前。
駅前にあるのはどうやって経営を維持しているのか分からないようなボロい商店が一軒だけ。

いかにも田舎の駅といった風情。

ζ(゚ー゚*ζ「いいなぁ、この雰囲気。わくわくするなー」

大学が夏休み期間に入り、特にサークルなどに所属していない私は時間が腐るほど有り余っていた。
さらに一回生の頃から短期バイトをいくつもしていたおかげで、軍資金は潤沢。
よほど無茶な使い方さえしなければ、少なくとも二ヶ月ほどは余裕で暮らせるだけの金額が通帳には貯まっていた。


それらを利用して、日記を元に、ひいじいちゃんの足跡をたどる旅をしようと決めたのだ。

.


393名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:56:01.19 発信元:175.104.235.7
 
【大正十年四月十八日 曇り】
【今日は僕の二十歳の誕生日だ。両親から記念にと日記帳を贈られた】
【しかし、突然日記などと言われても何を書けばいいのやら。もうすぐ出立の日が来ると言うのに】
【とりあえず、これだけ立派なものを頂いたのだから、三日坊主にはならないようにしたいものだ】

適当なベンチに腰掛け、鞄の中に大事にしまってある日記の一冊を取り出す。
ゆっくりと本を開く。パリパリ、と古ぼけた紙が音を立てた。

これは、ひいじいちゃんが日記をつけはじめた最初の一冊だ。
その、最初の一ページ。旧字体の漢字とカタカナ混じりの文体で、最初の記述がされている。


ζ(゚ー゚*ζ「えっと、まずは……。地図地図」

日記をしまい、代わりにあらかじめ買っておいたこの辺りの地図を取り出す。

ひいじいちゃんは気さくではあったが、あまり自分のことをペラペラと話すタイプではなかったらしい。
そのため、ひいじいちゃんの生家がどこにあったのかさえも親族の中で知っている人は誰もいなかった。

唯一知っていそうな実の娘であるばあちゃんはといえば、三年前に脳梗塞で倒れ、
それ以来めっきりボケてしまったため、とてもまともな解答を期待できそうにはなかった。


394名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:57:56.37 発信元:175.104.235.7
 
しかし、まるっきり手がかりが無いわけでもない。

ひいじいちゃんの日記。そこには何度か、かつてひいじいちゃんが通っていた尋常小学校の名前が登場していたのだ。

ζ(゚、゚*ζ「うーん、美布尋常小学校……美布尋常小学校……」

一応県内ではトップの国立大学である母校の大学付属図書館には、県内の各市町村の郷土史が収められている。
それらを洗ってみはしたものの、ひいじいちゃんが通っていたらしき尋常小学校の名前は見つけることが出来なかった。

ζ(゚、゚*ζ「うーん……」カタカタカタ ッターン

とζ(゚、゚*ζ「……ないなぁ」カチカチ

ネットで検索してみるもそれらしいものは引っかからず、早くも私の旅の計画は頓挫するかに思われたのだが……。


395名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 11:59:41.15 発信元:175.104.235.7
 
(´・ω・`)「あ、デレちゃん? この間の美布尋常小学校だけどね、どこにあるかわかったよ」

答えがもたらされたのは、自分のゼミの教授からだった。

うちの大学では、学生は二年次から各教授のゼミに所属することになっている。
私が選択していたのは幸運にも、文化民俗学を専門とするショボン教授のゼミだったのだ。

ショボンというのは彼のアダ名で、しょぼくれたような眉毛から本名の「諸本」をもじって付けられたらしい。
ショボン教授自身けっこうこのアダ名を気に入ってるらしく、彼を呼ぶ人は皆そう呼ぶのだった。

(´・ω・`)「ネット検索で引っかからないわけだよ。元々が生徒数の少ないド田舎の小学校。
      しかも戦後すぐに教育改革の流れで近隣の学校と統廃合されて、その合併先の学校も二十年以上前に廃校になってる」

余談ではあるがこのショボン教授、この大学の学生の間ではけっこう有名人である。
というのも、何故か彼の周りには黒い噂が絶えないのだ。

曰く、彼の研究室に行った院生は数年に一人のペースで行方不明者が出る。
曰く、彼は学長さえも裏で操る、この大学の影の支配者である――――。

そういった噂話にうとい私がそれらの都市伝説を知ったのは、ゼミ配属の希望申請が通ってしまった後のことだった。

ζ(゚、゚*ζ「そうだったんですか……。ありがとうございます。きっと私じゃ調べられませんでした」

しかしこの教授、有能には有能なのである。
認められた論文は数多いし、テレビにも割としょっちゅう出ているくらいだ。


396名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:01:29.82 発信元:175.104.235.7
 
(´・ω・`)「そうだね。僕でさえ学生時代のげぼk……もとい、友人達に調べさせてようやく分かったくらいだもの」

……とりあえず、最後になにか言いかけたことは聞き流すことにした。
この手の人間の私生活に深く首をつっこむとロクな事がないものだと相場は決まっている。

ζ(゚ー゚;ζ「そ、それで、その場所は……」

(´・ω・`)「ああ、うん。○◯県のしたらば市ってとこ。そこの創作地区だね」

ショボン教授が口にしたのは、この県の隣の隣に位置する県の名前だった。

(´・ω・`)「元は創作村ってとこだったんだけど、何年か前に隣のしたらば市に吸収合併されてる。人口数千人の小さな村だったみたいだね」

ζ(゚ー゚*ζ「そうだったんですか……。ありがとうございます。助かりました」

(´・ω・`)「んでさ、デレちゃん。来月そこ行くんでしょ? ちょうどいいことにその県の○◯大学に件のげb、友人の一人が勤めてるからさ。
      僕が話しとくから、案内役兼運転手にそいつを付けるよ。一人で知らない土地うろうろするよりなんぼかマシでしょ?」

ζ(゚ー゚;ζ「えっ? いやいや、そんな……。その人にご迷惑でしょうし」

冗談じゃない。
あのショボン教授の知り合いなど、どんな人物かわかったものではない。


399名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:04:08.39 発信元:175.104.235.7
 
(´・ω・`)「あー、大丈夫大丈夫。女子大生と二人旅と言えば多分食いついてくるだろうし」

ζ(゚ー゚;ζ「それは……安全といえるんでしょうか? それに、もうなにかご予定があるかも」

(´・ω・`)「無問題。ヘタレだし妙な所で紳士だから、手を出してくることは絶対確実にありえなーい。
      それに、アイツの予定? それも大丈夫」

ζ(゚ー゚;ζ「…………?」


(´・ω・`)「僕が頼めば嫌とは言えないし、死んでも言わせないから」


うん、決めた。近いうちに絶対ゼミ転属の申請出そう。

.


400名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:06:30.48 発信元:175.104.235.7
 

ショボン教授に教えてもらった、その案内してくれる人との待ち合わせ場所になっている小さな喫茶店に着いた。
先ほどの駅は無人駅で待合所にエアコンすら無いため、徒歩五分くらいの喫茶店が待ち合わせ場所になったのだ。
  _
( ;∀;)「イベント……イベント……。ちくしょう、あの悪魔め……せっかくチケット取れたのに……」

ζ(゚ー゚;ζ(えーと、アレかなぁ……?)

店のドアから中の様子をうかがう。店内に客は一人だけ。
太い眉毛が印象的な、なにかブツブツ言いながらテーブルに突っ伏して泣いている男性だけ。

どうしよう、すごく話しかけたくない。

ζ(゚、゚;ζ(………………)

ζ(゚ー゚;ζ(…………よしっ! 行こう!)

とはいえ、ここまで来て引き返すことも出来ない。

自分を励まし、店のドアを開ける。
カランカラン、とドアに据え付けられていたベルが鳴ると、その男性が顔を上げた。


401名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:09:10.42 発信元:175.104.235.7
 
見ると、彼は意外にも若い……二十代後半から三十代前半くらいの男性だった。
ショボン教授と同年代くらいだろうと思っていたので、一瞬ぽかんとしてしまった。
  _
( ゚∀゚))「……あ」

ζ(゚ー゚;ζ「…………」
  _
( ゚∀゚)「…………ナイスおっぱい」

ζ(゚ー゚;ζ「…………えっ?」
  _
(; ゚∀゚)「ああいや、失礼。えーと、君が?」

ζ(゚ー゚;ζ「アッハイ、諸本教授の紹介で来ました」
  _
( ゚∀゚)「あーうん、聞いてるよ。デレちゃんで良かったんだよね」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、今日はよろしくお願いします」
  _
( ゚∀゚)「俺は長岡烝治。◯◯大学の人文学部で講師をやってる。
     君のところのショボン……で通じるかな? まぁ、諸本先生の元教え子だよ。ある意味君の先輩かな」

ζ(゚ー゚*ζ「長岡さん、ですか」


402名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:11:42.70 発信元:175.104.235.7
  _
( ゚∀゚)「友人からはジョージのフランス語形で『ジョルジュ』って呼ばれてる。
     だからデレちゃんもジョルジュって気軽に呼んでくれると嬉しいな」

ζ(^ー^*ζ「あはは、昔からショボンって呼ばれてたんですね。ウチの大学でもショボン教授って呼ばれてますよ。
        それでは改めてよろしくお願いします、ジョルジュさん」

ジョルジュさんは、思っていたよりも気さくで話しやすい人だった。
あのショボン教授の知り合いというから、どんな変人かと心配だったが杞憂に終わったらしい。

…………いや、最初のアレらを考えると、変人には違いないのかも知れないが。
  _
( ゚∀゚)「うん、よろしく。まあ座って。とりあえずお茶でもどう? もし急ぐんだったらすぐ出るけど」

ζ(゚ー゚*ζ「いえ、時間は大丈夫です。長時間電車に揺られて私も少し疲れてますし、少し休んでから行きましょうか」
  _
( ゚∀゚)つ□「ん。はいこれメニュー。ケーキでも何でも好きな物頼んじゃって。もちろん俺が奢るから」

ζ(゚ー゚;ζ「いえ、流石に自分の分は自分で出しますよ。こちらが無理に頼んで来てもらっている立場なのに……」

もっとも正確に言えば無理に頼んだのはどこぞのゲス教授なのだが、そういう問題ではない。
実際、学生とはいえバイトでそこそこ困らないだけのお金は貯めてあるのだ。
  _
( ^∀^)「いいっていいって。年上の男の意地みたいなもんだから、こういうのは素直に受け取っておくもんさ」

ζ(゚ー゚*ζ「……では、ごちそうになります」

水とおしぼりを持ってきた店員さんに私はチーズケーキとアイスレモンティーを、ジョルジュさんはアイスコーヒーを注文する。
水のグラスに入った氷がカランと音を立てた。


403名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:13:51.81 発信元:175.104.235.7
 
  _
(; ∀ )「しょしょしょ、ショボン先生……。あああああ、アンタ、何処で『それ』を……っ!?」

(´・ω・`)「んー? どこだろうねぇ。知りたい? ねぇ知りたい?」
  _
(; ∀ )「……何が望みだ? 金か、力か。それとも世界か?」

(´・ω・`)「いやいや、まさかそんな。教え子を脅迫だなんて、模範的大学教員たる僕がそんなこと。
      ……ねぇジョルジュ君。キミ、大学には車で通学してたよね?」
  _
(; ゚∀゚)「え? ええ、まぁ……。それがどうしました」

(´・ω・`)「なーんか、急にジンギスカンが食べたくなっちゃってね。それも本場の奴」
  _
(; ゚∀゚)「へ、ちょ、まさか……」

(´・ω・`)「ちょっとひとっ走り車飛ばして買ってきてくんない? 北海道まで。
      安心して、ジンギスカン代はちゃんと出すよ。ほら一万円」
  _
(; ゚∀゚)「アンタ馬鹿!? こっから北海道って……津軽海峡まで辿り着くだけで高速でも12時間はかかるぞ!!?」

(´・ω・`)「あ? 知るかよ、ぶち殺すぞ。僕が行けって言ってんだから行くんだよ。
      あ、あーあーあ。うん、別に嫌ならいいんだけどさ。残念だよ、君は明日から学内随一のド変態の仲間入りだ」
  _
(; ∀ )「…………ッ!! ……い、今すぐ行って……買ってきます……」

(´・ω・`)ノシ「うんうん、聞き分けがよろしくてなによりだ。いってらっしゃい。
       僕はビールとバーベキューセット用意して待ってるから、なるべく早くねー」


405名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:20:27.82 発信元:175.104.235.7
 
  _
(; ゚∀゚)「――と、そんな訳でさ。学生時代にゃショボンの野郎にさんざっぱら苦い思いさせられたよ。
     結局あん時はノンストップで北海道まで行ったのに観光もせずジンギスカン用の肉だけ買って超特急で帰らされたし」

ζ(^ー^*ζ「あっはははは! でも本当に北海道まで行ってきたんですか?
        どこかの百貨店でジンギスカン用の肉とか買っちゃえば良かったのに」
  _
(;-∀-)「いや。あのゲス野郎、ご丁寧に現地で肉買ってる写真の送付を要求してきやがった。
     しかもどっかで必要以上に休んだり観光したらバラすって脅してくるし」

ζ(゚ー゚*ζ「あはは……でも、なんだか楽しそうですね」
  _
(;-∀-)「今でこそ、って奴さ。当時はあのゲス野郎はいつかナイフでブスリと刺してやろうか本気で悩んでたんだから」
  _
( ゚∀゚)「……ま。でも、確かに楽しかったには楽しかったよ。本気で馬鹿なことが出来るのは学生の特権だ」

ζ(゚ー゚*ζ「…………」

馬鹿なこと。確かにそうかもしれない。
ひいじいちゃんの足跡を辿る旅だなんて、普通の女子大生がすることではないかもしれない。

でも。逆に、そういう『馬鹿なこと』が出来るのが学生なのだとジョルジュさんは言った。
高校生以下ではこんな事をするにはお金が無さ過ぎ、社会人では忙しすぎる。

今しか出来ない、今だけ許されたおふざけ。
この旅は、突き詰めればそんなものなのかもしれない。

ζ(^ー^*ζ「……ふふっ」


406名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:24:53.36 発信元:175.104.235.7
 
しばらくの談笑の後、私たちは喫茶店を出た。
まだ外は十分明るいが、暑さのピークは過ぎたらしく、蝉の声も幾分落ち着いて聞こえた。
  _
( ゚∀゚)「最初の目的地はどこだったっけ? どっかの寺だったっけ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、この辺のお寺をいくつか見て回ろうかと。檀家帳を調べてみたいんです」

ジョルジュさんの車に乗り込みつつ、これからの予定を話す。

「いろいろな所まわるんなら足が必要でしょ」とはショボン教授の言葉だったが、なるほどその通りだ。
少し暑さもやわらいだとはいえ、この気温で長時間外を出歩けば脱水症状で行き倒れるなんてことも充分あり得そうである。
  _
( ゚∀゚)「檀家帳か。宗門人別改帳とも言って、江戸時代の寺請制度の下で作られた昔の戸籍みたいなもんだな。
     なるほど、昔の人的事情を調べるなら定石だ。この辺りなら空襲もなかっただろうし……」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。なので、昔の檀家帳が残ってる可能性が高いかなー、と」
  _
( ゚∀゚)「ん、おkおk。まわる予定の寺の場所は分かる?」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、地図にマークしておきました。これです」

鞄から折りたたまれた地図を取り出し、ジョルジュさんに渡す。
ジョルジュさんはその地図を見ながら、カーナビに目的地を打ち込んでいく。


407名無しっていいもんですね :2013/09/14(土) 12:26:32.44 発信元:175.104.235.7
  _
( ゚∀゚)「うっし、ナビの設定完了。そんじゃー行きますか」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。ではお願いします」
  _
( ゚∀゚)つ「よーし、出発しんこー!」

気の抜けた掛け声とともに、車が動き出す。

知らない街の景色がゆっくりと流れ始める。

これから私は、どんな景色を見るのだろう。
その景色は、100年近くも前にひいじいちゃんが見ていた景色なのだろうか。


ζ(゚ー゚*ζ「いま会いに行くよ、ひいじいちゃん」


ひいじいちゃんを訪ね歩く旅は、まだ始まったばっかりだ。





( ^ω^)デレはひいじいちゃんと20世紀を歩くようですζ(゚ー゚*ζ

                 続く


.



( ^ω^)ブーン系小説シベリア図書館のようです★49
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1377435720/



コメントの投稿


 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。